クリストファー・パイク

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クリストファー・パイク(Christopher Pike)は、シリーズ化される前の『スタートレック』のパイロット版エピソード『ザ・ケイジ』(1964年製作)においてエンタープライズ号の船長だった人物である。 その後、エンタープライズ号の船長はパイク船長からカーク船長に変更されシリーズ化された。

「正史」[編集]

カーク船長の前任のエンタープライズ号船長。階級は艦隊指揮大佐(Fleet Captain)。年齢は30代中盤。『ザ・ケイジ』冒頭で以前のミッション中、乗員が犠牲になったことを思い悩む姿が見られ、ドクターに「(船長を)引退する時期じゃないかな」と漏らすなど、剛胆で陽気なカーク船長と比較すると、ナイーブで陰のあるキャラクターとして描かれている。

しかし、パイクがカークと比較して惰弱で指導力の低い船長であったというわけではなく、異星人を捕らえて幻覚の中で手なずけることを目的とするタロス星人に捕らわれた際は、様々な幻の誘惑や苦痛に対して毅然とした態度で反抗しており、また、彼が部下から多大な信頼と忠誠をうけた人物であったことは、彼の元部下で、論理を重んずるバルカン人であるミスター・スポックが、反乱の罪を犯すという非論理的な手段を使ってまで彼を救おうとした(詳細は後述)ことからも十分に窺える。

後に宇宙探査の任務を終えると後任の船長にカーク大佐を据えて、自らはエンタープライズ号を降りた。その後は地上勤務に就いていたが、ある時の視察旅行中、搭乗していた宇宙船が故障事故を起こし、巻き込まれた子供たちを救うべく事故現場へ飛び込んだ。パイクはこの時、人体に極めて有害なデルタ光線を大量に浴びて重傷を負ってしまった。この負傷によって彼は、余命や知能こそ常人と変わらないものの全身不随になり、イエスかノーかという単純な意思伝達のみ可能な装置を組み込まれた車椅子で一生過ごすことを余儀なくされた。

この悲劇を知ったミスター・スポックは綿密に計画し、エンタープライズ号を乗っ取ってタロス4番星へパイクを運ぶことを決意し、実行する(『スタートレック:宇宙大作戦』「タロス星の幻怪人」)。なお、タロス4番星は宇宙艦隊の規則により、惑星との接触が一切禁じられており、違反者は例外なく死刑という禁じられた惑星である。

タロス4番星へ運ばれたパイクは、愛するヴィーナ(パイク以前にタロス星へやってきた地球人の女性。事故で重傷を負ったためタロス星以外では満足に生きられない)とともに、幻覚の中ながらも幸せに住むことになった。反乱と規則違反を犯したスポックと、巻き込まれるという形ながら、規則違反に加担したカーク船長であったが、艦隊司令部はパイク船長の経歴と現状を鑑み、特例として免罪という処分になった。

新時間軸[編集]

なお、映画版11作目『スタートレック』でのパイクは上記までの正史のパイクよりかなり年長で、オリジナルのパイクがまだ30代なのに対し、すでに壮年である。また、正史上ではエンタープライズの2代目船長であるが、この映画では初代船長へと変わっている。この映画でのパイクは舞台自体が一種のパラレルワールドであるので、パイク自身も厳密にはパラレルワールドのパイクである。

劇中では宇宙艦隊士官だった父を亡くし荒んだ日々を過ごしていたカークに「父親は12分だけ艦長だったが、800名の命を救った」と語り、宇宙艦隊アカデミーへの入隊を強く勧めカークの心を動かし入隊を決心させる。それが結果的に「カーク船長」誕生のきっかけとなるので物語ではかなり重要な役割を果たす存在といえる。

なお、パイクはエンタープライズの初出撃時にネロからの要求とカークらに指示した作戦もあってネロのナラダシップへ単身向かった結果、人質となり終盤でカークによって救出される。物語のラスト近くのカークの表彰・船長任命式時には提督に昇進しているが、ネロの拷問の後遺症のためか幾分か不自由な身体になっており車椅子姿になっている。

映画版12作目『スター・トレック イントゥ・ダークネス』では杖をついてはいるものの歩行が可能なまで回復。カークの規則違反により、再度エンタープライズの艦長に就任。カークを副長に据え、テロ行為を行ったジョン・ハリソンの追跡を任されることになったが、乗艦前の作戦会議中にハリソンの襲撃を受け致命傷を負い、死亡。エンタープライズの艦長は繰り上がる形でカークに任されることとなる。

結果的に現シリーズでパイクが船長として指揮したエンタープライズの出航は処女航海である最初の数日間だけとなっている。

演じた俳優[編集]

『ザ・ケイジ』ではジェフリー・ハンター、『タロス星の幻怪人』ではショーン・ケニーが、それぞれパイクを演じている。

映画版11作目『スタートレック』、12作目『スター・トレック イントゥ・ダークネス』ではブルース・グリーンウッドがパイクを演じた。