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「拡張周期表」の版間の差分

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from en:Extended periodic table#End of the periodic table 04:00, 27 November 2021‎ UTC
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元素184(ウンオクタクアジウム)は、当初陽子数184がマジックナンバーになると推測されていたため、初期の予測ではかなり関心を集めていた。電子配置は[Usb] 6g<sup>5</sup> 7f<sup>4</sup> 8d<sup>3</sup>で、少なくとも7fと8dの電子が化学的に活性であると予測されている。この物質の化学的挙動は、[[ウラン]]や[[ネプツニウム]]と同様に、+6価より大きく(6g電子の電離に相当)イオン化することはむずかしいと予想される。水溶液中では+4価が最も一般的で、固体化合物では+5価と+6価に到達すると考えられる<ref name="Fricke"/><ref name="BFricke"/><ref name=Penneman>{{cite journal |last1=Penneman |first1=R. A. |last2=Mann |first2=J. B. |last3=Jørgensen |first3=C. K. |date=February 1971 |title=Speculations on the chemistry of superheavy elements such as Z = 164 |journal=Chemical Physics Letters |volume=8 |issue=4 |pages=321–326 |doi=10.1016/0009-2614(71)80054-4 |bibcode=1971CPL.....8..321P }}</ref>。
元素184(ウンオクタクアジウム)は、当初陽子数184がマジックナンバーになると推測されていたため、初期の予測ではかなり関心を集めていた。電子配置は[Usb] 6g<sup>5</sup> 7f<sup>4</sup> 8d<sup>3</sup>で、少なくとも7fと8dの電子が化学的に活性であると予測されている。この物質の化学的挙動は、[[ウラン]]や[[ネプツニウム]]と同様に、+6価より大きく(6g電子の電離に相当)イオン化することはむずかしいと予想される。水溶液中では+4価が最も一般的で、固体化合物では+5価と+6価に到達すると考えられる<ref name="Fricke"/><ref name="BFricke"/><ref name=Penneman>{{cite journal |last1=Penneman |first1=R. A. |last2=Mann |first2=J. B. |last3=Jørgensen |first3=C. K. |date=February 1971 |title=Speculations on the chemistry of superheavy elements such as Z = 164 |journal=Chemical Physics Letters |volume=8 |issue=4 |pages=321–326 |doi=10.1016/0009-2614(71)80054-4 |bibcode=1971CPL.....8..321P }}</ref>。

===周期表の終わり===
物理的に可能な元素の数は明らかになっていない。低く見積もった場合、周期表は[[安定の島]]の後すぐに終わる可能性があり<ref name=EB>{{cite encyclopedia|last1=Seaborg|first1=Glenn T.|url=http://www.britannica.com/EBchecked/topic/603220/transuranium-element|title=transuranium element (chemical element)|encyclopedia=Encyclopædia Britannica|date=c. 2006|access-date=2010-03-16}}</ref>、それは''Z''&nbsp;=&nbsp;126を中心としたものになると予想される。周期表と原子[[核種]]の拡張は、陽子および中性子のドリップラインと、アルファ崩壊や自発核分裂に対する安定性によって制限される<ref>{{cite journal | first1=S. |last1=Cwiok|first2= P.-H.|last2= Heenen |first3= W.|last3= Nazarewicz |year=2005|title=Shape coexistence and triaxiality in the superheavy nuclei|journal=Nature|volume=433|bibcode = 2005Natur.433..705C |doi = 10.1038/nature03336 | issue=7027 | pmid=15716943 | pages=705–9|s2cid=4368001}}</ref>。Y.Gambhirらの計算では、様々な崩壊経路における核結合エネルギーと安定性を分析し、結合した原子核の存在は''Z''&nbsp;=&nbsp;146が限界であることを示唆している<ref name=limit146>{{cite journal|last1=Gambhir|first1=Y. K.|last2=Bhagwat|first2=A.|last3=Gupta|first3=M.|title=The highest limiting Z in the extended periodic table|date=2015|journal=Journal of Physics G: Nuclear and Particle Physics|volume=42|issue=12|pages=125105|doi=10.1088/0954-3899/42/12/125105|url= https://www.researchgate.net/publication/284213926|bibcode=2015JPhG...42l5105G}}</ref>。 [[ワルター・グライナー]]のように、周期表に終わりがないかもしれないと予測した人もいる<ref name="rsc">{{cite web |url=http://www.rsc.org/chemistryworld/Issues/2010/November/ColumnThecrucible.asp |title=Would element 137 really spell the end of the periodic table? Philip Ball examines the evidence|author=Philip Ball |date=November 2010 |website=[[Chemistry World]]|publisher=[[Royal Society of Chemistry]] |access-date=2012-09-30}}</ref>。 周期表に終わりがあると予測した人には、''Z''&nbsp;=&nbsp;128(John Emsley)や''Z''&nbsp;=&nbsp;155(Albert Khazan)がいる<ref name="emsley"/>。

====原子番号137以上の元素====
物理学者の間では、[[リチャード・P・ファインマン]]が、''Z''&nbsp;=&nbsp;137より大きい原子番号の中性原子は存在しないと示唆したという「民間伝説」がある。これは、[[相対性理論|相対論]]的な[[ディラック方程式]]によって、そのような原子の最内殻電子では基底状態のエネルギーが[[虚数]]になることが予測されるためである。この137という数字は、[[微細構造定数]]の逆数である。この論法では、中性原子はウントリセプチウムまでしか存在しないことになり、電子軌道に基づいた元素周期表はこの時点で破綻する。しかし、この議論は、原子核が点状であることを前提としている。より正確に計算するためには、原子核の大きさが小さいがゼロではないことを考慮しなければならず、その結果、限界はさらに''Z''&nbsp;≈&nbsp;173まで上がると予測されている<ref name="rsc" />。

=====ボーアの原子模型=====
[[ボーアの原子模型]]は、原子番号が137より大きい原子が成立することの難しさを示す。1s[[原子軌道|電子軌道]]上の電子の速度''v''は次式で与えられる。

:<math>v = Z \alpha c \approx \frac{Z c}{137.036}</math>

ここで、''Z''は[[原子番号]]、''α''は電磁的相互作用の強さを表す[[微細構造定数]]である<ref>{{cite book|first1=R. |last1=Eisberg|first2= R.|last2= Resnick|year=1985|title=Quantum Physics of Atoms, Molecules, Solids, Nuclei and Particles|url=https://archive.org/details/quantumphysicsof00eisb |url-access=registration |publisher=[[John Wiley & Sons|Wiley]]|isbn=9780471873730}}</ref>。この近似式では、原子番号が137より大きい元素は、1s電子が[[光速]]であるcより速く移動する必要がある。したがって、非相対論的なボーアの原子模型をこのような元素に適用することは不正確である。

=====相対論的ディラック方程式=====

[[File:1s negative continuum.svg|thumb|right|540px|ディラック方程式(原子核の大きさが有限であることを考慮)から得られた1s、2s、2p<sub>1/2</sub>、2p<sub>3/2</sub>殻のエネルギー固有値(''Z''&nbsp;=&nbsp;135-175 (–·–)、Thomas-Fermiポテンシャルの場合 (—)、''Z''&nbsp;=&nbsp;160-170の[[セルフコンシステント|自己無撞着]]ポテンシャルの場合 (---)<ref name=Fricke/>。]]

[[相対性理論|相対論]]的な[[ディラック方程式]]により、基底状態のエネルギーは次のように与えられる。

:<math>E=\frac{m c^2}{\sqrt{1+\dfrac{Z^2 \alpha^2}{n-\left(j+\frac12\right)+\sqrt{\left(j+\frac12\right)^2-Z^ 2\alpha^2}}}}</math>

ここで、''m''は電子の静止質量である。''Z''&nbsp;>&nbsp;137の場合、ディラック基底状態の波動関数は束縛ではなく振動的であり、[[オスカル・クライン|クライン]]のパラドックスのように正負のエネルギースペクトルの間にギャップはない<ref>{{cite book|first1=J. D.|last1= Bjorken|first2=S. D.|last2= Drell|year=1964|title=Relativistic Quantum Mechanics|url=https://archive.org/details/relativisticquan0000bjor|url-access=registration|publisher=[[McGraw-Hill]]}}</ref>。 原子核の有限サイズの影響を考慮したより正確な計算では、束縛エネルギーが''Z''&nbsp;>&nbsp;''Z''<sub>cr</sub>&nbsp;≈&nbsp;173で初めて2''mc''<sup>2</sup>を超えることが示されている。''Z''&nbsp;>&nbsp;''Z''<sub>cr</sub>の場合、最も内側の軌道(1s)が満たされていないと、原子核の電界によって[[対生成|電子が真空から引き出され]]、[[陽電子]]が自然放出される<ref>{{cite journal|first1=W. |last1=Greiner|first2= S. |last2=Schramm |year=2008|title=Resource Letter QEDV-1: The QED vacuum |journal=[[American Journal of Physics]] |volume=76 |issue=6|pages=509 |doi=10.1119/1.2820395|bibcode=2008AmJPh..76..509G}}, and references therein</ref><ref>{{cite journal|last1=Wang|first1=Yang|last2=Wong|first2=Dillon|last3=Shytov|first3=Andrey V.|last4=Brar|first4=Victor W.|last5=Choi|first5=Sangkook|last6=Wu|first6=Qiong|last7=Tsai|first7=Hsin-Zon|last8=Regan|first8=William|last9=Zettl|first9=Alex|last10=Kawakami|first10=Roland K.|last11=Louie|first11=Steven G.|last12=Levitov|first12=Leonid S.|last13=Crommie|first13=Michael F.|title=Observing Atomic Collapse Resonances in Artificial Nuclei on Graphene|journal=Science|date=May 10, 2013|volume=340|issue=6133|pages=734–737|doi=10.1126/science.1234320|arxiv = 1510.02890 |bibcode = 2013Sci...340..734W|pmid=23470728|s2cid=29384402}}</ref>。 この1s電子殻における負の連続体への飛び込みは、しばしば周期表の「終わり」を意味すると考えられてきたが、より詳細な考察によれば、それほど暗い結果にはならないことが示唆されている<ref name=PT172/><ref name="rsc"/><ref>{{Cite journal|last1=Indelicato|first1=Paul|last2=Bieroń|first2=Jacek|last3=Jönsson|first3=Per|date=2011-06-01|title=Are MCDF calculations 101% correct in the super-heavy elements range?|url=https://dspace.mah.se/handle/2043/12984|journal=Theoretical Chemistry Accounts|language=en|volume=129|issue=3–5|pages=495–505|doi=10.1007/s00214-010-0887-3|issn=1432-881X|hdl=2043/12984|s2cid=54680128|hdl-access=free}}</ref>。

''Z''<sub>cr</sub>&nbsp;≈&nbsp;173以上の原子番号を持つ原子は、「超臨界原子」と呼ばれている。超臨界原子は、電子と陽電子のペアが負の連続体から生成されるため、完全にイオン化することはできない。電子が束縛され、陽電子が脱出する自発的なペア生成によって1s電子殻が満たされるためである。しかし、原子核の周りの強磁場は非常に狭い空間に限られているため、負の連続体に飛び込んだ電子殻が埋まると、それ以上の自発的な対生成は[[パウリの排他原理]]によって禁じられてしまう。173~184番元素は、1s電子殻のみが負の連続体に飛び込んでいるため、「弱超臨界原子」と呼ばれている。185番元素では2p<sub>1/2</sub>電子殻が、245番元素では2s電子殻が結合すると予想されている。重い原子核を衝突させて超臨界電荷を作り出し、自発的なペアの生成を検出する実験は今のところ成功していない(例えば、鉛とウランを衝突させると瞬間的に実効''Z''が174になり、ウランとウランでは実効''Z''&nbsp;=&nbsp;184、ウランとカリホルニウムでは実効''Z''&nbsp;=&nbsp;190となる)。超臨界原子は電子構造に問題がないと予想されるので、周期表の最後は電子殻の不安定性ではなく核の不安定性で決まるのかもしれない<ref>{{cite book|last1=Reinhardt|first1=Joachim|title = Nuclear Physics: Present and Future|pages=195–210|last2=Greiner|first2=Walter|doi=10.1007/978-3-319-10199-6_19|date=2015|chapter=Probing Supercritical Fields with Real and with Artificial Nuclei|isbn=978-3-319-10198-9}}</ref>。

=====クォーク物質=====
また、''A''&nbsp;>&nbsp;300を超える領域には、陽子や中性子に束縛されたクォークではなく、[[アップクォーク]]や[[ダウンクォーク]]が自由に流れる、安定したクォーク物質の仮想的な相からなる「安定の大陸」が存在するのではないかと考えられている。このような物質は、[[バリオン]]あたりの結合エネルギーが陽子や中性子よりも大きいバリオン物質の基底状態であり、この質量閾値を超えると陽子や中性子が崩壊してクォーク物質になると考えられている。もしこの状態の物質が存在するならば,通常の超重核に生成するのと同じ核融合反応で合成される可能性があり、クーロン斥力を克服するのに十分なほど強い結合の結果として、核分裂に対して安定となるだろう<ref name="udQM">{{cite journal |last1=Holdom |first1=B. |last2=Ren |first2=J. |last3=Zhang |first3=C. |title=Quark matter may not be strange |date=2018 |journal=Physical Review Letters |volume=120 |issue=1 |pages=222001-1–222001-6 <!-- Deny Citation Bot-->|doi=10.1103/PhysRevLett.120.222001|pmid=29906186 |arxiv=1707.06610 |bibcode=2018PhRvL.120v2001H |s2cid=49216916 }}</ref>。

最近の計算<ref name=udQMnew>{{cite journal |last1=Cheng-Jun |first1=Xia |last2=She-Sheng |first2=Xue |last3=Ren-Xin |first3=Xu |last4=Shan-Gui |first4=Zhou |title=Supercritically charged objects and electron-positron pair creation |doi=10.1103/PhysRevD.101.103031 |journal=Physical Review D |year=2020 |volume=101 |issue=10 |pages=103031|arxiv=2001.03531 |bibcode=2020PhRvD.101j3031X |s2cid=210157134 }}</ref>では、アップダウンクォークマター(udQM)ナゲットは''A''&nbsp;~&nbsp;266を超えても従来の原子核に対して安定であることが示唆されており、また、udQMナゲットは従来の原子核(''Z''<sub>cr</sub>&nbsp;~&nbsp;177、''A''&nbsp;~&nbsp;480)よりも早く(''Z''<sub>cr</sub>&nbsp;~&nbsp;163、''A''&nbsp;~&nbsp;609)超臨界になることが示されている。


== 出典 ==
== 出典 ==

2021年12月11日 (土) 04:00時点における版

拡張周期表(かくちょうしゅうきひょう、extended periodic table)とは、ドミトリ・メンデレーエフ周期表を未知の超重元素の領域まで論理的に発展させた周期表である。未知の元素についてはIUPAC元素の系統名に準じて表記される。原子番号119(ウンウンエンニウム)以降の元素は全て未発見である(発見報告無し)。

歴史

アクチノイドより重い元素の存在は既に1895年には提案されており、デンマークの化学者ユリウス・トムセンが、ウラントリウムを含む32元素の周期(第7周期)は、化学的に不活性な原子量292の元素で終わることを予測していた。これは、オガネソンで現在唯一発見されている同位体の原子量294に近い。1913年、スウェーデンの物理学者ヨハネス・リュードベリは、ラドンの次の貴ガスは原子番号118であると同様に予測し、ラドンより重い同族体は Z = 168, 218, 290, 362, 460 であることを、純粋に構造原理より導き出した。ニールス・ボーアは1922年に、ラドンの次となる貴ガスの電子構造を Z = 118 と予測し、また自然界でウランより原子番号が大きい元素が見られないのは、あまりにも不安定だからであると指摘した。ドイツの物理学者で技術者でもあるリチャード・スウィンは、1926年に超ウラン元素についての予測を含むレビュー論文を発表し、安定の島という現代の予測を先取りしていた。彼は1914年より、半減期は厳密には原子番号とともに減少しないという仮説を立て、Z = 98–102 と Z = 108–110 に長寿命の元素があるかもしれないと示唆し、こうした元素は地球の核鉄隕石、あるいは宇宙起源の物質がグリーンランド氷床英語版の中に閉じ込められて存在しているのではないかと推測していた[1]。1955年には、これらの元素は超重元素と呼ばれるようになった[2]

未発見の超重元素の性質について最初の予測がなされたのは1957年のことで、殻模型の概念が初めて検討され、126番元素近辺に安定の島が存在することが理論的に示された[3]。1967年にはより厳密な計算が行われ、安定の島は当時未発見のフレロビウム(114番元素)を中心にしていることが理論づけられた。この研究やその後の研究により、多くの研究者が自然界での超重元素の探索や、加速器での合成を試みるようになった[2]。1970年代に超重元素の多くの検索が行われたが、いずれも否定的な結果だった。元素合成は、ウンビトリウム (Z = 123) を除くウンビセプチウム (Z = 127) までの元素で試みられ[4] [5][6]、合成に成功した最も重い元素は2002年のオガネソン、最も新しい元素の発見は2010年のテネシンである[4]

一部の超重元素は周期表の第7周期を超えると予測されたため、これらの元素を含む追加の第8周期が、1969年にグレン・シーボーグによって最初に提案された。このモデルは既存元素のパターンを継承しつつ、gブロックおよび121番元素から始まる超アクチノイド系列を導入し、今までの周期よりも第8周期の元素数が増えている[7][8][2]。しかしこれら初期の計算では、周期的な傾向を崩し、単純な予測が不可能になる相対論的な効果を考慮していなかった。

1971年、ドイツの化学者Frickeは Z = 172 までの周期表を計算し、いくつかの元素が既存のパターンと異なる特性を持つことを発見した。また、2010年にペッカ・ピューッコが行った計算でも、いくつかの元素が予想とは異なる振る舞いをする可能性があるとされている[9]。重い元素ほどより不安定になると予測されているため、周期表が既知の118元素を超えてどこまで拡張されるかは未知数である。グレン・シーボーグは、実際には核の不安定性のために、早ければ Z = 120 付近で周期表の終わりが来るのではないかと示唆している[10]

シーボーグの拡張周期表

1969年アメリカ化学者グレン・シーボーグが提案した周期表である。第7周期までの法則に合わせて、素直にGブロックを配置した形をしている。

Period s1 s2  
1 1
H
2
He
  p1 p2 p3 p4 p5 p6
2 3
Li
4
Be
  5
B
6
C
7
N
8
O
9
F
10
Ne
3 11
Na
12
Mg
  d1 d2 d3 d4 d5 d6 d7 d8 d9 d10 13
Al
14
Si
15
P
16
S
17
Cl
18
Ar
4 19
K
20
Ca
  21
Sc
22
Ti
23
V
24
Cr
25
Mn
26
Fe
27
Co
28
Ni
29
Cu
30
Zn
31
Ga
32
Ge
33
As
34
Se
35
Br
36
Kr
5 37
Rb
38
Sr
  f1 f2 f3 f4 f5 f6 f7 f8 f9 f10 f11 f12 f13 f14 39
Y
40
Zr
41
Nb
42
Mo
43
Tc
44
Ru
45
Rh
46
Pd
47
Ag
48
Cd
49
In
50
Sn
51
Sb
52
Te
53
I
54
Xe
6 55
Cs
56
Ba
  57
La
58
Ce
59
Pr
60
Nd
61
Pm
62
Sm
63
Eu
64
Gd
65
Tb
66
Dy
67
Ho
68
Er
69
Tm
70
Yb
71
Lu
72
Hf
73
Ta
74
W
75
Re
76
Os
77
Ir
78
Pt
79
Au
80
Hg
81
Tl
82
Pb
83
Bi
84
Po
85
At
86
Rn
7 87
Fr
88
Ra
g1 g2 g3 g4 g5 g6 g7 g8 g9 g10 g11 g12 g13 g14 g15 g16 g17 g18 89
Ac
90
Th
91
Pa
92
U
93
Np
94
Pu
95
Am
96
Cm
97
Bk
98
Cf
99
Es
100
Fm
101
Md
102
No
103
Lr
104
Rf
105
Db
106
Sg
107
Bh
108
Hs
109
Mt
110
Ds
111
Rg
112
Cn
113
Nh
114
Fl
115
Mc
116
Lv
117
Ts
118
Og
8 119
Uue
120
Ubn
121
Ubu
122
Ubb
123
Ubt
124
Ubq
125
Ubp
126
Ubh
127
Ubs
128
Ubo
129
Ube
130
Utn
131
Utu
132
Utb
133
Utt
134
Utq
135
Utp
136
Uth
137
Uts
138
Uto
139
Ute
140
Uqn
141
Uqu
142
Uqb
143
Uqt
144
Uqq
145
Uqp
146
Uqh
147
Uqs
148
Uqo
149
Uqe
150
Upn
151
Upu
152
Upb
153
Upt
154
Upq
155
Upp
156
Uph
157
Ups
158
Upo
159
Upe
160
Uhn
161
Uhu
162
Uhb
163
Uht
164
Uhq
165
Uhp
166
Uhh
167
Uhs
168
Uho
9 169
Uhe
170
Usn
171
Usu
172
Usb
173
Ust
174
Usq
175
Usp
176
Ush
177
Uss
178
Uso
179
Use
180
Uon
181
Uou
182
Uob
183
Uot
184
Uoq
185
Uop
186
Uoh
187
Uos
188
Uoo
189
Uoe
190
Uen
191
Ueu
192
Ueb
193
Uet
194
Ueq
195
Uep
196
Ueh
197
Ues
198
Ueo
199
Uee
200
Bnn
201
Bnu
202
Bnb
203
Bnt
204
Bnq
205
Bnp
206
Bnh
207
Bns
208
Bno
209
Bne
210
Bun
211
Buu
212
Bub
213
But
214
Buq
215
Bup
216
Buh
217
Bus
218
Buo
Sブロック元素 Pブロック元素 Dブロック元素 Fブロック元素 Gブロック元素

Frickeの拡張周期表

1973年ドイツ化学者Frickeが提案した周期表である。

Period s1 s2  
1 1
H
2
He
  p1 p2 p3 p4 p5 p6
2 3
Li
4
Be
  5
B
6
C
7
N
8
O
9
F
10
Ne
3 11
Na
12
Mg
  d1 d2 d3 d4 d5 d6 d7 d8 d9 d10 13
Al
14
Si
15
P
16
S
17
Cl
18
Ar
4 19
K
20
Ca
  21
Sc
22
Ti
23
V
24
Cr
25
Mn
26
Fe
27
Co
28
Ni
29
Cu
30
Zn
31
Ga
32
Ge
33
As
34
Se
35
Br
36
Kr
5 37
Rb
38
Sr
  f1 f2 f3 f4 f5 f6 f7 f8 f9 f10 f11 f12 f13 f14 39
Y
40
Zr
41
Nb
42
Mo
43
Tc
44
Ru
45
Rh
46
Pd
47
Ag
48
Cd
49
In
50
Sn
51
Sb
52
Te
53
I
54
Xe
6 55
Cs
56
Ba
  57
La
58
Ce
59
Pr
60
Nd
61
Pm
62
Sm
63
Eu
64
Gd
65
Tb
66
Dy
67
Ho
68
Er
69
Tm
70
Yb
71
Lu
72
Hf
73
Ta
74
W
75
Re
76
Os
77
Ir
78
Pt
79
Au
80
Hg
81
Tl
82
Pb
83
Bi
84
Po
85
At
86
Rn
7 87
Fr
88
Ra
g1 g2 g3 g4 g5 g6 g7 g8 g9 g10 g11 g12 g13 g14 g15 g16 g17 g18 p1 p2 89
Ac
90
Th
91
Pa
92
U
93
Np
94
Pu
95
Am
96
Cm
97
Bk
98
Cf
99
Es
100
Fm
101
Md
102
No
103
Lr
104
Rf
105
Db
106
Sg
107
Bh
108
Hs
109
Mt
110
Ds
111
Rg
112
Cn
113
Nh
114
Fl
115
Mc
116
Lv
117
Ts
118
Og
8 119
Uue
120
Ubn
121
Ubu
122
Ubb
123
Ubt
124
Ubq
125
Ubp
126
Ubh
127
Ubs
128
Ubo
129
Ube
130
Utn
131
Utu
132
Utb
133
Utt
134
Utq
135
Utp
136
Uth
137
Uts
138
Uto
139
Ute
140
Uqn
141
Uqu
142
Uqb
143
Uqt
144
Uqq
145
Uqp
146
Uqh
147
Uqs
148
Uqo
149
Uqe
150
Upn
151
Upu
152
Upb
153
Upt
154
Upq
155
Upp
156
Uph
157
Ups
158
Upo
159
Upe
160
Uhn
161
Uhu
162
Uhb
163
Uht
164
Uhq|
9 165
Uhp
166
Uhh
  167
Uhs
168
Uho
169
Uhe
170
Usn
171
Usu
172
Usb
Sブロック元素 Pブロック元素 Dブロック元素 Fブロック元素 Gブロック元素

Pyykköの拡張周期表

2010年ペッカ・ピューッコが提唱した周期表である[11]相対論効果を考慮した理論計算によって電子軌道の準位を8s<5g≤8p1/2<6f<7d<9s<9p1/2<8p3/2であるとし、これに基づいて172番元素(ウンセプトビウム)までの元素を配置している。一部で原子番号と配置が前後する。

1
1s
1
H
  2
He
2
2s 2p
3
Li
4
Be
  5
B
6
C
7
N
8
O
9
F
10
Ne
3
3s 3p
11
Na
12
Mg
  13
Al
14
Si
15
P
16
S
17
Cl
18
Ar
4
4s 3d 4p
19
K
20
Ca
  21
Sc
22
Ti
23
V
24
Cr
25
Mn
26
Fe
27
Co
28
Ni
29
Cu
30
Zn
31
Ga
32
Ge
33
As
34
Se
35
Br
36
Kr
5
5s 4d 5p
37
Rb
38
Sr
  39
Y
40
Zr
41
Nb
42
Mo
43
Tc
44
Ru
45
Rh
46
Pd
47
Ag
48
Cd
49
In
50
Sn
51
Sb
52
Te
53
I
54
Xe
6
6s 4f 5d 6p
55
Cs
56
Ba
  57
La
58
Ce
59
Pr
60
Nd
61
Pm
62
Sm
63
Eu
64
Gd
65
Tb
66
Dy
67
Ho
68
Er
69
Tm
70
Yb
71
Lu
72
Hf
73
Ta
74
W
75
Re
76
Os
77
Ir
78
Pt
79
Au
80
Hg
81
Tl
82
Pb
83
Bi
84
Po
85
At
86
Rn
7
7s 5f 6d 7p
87
Fr
88
Ra
  89
Ac
90
Th
91
Pa
92
U
93
Np
94
Pu
95
Am
96
Cm
97
Bk
98
Cf
99
Es
100
Fm
101
Md
102
No
103
Lr
104
Rf
105
Db
106
Sg
107
Bh
108
Hs
109
Mt
110
Ds
111
Rg
112
Cn
113
Nh
114
Fl
115
Mc
116
Lv
117
Ts
118
Og
8
8s 5g 6f 7d 8p
119
Uue
120
Ubn
121
Ubu
122
Ubb
123
Ubt
124
Ubq
125
Ubp
126
Ubh
127
Ubs
128
Ubo
129
Ube
130
Utn
131
Utu
132
Utb
133
Utt
134
Utq
135
Utp
136
Uth
137
Uts
138
Uto
141
Uqu
142
Uqb
143
Uqt
144
Uqq
145
Uqp
146
Uqh
147
Uqs
148
Uqo
149
Uqe
150
Upn
151
Upu
152
Upb
153
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154
Upq
155
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156
Uph
157
Ups
158
Upo
159
Upe
160
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Uhu
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164
Uhq
139
Ute
140
Uqn
169
Uhe
170
Usn
171
Usu
172
Usb
9
9s 9p
165
Uhp
166
Uhh
  167
Uhs
168
Uho
8p1/2(8p*)軌道に電子が満たされるブロック 8p3/2軌道に電子が満たされるブロック

より簡易な表示によるPyykköの拡張周期表[11]

This figure reprinted by permission from P. Pyykkö,PCCP 2011, 13, 161. @RSC.
This figure reprinted by permission from P. Pyykkö,PCCP 2011, 13, 161. @RSC.

第8周期元素の予想される性質

118番元素のオガネソンは、これまでに合成された元素の中で最も重い元素である。次の2つの元素、119番元素120番元素はそれぞれアルカリ金属アルカリ土類金属の8s元素になると思われる。120番元素を超えると超アクチノイド系列が始まると予想されており、8s電子と8p1/2、7d3/2、6f、5gの各電子殻の充填によって、これらの元素の化学的性質が決定される。122番より大きい元素については状態が非常に複雑であるため、完全で正確なCCSD計算はできない。5g、6fおよび7d軌道はほぼ同じエネルギー準位を持ち、160番元素の領域では、9s、8p3/2、9p1/2の各軌道もほぼ同じエネルギーになると考えられる。これにより電子殻が混ざり合い、ブロックの概念がうまく適用されなくなる。また、一部の元素を周期表に配置するのが非常に困難になる新しい化学的性質が生じると予想される[12]

Dirac–Fock法を使用して予測された、Z = 100〜172の元素の最外殻電子のエネルギー固有値(eV)。−および+記号は、それぞれスピン軌道相互作用によって軌道角運動量が減少または増加した軌道を示す。p−はp1/2、p+はp3/2、d−はd3/2、d+はd5/2、f−はf5/2、f+はf7/2、g−はg7/2、g+はg9/2である[13]

化学的および物理的性質

119番元素および120番元素

119番元素と120番元素の予想される性質[14][12]
119 120
原子量 [322] [325]
1 2
電子配置 8s1 8s2
安定な酸化数 1, 3 2, 4
第一イオン化エネルギー 463.1 kJ/mol 563.3 kJ/mol
金属結合半径 260 pm 200 pm
密度 3 g/cm3 7 g/cm3
融点 0–30 °C (270–300 K) 680 °C (950 K)
沸点 630 °C (900 K) 1,700 °C (2,000 K)

第8周期における最初の2つの元素は、119番元素のウンウンエンニウムと120番元素のウンビニリウムである。これらの元素の電子配置は、8s軌道が満たされると思われる。この軌道は相対論的に安定し収縮しているので、119番元素と120番元素は、周期表直上のフランシウムラジウムよりも、ルビジウムストロンチウムに似ていると考えられる。8s軌道の相対論的収縮によるもう一つの効果は、これら2つの元素の原子半径が、フランシウムやラジウムの原子半径とほぼ同じになることである。これらの元素は、通常のアルカリ金属アルカリ土類金属のように振る舞い(周期表直上の元素よりも反応性は低い)、通常はそれぞれ+1と+2の酸化数を取るが、7p3/2電子殻の相対論的な不安定さと7p3/2電子の比較的低いイオン化エネルギーにより、それぞれ+3や+4のような高い酸化数も可能になると考えられる[14][12]

超アクチノイド元素

ロシアの化学者ネフェドフロシア語版らによると、超アクチノイド元素は121番元素から157番元素までと考えられており、第8周期の5g、6f元素と一部の7d元素に分類される[15]。超アクチノイド系列では、7d3/2、8p1/2、6f5/2、5g7/2の各電子殻が同時に満たされると予想される[13]。これは非常に複雑な状態となるため、完全で正確なCCSD計算は121番元素と122番元素に対してのみ適用される[12]。最初の超アクチノイド元素であるウンビウニウム(121番元素)は、ランタンアクチニウムと似ていると考えられる[16]。主な酸化状態は+3であるが、価電子殻のエネルギー準位が近いため、119番元素や120番元素のように、より高い酸化数を取る可能性がある[12]。8p電子殻が相対論的に安定しているので、121番元素の基底状態における価電子配置は8s28p1となり、ランタンやアクチニウムのds2配置とは対照的である[12]。しかし、この異常な配置は計算上の化学的性質に影響を与えないようで、性質はアクチニウムと似ていると考えられる[17]。第一イオン化エネルギーは429.4 kJ/molと予想され、アルカリ金属カリウムルビジウムセシウムフランシウムを除くすべての既知の元素よりも低く、この値は第8周期のアルカリ金属であるウンウンエンニウム(463.1 kJ/mol)よりもさらに低い。同様に、次の超アクチノイド元素であるウンビビウム(122番元素)は、セリウムトリウムと似ており、主な酸化数は+4と予想される。基底状態では7d18s28p1か8s28p2の価電子配置を持ち[18]、トリウムの6d27s2配置とは異なると考えられる。したがって、第一イオン化エネルギーはトリウムよりも小さくなる(Th: 6.3 eV; Ubb: 5.6 eV)。これは、ウンビビウムの8p1/2電子がトリウムの6d電子よりもイオン化しやすいことによる[12]。5g軌道の軌道崩壊(原子番号が大きくなる際、他の電子軌道よりもエネルギー準位が小さくなること)は125番元素あたりまで遅れる。電子数が119のときの等電子的な電子配置は、119番元素から122番元素では[Og]8s1、123番元素と124番元素では[Og]6f1、125番元素以降では[Og]5g1になると予想されている[19]

原子番号の小さい超アクチノイド元素では電子の結合エネルギーが十分に小さく、すべての価電子を電離することができると予測されている。例えば、ウンビヘキシウム(126番元素)は、容易に+8の酸化数を取ることができ、次のいくつかの元素ではさらに高い酸化数が可能であると考えられる。ウンビヘキシウムは、他のさまざまな酸化数を示すことも予測されている。最近の計算では、ウンビヘキシウムの5g軌道フッ素の2p軌道の間の結合相互作用によって、安定な一フッ化物UbhFができる可能性が示唆されている[20]。 その他の予測される酸化数には+2、+4、+6などがあり、+4はウンビヘキシウムにおける最も普通の酸化数であると予想されている[13]。ウンビセプチウム(125番元素)からウンビエンニウム(129番元素)までの超アクチノイド元素は+6の酸化数を示し六フッ化物を形成すると予測されているが、UbpF6とUbhF6は比較的弱い結合になると予測されている[19]結合解離エネルギーは127番元素で大きく増加し、129番元素ではさらに増加すると予測されている。このことは、125番元素フッ化物の強いイオン性から、129番元素フッ化物における8p軌道を含んだ共有結合性への移行を示唆している。これら超アクチノイド元素六フッ化物における結合のほとんどは、六フッ化ウランのようにウランが5fと6dの軌道を使って結合するのではなく、超アクチノイド元素で最もエネルギー準位の高い8p電子殻とフッ素の2p電子殻の間で行われる[19]

初期の超アクチノイド元素は高い酸化数に達することができるにもかかわらず、5g電子は最もイオン化しにくいと計算されている、Ubp6+とUbh7+イオンは5g1配置になると予想されており、これはNp6+イオンの5f1配置に似ている[9][19]。 似たような挙動は化学的活性の低いランタノイドの4f電子でも見られるが、これは5g軌道が小さく、電子雲に深く埋もれていることに起因する[9]。 現在知られている元素の基底状態の電子配置には存在しないg軌道の電子が存在することで、未知の混成軌道が形成され、超アクチノイド元素の化学的性質に新たな影響を与えると考えられる。だが既知の元素にg軌道電子が存在しないため、超アクチノイド元素の化学的性質を予測することは困難である[14]

超アクチノイド元素の予想される化合物(Xはハロゲン)[9][19][21]
121 122 123 124 125 126 127 128 129 132 142 143 144 145 146 148 153 154 155 156 157
化合物 UbuX3 UbbX4 UbtX5 UbqX6 UbpF
UbpF6
UbpO2+
2
UbhF
UbhF6
UbhO4
UbsF6 UboF6 UbeF
UbeF6
UqbX4
UqbX6
UqtF6 UqqX6
UqqO2+
2

UqqF8
UqqO4
UqpF6 UqoO6
類似化合物 LaX3
AcX3
CeX4
ThX4
NpO2+
2
ThF4 UF6
UO2+
2

PuF8
PuO4
UO6
酸化数 3 4 5 6 1, 6, 7 1, 2, 4, 6, 8 6 6 1, 6 6 4, 6 6, 8 3, 4, 5, 6, 8 6 8 12 3 0, 2 3, 5 2 3

超アクチノイド元素の後半では、酸化数はが低くなると予想される。132番元素では、最も安定した酸化数は+6のみが主となり、144番元素ではさらに+3と+4へ減少し、超アクチノイド系列の最後では+2(場合によっては0)となると考えられる。これは、その時点で充填される6f電子殻が電子雲の奥深くにあり、8sおよび8p1/2電子が強く結合しているため、化学的に活性とならないためである。5g電子殻が満たされるのは144番元素、6f電子殻が満たされるのは154番元素あたりと予想されるが、この領域の超アクチノイド元素では、8p1/2電子が強く結合して化学的に活性ではなくなり、化学反応に関与できるのは数個の電子だけになる。Frickeらの計算によると、154番元素で6f電子軌道が満たされ、化学的に不活性な8s殻と8p1/2殻の外側には、d軌道または他の電子の波動関数がないと予測されている。これにより、154番元素は貴ガスのような性質を持ち、むしろ不活性である可能性がある[14][12]。それにもかかわらず、ピューッコの計算では、155番元素は6f電子がイオン化可能であると予想している。Upp3+は6f電子殻が満たされ、第4イオン化ポテンシャルは、+4価のテルビウムジスプロシウムの間になると考えられる。[9]

ランタノイドやアクチノイドの収縮と同様に、超アクチノイド元素のイオン半径が予想よりも小さい超アクチノイド系列では、超アクチノイドの収縮が起こると思われる。ランタノイドおよびアクチノイドの波動関数は5f軌道に比べ4f軌道でより局在化しているため、アクチノイドよりもランタノイドの方が収縮率が大きい。ランタノイド、アクチノイド、超アクチノイドで外殻電子の波動関数を比較すると、超アクチノイドでは1元素あたり約2pmの収縮が予想される。これはランタノイドとアクチノイドの収縮よりも小さいが、ランタノイドとアクチノイドではそれぞれ4f軌道と5f軌道に14個の電子が満たされるのに対し、超アクチノイドでは深く埋もれている5g軌道と6f軌道に32個の電子が満たされるため、全体の効果は大きくなる[14]

ペッカ・ピューッコは、超アクチノイドを3つに分類した。5g系列(121~138番元素)、8p1/2系列(139~140番元素)、6f系列(141~155番元素)。これらはエネルギー準位間の重複が多く、初期の超アクチノイド原子やイオンでは6f、7d、8p1/2軌道も占有されている可能性がある。また彼は、これらが「超ランタノイド」に近い挙動を示すと予想している。5g電子はほとんど化学的に不活性であることと、各ランタノイドの1つか2つの4f電子だけが化合物でイオン化されるのに似ているという意味である。彼はまた、超アクチノイド元素の取りうる酸化数は6f系列で非常に高くなり、148番元素では+12のような値になるかもしれないと予想した[9]

アンドレイ・クルシャは、121番から156番までの36個の元素を「超遷移元素」と呼び、121番から138番までと139番から156番まで、18個ずつ2系列の元素に分けて考えることを提案した。1つ目はランタノイドに類似した元素群で、酸化数は主に+4から+6の範囲、5g電子殻の充填が支配的であり、ウランネプツニウムプルトニウムのように隣り合う元素は互いに非常によく似ていると考えた。最初(140番台の元素あたり)は、6f電子殻が7d電子殻より優先されるため非常に高い酸化数が予想されるが、その後典型的な酸化数は下がり、150番台以降の元素では8p1/2電子によって化学的に活性ではなくなる。この18元素2系列は5g18電子殻によって分離されているため、互いに類似体であると考えることができる[22]

後半の超アクチノイド元素の例として、156番元素は主に+2の酸化数を示すと予想されるが、これは安定した[Og]5g186f148s28p2
1/2
電子配置の上に電離しやすい7d2電子があるためである。これはノーベリウムのより重い同族体と考えることができ、安定した[Rn]5f14電子配置の上に電離しやすい7s2電子のペアを持つため、通常は+2価であるのと同様である(+3価のノーべリウムを得るためには強力な酸化剤が必要である)[22]。 その第一イオン化エネルギーは約400kJ/mol、金属半径は約170ピコメートルと予想される。原子量は445u前後[14]で、密度は約26g/cm3と非常に重い金属であると推定される。

157~166番元素

第8周期の7d遷移金属は157~166番元素と予想されている。これらの元素では8sと8p1/2電子が非常に強く結合しているため、いかなる化学反応にも関与しないと考えられるが、9sと9p1/2軌道は容易に混成すると予想される[14][12]。 これらの7d元素は、4d元素のイットリウムからカドミウムに似ていると思われる[22]。 特に、7d109s0電子配置を持つ164番元素は、4d105s0電子配置を持つパラジウムと明確な類似性がある[13]

第8周期遷移元素の貴金属は、より軽い同族元素ほどの貴金属性を示さないと考えられている。遮蔽のための外側のs殻がないことと、相対論的効果により7d電子殻が2つの副殻に強く分かれるためである。このため、7d遷移金属の第一イオン化エネルギーは、より軽い同族元素の第一イオン化エネルギーよりも小さくなっている[14][12][13]

ウンヘキサジウムの化学への関心は、理論的な予測に大きく向けられている。特に、472Uhqと482Uhqの同位体(陽子が164個、中性子が308個または318個)が、仮想的な第2の安定の島の中心になるという予測がされている点である(第1の島はコペルニシウム、特に半減期が数百年または数千年と予想される同位体291Cn、293Cn、296Cnが中心である)[23][24][25][26]

計算上、164番元素(ウンヘキサクアジウム)の7d電子は化学反応に対して非常に関与しやすいと予測されるため、ウンヘキサジウムは通常の+2価に加えて、強い配位子を持つ水溶液中で安定した+6および+4の酸化数を示すと予想される。このため、ウンヘキサクアジウムは、Uhq(CO)4、Uhq(PF3)4(いずれも対応するパラジウム化合物と同様に四面体)、Uhq(CN)2−
2
(直線形分子構造)のような化合物を形成することができると考えられ、これはの挙動とは非常に異なる。もし相対論的な影響がなければ、ウンヘキサクアジウムはより重い鉛の同族体となっていたであろう。とはいえ、水溶液中では2価の状態が主であり(ただし、より強い配位子を用いれば、+4や+6の状態も可能である)、ウンヘキサクアジウム(II)はウンヘキサクアジウム(IV)やウンヘキサクアジウム(VI)よりも鉛に近い挙動を示すと考えられる[12][13]

ウンヘキサクアジウムはやわらかいルイス酸であり、Ahrlands硬度は4eVに近いと予測される。ウンヘキサクアジウムは中程度の反応性であり、第一イオン化エネルギーはモリブデンに近く、約685kJ/molと予想される[14][13]。ランタノイド、アクチノイド、超アクチノイドの収縮により、ウンヘキサクアジウムの金属半径はわずか158pmであり、はるかに軽い元素のマグネシウムと非常に近い(ウンヘキサクアジウムの予想原子量は約474uであり、マグネシウム原子量の約19.5倍であるにもかかわらず、である)[14]。 この半径の小ささと重量の大きさから、密度は約46 g·cm−3と非常に高く、現在知られている元素の中で最も密度の高いオスミウムの22.61 g·cm−3の2倍以上になると予想されている。ウンヘキサクアジウムは、周期表の172元素の中で2番目に密度の高い元素であると考えられ、これより密度が高いのは隣のウンヘキサトリウム(163番元素)の47 g·cm−3のみと予想されている[14]。 金属状態のウンヘキサクアジウムは、共有結合による凝集エネルギー(結晶化エンタルピー)が非常に大きく、その結果、融点が高くなると考えられる。金属状態のウンヘキサクアジウムは、パラジウムや白金に似た貴金属であると予想されている。Frickeらは、閉殻構造を持ちイオン化エネルギーが似ているオガネソンとの類似性を示唆しているが、オガネソンが反応しやすい貴ガスであるのに対し、ウンヘキサクアジウムは反応しにくい貴金属であると述べている[13]

最後の2つの7d金属である元素165(ウンヘキサペンチウム)と166(ウンヘキサヘキシウム)は、それぞれ+1と+2の酸化数を取り、アルカリ金属アルカリ土類金属と同様の挙動を示すと予想される。相対論的な効果により、9s電子は非相対論的な計算で予測されるよりもはるかに強く結合するため、9s電子のイオン化エネルギーはナトリウムマグネシウムの3s電子のイオン化エネルギーに匹敵すると考えられる。165番元素と166番元素は通常それぞれ+1と+2の酸化数を示すと思われるが、7d電子のイオン化エネルギーが十分に低いため、元素165は+3価のような高い酸化数も可能である。166番元素の酸化数+4は起こりにくく、11族と12族のより軽い元素(特に水銀)と似た状態を作ると思われる[14][12]。166番元素はコペルニシウムではなく水銀のようにUhh2+にイオン化し、d電子ではなくs電子を失って7d10配置になり、12族元素の亜鉛、カドミウム、水銀のような遷移金属の性質を持たない「相対性の低い」状態になると予想される[9]

156~166番元素の予測される性質
金属の半径と密度は概算である[14][9][12]
最も類似した元素族を最初に表記し、次いで他の類似した元素族を示した[13]
156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166
原子量 [445] [448] [452] [456] [459] [463] [466] [470] [474] [477] [481]
Yb
(4)
3
(5)
4
(6)
5
(7)
6
(8)
7
(9)
8
(10)
9
(11)
10
(12, 14, 18)
11
(1, 13)
12
(2, 14)
電子配置 7d2 7d3 7d4 7d5 7d6 7d7 7d8 7d9 7d10 7d10 9s1 7d10 9s2
安定した酸化数 2 3 4 1, 5 2, 6 3, 7 4, 8 5 0, 2, 4, 6 1, 3 2
第一イオン化エネルギー 400 kJ/mol 450 kJ/mol 520 kJ/mol 340 kJ/mol 420 kJ/mol 470 kJ/mol 560 kJ/mol 620 kJ/mol 690 kJ/mol 520 kJ/mol 630 kJ/mol
金属結合半径 170 pm 163 pm 157 pm 152 pm 148 pm 148 pm 149 pm 152 pm 158 pm 250 pm 200 pm
密度 26 g/cm3 28 g/cm3 30 g/cm3 33 g/cm3 36 g/cm3 40 g/cm3 45 g/cm3 47 g/cm3 46 g/cm3 7 g/cm3 11 g/cm3

167~172番元素

周期表の次の6つの元素は、第8周期での最後の元素群になると予想され[9]、5p元素のインジウムからキセノンに似ていると考えられる[22]。 167~172番元素では、9p1/2電子殻と8p3/2電子殻が満たされると予想される。これらのエネルギー固有値は非常に近いため、非相対論的な2pと3pの電子軌道と同様に、1つの結合したp軌道として振る舞う。したがって不活性電子対効果は起こらず、167~170番元素の最も一般的な酸化数はそれぞれ+3、+4、+5、+6になると予想される。171番元素(ウンセプトウニウム)は、酸化数を-1から+7まで取りハロゲンに似た性質を示すが、物性は金属に近いと予想される。電子親和力は3.0eVで、ハロゲン化水素に似たHUsuを形成できると考えられる。Usuイオンはヨウ化物(I)のようなやわらかい塩基になると予想されている。172番元素(ウンセプトビウム)は、イオン化エネルギーが非常に似ていることから(Xe, 1170.4 kJ/mol; Usb, 1090 kJ/mol)、キセノンと同じような化学的挙動を示す貴ガスになると予想されている。両者の唯一の主な違いは、172番元素はキセノンと異なり原子量がはるかに大きいため、標準状態では液体または固体になると予想されることである[14]。ウンセプトビウムは、より軽い同族体であるキセノンと同様に、フッ化物や酸化物を形成する強いルイス酸であると予想される[13]。165-172番元素が第2周期や第3周期に類似していることから、Frickeらはこれらの元素が周期表の第9周期を形成すると考え、一方で第8周期は貴金属の164番元素で終わると考えた。この第9周期は、第2、第3周期と同様に、遷移金属を持たないと予想されている[13]

167~172番元素の予想される性質
金属半径または共有結合半径と密度は概算である[14][12][13]
167 168 169 170 171 172
原子量 [485] [489] [493] [496] [500] [504]
13 14 15 16 17 18
電子配置 9s2 9p1 9s2 9p2 9s2 9p2 8p1 9s2 9p2 8p2 9s2 9p2 8p3 9s2 9p2 8p4
安定した酸化数 3 4 5 6 −1, 3, 7 0, 4, 6, 8
第一イオン化エネルギー 620 kJ/mol 720 kJ/mol 800 kJ/mol 890 kJ/mol 984 kJ/mol 1090 kJ/mol
金属半径または共有結合半径 190 pm 180 pm 175 pm 170 pm 165 pm 220 pm
密度 17 g/cm3 19 g/cm3 18 g/cm3 17 g/cm3 16 g/cm3 9 g/cm3

172番より大きい元素

最後の第8周期元素である172番元素は、オガネソン(最後の第7周期元素)同様の貴ガスになると予想されている。その先には、超アクチノイドのような別の長い遷移系列が始まり、少なくとも6g、7f、8dの電子殻が満たされるはずである(10s、10p1/2、6h11/2はエネルギーが高すぎて、この系列の初期には関与できない)。これらの電子は非常に緩く結合しており、非常に高い酸化数に到達できる可能性があるが、イオン価が増えると電子はより強固に結合することになる[13]

173番元素(ウンセプトトリウム)では、一番外側の電子が6g7/2電子殻に入る。スピン軌道相互作用によって8p3/2と6g7/2の電子殻の間に非常に大きなエネルギーギャップが生じるため、この最外殻の電子は非常に緩く結合し、非常に簡単に電離してUst+カチオンを形成すると予想される。その結果、173番元素は化学的にはアルカリ金属のように振る舞い、セシウムよりもはるかに反応性が高いと予想されている(フランシウムと119番元素は相対論的効果のためにセシウムよりも反応性が低い)[27][22]

元素184(ウンオクタクアジウム)は、当初陽子数184がマジックナンバーになると推測されていたため、初期の予測ではかなり関心を集めていた。電子配置は[Usb] 6g5 7f4 8d3で、少なくとも7fと8dの電子が化学的に活性であると予測されている。この物質の化学的挙動は、ウランネプツニウムと同様に、+6価より大きく(6g電子の電離に相当)イオン化することはむずかしいと予想される。水溶液中では+4価が最も一般的で、固体化合物では+5価と+6価に到達すると考えられる[14][13][28]

周期表の終わり

物理的に可能な元素の数は明らかになっていない。低く見積もった場合、周期表は安定の島の後すぐに終わる可能性があり[10]、それはZ = 126を中心としたものになると予想される。周期表と原子核種の拡張は、陽子および中性子のドリップラインと、アルファ崩壊や自発核分裂に対する安定性によって制限される[29]。Y.Gambhirらの計算では、様々な崩壊経路における核結合エネルギーと安定性を分析し、結合した原子核の存在はZ = 146が限界であることを示唆している[30]ワルター・グライナーのように、周期表に終わりがないかもしれないと予測した人もいる[31]。 周期表に終わりがあると予測した人には、Z = 128(John Emsley)やZ = 155(Albert Khazan)がいる[4]

原子番号137以上の元素

物理学者の間では、リチャード・P・ファインマンが、Z = 137より大きい原子番号の中性原子は存在しないと示唆したという「民間伝説」がある。これは、相対論的なディラック方程式によって、そのような原子の最内殻電子では基底状態のエネルギーが虚数になることが予測されるためである。この137という数字は、微細構造定数の逆数である。この論法では、中性原子はウントリセプチウムまでしか存在しないことになり、電子軌道に基づいた元素周期表はこの時点で破綻する。しかし、この議論は、原子核が点状であることを前提としている。より正確に計算するためには、原子核の大きさが小さいがゼロではないことを考慮しなければならず、その結果、限界はさらにZ ≈ 173まで上がると予測されている[31]

ボーアの原子模型

ボーアの原子模型は、原子番号が137より大きい原子が成立することの難しさを示す。1s電子軌道上の電子の速度vは次式で与えられる。

ここで、Z原子番号αは電磁的相互作用の強さを表す微細構造定数である[32]。この近似式では、原子番号が137より大きい元素は、1s電子が光速であるcより速く移動する必要がある。したがって、非相対論的なボーアの原子模型をこのような元素に適用することは不正確である。

相対論的ディラック方程式
ディラック方程式(原子核の大きさが有限であることを考慮)から得られた1s、2s、2p1/2、2p3/2殻のエネルギー固有値(Z = 135-175 (–·–)、Thomas-Fermiポテンシャルの場合 (—)、Z = 160-170の自己無撞着ポテンシャルの場合 (---)[14]

相対論的なディラック方程式により、基底状態のエネルギーは次のように与えられる。

ここで、mは電子の静止質量である。Z > 137の場合、ディラック基底状態の波動関数は束縛ではなく振動的であり、クラインのパラドックスのように正負のエネルギースペクトルの間にギャップはない[33]。 原子核の有限サイズの影響を考慮したより正確な計算では、束縛エネルギーがZ > Zcr ≈ 173で初めて2mc2を超えることが示されている。Z > Zcrの場合、最も内側の軌道(1s)が満たされていないと、原子核の電界によって電子が真空から引き出され陽電子が自然放出される[34][35]。 この1s電子殻における負の連続体への飛び込みは、しばしば周期表の「終わり」を意味すると考えられてきたが、より詳細な考察によれば、それほど暗い結果にはならないことが示唆されている[9][31][36]

Zcr ≈ 173以上の原子番号を持つ原子は、「超臨界原子」と呼ばれている。超臨界原子は、電子と陽電子のペアが負の連続体から生成されるため、完全にイオン化することはできない。電子が束縛され、陽電子が脱出する自発的なペア生成によって1s電子殻が満たされるためである。しかし、原子核の周りの強磁場は非常に狭い空間に限られているため、負の連続体に飛び込んだ電子殻が埋まると、それ以上の自発的な対生成はパウリの排他原理によって禁じられてしまう。173~184番元素は、1s電子殻のみが負の連続体に飛び込んでいるため、「弱超臨界原子」と呼ばれている。185番元素では2p1/2電子殻が、245番元素では2s電子殻が結合すると予想されている。重い原子核を衝突させて超臨界電荷を作り出し、自発的なペアの生成を検出する実験は今のところ成功していない(例えば、鉛とウランを衝突させると瞬間的に実効Zが174になり、ウランとウランでは実効Z = 184、ウランとカリホルニウムでは実効Z = 190となる)。超臨界原子は電子構造に問題がないと予想されるので、周期表の最後は電子殻の不安定性ではなく核の不安定性で決まるのかもしれない[37]

クォーク物質

また、A > 300を超える領域には、陽子や中性子に束縛されたクォークではなく、アップクォークダウンクォークが自由に流れる、安定したクォーク物質の仮想的な相からなる「安定の大陸」が存在するのではないかと考えられている。このような物質は、バリオンあたりの結合エネルギーが陽子や中性子よりも大きいバリオン物質の基底状態であり、この質量閾値を超えると陽子や中性子が崩壊してクォーク物質になると考えられている。もしこの状態の物質が存在するならば,通常の超重核に生成するのと同じ核融合反応で合成される可能性があり、クーロン斥力を克服するのに十分なほど強い結合の結果として、核分裂に対して安定となるだろう[38]

最近の計算[39]では、アップダウンクォークマター(udQM)ナゲットはA ~ 266を超えても従来の原子核に対して安定であることが示唆されており、また、udQMナゲットは従来の原子核(Zcr ~ 177、A ~ 480)よりも早く(Zcr ~ 163、A ~ 609)超臨界になることが示されている。

出典

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関連項目