第93回選抜高等学校野球大会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
第93回選抜高等学校野球大会
始球式の様子
試合日程 2021年3月19日 - 4月1日
出場校 32(一般枠:28、21世紀:4)校
優勝校 東海大相模神奈川、10年ぶり3回目)
試合数 31試合
選手宣誓 島貫丞(仙台育英
始球式 萩生田光一文部科学大臣
開会式司会 寳藏寺花映(長崎・長崎日大[注釈 1]
入場行進曲パプリカ」(Foorin米津玄師
国歌独唱 柏原雅(兵庫・県西宮
閉会式司会 山口雄大(長崎・大村卒)
総入場者数 140,800人
大会本塁打 9本
タイブレーク 延長13回以降
 < 20202022 > 
選抜高等学校野球大会
テンプレートを表示
開会式にて

第93回選抜高等学校野球大会(だい93かいせんばつこうとうがっこうやきゅうたいかい)は、2021年3月19日から4月1日まで阪神甲子園球場で行われた選抜高等学校野球大会である。

概要[編集]

前年の第92回大会新型コロナウイルス感染症の世界的流行により中止になったが、今大会は新型コロナウイルス感染症の流行が前年以来なおも続くなか、大会前から様々な感染防止対策(後述)を講じたうえで2年ぶりの開催となった。前々年の第91回大会元号令和になる前の開催であったため、令和となってから実際に開催された初めての選抜大会となる。

日程[編集]

  • 2020年
    • 9月9日 - 第1回の大会運営委員会を開催し、出場校数と日程を定める[1]
    • 10月9日 - 神宮大会の開催中止を発表[2]
    • 11月16日 - 北海道を除く46都府県の21世紀枠候補校の推薦が出そろう[3]
    • 12月11日 - 9地区推薦の21世紀枠候補校が発表される[4]
  • 2021年
    • 1月13日 - 入場行進曲が中止となった前回大会で使用予定だった『パプリカ』に決定した[5]。また同日の運営委員会では中止となった神宮枠を21世紀枠に補充。入場券も全席指定となり最高席の中央特別席で3900円、外野席も700円など改定。連券・当日券販売もなし。さらに開幕戦の開始時間も30分繰り上げ、交流試合同様試合間隔も40分とした。
    • 1月29日 - 出場校選考委員会がオンラインで行われ出場32校が選出された[6]
    • 2月19日 - この日開催された日本高校野球連盟理事会に於いて、連盟主催の春夏甲子園大会及び各都道府県連盟の公式大会の決勝戦での延長戦タイブレーク方式を導入することを決定。この規定は本大会から適用されることとなった[7]
    • 2月23日 - オンラインで組み合わせ抽選会。なお抽選は同一県が2校の場合は決勝まで対戦しないよう考慮し、その他の学校はフリー抽選を行った。開会式での選手宣誓は開幕日に出場する6校の主将による抽選によって選ばれた。
    • 3月19日 - 開会式と初日の3試合が予定通り行われた。選手宣誓は第2試合に登場する仙台育英の島貫丞主将、司会は中止となった前年第92回大会の閉会式司会に内定していた長崎日大の寳藏寺花映が務めた[8]
    • 3月21日 - 雨天中止[9]
    • 3月24日 - 第3試合の常総学院対敦賀気比戦は選抜大会では初のタイブレーク適用試合となった[10]。また、この試合では初の申告故意四球[注釈 2]も行われた[11][注釈 3]
    • 3月28日 - 雨天中止[13]。順延が2日間になったため、準決勝翌日に予定されていた休養日[注釈 2]がなくなった[14]。なお、3月27日に、準決勝翌日(中止がなければ3月31日)に甲子園球場で決勝出場2校の前日練習を行うことが発表されていたが、この中止による日程変更に伴い前日練習は行われないことが決まった。
    • 3月30日 - 休養日。
    • 4月1日 - 決勝戦および閉会式。東海大相模が3x-2のサヨナラで明豊を下し、10年ぶり3回目の優勝。

選出校[編集]

地区 選出校 出場回数
北海道 北海 北海道 10年ぶり13回目
東北 仙台育英 宮城 2年連続14回目
柴田 宮城 初出場
関東 常総学院 茨城 5年ぶり10回目
健大高崎 群馬 2年連続5回目
専大松戸 千葉 初出場
東海大相模 神奈川 2年連続12回目
東海大甲府 山梨 5年ぶり6回目
東京 東海大菅生 東京 6年ぶり4回目
東海 中京大中京 愛知 2年連続32回目
県岐阜商 岐阜 2年連続30回目
北信越 上田西 長野 初出場
敦賀気比 福井 5年ぶり8回目
近畿 京都国際 京都 初出場
大阪桐蔭 大阪 2年連続12回目
神戸国際大付 兵庫 4年ぶり5回目
智弁学園 奈良 2年連続14回目
天理 奈良 2年連続25回目
市和歌山 和歌山 2年ぶり7回目
地区 選出校 出場回数
中国 広島新庄 広島 2年連続3回目
鳥取城北 鳥取 2年連続3回目
下関国際 山口 3年ぶり2回目
四国 聖カタリナ 愛媛 初出場
明徳義塾 高知 2年連続20回目
九州 福岡大大濠 福岡 4年ぶり5回目
大崎 長崎 初出場
明豊 大分 3年連続5回目
宮崎商 宮崎 52年ぶり3回目
21世紀枠
地区 選出校 出場回数
東北 八戸西 青森 初出場
東海 三島南 静岡 初出場
近畿 東播磨 兵庫 初出場
九州 具志川商 沖縄 初出場

組み合わせ・試合結果[編集]

1回戦 - 準決勝[編集]

 
1回戦2回戦準々決勝準決勝
 
              
 
3月19日(1):延長10回
 
 
神戸国際大付3x
 
3月25日(2)
 
北海2
 
神戸国際大付5
 
3月19日(2)
 
仙台育英13
 
明徳義塾0
 
3月29日(1)
 
仙台育英1
 
仙台育英3
 
3月19日(3)
 
天理10
 
健大高崎6
 
3月25日(3)
 
下関国際2
 
健大高崎0
 
3月20日(1)
 
天理4
 
宮崎商1
 
3月31日(1)
 
天理7
 
天理0
 
3月20日(2)
 
東海大相模2
 
三島南2
 
3月26日(1)
 
鳥取城北6
 
鳥取城北0
 
3月20日(3):延長11回
 
東海大相模1
 
東海大相模3
 
3月29日(2)
 
東海大甲府1
 
東海大相模8
 
3月22日(1)
 
福岡大大濠0
 
具志川商8
 
3月26日(2):延長11回
 
八戸西3
 
具志川商4
 
3月22日(2)
 
福岡大大濠8
 
福岡大大濠2
 
 
大崎1
 
 
1回戦2回戦準々決勝準決勝
 
              
 
3月22日(3):延長11回
 
 
明豊10x
 
3月26日(3)
 
東播磨9
 
明豊2
 
3月23日(1)
 
市和歌山1
 
市和歌山1x
 
3月29日(3)
 
県岐阜商0
 
明豊6
 
3月23日(2)
 
智弁学園4
 
智弁学園8
 
3月27日(1)
 
大阪桐蔭6
 
智弁学園5
 
3月23日(3):延長12回
 
広島新庄2
 
広島新庄1x
 
3月31日(2)
 
上田西0
 
明豊5
 
3月24日(1)
 
中京大中京4
 
東海大菅生4
 
3月27日(2)
 
聖カタリナ3
 
東海大菅生5x
 
3月24日(2):延長10回
 
京都国際4
 
柴田4
 
3月29日(4)
 
京都国際5
 
東海大菅生0
 
3月24日(3):延長13回 TB
 
中京大中京6
 
常総学院9
 
3月27日(3)
 
敦賀気比5
 
常総学院5
 
3月25日(1)
 
中京大中京15
 
中京大中京2
 
 
専大松戸0
 

決勝[編集]

4月1日
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
明豊 1 0 0 1 0 0 0 0 0 2 10 0
東海大相模 1 0 0 0 1 0 0 0 1x 3 9 0
  1. (明):太田、京本 - 簑原
  2. (東):石川、求、石田 - 小島
  3. 審判
    [球審]田中
    [塁審]堅田・前坂・西貝
  4. 試合時間:2時間9分
明豊
打順守備選手
1[遊]幸修也(3年)
2[左]阿南心雄(3年)
3[一]竹下聖人(2年)
本多広人(3年)
4[二]一黒木日向(3年)
5[三]米田友(3年)
6[右]山本晃也(3年)
7[中]原駿太(3年)
8[捕]簑原英明(3年)
9[投]太田虎次朗(3年)
筒井翔太(3年)
京本眞(3年)
東海大相模
打順守備選手
1[左]門馬功(3年)
2[二]綛田小瑛(3年)
3[捕]小島大河(3年)
4[三]柴田疾(3年)
5[一]百瀬和真(2年)
6[中]佐藤優真(3年)
7[右]小平直道(3年)
8[遊]深谷謙志郎(2年)
9[投]石川永稀(3年)
求航太郎(2年)
石田隼都(3年)

大会本塁打[編集]

1回戦
  • 第1号:鈴木悠平(東海大菅生)
  • 第2号:千田光一郎(東海大菅生)[注釈 4]
  • 第3号:櫛田理貴(中京大中京)
2回戦
  • 第4号:新川俊介(具志川商)
  • 第5号:松尾光氣(福岡大大濠)
  • 第6号:米田友(明豊)
準々決勝
  • 第7号:八巻真也(仙台育英) 
  • 第8号:門馬功(東海大相模)
  • 第9号:幸修也(明豊)


その他の主な出場選手[編集]


新型コロナウイルス感染防止対策[編集]

新型コロナウイルスヘの感染防止のため、次のような対策が行われた[15]

  • 観客の上限を1万人とする。アルプス席は学校関係者限定で、1000人を上限とする。ドリームシートは設置しない。
  • 入場券は全席指定で前売り券のみ、当日券の販売は行わない。
  • 大会前に選手とチーム関係者1057人と大会関係者216人全員に対しPCR検査を実施し、全員の陰性を確認。また1回戦勝利校は、試合翌日(最後に登場する2校は試合当日)に再度、PCR検査を受ける。
  • 感染防止対策のため、相手チームとの握手や素手でのハイタッチを禁止。試合中は出場選手とベースコーチを除き原則マスク着用、球審はマスクかマスクシールドを着用する。
  • 各試合終了後に、ベンチの消毒と応援団の入れ替えを行うため、試合の間隔を10分増の40分に変更する。
  • 甲子園球場での事前練習は行われない。また、甲子園の土を集めることも禁止。出場校には後日甲子園の土が贈られる[16]
  • 開幕後、出場校から感染者が発生し、当該校が大会に参加できなくなった場合は、相手チームの不戦勝とする。
  • 飛沫感染防止のため、ブラスバンドの演奏や大声での応援を禁止。応援は拍手や声援を基本とするが出場校はブラスバンドが事前に録音した音源を攻撃時に場内スピーカーで流すことが可能。この場合、打順かイニングごとに曲を指定し、10曲以内とする。録音が間に合わない場合は尼崎市立尼崎高等学校の吹奏楽部が演奏した音源を使用することができる。またチアリーダーはマスクを着用し発声をしなければ応援可能とする[17]
  • 開会式は初日に試合が組まれた6校のみの参加とし、入場行進もまず開会式に参加した6校が外野からマウンドに1校ずつ前進し、その後ほかの26校が事前に自校グラウンド等で収録した行進の映像をバックスクリーンのビジョンで放映した。また入場行進曲や大会歌「今ありて」の演奏は例年の警察音楽隊や西宮市高等学校吹奏楽連盟は参加せずCDが流れた。
  • 大会初日以外の始球式は実施しない。
  • 応援団賞は実施しない。
  • 閉会式でのメダルの授与は各チームの代表者1名に全員分のメダルが授与される形式で行う。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 前回大会では閉会式司会を担当予定だったが、新型コロナウイルス感染症の流行により大会が中止された。
  2. ^ a b これらは前年の第92回大会から正式採用されたが、中止となったため実質的に今大会から採用が始まった形となっている。
  3. ^ なお、前年の2020年夏に開催された甲子園高校野球交流試合では、第6日(8月17日)第3試合・山梨学院白樺学園戦で申告故意四球が行われた例がある[12]
  4. ^ 選抜大会通算800号

出典[編集]

  1. ^ "来春選抜高校野球は3月19日開幕 出場32校 21世紀枠3校、神宮枠1校". 毎日新聞 センバツLIVE!. 毎日新聞社. 9 September 2020. 2020年9月9日閲覧
  2. ^ [1]
  3. ^ 第93回選抜高等学校野球大会・都府県連盟推薦の21世紀枠候補校について 日本高等学校野球連盟
  4. ^ 日本高等学校野球連盟トピックス
  5. ^ “センバツ入場行進曲は「パプリカ」 2大会連続 「復活」のメッセージ伝え”. センバツLIVE!. 毎日新聞社. (2021年1月13日). https://mainichi.jp/koshien/articles/20210113/k00/00m/050/166000c 2021年1月13日閲覧。 
  6. ^ 第93回選抜高等学校野球大会 出場校について 日本高等学校野球連盟
  7. ^ "今春から決勝もタイブレーク「引き分け再試合」消滅". Nikkan Sports. 日刊スポーツ新聞社. 19 February 2021. 2021年2月19日閲覧
  8. ^ [2]
  9. ^ センバツ第3日は雨天中止 3試合が22日に順延”. Sponichi Annex. 株式会社スポーツニッポン新聞社 (2021年3月21日). 2021年3月21日閲覧。
  10. ^ センバツ初のタイブレーク突入 常総学院VS敦賀気比が延長死闘”. Sponichi Annex. 株式会社スポーツニッポン新聞社 (2021年3月24日). 2021年4月1日閲覧。
  11. ^ 常総学院がピンチで申告敬遠 甲子園では春夏通じて史上初”. デイリースポーツonline. 神戸新聞社 (2021年3月24日). 2021年4月1日閲覧。
  12. ^ 甲子園初の申告敬遠”. デジタル毎日. 毎日新聞社 (2020年8月17日). 2021年4月1日閲覧。
  13. ^ 日本高等学校野球連盟 試合結果3月28日”. 2021年3月28日閲覧。
  14. ^ 第93回選抜高等学校野球大会要項(19.試合方法参照)
  15. ^ 【まとめ】今年のセンバツはココが違う…PCR検査を実施、感染者出た場合の対応とは - スポーツ報知、2021年3月20日
  16. ^ [3] - 読売新聞、2021年3月9日
  17. ^ 【センバツ】チアリーダーやブラバンが応援…事前収録とマスク着用条件で - スポーツ報知、2021年3月20日

関連項目[編集]

外部リンク[編集]