超アクチノイド元素

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

超アクチノイド元素ちょうアクチノイドげんそ超重元素とも)とは,アクチノイド元素である103番ローレンシウム原子番号より上の元素の総称である。これまでに104~116、118番が発見され、IUPACで承認もしくは申請中である。

[編集] 超アクチノイド元素の合成法と特徴

超アクチノイド元素はすべて天然には存在しないため、2種類の方法で合成される。1つは、金属原子に別の金属原子をイオンビームにして衝突させるもので、「冷たい核融合反応」と呼ばれる。もう一つは、アクチノイド元素に、イオンビームにした軽元素原子を衝突させるもので、「熱い核融合反応」と呼ばれる。ここで言う「熱い」「冷たい」とは、衝突によって生じる新元素の励起エネルギーの量を表すものである。共に、まず二つの原子が衝突して励起された複合核を生じ、これがすぐに中性子(n)を放出して超重核種ができる。
たとえば、原子番号(Z)104番のラザホージウム(Rf)を合成するには、同98のカリホルニウム(Cf)に同6の炭素(C)をイオンビームにして衝突させる。この核反応は、

249Cf+12C→(261Rf*)→257Rf+4n

または簡略化して

249Cf(12C,4n)257Rf

と表される。ここでは、261Rf*が複合核であり、257Rfが4個の中性子を放出してできた超重核種である。

超アクチノイド元素は全て放射性元素であり、正の電荷を持つ陽子同士が反発しあうために半減期が最短でマイクロ秒(100万分の1秒)台、最長でも1分未満と非常に短い。このため、同定・確認に時間がかかる上、化学的性質が分かっていないものが多い。

なお、超アクチノイド元素では中心にある原子核の正電荷に比例して周りの電子との相互作用が非常に強くなる。それに従い、内殻電子の速度は光速に近づき、相対論効果質量が重くなるためにその軌道半径は収縮する(直接的な相対論効果)。一方、外殻電子の軌道半径は、内殻軌道の収縮により原子核の正電荷が遮蔽されるため逆に大きくなる(間接的な相対論効果)。これらの現象は原子番号に比例して大きくなるため、化学結合に関与する原子価電子が大きく変化し、超アクチノイド元素は周期表上の同属元素とは異なった化学的性質を持つ事が予想されている。

[編集] 単一原子化学による分析

上記の理由のため、いくら核反応を続けても超アクチノイド元素の生成率は1分から1日の間にやっと数原子が得られるだけである。したがって、研究者たちが一度に取り扱えるのは事実上わずか1原子であり、これをすばやく運搬・分離分析して化学的性質を決定しなければならない。このような研究を「単一原子化学」といい、多数実験を行うことによって統計的に分配係数を決定するため、クロマトグラフィーが用いられている。単一原子化学では、マクロ量で扱われる熱力学的平衡論(質量作用の法則)が適用できないため、単一粒子を仮定した熱力学的関数を導入することにより質量作用の法則と等価の解釈を行う。

[編集] 超アクチノイド元素の一覧

魔法数により可能性が指摘されている範囲までを記載。)

他の言語