電子軌道

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水素原子における電子軌道エネルギー固有関数である。

電子軌道(でんしきどう、: electron orbital)とは、電子の状態を表す、座標表示での波動関数のことを指す。電子軌道は単に「軌道」と呼ばれることもある。

「軌道」という名前と問題点[編集]

英語では、古典的な軌道をorbit と呼び、それに対して量子力学的な軌道は orbital(軌道のようなもの)と呼んで区別している。しかし日本語ではこの全く異なる2つのものを両方とも「軌道」と呼ぶため、量子力学的な軌道(orbital)についての誤解や混乱が生まれることもある。このような誤解を避けるために、量子力学的な軌道をオービタルと呼んで区別することもある。

歴史的背景[編集]

波動関数のことを「軌道」と呼ぶのは歴史的な経緯による。量子力学が成立する以前に、長岡半太郎アーネスト・ラザフォードニールス・ボーアアルノルト・ゾンマーフェルトらによって提唱されていた原子模型では、電子は原子核の周りを古典力学に従ってある軌跡を描いて運動している粒子であった。古典力学によれば、この軌跡(軌道、orbit)が分かれば、電子のある時刻における位置や運動量といった物理量を計算することができると考えられていた。

しかし、量子力学成立後、電子は粒子と波動の二重性を持ち、このような特定の軌跡を描いて運動しているわけではないことが明らかとなった。その代わりに、電子の状態は波動関数によって表されることが示された。波動関数からは、電子の位置や運動量などの物理量の期待値を計算することができる(つまり、電子の位置や運動量などは確率的にしか知りえない)。そのため、古典的な電子の軌道に対応する量子力学的な概念として、波動関数を「軌道」と呼ぶようになったのである。定常状態では、電子の軌道は自由な位置を取れず、決まった軌道に決まった数の電子が入れるようになっており、それらを電子殻という。

また、s軌道以外の電子軌道は、その葉っぱのような形状からローブ (lobe) と呼ばれる。


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