本朝高僧伝

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本朝高僧伝』(ほんちょうこうそうでん)とは、日本の高僧の伝記集。卍元師蛮撰、75巻、元禄15年(1702年)の成立である。

概要[編集]

自序によると、「元禄十五歳次三月詰旦」とあり、成立までに30年あまりを費やしたという。500員に満たない『元亨釈書』の僧伝を補うべく、古代から近世に至る1662人の僧尼の伝記を集めている。禅僧の伝記集である『延宝伝燈録』に続けて、各宗に及ぶ僧伝として編纂された。所処の史料を揚げ、中には雑記稗説、蠢簡霊篇にいたるまで見逃すことはなかったという。

十科分類[編集]

体裁は中国の『高僧伝』にならい、十科分類をしている。

  1. 法本
  2. 浄慧
  3. 浄禅
  4. 感進
  5. 浄律
  6. 壇興
  7. 浄忍
  8. 遠遊
  9. 読誦
  10. 願雑

特色としては、「法本」の一科をたて、日本に初めて仏法を伝えた人々の伝記を収めている。「願雑」は『元亨釈書』にも存在するが、そのなかに楽邦篇を設け、浄土往生を願った人々の伝記を収録している。「願雑」には神仙篇があり、これは『元亨釈書』にも存在する項目であるが、多くの神々の列伝をあげているのは、神仏習合の日本の文化によるものと見られる。日本の僧伝中、最多の伝記を集めているが、浄土真宗日蓮宗を省いている。

テキスト[編集]

  • 『大日本仏教全書』「史伝部」

参考文献[編集]

関連項目[編集]