加賀笠間駅

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加賀笠間駅
西口(2020年3月)
かがかさま
Kaga-Kasama
美川 (4.0 km)
(2.5 km) 西松任
地図
所在地 石川県白山市笠間町
北緯36度30分11.22秒 東経136度31分38.60秒 / 北緯36.5031167度 東経136.5273889度 / 36.5031167; 136.5273889座標: 北緯36度30分11.22秒 東経136度31分38.60秒 / 北緯36.5031167度 東経136.5273889度 / 36.5031167; 136.5273889
所属事業者 IRいしかわ鉄道
所属路線 IRいしかわ鉄道線
キロ程 32.6 km(大聖寺起点)
米原から162.8 km
電報略号 カマ
駅構造 地上駅
ホーム 2面2線
乗車人員
-統計年度-
1,565人/日(降車客含まず)
-2019年-
開業年月日 1923年大正12年)8月1日[1][2]
備考 無人駅[3][4] (自動券売機有)
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旧東口(2009年3月)

加賀笠間駅(かがかさまえき)は、石川県白山市笠間町にある、IRいしかわ鉄道線である。

歴史[編集]

駅構造[編集]

相対式ホーム2面2線[2]を有する地上駅[1]分岐器絶対信号機を持たないため、停留所に分類される。かつては混合ホーム2面3線で上り線に待避線があったが、レールを撤去してこの構造となった[1]。互いのホームは跨線橋で連絡している[1]

かつては西口のみ木造の駅舎が設置されていたが、駅の東側地域に新興住宅地が広がったのち、旧3番のりば跡に東口の駅舎が設置された。東口の待合所には廃車となった特急列車のシートを利用して作られたベンチが設置されていたが[1][2]、駅舎が建て替えられた際に撤去された。

金沢駅が管理する無人駅[3]。以前は簡易委託駅で駅の運営や清掃業務、防犯活動などは任意団体の「加賀笠間駅振興協議会」が行っていた[2][14][15]

のりば[編集]

のりば 路線 方向 行先
1 IRいしかわ鉄道線 下り 金沢方面
2 上り 福井敦賀方面
  • 長らくのりば番号が設定されていなかったが、2018年までに改めて設定された。

利用状況[編集]

2019年(令和元年)度の1日平均乗車人員1,565人である[統計 1]

「石川県統計書」および「白山市統計書」によると、近年の1日平均乗車人員の推移は以下のとおりである。

年度 1日平均
乗車人員
出典
2000年(平成12年) 1,141 [統計 2]
2001年(平成13年) 1,237 [統計 2]
2002年(平成14年) 1,320 [統計 2]
2003年(平成15年) 1,375 [統計 2]
2004年(平成16年) 1,398 [統計 2]
2005年(平成17年) 1,395 [統計 3]
2006年(平成18年) 1,391 [統計 3]
2007年(平成19年) 1,429 [統計 3]
2008年(平成20年) 1,498 [統計 3]
2009年(平成21年) 1,521 [統計 3]
2010年(平成22年) 1,502 [2][統計 4]
2011年(平成23年) 1,496 [統計 4]
2012年(平成24年) 1,498 [統計 4]
2013年(平成25年) 1,533 [統計 4]
2014年(平成26年) 1,489 [統計 4]
2015年(平成27年) 1,552 [統計 5]
2016年(平成28年) 1,619 [統計 5]
2017年(平成29年) 1,663 [統計 5]
2018年(平成30年) 1,612 [統計 5]
2019年(令和元年) 1,565 [統計 1]

駅周辺[編集]

駅前広場には、白山市域出身の俳人加賀千代女の句碑がある。

隣の駅[編集]

IRいしかわ鉄道
IRいしかわ鉄道線
美川駅 - 加賀笠間駅 - 西松任駅

北陸新幹線「白山駅」設置構想[編集]

白山駅(はくさんえき)は、石川県白山市が北陸新幹線金沢駅 - 小松駅間に設置を要請していた北陸新幹線鉄道駅である。駅名は仮称である。当初白山総合車両所に在来線新駅と新幹線乗降場、後に当駅の周辺に新幹線新駅を設置する構想を立てていた[16][17]。隣の松任駅に特急が毎日上下合わせて14本停車しているが、この構想が実現すれば白山市において特急列車の停車がなくなることの代替措置となり[18][19]、大都市との速達性の低下を避けるとともに[20]、新たな観光ルートも創設し得る[21]、と白山市は説明していた。内閣総理大臣を務めた森喜朗が長きに渡りこの構想を提唱し、周辺地域では「目指せ!白山駅」などといった広告が多く出ていた。これに対し2016年11月、JR西日本は採算面などから新駅設置に難色を示し、2017年3月14日、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(PT)は新駅設置見送りを決定した。これを受け同年4月、地元自治体他による「北陸新幹線(仮称)白山駅建設期成同盟会」(会長は白山市長の山田憲昭、当時)は設置断念を表明。同年5月末をもって解散した。各民間団体も新駅誘致運動を終了している。

歴史[編集]

  • 2011年平成23年)
    • 12月22日:「白山駅整備促進・まちづくり推進市民会議」が設立され、会長には白山商工会議所の当時の会頭が就任した[22][23]。当時は金沢から大阪方面の延伸工事が全くの白紙状態であった。そのため、回送線を利用して旅客列車を走らせ、博多総合車両所に併設されている博多南駅のような駅を白山総合車両所内に整備し、更に当駅 - 松任駅間の在来線(構想時は北陸本線)上にも新駅を設置する構想であった[22][23]
  • 2012年(平成24年)
    • 8月8日:「白山駅整備促進・まちづくり推進市民会議」の総会で、事業主体が何処になるか、事業費の負担割合、発着本数が限られること、大阪方面への延伸後の活用方法などの課題が多いことから[22][23]、新幹線乗り場の実現は難しいとの見方が大勢を占め、旗振り役だった森も事実上断念する意向を明らかにした[24]
    • 9月7日:市民団体「新幹線白山駅をつくろう会」が発足した。
  • 2013年(平成25年)
    • 2月11日:駅を車両基地内ではなく、本線上にある本格的な新幹線駅として当駅に隣接させる計画に変更し、白山市、能美市野々市市川北町の3市1町と地元経済団体などによる「北陸新幹線(仮称)白山駅建設期成同盟会」を設立、事務局を白山市役所内に設置した。当駅周辺の北陸新幹線の建設に合わせた駅の同時建設を国の事業として要望した[25]。同様の例として九州新幹線筑後船小屋駅がある。
  • 2016年(平成28年)
    • 11月10日:石川県知事の谷本正憲は、与党PTの福井駅先行開業等検討委員会に駅の設置を要請し、これを受けた政府・与党は設置を検討した[26][27]。しかしながら、金沢駅に約15kmと比較的近く、工期が7年8ヶ月~9年3ヶ月、建設費は約100億 - 150億円(地元負担はその約3分の1)も掛かるため、国土交通省は「駅設置に伴う費用増を賄うだけの需要が見込めない」と指摘した。
    • 11月16日:JR西日本社長(当時)の来島達夫は、定例記者会見において「新駅を造るにふさわしいかどうかは、これから国の議論になる」と前置きし、特急列車が停車する最寄りの松任駅の利用状況(特急列車では一日当たり約100~200人)[28] を踏まえ「2022年度末の敦賀開業に向け、限られた時間の中で工事が進んでいる。この時期になって、新しい駅というのは難しい」[28]、「(新幹線も北陸本線と似たルートを通るため、白山駅の利用者も)相当少なくなってしまう」[28] との懸念を表明した。
    • 11月24日:山田は記者会見において、与党PTの検討委員会が設置を認めなかった場合、新幹線新駅を断念する意向を示した[29]
    • 12月21日:来島は記者会見において、白山駅は需要が見込めず停車駅の増加で運行ダイヤの弾力性がなくなることを指摘し、「非常に難しい」と改めて否定的な見解を示した[30]
  • 2017年(平成29年)
    • 3月14日:与党PTの検討委員会は新幹線新駅「白山駅」設置見送りを決定[31]
    • 4月15日:「北陸新幹線(仮称)白山駅建設期成同盟会」が白山市内で総会を開き、新駅設置を正式に断念することを表明。同年5月末で解散することを決めた[32]

新駅構想の内容[編集]

全国に5つある新幹線総合車両所(総合車両基地)のうち地元自治体に新幹線駅が建設されていない総合車両所は白山総合車両所だけであるという現状認識から、当初は国の事業として白山総合車両所に新幹線乗降場を設置することを求めていた。しかし総合車両所内に乗降場を設置する場合、福井・大阪方面への延伸後のダイヤ調整など困難な問題が多く、白山市が整備費を負担する請願駅として本線上に新駅を設置する構想に変更した。 実際に駅を設置する場合、新幹線の停車駅が一駅増えることに伴うダイヤ調整や速達性の維持、工事計画や運行管理システムの変更、財源や収支採算性の確保が必要となっていた。 以下は北陸新幹線(仮称)白山駅建設期成同盟会の資料[33]による駅構造・駅施設の概要である。

利用予測[編集]

白山市及び北陸新幹線(仮称)白山駅建設期成同盟会では、1日の平均乗降客数を約6700人と想定していた[34]

脚注[編集]

記事本文[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f 川島 2010, p. 46.
  2. ^ a b c d e f 朝日 2012, p. 21.
  3. ^ a b c “3月で6駅無人化 七尾・北陸線 JR西、利用減少”. 北國新聞. (2021年2月27日). オリジナルの2021年2月27日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210227000440/https://www.hokkoku.co.jp/articles/-/342529 2021年2月27日閲覧。 
  4. ^ a b “七尾線の高松駅 無人化で住民「寂しい」”. 北陸新幹線で行こう!北陸・信越観光ナビ(北國新聞). (2021年3月13日). https://www.hokurikushinkansen-navi.jp/pc/news/article.php?id=NEWS0000026832 2021年9月21日閲覧。 
  5. ^ a b 石野哲(編)『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 Ⅱ』(初版)JTB、1998年10月1日、136頁。ISBN 978-4-533-02980-6 
  6. ^ 「日本国有鉄道公示第371号」『官報』、1971年9月29日。
  7. ^ 「通報 ●小舞子ほか4駅の駅員無配置について(旅客局)」『鉄道公報日本国有鉄道総裁室文書課、1971年9月29日、5面。
  8. ^ 「営業体制近代化」『交通新聞』交通協力会、1971年10月6日、1面。
  9. ^ 北陸線(大聖寺駅~金沢駅間)IRいしかわ鉄道線、城端線(高岡駅~新高岡駅間)4月15日ICOCAサービスご利用開始~石川と富山がICOCAでつながる~』(PDF)(プレスリリース)西日本旅客鉄道/IRいしかわ鉄道/あいの風とやま鉄道、2017年1月31日。 オリジナルの2019年5月25日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20190525201350/http://www.ishikawa-railway.jp/info/pdf/201701312.pdf2020年2月1日閲覧 
  10. ^ 交通ICカード「ICOCA」の利用範囲拡大等について』(PDF)(プレスリリース)あいの風とやま鉄道、2017年1月31日。 オリジナルの2019年5月25日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20190525201350/http://ainokaze.co.jp/wp-content/uploads/2017/01/52ec997ad191bbbcc65a6d2c092765d6.pdf2020年2月1日閲覧 
  11. ^ JR西日本、ICカード「ICOCA」を金沢地区・新高岡地区へ導入”. トラベルWatch (2016年2月16日). 2021年9月21日閲覧。
  12. ^ 富山に続き石川も「ICOCA」エリアに 4月15日、3社相互利用開始”. 乗りものニュース (2017年2月1日). 2021年9月21日閲覧。
  13. ^ 金沢でイコカ利用可能に 石川、富山の19駅”. 産経フォト (2017年4月15日). 2021年9月21日閲覧。
  14. ^ 広報はくさん No.53 14頁 2009年6月10日 白山市
  15. ^ 加賀笠間駅周辺の清掃を行いました。 2013年8月4日 金城大学
  16. ^ 広報はくさん No.117 24頁 2014年10月1日 白山市
  17. ^ 広報はくさん No.119 28頁 2014年12月1日 白山市
  18. ^ 広報はくさん No.114 13頁 2014年7月1日 白山市
  19. ^ 広報はくさん No.117 24頁 2014年10月1日 白山市 「松任駅に併設することも検討しました」とある。
  20. ^ 広報はくさん No.115 16頁 2014年8月1日 白山市
  21. ^ 広報はくさん No.846頁 2012年1月10日 白山市 (作野広昭・白山市長)「今後、新幹線が開通すると金沢駅止まりではなく、白山駅ができればと考えています。白山市で一番観光客が来るのは白山比咩神社です。新幹線が開通すれば金沢駅から50分、白山駅が出来れば20分となり30分も違います。石川県に来たら、まず白山比咩神社を訪れてから金沢へ行くようなルートを考えています」とある。
  22. ^ a b c 道のり険し「白山駅」 北陸新幹線・車両基地活用2012年1月10日 朝日新聞(生田大介)
  23. ^ a b c 道のり険し「白山駅」 北陸新幹線・車両基地活用」『朝日新聞(生田大介)』朝日新聞社、2012年1月10日。2021年9月26日閲覧。オリジナルの2019年9月6日時点におけるアーカイブ。
  24. ^ 白山・笠間に新駅構想 北陸新幹線」『北國新聞』北國新聞社、2012年8月15日。2020年5月28日閲覧。オリジナルの2012年8月17日時点におけるアーカイブ。
  25. ^ 広報はくさん No.118 28頁 2014年11月1日 白山市
  26. ^ 石井大臣会見要旨 2016年11月11日 国土交通省会見室 石井啓一大臣 国土交通省
  27. ^ 北陸新幹線「白山駅」、与党が検討へ 金沢―小松間 2016年11月9日 朝日新聞(奥田貫)
  28. ^ a b c “北陸新幹線延伸、「白山駅」に難色 JR西日本社長”. 朝日新聞. (2016年11月17日). https://www.asahi.com/articles/ASJCJ624DJCJPLFA012.html 
  29. ^ 北陸新幹線 延伸 「白山駅」断念も 山田市長、与党意向に沿う /石川 2016年11月25日 毎日新聞石川版
  30. ^ 中京圏アクセス「十分考慮」 新幹線延伸でJR西社長 2016年12月22日 日本経済新聞
  31. ^ 北陸新幹線白山駅、設置見送り 与党PT、JR西の収支判断尊重 /石川 2017年3月16日 毎日新聞石川版
  32. ^ 北陸新幹線「白山駅」設置を断念 石川・白山市 2017年4月15日 産経新聞
  33. ^ ふるさとの未来のためにつくろう!北陸新幹線(仮称)白山駅2014年4月 北陸新幹線 (仮称)白山駅建設期成同盟会 2022年 パンフレットダウンロード - SlideShow JP
  34. ^ 広報はくさん No.116 24頁 2014年9月1日 白山市

利用状況[編集]

  1. ^ a b 令和元年石川県統計書” (PDF). 石川県. p. 104 (2021年3月). 2021年4月12日閲覧。
  2. ^ a b c d e 平成17年度版 白山市統計書 JR乗車人員(1日平均)” (PDF). 白山市企画振興部企画課 (2022年2月9日). 2022年3月28日閲覧。
  3. ^ a b c d e 平成22年度版 白山市統計書 JR乗車人員(1日平均)” (PDF). 白山市企画振興部企画課 (2022年2月9日). 2022年3月28日閲覧。
  4. ^ a b c d e 平成27年度版 白山市統計書 JR乗車人員(1日平均)” (PDF). 白山市企画振興部企画課 (2022年2月9日). 2022年3月28日閲覧。
  5. ^ a b c d 令和元年度版 白山市統計書 JR乗車人員(1日平均)” (PDF). 白山市企画振興部企画課 (2022年2月9日). 2022年3月28日閲覧。

参考文献[編集]

  • 川島令三『【図説】日本の鉄道中部ライン全線・全駅・全配線 第6巻 加賀温泉駅 - 富山エリア』講談社、2010年9月20日。ISBN 978-4-06-270066-5 
  • 『週刊JR全駅・全車両基地 18 北陸本線②(森本〜米原) 越美北線』朝日新聞出版、2012年12月9日。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]