ニッケル・水素蓄電池
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ニッケル・水素蓄電池(ニッケルすいそちくでんち、NiMH: Nickel metal hydride)は、二次電池の一種で、正極に水酸化ニッケル、負極に水素吸蔵合金、電解液に水酸化カリウム水溶液 (KOH aq.) を用いたものである。
識別色は橙(オレンジ)。
1990年の実用化以降、それまでの代表的な小型二次電池であったニッケル・カドミウム蓄電池(略してニカド電池またはニッカド電池)の2.5倍程度の電気容量を持つこと、材料にカドミウムを含まず環境への影響が少ないこと、電圧がニカド電池と同じ1.2Vで互換性があることが追い風となり、代替が進んだ。
だがその後、より大きな電気容量のリチウムイオン二次電池が登場し、各種の携帯機器で急速に置換えが進んだ。このため、ニッケル水素電池の日本における出荷数量は2000年をピークに大幅に減少し、日本の主要メーカーは次々に撤退した。主な日本のメーカーは現在、三洋電機(モバイルエナジーカンパニー)・松下電池工業・パナソニックEVエナジーとなっている。
その一方で、ニッケル・水素蓄電池は安全性の高さからトヨタ自動車・本田技研工業のハイブリッドカーに採用された。ハイブリッドカー向けのニッケル水素電池は携帯機器よりはるかに大型であり、出荷金額は2003年を底に回復した。なおこの用途のニッケル水素電池メーカーは三洋電機のほか松下電池工業・松下電器産業グループ・パナソニックEVエナジーである。
またリチウム合金系の二次電池は、その特性および安全性の問題から、マンガン乾電池と完全互換で使用される乾電池型蓄電池の置換えには至っておらず、ニカド電池の衰退した現在、ニッケル水素電池が市場の主流である。
一般的には、ニッケル水素電池と表記されることが多い。また、ニッ水(ニッスイ)電池、メタハイ(Nickel Metal-Hydride より)と略称されることがあるが、浸透しているとは言えない。なお「メタハイ」は松下電器産業の登録商標である。
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[編集] 特徴
[編集] 長所
- ニカド電池より容量密度が高い
- カドミウムを含まないため、ニカド電池より環境負荷が低い
[編集] 短所
- 自然放電が多い(改良型もある)
- メモリ効果現象(ニカド電池ほど顕著ではない)
- ニカド電池に比べて過充電に弱い
- 破裂などの危険性が高い
- 完全に密閉された場所(水中ライト・対ガスライトなど)では使えないまたは極端に性能が落ちる(機器側・電池側ともに改善が進んでいる)
[編集] リチウム合金系電池との比較
リチウムイオン二次電池などに代表される、リチウム合金系二次電池に比して、
- 大電力・大電流時の放電特性に優れる
- 単純な回路で充放電が可能である。
- 安全性が確立されている(→リチウムイオン二次電池の項も参照)
(ただし、これらの特徴は同じニッケル合金系二次電池であるニカド電池にも共通する)
[編集] ニッケル水素電池概論
- デジタルカメラ・携帯音楽プレーヤー・ハイブリッドカー、一部のノートパソコン、あるいは一次電池の代替として広く普及している。
- 世界シェアのトップは三洋電機である(2005年現在)。自社ブランドでの販売の他、OEM供給も行っており、缶底に "HR" 記号が入っているものが同社製である(eneloop以降の製品では "HR" 記号は無くなっている)。他に日本では輸入品などの一部で、粗悪品も出回っている。
- 単三形で2500mAh、単四形で750mAhが2006年現在の標準的な公称容量である。
- 形状は単一形・単二形・単三形・単四形・角形 (006P)・ガム型、その他に産業用特殊品がある。
- 多くの製品で、およそ500回程度の充放電が可能とされている。
- 一部の製品では専用の充電器・充電池を使用すれば、15分で充電できる。
- 充電時に強く発熱し、電気分解によって生じた水素ガスにより内圧が高まる。ガム型電池では缶の膨張を外部から視認できる。電解液には触媒が加えられており、電気分解により生じた水素ガスを酸素ガスと素早く反応させ、水に戻すための工夫が施されている。
- 充電式小型電動ドリルのような大電流を要する用途など、ニカド電池の方が強みを持つ分野もある。
- 2003年8月21日にトミー・三洋電機は、誤使用時の発熱を約60°Cにおさえ、液漏れの問題を回避するという玩具用に特化したニッケル水素電池「Every Denchi(エヴリデンチ)」を発表、同年11月から発売している。また2005年7月には三洋電機が後継シリーズとしてニッケル水素電池「Toy Cell(トイセル)」を発表・発売している。
- 2005年11月1日に、三洋電機は自己放電とメモリ効果を抑え、予め充電した状態で販売するという新型のニッケル水素電池「eneloop(エネループ)」の発売を発表し、同年11月14日から販売を開始した。また、松下電器産業も株式会社ジーエス・ユアサコーポレーションと共同開発し、同年10月31日、同様の電池の発売をアナウンスした(パナソニック充電式ニッケル水素電池)。2006年11月にはソニーがこれらと同様の電池(エネループ技術)を「サイクルエナジーブルー」のブランドで発売開始した。2006年現在、これらの電池は一般小売店での取り扱いも多くなりつつある。
[編集] ニッケル水素電池の充電
- ニッケル水素電池の充電方法はニカド電池と同一ではない。
- 充電開始時の偽-ΔVは5分から10分程度予測される。
- -ΔVが観測された場合には、急速充電からトリクル充電(細流充電)に移行させる。
- -ΔVが観測されなくても10時間程度で充電を強制終了する。これはトリクル充電の場合も含める。
- 電池の温度が約50℃以上になった場合には充電を強制終了する。
- -ΔVはおよそ10mV/セル程度である。
[編集] 主な用途
- ホビー、玩具
- ラジコンの耐久レース、電動ガンを使った競技などでは、ニカド電池に比べて大容量なため、電池交換の頻度を減らせる。またニカド電池より軽いことから、軽量化にもつながるはずが、大容量化の進行により逆に重量は増している。特性上ニカド電池より瞬発力に劣る部分があるが、公称値でニカド電池の1.5倍以上の容量(模型用で多く使われるsub-C型セルの場合、市販されているニッカドでは2400mAhが最大だが、ニッケル水素型では少ないものでも3000mAh、主に流通しているものでは3600 - 4200mAh、最近の大容量製品では4500mAhを誇るものもある)を利用した強力なパワーソースの使用や、近年の中国メーカーによる技術競争などにより、模型分野では実用上問題なくなっている。電動ガンにおいては過放電に強く自己放電が少ないなど扱いが手軽なニカド電池も存在感があるが、一般的なラジコンカーのレースにおいてはレギュレーションによる縛りがない限り既にニッケル水素電池が主流になっている(一部の模型メーカーが主催するラジコンカーレースでは、環境保全の考え方からニカド電池の使用を禁止している場合も見られる)。模型分野に限っては一般にトップシェアである三洋電機のシェアは非常に少なく、インテレクト社やゴールドピーク製のセルが多く使用されている。
- デジタルカメラ
- 単3型電池を用いるデジタルカメラの場合、一次電池も用いることが出来るが、ニッケル・水素蓄電池の方が放電特性に優れ、また繰り返し充電できるため経済的である。ニッケル・水素蓄電池と充電器を付属している機種もある。
- ハイブリッドカー
- ハイブリッドカー用の二次電池としては主としてニッケル水素電池が使用される。
[編集] 注意点
ニッケル水素電池はエネルギー密度が高いため、誤った使い方をすると事故を引き起こすことがある。所定の注意事項を守って使用する必要がある。
- ニッケル水素電池とニカド電池では、充電完了時の「-ΔV」が異なる。これはニッケル水素電池の充電完了時に、電池電圧のdV/dtがマイナスになるポイントである。そのためニッカド電池との充電器の共用は、ニッカド・ニッケル水素両用型の充電器でなければできない。ニッケル水素電池の充電器は温度などあらゆる要素から充電完了を監視している。したがって、ニカド電池専用充電器でニッケル水素電池を充電すると、破裂に至ることがある。
- ニッケル水素電池を充電するにあたり、電池と充電器の端子を清掃すること。この清掃を怠ると正常に充電できない場合がある。
- 破裂による失明や火傷のおそれがあるため、ニッケル水素電池を分解してはならない。

