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[[ファイル:HPHTdiamonds2.JPG|thumb|300px|高圧高温法により合成し、様々な色を呈したダイヤモンド]]
#REDIRECT [[ダイヤモンド]]
'''合成ダイヤモンド'''(Synthetic diamond)は、[[地球]]内部で生成される天然[[ダイヤモンド]]と対して、[[科学技術]]により[[人工]]的に作り上げたダイヤモンドである。高温高圧合成(HPHT)や[[化学気相蒸着]](CVD)法により合成される。

[[1879年]]から[[1928年]]にかけて、ダイヤモンドの合成を試みたが、全て失敗している。[[1940年代]]には、[[アメリカ合衆国]]、[[スウェーデン]]、そして[[ソビエト連邦]]がCVD法とHPHT法を用いたダイヤモンド合成を体系的に研究し始め、[[1953年]]頃に再現性のとれる最初の合成方法を発表した。この2つの方法で主にダイヤモンドは合成されている。また[[炭素]][[元素]]を含む[[爆薬]]を使用し、[[爆轟]](デトネーション)による合成法が[[1990年代]]後半に開発された。さらに高出力の[[超音波]]を用いて[[グラファイト]]を処理する[[キャビテーション]]法もあるが、商業的にまだ利用されていない。

合成ダイヤモンドの特性は合成方法により異なり、[[硬さ]]や[[熱伝導|熱]]・[[電気伝導|電気伝導性]]、[[電子移動度]]が天然ダイヤモンドよりも優れる特性を有する。このため合成ダイヤモンドは[[研磨材]]、[[切削工具]]、[[ヒートシンク]](放熱板)などに広く使われる。また[[発電所]]の高電圧[[開閉器]]、高周波[[電界効果トランジスタ]]と[[発光ダイオード]]として利用が進められている。

== 歴史 ==
=== 合成の試み ===
[[1797年]]にダイヤモンドが炭素のみで構成されている事が発見されると、安価な炭素材料を用いてダイヤモンドの合成を試みた。[[1879年]]にジェームス・バランタイン・ハネイ([[:en: James Ballantyne Hannay|英語版]])が初めて合成に成功し<ref>{{cite journal| author = J. B. Hannay| title = On the Artificial Formation of the Diamond| journal = Proc. R. Soc. Lond.|year = 1879 |volume = 30|pages = 450–461| doi = 10.1098/rspl.1879.0144}}</ref>、[[1893年]]に[[アンリ・モアッサン]]も続いて合成している。彼らは、炭素を含む[[鉄]]製の[[るつぼ]]に[[木炭]]を3500[[セルシウス度|°C]]まで加熱し合成させる方法であった。ハネイは炎熱管を用いたが、モアッサンは新しく改良した[[アーク炉]]を使用した<ref>{{cite journal|author= C. Royère|year=1999|title=The electric furnace of Henri Moissan at one hundred years: connection with the electric furnace, the solar furnace, the plasma furnace?|journal=Annales pharmaceutiques françaises|volume=57|page=116|pmid=10365467|issue= 2}}</ref>。溶融した鉄は[[水]]に浸すと急激に冷やされ、恐らくその鉄が[[凝固]]した際に発生した[[体積]]の収縮が、黒鉛がダイヤモンドに変化するのに十分な高い圧力を発生させたのではないかと考えられた。モアッサンは[[1890年代]]に研究論文を発表している。<ref>{{cite journal| author = H. Moissan|title = Nouvelles expériences sur la reproduction du diamant| year = 1894|journal = Comptes Rendus|volume = 118|page = 320}}</ref>

多くの[[科学者]]がモアッサンの実験を再現しようと試みた。[[ウィリアム・クルックス]]卿が[[1909年]]に成功し<ref name = crookes>{{cite book|author= Sir William Crookes|title = Diamonds|publisher = London and New York's Harper Brothers | year = 1909| pages=140 and up| url=http://www.farlang.com/diamonds/crookes_diamonds/page_003}}</ref>、またオットー・ルフが[[1917年]]に直径7[[ミリメートル|mm]]までに成長したダイヤモンドを合成したと報告したが<ref>{{cite journal| author = O. Ruff| title = Über die Bildung von Diamanten| journal = Zeitschrift für anorganische und allgemeine Chemie| volume = 99|issue = 1|pages = 73–104| doi = 10.1002/zaac.19170990109| year = 1917}}</ref>、後にそれを撤回している<ref name = nassau>{{cite book|author = K. Nassau |title = Gems made by Man|publisher = Chilton Book Co|year = 1980|pages = 12–25| isbn = 0801967732}}</ref>。マクファーソン大学([[:en: McPherson College|英語版]])のウィラード・ハーシー博士はモアッサンとルフの実験を再現しダイヤモンドを合成させた<ref>{{cite book|pages=123–130|url=http://books.google.com/?id=35eij1e1al8C&pg=PA123|title=The Book of Diamonds: Their Curious Lore, Properties, Tests and Synthetic Manufacture|year=2004|author=J. Willard Hershey|publisher=Kessinger Publishing|isbn=1417977159}}</ref><ref name = hershey>{{cite book|author= J. Willard Hershey PhD|title = Book of Diamonds|publisher = Heathside Press, New York|isbn = 0486418162| year = 1940| pages=127–132| url=http://www.farlang.com/diamonds/hershey-diamond-chapters/page_137}}</ref>。その試料はアメリカ・[[カンザス州]]のマクファーソン博物館([[:en: McPherson Museum|英語版]])に展示している<ref>{{cite web|url=http://www.mcphersonmuseum.com/3.html|title=Permanent collection|publisher=McPherson museum|accessdate=2009-08-08}}</ref>。しかし他の実験者は、3人の実験方法を試しても合成することが出来なかった<ref name=lonsdale>{{cite journal |author=K. Lonsdale| title= Further Comments on Attempts by H. Moissan, J. B. Hannay and Sir Charles Parsons to Make Diamonds in the Laboratory |url= http://67.50.46.175/paperspdf/lons-k1962.pdf |journal=Nature| volume= 196 |year=1962| page=104| doi= 10.1038/196104a0 | issue=4850}}</ref><ref name=don>{{cite book| author = M. O'Donoghue|title = Gems|publisher = Elsevier| year = 2006| isbn = 0-75-065856-8|page = 473}}</ref>。

[[蒸気タービン]]を発明したことで知られる[[技術者]]の[[チャールズ・アルジャーノン・パーソンズ]]卿が最も信頼できる合成方法を確立させた。彼は40年の歳月と財産の大部分を費やし、ハネイとモアッサンの実験を行ったが、結果的には彼独自の合成方法を編み出した<ref>{{cite book|url=http://books.google.com/?id=ZqwJk5QvG8gC&pg=PA194|page=194|title=50 years progress in crystal growth: a reprint collection|author=R. S. Feigelson|publisher=Elsevier|year=2004|isbn=0444516506}}</ref>。彼は労を惜しまず研究を続け、几帳面に実験結果を記録していた。現在彼が作成した全ての試料はさらなる分析を行う為に保存されている<ref name=b6>Barnard, pp. 6–7</ref>。また彼は高温高圧合成法を用いて小さなダイヤモンドの合成に成功し、それに関する多数の論文を書き上げた<ref>{{cite journal| author = C. A. Parson|title = Some notes on carbon at high temperatures and pressures|url = http://67.50.46.175/paperspdf/pars-ca1907.pdf|doi = 10.1098/rspa.1907.0062|journal = Proceedings of the Royal Society of London|volume = 79a|year = 1907|page = 532}}</ref>。しかし、C.H.デッシュ博士は[[1928年]]にモアッサンやパーソンが行った全ての実験ではダイヤモンドは合成できないと明言した論文が発表され<ref>{{cite journal| author = C.H. Desch| title = The Problem of Artificial Production of Diamonds| journal = Nature| volume = 121|page = 799 |year = 1928|doi = 10.1038/121799a0| issue=3055}}</ref>、合成[[スピネル]]と類似した物質が生成したのではないかとその当時は推測されていた。<ref name=lonsdale/>

=== GEダイヤモンド計画 ===
[[ファイル:Beltpress.gif|thumb|[[1980年代]]に生産された[[神戸製鋼所|神戸製鋼]]製のベルトプレス型高圧装置]]
[[1941年]]にダイヤモンド合成のさらなる改良を目指して、[[ジェネラル・エレクトリック]](GE)社、ノートン社、カーボランダム社の3社合同で研究を始めた。彼らは数秒間の3.5[[ギガ|G]][[パスカル|Pa]]の圧力下で3000°Cまで炭素を加熱させるのに成功したが、その後の[[第二次世界大戦]]により計画を中断せざるを得なくなった。[[1951年]]に[[ニューヨーク州]]のスケネクタディ研究所で再開し、トレイシー・ホール([[:en: Tracy Hall|英語版]])率いる高圧合成ダイヤモンド研究チームが結成された。<ref name = makers>{{cite book|author = R. M. Hazen|title = The diamond makers|publisher = Cambridge University Press|year = 1999|pages = 100–113| isbn = 0521654742}}</ref>

この研究所のダイヤモンドアンビルセルが、[[1946年]]に[[ノーベル物理学賞]]を受賞した[[パーシー・ブリッジマン]]によって設計・改善された。GEは炭化タングステン([[:en: Tungsten carbide|英語版]])製アンビルを用いて、カトリナイト([[:en: Catlinite|英語版]])の容器に入れた試料に圧力をかける方法を使用した。偶然にもその方法でダイヤモンドが合成されたが、再現性は取れなかった。<ref>O'Donoghue, p. 474</ref><ref name=er>{{cite journal|last1=Bovenkerk|first1=H. P.|last2=Bundy|first2=F. P.|last3=Chrenko|first3=R. M.|last4=Codella|first4=P. J.|last5=Strong|first5=H. M.|last6=Wentorf|first6=R. H.|title=Errors in diamond synthesis|journal=Nature|volume=365|pages=19|year=1993|doi=10.1038/365019a0|issue=6441}}</ref>

ホールはベルトプレス型アンビルを用いて、[[1954年]][[12月16日]]に最初の商業的な合成ダイヤモンドを完成し、[[1955年]][[2月15日]]に公表された。このベルトプレス型アンビル内では[[温度]]2000°C以上、[[圧力]]10GPa以上の状態を作り出すことができ<ref>{{cite journal|author=H. T. Hall |title= Ultra-high pressure apparatus |doi =10.1063/1.1716907| journal= Rev. Sci. Instr. |volume=31 |year= 1960 |url = http://67.50.46.175/pdf/19600162.pdf|page= 125 |bibcode=1960RScI...31..125H}}</ref>、溶融した[[ニッケル]]・[[コバルト]]・鉄で溶解したグラファイトを[[葉ろう石]]の容器に入れ使用する。融解した金属は"触媒"のような役割を果たし、グラファイトを溶かすだけでなく、ダイヤモンドへ変化させる速度を上げている。彼が合成した最大のダイヤモンドは直径0.15mmで、それはあまりにもサイズが小さく宝石としては不完全なものであったが、工業用研磨材として利用できる。ホールの同僚たちもダイヤモンドを合成することに成功し、研究結果を科学専門誌[[ネイチャー]]に掲載した<ref>{{cite journal|author=F. P. Bundy, H. T. Hall, H. M. Strong and R. H. Wentorf|journal=Nature|volume=176|title=Man-made diamonds|page=51|doi=10.1038/176051a0 |year=1955|issue=4471}}</ref><ref name=nature1959>{{cite journal|author=H. P. Bovenkerk, F. P. Bundy, H. T. Hall, H. M. Strong and R. H. Wentorf|journal=Nature|volume=184|title=Preparation of diamond| doi = 10.1038/1841094a0 |page=1094|year=1959|issue=4693}}</ref>。ホールは再現・証明可能なダイヤモンド合成を行い、また十分な裏付けのある合成過程を創出した人物となった<ref name=er/><ref name=b40>Barnard, pp. 40–43</ref>。彼は[[1955年]]にGEを退社、3年後新しくダイヤモンド合成用のアンビルを開発し、これまでの研究成果を讃えられ[[アメリカ化学会]]賞を受賞している<ref>{{cite web| accessdate= 2009-08-08|publisher=American Chemical Society|title =ACS Award for Creative Invention|url =http://webapps.acs.org/findawards/detail.jsp?ContentId=CTP_004506}}</ref>。

=== その後の研究開発 ===
[[ファイル:Dia scalpel.jpg |thumb|left|単結晶合成ダイヤモンドで作製された外科用[[メス]]]]
前述のGE社の他に、[[1953年]][[2月16日]]にスウェーデンの大手[[電気機器]]メーカーASEA社([[:en:ASEA|英語版]])も独自に合成ダイヤモンドを完成した。[[1949年]]に”QUINTUS” という[[コードネーム]]で呼ばれた極秘ダイヤモンド合成プロジェクトとして、5人の科学者と技術者を雇い研究に着手した。彼らは大きな分割球装置を使用し、装置内の圧力を1時間で8.4GPa維持することに成功した<ref name = makers/><ref>{{cite journal |author =H. Liander and E. Lundblad |journal =ASEA Journal |title = Artificial diamonds| volume =28 |year =1955 |page= 97}}</ref>。しかし宝石としてはサイズも質も劣る非常に小さなダイヤモンドしか生成できず、[[1980年代]]まで研究結果の報告を行わなかった<ref name=b31>Barnard, pp. 31–33</ref>。その後ASEA社にとって新たな競争相手が現れた。それは[[韓国]]のイルジン・ダイヤモンドという会社で、数百社の[[中国]]企業を従わせる大企業であった。しかし、この会社は元GEの韓国人社員によるGE社の企業秘密を不正流用した開発技術により、ダイヤモンドを合成したと言われている。<ref>General Electric v. Sung, 843 F. Supp. 776: "granting production injunction against Iljin Diamond" cited in {{cite book|title=Epstein on intellectual property|author=M. A. Epstein|page=121|publisher=Aspen Publishers Online|year=1998|isbn=0735503192|url=http://books.google.com/?id=e4Qb5EkASmUC&pg=PT121}}</ref><ref>{{cite book|url=http://books.google.com/?id=96MPNdvDbpYC&pg=PA76|pages=76–77|title=The writing on the wall|author= Wm. C. Hannas|publisher=University of Pennsylvania Press|year=2003|isbn=0812237110}}</ref>

[[1970年]]にGM社は、[[宝石]]と同等の質をもつ合成ダイヤモンドを最初に開発し、[[1971年]]にこの研究結果を発表した。方法としては、葉ろう石の筒型容器の両端にダイヤモンド粒子を種付けし、黒鉛を容器の中心に、またニッケルを用いた金属溶媒を黒鉛とダイヤの種晶を植え付けた容器の端との間に設置した。この容器を加熱し、さらに5.5GPaまで加圧した。[[結晶]]は容器の中心から両端に向けて析出し、時間の経過とともに結晶もより長く成長した。当初は一週間かけて実験を行っても、宝石として価値のあるのは大きさ約5mm、質量1[[カラット]](0.2[[グラム|g]])のダイヤモンドしか生成せず、合成条件は可能な限り安定にしなければならなかった。そのため、目的の結晶の形に遥かに制御しやすくするよう、原料である黒鉛はダイヤモンド粒子に変更された。<ref name=nature1959/>

最初の宝飾用合成ダイヤモンドには、[[不純物]]として[[窒素]]が含まれる為、常に[[黄色]]や[[褐色]]を呈していた。窒素を除去し、[[アルミニウム]]や[[チタン]]を加えると[[無色]][[透明]]になり、[[ホウ素]]では[[青色]]を示す。<ref name=burns>{{cite journal| author= R. C. Burns, V. Cvetkovic and C. N. Dodge |title =Growth-sector dependence of optical features in large synthetic diamonds| doi = 10.1016/0022-0248(90)90126-6 |journal =Journal of Crystal Growth |volume= 104 |year =1990 |page = 257}}</ref>

GE社が作製したダイヤモンドと天然ダイヤモンドの化学的に同一であるが、物理的性質は異なっていた。無色のダイヤに短波長の[[紫外線]]を照射すると、[[蛍光]]と[[燐光]]を発生するが、比較的長波長の紫外線ではこれらの現象は起こりにくい。希少で天然の青色ダイヤもこのような特性を示す。天然ダイヤと違い、GM社が合成したダイヤモンドに[[X線]]を向けると、濃黄色の蛍光を発した<ref>Barnard, p. 166</ref>。[[デビアス]]社ダイヤモンド研究所で、高温高圧法で6週間合成し続けて高品質の25カラット(5.0g)ダイヤモンド合成に成功した。しかし、経済的な理由も考慮して、1.0 – 1.5カラット(200 – 300mg)の大きさが最良であると結論づけた<ref name=bars/>。

[[1950年代]]、旧ソ連と[[イギリス]]は800°Cの比較的低い温度で[[炭化水素]]ガスの[[熱分解]]によるダイヤモンド合成の研究を開始した。この低温度による合成方法は化学気相蒸着(CVD)法という。[[1953年]]のウィリアム・G・エバーソールによれば、ダイヤモンド基盤上にダイヤの蒸着した膜が生成すると報告しているが、[[1962年]]まで研究結果が発表されなかった<ref>W. G. Eversole "Synthesis of diamond" {{US patent|3030188}}, April 17, 1962</ref>。しかし、[[1968年]]アンガスとその同僚らが<ref>{{cite journal| title = Growth of Diamond Seed Crystals by Vapor Deposition| author = J. C. Angus ''et al.''|doi = 10.1063/1.1656693 |journal= J. Appl. Phys. |volume= 39 |year =1968|page = 2915}}</ref>、[[1970年]]にもデリャーギンとフェドセーエフが独自にダイヤモンド膜の合成に成功した<ref>{{cite journal| author = B.V. Deryagin and D. V. Fedoseev|title = Epitaxial Synthesis of Diamond in the Metastable Region| journal = Rus. Chem. Rev. 39 |year =1970|page = 783| doi = 10.1070/RC1970v039n09ABEH002022| volume = 39}}</ref>。エバーソールとアンガスは高価で[[単結晶]]の大きなダイヤモンドを基盤として使用したが、デリャーギンらは[[ケイ素]]や[[金属]]の基盤上で生成している。[[1980年代]]はデリャーギンらの研究成果により、いかに安価なダイヤモンド膜を堆積させるか、研究開発が急速に進められた。<ref>Spear and Dismukes, pp. 265–266</ref>

== 合成方法 ==
ダイヤモンドの合成方法として、幾つかの方法が挙げられる。初期の方法では'''高温高圧法'''(High Pressure and High Temperature, '''HPHT''')が用いられ、低予算で合成できる為、現在でも広く使用されている。HPHT法は1500°Cで5GPaの高圧力を発生させるのに数百トンの力を必要とする。その次は'''化学気相蒸着法'''(Chemical Vapor Deposition, '''CVD''')による合成で、基盤上にダイヤモンドを形成するため、炭素を[[プラズマ]]状態に変化させ炭素原子を堆積させる方法である。また爆轟(デトネーション)による生成、超音波処理による方法も存在する。<ref name=CVD/><ref name=ozawa/><ref name="sonication"/>

=== 高温高圧合成法 ===
[[ファイル: Hydrostatic Synthesis.png|thumb|left|ベルトプレス型の概略図。両側からベルト(図ではDye)で固定されたセルが上下のアンビルにより垂直に圧力が加えられる。]]
ダイヤモンド合成に必要な圧力と温度を供給するために、主に3種類の高圧装置が用いられている。それはベルト型、キューブ型、そして分割球型である。

ベルト型は元来、GE社のトレーシー・ホールによって開発した装置である。装置内に試料の入った筒状セルが設置され、上下アンビルから[[油圧]]で圧力が加えられる。「ベルト」といわれる線材によりセルに巻き、予め圧力を加える。2つのアンビルは[[電極]]の役割を果たし、セルの内蔵ヒーターに電流を流し、高温高圧の状態を生み出すことができる<ref>{{cite web|url=http://www.diamondlab.org/80-hpht_synthesis.htm |title=HPHT synthesis| publisher = International Diamond Laboratories|accessdate= 2009-05-05}}</ref>。今日においても、ベルト型が使用され、初期の装置よりも巨大な圧力装置が製造されている<ref>Barnard, p. 150</ref>。

キュービック型圧力装置は、6つのアンビルを用い[[立方体]]型のセルの6面全てに圧力をかけるマルチアンビル装置である<ref name=ito/>。最初のマルチアンビルは[[正四面体]]構造の圧力装置で、圧力が四面体のセルに集中するように、4つのアンビルを使用している<ref>{{cite journal| author =H. T. Hall |title =Ultrahigh-Pressure Research: At ultrahigh pressures new and sometimes unexpected chemical and physical events occur |url = http://67.50.46.175/pdf/19580097.pdf |doi = 10.1126/science.128.3322.445| journal = Science| pmid =17834381 |volume =128 |year =1958| issue =3322 |page = 445 | bibcode=1958Sci...128..445H}}</ref>。キュービック型は加圧するとすぐにセル内の容積が増大する。また装置の大きさはベルト型よりもキュービック型が小さいが、ダイヤモンドを合成するのに適した圧力と温度に達する時間が速いのがキュービック型である。しかしながら、キュービック型装置は一般的には簡単に大きな容積を確保できない。よりアンビルが大きくなれば、加圧できる空間も広くなるが、同じ圧力を掛ける為には、プレスする力も強くしなければならないからである。そこで、圧力をかけられる空間の体積に対する[[表面積]]を小さくし、[[正十二面体]]のような[[多角形]]を均等に加圧できるアンビルの数を増やせばよい。しかし、このような装置を開発するにはあまりにも複雑で、非常に困難である。<ref name=ito>{{cite book| author = E. Ito|title = Multianvil cells and high-pressure experimental methods, in Treatise of Geophysics|editor = G. Schubert|publisher = Elsevier, Amsterdam|volume = 2| year = 2007 |pages= 197–230|isbn = 0812922751}}</ref>

[[ファイル: Bars3.jpg|thumb|分割球装置の概略図。中心にある合成カプセルが4つの炭化タングステン製の内部アンビルに囲まれ、またこのアンビルのも4つの鋼鉄製の外部アンビルで加圧される。チャンバー内に油が注がれ、外部アンビルに油が入り込まないようゴム製の隔壁が設置される。]]
そのような中、分割球装置(BARS装置)は最もコンパクトで、効率よく、さらに経済的にもダイヤモンドを合成できる。この装置の中心には、容積約2[[立方センチメートル|cm&sup3;]]の[[セラミックス]]製の小さな円筒容器が配置されている。この合成容器を葉ろう石等の立方体の圧力伝達物質の中に入れ、さらに炭化タングステン等の超硬合金製の内部アンビルで、そしてそれを最も外側にある8つの鋼鉄製外部アンビルにより加圧する<ref>{{cite journal |author =M. G. Loshak and L. I. Alexandrova |title =Rise in the efficiency of the use of cemented carbides as a matrix of diamond-containing studs of rock destruction tool |doi =10.1016/S0263-4368(00)00039-1 |journal = Int. J. Refractory Metals and Hard Materials |volume =19 |year =2001 |page = 5}}</ref>。直径1mのチャンバー内に固定され、この中に油が満たされ、反応容器に熱と圧力を同時に加えていく。同軸黒鉛加熱装置により合成容器を熱し、温度を[[熱電対]]により計測する。<ref name="lithos">{{cite journal |author = N. Pal'yanov ''et al.'' |title =Fluid-bearing alkaline carbonate melts as the medium for the formation of diamonds in the Earth's mantle: an experimental study |doi =10.1016/S0024-4937(01)00079-2 |journal =Lithos |volume =60 |year =2002 |page =145 |bibcode=2002Litho..60..145P}}</ref>

=== 化学気相蒸着法 ===
化学気相蒸着法(CVD法)は、炭化水素の混合ガスによりダイヤモンドを合成する事ができる。1980年代初頭、この方法は世界中の科学機関により研究対象にされていた。しかし大量に合成ダイヤモンドを生産するには、前節の高温高圧法がより適してしるが、容易で順応性の高いCVD装置は研究機関の間では人気がある。CVD法によるダイヤモンド合成の利点は様々な種類の基盤上で広範囲にダイヤを成長させることができる点と、また化学的な不純物の種類と量を細かく制御でき、それによりダイヤモンドの特性を自由に変化させることが可能な点である。高温高圧法とは異なり、CVD法による合成では高圧力の環境を必要としなく、一般的に27kPa未満でダイヤモンドの成長が行われる。<ref name=CVD/><ref name=milos>{{cite book|title =Physics and Applications of CVD Diamond|page=50|author =S. Koizumi, C. E. Nebel and M. Nesladek| publisher = Wiley VCH |year =2008|pages=200–240| isbn =3527408010|url =http://books.google.com/?id=pRFUZdHb688C&pg=RA1-PA50}}</ref>

CVD法でダイヤモンドを合成するには、合成基盤の前処理と、チャンバー内の混合気体の種類とその比率が重要である。まず基盤は、合成に適した材料とその結晶方位を選択しなければならない。基盤の合成面をダイヤモンド粉末で傷付け処理を施し、ダイヤ成長に最適な基盤表面温度(約800°C)を設定していく。次に、合成ガスは[[メタン]]などの炭素を含む気体と[[水素]](メタンと水素の割合は1対99)を必要とする。非ダイヤモンド炭素を[[エッチング]]により選択的に除去するため、水素は不可欠である。そして混合ガスは[[マイクロ波]]、熱フィラメント、[[アーク放電]]、電子ビームなどの方法で化学的に活性な[[ラジカル]]へと励起させる。

ダイヤモンド合成中、プラズマ状態の気体によりチャンバー内の物質はエッチングされ、成長中のダイヤモンド内に取り込まれる。特に気相合成ダイヤモンドには、装置に取り付けている透明の[[石英]]窓由来のケイ素が不純物として混入している事がある<ref>{{cite journal|doi=10.1002/pssa.200561920|title=Silicon incorporation in CVD diamond layers|year=2005|author=J. Barjon|journal=Physica status solidi (a)|volume=202|pages=2177|last2=Rzepka|first2=E.|last3=Jomard|first3=F.|last4=Laroche|first4=J.-M.|last5=Ballutaud|first5=D.|last6=Kociniewski|first6=T.|last7=Chevallier|first7=J.}}</ref>。それゆえに、石英窓のない装置で合成するか、また基盤から遠ざければよい。チャンバー内にホウ素を含む物質が存在すると、非常に低い濃度でも純粋なダイヤモンドの合成に適さなくなる。<ref name=CVD>{{cite journal| author =M. Werner ''et al.'' |title =Growth and application of undoped and doped diamond films |doi =10.1088/0034-4885/61/12/002|journal =Rep. Prog. Phys. |volume =61 |year =1998 |page =1665}}</ref><ref name=milos/><ref>{{cite book|url=http://books.google.com/?id=AICuflDe6LcC&pg=PA363|page=363|title=State-of-the-Art Program on Compound Semiconductors XXXIX and Nitride and Wide Bandgap Semiconductors for Sensors, Photonics and Electronics IV: proceedings of the Electrochemical Society|volume=2003–2011| author=R. F. Kopf|publisher=The Electrochemical Society|year=2003|isbn=1566773911}}</ref>

=== デトネーションによる合成 ===
[[ファイル: Detonationdiamond.jpg|thumb|[[透過型電子顕微鏡]](TEM)で撮影したデトネーションダイヤモンド]]
直径5nmのダイヤモンド結晶は、金属製のチャンバー内で炭素を含む[[爆発物]]による合成により生成できる。爆発の間、爆薬の炭素からダイヤモンドへと変換可能な高い圧力と温度を発生する。水中に沈めると、爆発合成後のチャンバーは急冷され、グラファイトからダイヤモンドへの生成を抑える<ref name=udd>{{cite journal|doi=10.1016/S0925-9635(99)00354-4|title=Structure and defects of detonation synthesis nanodiamond|year=2000|author=K. Iakoubovskii|journal=Diamond and Related Materials|volume=9|pages=861}}</ref>。生成した物質はグラファイトや非ダイヤモンド炭素が多く付着している為、約250°Cの熱[[硝酸]]で1日間それらを溶解させる<ref name=ozawa>{{cite journal|doi=10.1016/j.diamond.2007.08.008|title=Recent progress and perspectives in single-digit nanodiamond|year=2007|author=Osawa, E|journal=Diamond and Related Materials|volume=16|pages=2018}}</ref>。このナノダイヤモンド粉末は研磨材として利用される。主に中国、ロシア、[[ベラルーシ]]で生産され、大規模で市場に取引されつつある<ref name=dolmatov>{{cite journal |author =V. Yu. Dolmatov |title =Development of a rational technology for synthesis of high-quality detonation nanodiamonds |doi =10.1134/S1070427206120019 |journal =Russian Journal of Applied Chemistry |volume =79 |year =2006 |page= 1913}}</ref>。

=== 超音波キャビテーション法 ===
ミクロンサイズのダイヤモンドは、超音波によるキャビテーションを行うことで、[[標準状態]]下の有機溶媒中で分散したグラファイトから合成する事が可能である。ダイヤモンドの生産収率は、初めのグラファイトの質量の約10%しかない。またこの方法では、高温高圧法によりも非常に結晶性の悪いダイヤモンドが生成する。比較的簡素な設備と合成手順で生成可能であるが、2か所の研究機関からの報告のみで、2009年現在でも産業用の利用はない。グラファイト粉末の前処理、超音波の強さ、合成時間、溶媒などの多くのパラメータは未だ最適化されていない。そして生産効率の向上とコストの課題も残されたままである。<ref name="sonication">{{cite journal|author=E. M. Galimov ''et al.'' |title =Experimental Corroboration of the Synthesis of Diamond in the Cavitation Process| doi= 10.1134/1.1710678|journal = Doklady Physics |volume= 49 |year =2004| page= 150}}</ref><ref>{{cite journal|author= A. Kh. Khachatryan ''et al.''|title =Graphite-to-diamond transformation induced by ultrasonic cavitation| doi= 10.1016/j.diamond.2008.01.112|journal=Diam. Relat. Mater.| volume= 17 |year= 2008| page= 931}}</ref>

== 特性 ==
全てのダイヤモンドの特性には光沢などの光の高い分散が挙げられる。しかし合成方法の違いにより特性も異なる。<ref>Spear and Dismukes, pp. 308–309</ref>

=== 結晶性 ===
ダイヤモンドは一つの[[単結晶]]か、またより小さい結晶の集合体である[[多結晶]]で構成される。無色透明の単結晶ダイヤモンドは宝石として利用される。一方、多結晶ダイヤモンドは多数の小粒子で成り、裸眼でも光の強い[[吸収]]と[[散乱]]を確認できる。このダイヤは宝石には向かず、採掘道具と切削用具に利用されている。またこのダイヤは構成している結晶の粒子平均サイズで表せる。粒子の大きさは数nmから数百μmの範囲に広がり、それぞれナノ結晶ダイヤモンド、マイクロ結晶ダイヤモンドといわれる。<ref>{{cite book|url=http://books.google.com/?id=2g5GJtBFwo0C&pg=PA136|page=136|title= Handbook of Electrochemistry |author=Cynthia G. Zoski|publisher=Elsevier|year=2007|isbn=0444519580}}</ref>

=== 硬度 ===
ダイヤモンドは最も硬い物質であることは知られている<ref name=blank/>。ここでの「[[硬度]]」は、ある物質で引っ掻いた時の傷付きにくさを最も軟らかい数値の「1」から「10」までの[[鉱物]]を定義した[[モース硬度]]のことであり、ダイヤモンドのモース硬度は最も硬い「10」である<ref name=read>{{cite book|url=http://books.google.com/?id=t-OQO3Wk-JsC&pg=PA49|pages=49–50|title=Gemmology|author=P. G. Read|publisher=Butterworth-Heinemann|year= 2005|isbn=0750664495}}</ref>。合成ダイヤモンドの硬度は、純度、結晶完全性、結晶方位に依存する。欠陥がなく結晶がより完全に近い程、また立方体型のダイヤモンド格子の[[対角線]]に沿った[111]方向([[ミラー指数]])の結晶面が硬い<ref>{{cite book|pages=142–147|url=http://books.google.com/?id=jtC1mUFZfQcC&pg=PA143|title=Properties, Growth and Applications of Diamond|author=A. J. Neves and M. H. Nazaré|publisher=IET|year= 2001|isbn=0852967853}}</ref>。CVD法により合成したナノ結晶ダイヤモンドは、単結晶ダイヤモンドの30% - 75%の硬度を持ち、特殊な方法で硬度を調節することも可能である。高温高圧法により生成したナノダイヤモンド(ハイパーダイヤモンド)は、全ての天然ダイヤモンドよりも硬いことが知られている。<ref name=blank>{{cite journal| author =V. Blank ''et al.'' |title =Ultrahard and superhard phases of fullerite C60: comparison with diamond on hardness and wear| doi= 10.1016/S0925-9635(97)00232-X |journal = Diamond and Related Materials |volume =7 |year =1998| page= 427 |url =http://nanoscan.info/wp-content/publications/article_03.pdf}}</ref><ref>{{cite journal| author= H. Sumiya |title =Super-hard diamond indenter prepared from high-purity synthetic diamond crystal |doi = 10.1063/1.1850654 |journal =Rev. Sci. Instrum. |volume =76 |year= 2005 |page =026112}}</ref><ref>{{cite journal| author =C-S Yan ''et al.'' |title =Ultrahard diamond single crystals from chemical vapor deposition| doi=10.1002/pssa.200409033 |journal= Phys. Stat. Solidi (a) |volume= 201 |year =2005 |page=R25}}</ref>

=== 不純物の存在 ===
全てのダイヤモンドには、少なからず炭素以外の原子を含んでいる。ダイヤモンドに含まれる不純物は除去されるべきであるが、これがダイヤモンドの何らかの特性を決定づけている。例えば、純粋なダイヤモンドは電気[[絶縁体]]であるが、ホウ素をドープすると電気伝導性を示し、[[電子工学]]分野での応用が期待できる<ref name="nature">{{cite journal |author =E. Ekimov ''et al.'' |title =Superconductivity in diamond| doi= 10.1038/nature02449 |journal =Nature |pmid =15057827 |volume =428 |issue =6982 |year= 2004 |page = 542| url =http://www.nims.go.jp/NFM/paper1/SuperconductingDiamond/01nature02449.pdf |bibcode=2004Natur.428..542E}}</ref>。窒素が含まれると、[[格子]][[転位]]([[結晶構造]]内に起こる[[欠陥]])の移動を妨げ、格子に圧縮応力が加わるため、硬度と[[靱性]]が増す。<ref name=Catledge1999>{{cite journal|author = S. A. Catledge|year = 1999|title = Effect of nitrogen addition on the microstructure and mechanical properties of diamond films grown using high-methane concentrations|journal = Journal of Applied Physics|volume = 86|page = 698|doi = 10.1063/1.370787|last2 = Vohra|first2 = Yogesh K.}}</ref>

=== 熱伝導性 ===
大抵の電気絶縁体と異なり、純粋なダイヤモンドは結晶内の強い[[共有結合]]により熱伝導の優れた物質である。純粋なダイヤモンドの熱伝導性はあらゆる固体物質の中で最も大きい。また99.9%の[[質量数]]12の炭素(<sup>12</sup>C)で構成される単結晶の合成ダイヤモンドは全物質中で最大の熱伝導率を有し、室温での値は30 W/cm•Kで、[[銅]]の7.5倍である。しかし天然ダイヤモンドの熱伝導率は合成ダイヤモンドのそれより1.1%減少する。それは、天然ダイヤには<sup>13</sup>Cが含まれ、格子内の異質物としてふるまうからである。<ref name=PNU>{{cite journal |author =L. Wei ''et al.''|title =Thermal conductivity of isotopically modified single crystal diamond| journal= Phys. Rev. Lett. |volume = 70 |year = 1993 |page =3764| doi =10.1103/PhysRevLett.70.3764 |pmid=10053956 |bibcode=1993PhRvL..70.3764W}}</ref>

ダイヤモンドの高い熱伝導性を用いて、宝石商と宝石学者らはダイヤモンドの模倣品と区別する為に、熱電極プローブを使用している。先端に高純度の銅を取り付けたプローブは、1組2本の電池可動[[サーミスタ]]で成り立つ。一方のサーミスタは熱を発生させ、他方は温度を測定している。ダイヤモンドを例に挙げると、それはプローブ先端からの熱エネルギーを瞬時に伝え、もう一つのプローブでダイヤモンド内の温度変化を計測する。この試験に要する時間はわずか2、3秒である。<ref>J. F. Wenckus "Method and means of rapidly distinguishing a simulated diamond from natural diamond" {{US patent|4488821}} December 18, 1984</ref>

== 利用 ==
=== 工作機械・切削道具 ===
[[ファイル: Diamond blade very macro.jpg|thumb|アングルグラインダー([[:en:Angle grinder|英語版]])の刃に埋め込まれたダイヤモンド]]
殆どの合成ダイヤモンドの産業利用は長らく、ダイヤモンドの持つ「硬さ」に関係している。ダイヤモンドは工作機械や切削道具の理想的な材料として利用されている。全ての物質で最も硬いことから、あらゆる物(ダイヤモンド自身も)を研磨、切断、摩減させる。例えば、[[ドリル]]の刃、[[のこぎり]]、研磨用のダイヤモンド粉末に使用され、合成ダイヤモンドの最も一般的な利用方法となっている<ref>{{cite book |author=C. Holtzapffel |title=Turning And Mechanical Manipulation |url=http://books.google.com/?id=omwPAAAAYAAJ&pg=PA178 |publisher= Holtzapffel |pages=176–178 |year=1856 |isbn=1879335395}}</ref>。しかしこれらの道具で高速で鉄[[合金]]を加工するのには適さない。なぜなら、[[摩擦]]により生じる熱で炭素が鉄に溶解しやすくなる為、ダイヤモンドで作られた道具は他のよりも非常に摩耗しやすい。<ref>{{cite journal| author =R. T. Coelho ''et al.'' |title =The application of polycrystalline diamond (PCD) tool materials when drilling and reaming aluminum-based alloys including MMC| doi =10.1016/0890-6955(95)93044-7 |journal =International journal of machine tools & manufacture |volume =35 |year =1995 |page = 761}}</ref>

切削道具においては、切断部分の表面上に焼結した金属(コバルト等)にダイヤモンドの微粒子を[[分散]]しているのが多い。このダイヤは産業界で主に多結晶ダイヤモンド(Polycrystalline diamond, PCD)と言われている。PCDは切削工具以外にも採掘用機械にも使用される。以前は金属にCVDダイヤモンドをコーティングした工具が作製されたが、現在はPCD工具に取って代わるほど期待されていない。<ref name="tools">{{cite journal |author =W. Ahmed ''et al.'' |title =Diamond films grown on cemented WC-Co dental burs using an improved CVD method| doi =10.1016/S0925-9635(03)00074-8 |journal =Diamond and Related Materials |volume =12| year =2003| page= 1300}}</ref>

=== 熱伝導体 ===
金属のような高い熱伝導率を有する物質はたいてい電気伝導性を持つ。純粋な合成ダイヤモンドも熱伝導率が大きいが、電気はわずかしか通さない。このダイヤモンドの性質は電子産業にとって非常に貴重で、高出力のレーザーダイオードやトランジスタ用の[[ヒートシンク]]に利用されている<ref>{{cite web |url=http://www.sp3inc.com/spreader.htm |title=CVD Thick-Film Diamond Heat Spreaders |publisher=sp3 diamond technologies |accessdate=2009-05-05}}</ref><ref>{{cite journal |title=120 W CW output power from monolithic AlGaAs (800 nm) laser diode array mounted on diamond heatsink |author=M. Sakamoto, J. G. Endriz, D. R. Scifres |journal=Electronics Letters |year=1992 |volume=28 |issue=2 |pages=197–199 |doi=10.1049/el:19920123}}</ref>。多少高価なダイヤモンド放熱器を使用し効率的に熱を拡散すれば、装置の寿命を延ばすことも可能である。半導体技術にも、合成ダイヤモンド製の放熱板が利用され、オーバーヒートによるシリコンと半導体物質に受ける損傷を防いでいる。<ref>Kramadhati V. Ravi ''et al.'' "Diamond-silicon hybrid integrated heat spreader" {{US patent|6924170}}, August 2, 2005</ref>

=== 光学的利用 ===
ダイヤモンドは硬く、化学不活性でまた熱伝導率が高く、[[熱膨張率]]は小さい。このような特性を持つダイヤモンドは赤外線とマイクロ波放射に用いられる透過窓に非常に適している。合成ダイヤモンドは高出力CO<sub>2</sub>レーザー<ref>{{cite book| pages = 303–334| title = Materials for infrared windows and domes: properties and performance| author = D. C. Harris| publisher = SPIE Press|year = 1999|isbn = 0819434825}}</ref>とジャイロトロン([[:en: Gyrotron|英語版]])の放射窓に使われる[[セレン化亜鉛]]に代替するものとして注目されている。これらダイヤモンド窓は直径の大きな(ジャイロトロン用は約10cmの)円盤状で、光の吸収を減少させる為に厚さを薄くしている。これはCVD法のみでしか作製できない。<ref>{{cite journal| author = T. Inai ''et al.'' |title = The diamond window for a milli-wave zone high power electromagnetic wave output| journal = New Diamond| volume = 15|page = 27|year =1999}}</ref><ref>{{cite book| author= G. S. Nusinovich| title = Introduction to the physics of gyrotrons| publisher = JHU Press|year = 2004|isbn = 0801879213| page = 229}}</ref>

高温高圧法と化学気相蒸着法の進歩により、単結晶ダイヤモンドの純度と結晶構造の完全性の向上がみられ、この合成ダイヤモンドは[[回折格子]]や[[シンクロトロン]]のような高出力の光源の透過窓に用いられるケイ素に代わるものとして十分である<ref>{{cite web|title=Diamond Monochromator for High Heat Flux Synchrotron X-ray Beams|author=A. M. Khounsary ''et al''| url=http://www.aps.anl.gov/Facility/Technical_Publications/lsnotes/ls215/ls215.html|accessdate=2009-05-05|publisher = Argonne National Laboratory}}</ref><ref>{{cite web|author=J. Heartwig ''et al''|title=Diamonds for Modern Synchrotron Radiation Sources |url=http://www.esrf.eu/UsersAndScience/Publications/Highlights/2005/Imaging/XIO5 |accessdate=2009-05-05| publisher = European Synchrotron Radiation Facility}}</ref>。また電気・磁気特性の測定用機械として透明なダイヤモンドアンビルを製造するために、CVD法と高温高圧法両方とも使用されている。<ref name="designerdiamond">{{cite journal| name= D.D. Jackson ''et al.'' |title=Magnetic susceptibility measurements at high pressure using designer diamond anvils| doi= 10.1063/1.1544084|journal=Rev. Sci. Instrum.|volume=74|year=2003|page=2467| author= Jackson, D. D.| last2= Aracne-Ruddle| first2= C.| last3= Malba| first3= V.| last4= Weir| first4= S. T.| last5= Catledge| first5= S. A.| last6= Vohra| first6= Y. K.}}</ref>

=== エレクトロニクス産業 ===
合成ダイヤモンドにホウ素とリン等をドープできる為、半導体として使用できる可能性がある<ref name="semi">{{cite journal| author =A. Denisenko and E. Kohn |title =Diamond power devices. Concepts and limits| doi =10.1016/j.diamond.2004.12.043|journal=Diamond and Related Materials|volume=14 |year=2005|page=491}}</ref>。これら元素は炭素と比較して、[[価電子]]が1つ多いないし1つ少なく、ダイヤモンドを[[P型半導体|p-型]]または[[N型半導体|n-型半導体]]に変化させる。連続的にホウ素とリンをダイヤモンド内にドープし[[pn接合]]を作製させると、波長235nmの紫外線を発生する[[発光ダイオード|LED]]を作り上げたと報告されている<ref name="koizumi">{{cite journal| author =S. Koizumi ''et al.'' |title =Ultraviolet Emission from a Diamond pn Junction| doi = 10.1126/science.1060258| journal = Science| pmid =11397942 |volume=292| issue =5523|year=2001|page=1899}}</ref>。ドープした合成ダイヤモンドの他の特性としては、[[電子移動度]]が高いことが挙げられる。CVD法で合成した単結晶ダイヤモンドの電子移動度は4500cm&sup2;/( V•s)に達し、高周波数の電界効果トランジスタに期待できる<ref name=isberg>{{cite journal |author =J. Isberg ''et al.'' |title =High Carrier Mobility in Single-Crystal Plasma-Deposited Diamond |doi = 10.1126/science.1074374 |journal =Science |pmid =12215638|volume=297 |issue =5587|year=2002|page=5587}}</ref>。ダイヤモンドの[[バンドギャップ]]が5.5[[電子ボルト|eV]]と大きい為、優れた[[誘電体]]を与える。ダイヤモンドの高い電気的安定性が発電所の高電圧用開閉器の原型となっている。<ref>{{cite journal|author=J. Isberg, M. Gabrysch, A. Tajani, and D.J. Twitchen|title = High-field Electrical Transport in Single Crystal CVD Diamond Diodes|journal= Advances in Science and Technology|volume=48|year=2006|page=73|doi=10.4028/www.scientific.net/AST.48.73}}</ref>

合成ダイヤモンドのトランジスタは研究所内で作られてきた。これらはシリコン製よりも遥かに高い温度で作動でき、光や熱また化学的変化の耐性を持つ。ダイヤモンドのトランジスタなしでエレクトロニクス産業は成功しなかったと言われ、非常に高電圧で非酸化の状態を嫌う環境での使用に期待されている。<ref>{{cite journal| author= T. A. Railkar ''et al.'' |title =A critical review of chemical vapor-deposited (CVD) diamond for electronic applications|doi =10.1080/10408430008951119 |journal =Critical Reviews in Solid State and Materials Sciences |volume= 25 |year =2000|page = 163}}</ref><ref>[http://news.vanderbilt.edu/2011/08/nanodiamond/ "Designing diamond circuits for extreme environments", David Salisbury, Vanderbilt University Research News, Aug. 4, 2011]</ref>

合成ダイヤモンドは既に放射線検出器として使用されている。これは放射線に対して強化され、バンドギャップも高い。また安定した酸化物が不足しているダイヤモンドは、他の大部分の半導体と区別できる。これらの特性を利用して、[[SLAC国立加速器研究所]]の[[:en: BaBar experiment |BaBer]]検出器等に用いられている。<ref name="radiation">{{cite journal|author=M. Bucciolini |title=Diamond dosimetry: Outcomes of the CANDIDO and CONRADINFN projects|doi=10.1016/j.nima.2005.06.030|journal=Nuclear Instruments and Methods A|volume=552|year=2005|page=189|last2=Borchi|first2=E|last3=Bruzzi|first3=M|last4=Casati|first4=M|last5=Cirrone|first5=P|last6=Cuttone|first6=G|last7=Deangelis|first7=C|last8=Lovik|first8=I|last9=Onori|first9=S}}</ref>

導電性CVDダイヤモンドは、様々な分野で活躍している<ref name="electrode">{{cite journal |author= M. Panizza and G. Cerisola |title =Application of diamond electrodes to electrochemical processes|doi =10.1016/j.electacta.2005.04.023 |journal= Electrochimica Acta| volume=51 |year =2005|page = 191}}</ref>。光化学では、CVDで合成した多結晶ダイヤモンドの表面に[[DNA]]を共有結合により結合させる開発がなされている。検出対象となる生体分子とDNAとの相互作用によりダイヤモンドの電気伝導性が変化することにより、様々な[[生体物質]]を検出することが可能になる<ref>{{cite journal| author= C. E. Nebel ''et al.'' |title =Inhomogeneous DNA bonding to polycrystalline CVD diamond|doi =10.1016/j.diamond.2007.02.015|journal=Diamond and Related Materials|volume= 16 |year =2007|page = 1648}}</ref>。またダイヤモンドは通常発見できない[[酸化還元反応]]を検出し、時に水中の有機汚染物を酸化還元により分解できる。電極として、合成ダイヤモンドは有機物や酸化物を含む排水処理に使用されている<ref name="orga">{{cite journal|author= D. Gandini, E. Mahé, P.A. Michaud, W. Haenni, A. Perret, Ch. Comninellis |title =Oxidation of carbonylic acids at boron-doped diamond electrodes for wastewater treatment| doi =10.1023/A:1026526729357 |journal= Journal of Applied Electrochemistry|volume=20|year =2000|page=1345}}</ref><ref name="oxid">{{cite journal|author=P.A. Michaud, E. Mahé, W. Haenni, A. Perret, Ch. Comninellis |title =Preparation of peroxodisulfuric acid using Boron-Doped Diamond thin film electrodes|doi =10.1149/1.1390963|journal=Electrochemical and Solid-State Letters|volume=3|year=2000|page=77}}</ref>

=== 宝石 ===
[[ファイル:Apollo synthetic diamond.jpg|thumb|CVD法により合成し、宝石カットを施した無色透明のダイヤモンド]]
宝石として使用されるダイヤモンドは高温高圧法<ref name=bars>{{cite journal| author= R. Abbaschian ''et al.'' |title =High pressure-high temperature growth of diamond crystals using split sphere apparatus|doi =10.1016/j.diamond.2005.09.007 |journal = Diam. Rel. Mater. |volume = 14 |year =2005|page = 1916}}</ref>やCVD法<ref name=yarnell/>による合成でも作製される。これらは窒素の不純物により黄色に、ホウ素により青色に呈したのが多く、限りなく無色透明に近いダイヤモンドも合成されている<ref name=burns/>。合成後に照射することによりピンクや緑色等のダイヤモンドにすることも可能である<ref name=walker>{{cite journal| author= J. Walker |title =Optical absorption and luminescence in diamond| doi= 10.1088/0034-4885/42/10/001 |journal = Rep. Prog. Phys. |volume = 42 |year =1979|page = 1605}}</ref>。幾つかの企業は[[遺灰ダイヤモンド|遺灰からダイヤモンドの合成]]を試みている<ref>{{cite web|accessdate=2009-08-08|url=http://www.reuters.com/article/pressRelease/idUS213741+23-Jun-2009+PRN20090623|title=Memorial Diamonds Deliver Eternal Life|publisher=Reuters|date=June 23, 2009}}</ref>。

実験室で合成された宝石と同等の価値をもつダイヤモンドは化学的、物理的、光学的にも天然ダイヤモンドと同一のものであるが、赤外線や紫外線、X線によるスペクトル分析で判別できる。デビアスが開発した分析装置では、蛍光紫外線を用いて合成ダイヤモンドに含まれる窒素、ニッケルや他の金属の不純物を検出できる。<ref>O'Donoghue, p. 115</ref>

天然ダイヤモンドを取扱う業界にとって、合成ダイヤモンドの宝石市場への進出は脅威になりつつある。天然ダイヤの流通企業らは、彼らが取得した全ての[[特許]]情報を開示し、宝石に[[シリアルナンバー]]をレーザーで刻む方法を行った。<ref name=yarnell>{{cite journal |last1= Yarnell|first1=Amanda|date=2 February 2004|title= The Many Facets of Man-Made Diamonds|journal= Chemical & Engineering News|publisher= American Chemical Society|volume= 82|issue= 5|pages= 26–31|url= http://pubs.acs.org/cen/coverstory/8205/8205diamonds.html|issn= 0009-2347}}</ref>

== 脚注 ==
{{reflist}}

== 参考文献 ==
*{{cite book|url=http://books.google.com/?id=WQp_rEWV2XUC&printsec=frontcover|author = A. S. Barnard|title = The diamond formula: diamond synthesis-a gemological perspective|publisher = Butterworth-Heinemann|year = 2000|isbn = 0750642440}}
*{{cite book|url=http://books.google.com/?id=ZwcM5H-wHNoC&pg=PA474|title=Gems: their sources, descriptions and identification|author=Michael O'Donoghue|publisher=Butterworth-Heinemann|year=2006|isbn=0-75-065856-8}}
*{{cite book|url=http://books.google.com/?id=RR5HF25DB7UC&pg=PA310|title=Synthetic diamond|author=K. E. Spear and J. P. Dismukes|publisher=Wiley-IEEE|year=1994|isbn=0471535893}}
* Christoph Wild "CVD Diamond Properties and useful Formula" [http://www.diamond-materials.com/downloads/cvd_diamond_booklet.pdf CVD Diamond Booklet (2008) PDF]

== 関連項目 ==
*[[ダイヤモンド類似石]]
*[[モアッサン石]]

== 外部リンク ==
{{Commons category|Synthetic Diamond}}
*{{cite journal| author =J. Davis |url =http://www.wired.com/wired/archive/11.09/diamond.html |title =The New Diamond Age| journal = Wired Magazine |issue = 11.09 |year =2003}}
*[http://www.llnl.gov/str/December04/Weir.html Putting the Squeeze on Materials]

{{DEFAULTSORT:こうせいたいやもんと}}
[[Category:ダイヤモンド]]

[[ar:ألماس صناعي]]
[[en:Synthetic diamond]]
[[es:Diamante sintético]]
[[fr:Diamant synthétique]]
[[id:Berlian sintetis]]
[[it:Diamante sintetico]]
[[hu:Mesterséges gyémánt]]
[[nl:Diamantsynthese]]
[[pt:Diamante sintético]]
[[sv:Syntetisk diamant]]
[[ta:செயற்கை வைரம்]]
[[vi:Kim cương nhân tạo]]
[[zh:合成鑽石]]

2011年12月12日 (月) 15:31時点における版

高圧高温法により合成し、様々な色を呈したダイヤモンド

合成ダイヤモンド(Synthetic diamond)は、地球内部で生成される天然ダイヤモンドと対して、科学技術により人工的に作り上げたダイヤモンドである。高温高圧合成(HPHT)や化学気相蒸着(CVD)法により合成される。

1879年から1928年にかけて、ダイヤモンドの合成を試みたが、全て失敗している。1940年代には、アメリカ合衆国スウェーデン、そしてソビエト連邦がCVD法とHPHT法を用いたダイヤモンド合成を体系的に研究し始め、1953年頃に再現性のとれる最初の合成方法を発表した。この2つの方法で主にダイヤモンドは合成されている。また炭素元素を含む爆薬を使用し、爆轟(デトネーション)による合成法が1990年代後半に開発された。さらに高出力の超音波を用いてグラファイトを処理するキャビテーション法もあるが、商業的にまだ利用されていない。

合成ダイヤモンドの特性は合成方法により異なり、硬さ電気伝導性電子移動度が天然ダイヤモンドよりも優れる特性を有する。このため合成ダイヤモンドは研磨材切削工具ヒートシンク(放熱板)などに広く使われる。また発電所の高電圧開閉器、高周波電界効果トランジスタ発光ダイオードとして利用が進められている。

歴史

合成の試み

1797年にダイヤモンドが炭素のみで構成されている事が発見されると、安価な炭素材料を用いてダイヤモンドの合成を試みた。1879年にジェームス・バランタイン・ハネイ(英語版)が初めて合成に成功し[1]1893年アンリ・モアッサンも続いて合成している。彼らは、炭素を含む製のるつぼ木炭を3500°Cまで加熱し合成させる方法であった。ハネイは炎熱管を用いたが、モアッサンは新しく改良したアーク炉を使用した[2]。溶融した鉄はに浸すと急激に冷やされ、恐らくその鉄が凝固した際に発生した体積の収縮が、黒鉛がダイヤモンドに変化するのに十分な高い圧力を発生させたのではないかと考えられた。モアッサンは1890年代に研究論文を発表している。[3]

多くの科学者がモアッサンの実験を再現しようと試みた。ウィリアム・クルックス卿が1909年に成功し[4]、またオットー・ルフが1917年に直径7mmまでに成長したダイヤモンドを合成したと報告したが[5]、後にそれを撤回している[6]。マクファーソン大学(英語版)のウィラード・ハーシー博士はモアッサンとルフの実験を再現しダイヤモンドを合成させた[7][8]。その試料はアメリカ・カンザス州のマクファーソン博物館(英語版)に展示している[9]。しかし他の実験者は、3人の実験方法を試しても合成することが出来なかった[10][11]

蒸気タービンを発明したことで知られる技術者チャールズ・アルジャーノン・パーソンズ卿が最も信頼できる合成方法を確立させた。彼は40年の歳月と財産の大部分を費やし、ハネイとモアッサンの実験を行ったが、結果的には彼独自の合成方法を編み出した[12]。彼は労を惜しまず研究を続け、几帳面に実験結果を記録していた。現在彼が作成した全ての試料はさらなる分析を行う為に保存されている[13]。また彼は高温高圧合成法を用いて小さなダイヤモンドの合成に成功し、それに関する多数の論文を書き上げた[14]。しかし、C.H.デッシュ博士は1928年にモアッサンやパーソンが行った全ての実験ではダイヤモンドは合成できないと明言した論文が発表され[15]、合成スピネルと類似した物質が生成したのではないかとその当時は推測されていた。[10]

GEダイヤモンド計画

1980年代に生産された神戸製鋼製のベルトプレス型高圧装置

1941年にダイヤモンド合成のさらなる改良を目指して、ジェネラル・エレクトリック(GE)社、ノートン社、カーボランダム社の3社合同で研究を始めた。彼らは数秒間の3.5GPaの圧力下で3000°Cまで炭素を加熱させるのに成功したが、その後の第二次世界大戦により計画を中断せざるを得なくなった。1951年ニューヨーク州のスケネクタディ研究所で再開し、トレイシー・ホール(英語版)率いる高圧合成ダイヤモンド研究チームが結成された。[16]

この研究所のダイヤモンドアンビルセルが、1946年ノーベル物理学賞を受賞したパーシー・ブリッジマンによって設計・改善された。GEは炭化タングステン(英語版)製アンビルを用いて、カトリナイト(英語版)の容器に入れた試料に圧力をかける方法を使用した。偶然にもその方法でダイヤモンドが合成されたが、再現性は取れなかった。[17][18]

ホールはベルトプレス型アンビルを用いて、1954年12月16日に最初の商業的な合成ダイヤモンドを完成し、1955年2月15日に公表された。このベルトプレス型アンビル内では温度2000°C以上、圧力10GPa以上の状態を作り出すことができ[19]、溶融したニッケルコバルト・鉄で溶解したグラファイトを葉ろう石の容器に入れ使用する。融解した金属は"触媒"のような役割を果たし、グラファイトを溶かすだけでなく、ダイヤモンドへ変化させる速度を上げている。彼が合成した最大のダイヤモンドは直径0.15mmで、それはあまりにもサイズが小さく宝石としては不完全なものであったが、工業用研磨材として利用できる。ホールの同僚たちもダイヤモンドを合成することに成功し、研究結果を科学専門誌ネイチャーに掲載した[20][21]。ホールは再現・証明可能なダイヤモンド合成を行い、また十分な裏付けのある合成過程を創出した人物となった[18][22]。彼は1955年にGEを退社、3年後新しくダイヤモンド合成用のアンビルを開発し、これまでの研究成果を讃えられアメリカ化学会賞を受賞している[23]

その後の研究開発

単結晶合成ダイヤモンドで作製された外科用メス

前述のGE社の他に、1953年2月16日にスウェーデンの大手電気機器メーカーASEA社(英語版)も独自に合成ダイヤモンドを完成した。1949年に”QUINTUS” というコードネームで呼ばれた極秘ダイヤモンド合成プロジェクトとして、5人の科学者と技術者を雇い研究に着手した。彼らは大きな分割球装置を使用し、装置内の圧力を1時間で8.4GPa維持することに成功した[16][24]。しかし宝石としてはサイズも質も劣る非常に小さなダイヤモンドしか生成できず、1980年代まで研究結果の報告を行わなかった[25]。その後ASEA社にとって新たな競争相手が現れた。それは韓国のイルジン・ダイヤモンドという会社で、数百社の中国企業を従わせる大企業であった。しかし、この会社は元GEの韓国人社員によるGE社の企業秘密を不正流用した開発技術により、ダイヤモンドを合成したと言われている。[26][27]

1970年にGM社は、宝石と同等の質をもつ合成ダイヤモンドを最初に開発し、1971年にこの研究結果を発表した。方法としては、葉ろう石の筒型容器の両端にダイヤモンド粒子を種付けし、黒鉛を容器の中心に、またニッケルを用いた金属溶媒を黒鉛とダイヤの種晶を植え付けた容器の端との間に設置した。この容器を加熱し、さらに5.5GPaまで加圧した。結晶は容器の中心から両端に向けて析出し、時間の経過とともに結晶もより長く成長した。当初は一週間かけて実験を行っても、宝石として価値のあるのは大きさ約5mm、質量1カラット(0.2g)のダイヤモンドしか生成せず、合成条件は可能な限り安定にしなければならなかった。そのため、目的の結晶の形に遥かに制御しやすくするよう、原料である黒鉛はダイヤモンド粒子に変更された。[21]

最初の宝飾用合成ダイヤモンドには、不純物として窒素が含まれる為、常に黄色褐色を呈していた。窒素を除去し、アルミニウムチタンを加えると無色透明になり、ホウ素では青色を示す。[28]

GE社が作製したダイヤモンドと天然ダイヤモンドの化学的に同一であるが、物理的性質は異なっていた。無色のダイヤに短波長の紫外線を照射すると、蛍光燐光を発生するが、比較的長波長の紫外線ではこれらの現象は起こりにくい。希少で天然の青色ダイヤもこのような特性を示す。天然ダイヤと違い、GM社が合成したダイヤモンドにX線を向けると、濃黄色の蛍光を発した[29]デビアス社ダイヤモンド研究所で、高温高圧法で6週間合成し続けて高品質の25カラット(5.0g)ダイヤモンド合成に成功した。しかし、経済的な理由も考慮して、1.0 – 1.5カラット(200 – 300mg)の大きさが最良であると結論づけた[30]

1950年代、旧ソ連とイギリスは800°Cの比較的低い温度で炭化水素ガスの熱分解によるダイヤモンド合成の研究を開始した。この低温度による合成方法は化学気相蒸着(CVD)法という。1953年のウィリアム・G・エバーソールによれば、ダイヤモンド基盤上にダイヤの蒸着した膜が生成すると報告しているが、1962年まで研究結果が発表されなかった[31]。しかし、1968年アンガスとその同僚らが[32]1970年にもデリャーギンとフェドセーエフが独自にダイヤモンド膜の合成に成功した[33]。エバーソールとアンガスは高価で単結晶の大きなダイヤモンドを基盤として使用したが、デリャーギンらはケイ素金属の基盤上で生成している。1980年代はデリャーギンらの研究成果により、いかに安価なダイヤモンド膜を堆積させるか、研究開発が急速に進められた。[34]

合成方法

ダイヤモンドの合成方法として、幾つかの方法が挙げられる。初期の方法では高温高圧法(High Pressure and High Temperature, HPHT)が用いられ、低予算で合成できる為、現在でも広く使用されている。HPHT法は1500°Cで5GPaの高圧力を発生させるのに数百トンの力を必要とする。その次は化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition, CVD)による合成で、基盤上にダイヤモンドを形成するため、炭素をプラズマ状態に変化させ炭素原子を堆積させる方法である。また爆轟(デトネーション)による生成、超音波処理による方法も存在する。[35][36][37]

高温高圧合成法

ベルトプレス型の概略図。両側からベルト(図ではDye)で固定されたセルが上下のアンビルにより垂直に圧力が加えられる。

ダイヤモンド合成に必要な圧力と温度を供給するために、主に3種類の高圧装置が用いられている。それはベルト型、キューブ型、そして分割球型である。

ベルト型は元来、GE社のトレーシー・ホールによって開発した装置である。装置内に試料の入った筒状セルが設置され、上下アンビルから油圧で圧力が加えられる。「ベルト」といわれる線材によりセルに巻き、予め圧力を加える。2つのアンビルは電極の役割を果たし、セルの内蔵ヒーターに電流を流し、高温高圧の状態を生み出すことができる[38]。今日においても、ベルト型が使用され、初期の装置よりも巨大な圧力装置が製造されている[39]

キュービック型圧力装置は、6つのアンビルを用い立方体型のセルの6面全てに圧力をかけるマルチアンビル装置である[40]。最初のマルチアンビルは正四面体構造の圧力装置で、圧力が四面体のセルに集中するように、4つのアンビルを使用している[41]。キュービック型は加圧するとすぐにセル内の容積が増大する。また装置の大きさはベルト型よりもキュービック型が小さいが、ダイヤモンドを合成するのに適した圧力と温度に達する時間が速いのがキュービック型である。しかしながら、キュービック型装置は一般的には簡単に大きな容積を確保できない。よりアンビルが大きくなれば、加圧できる空間も広くなるが、同じ圧力を掛ける為には、プレスする力も強くしなければならないからである。そこで、圧力をかけられる空間の体積に対する表面積を小さくし、正十二面体のような多角形を均等に加圧できるアンビルの数を増やせばよい。しかし、このような装置を開発するにはあまりにも複雑で、非常に困難である。[40]

分割球装置の概略図。中心にある合成カプセルが4つの炭化タングステン製の内部アンビルに囲まれ、またこのアンビルのも4つの鋼鉄製の外部アンビルで加圧される。チャンバー内に油が注がれ、外部アンビルに油が入り込まないようゴム製の隔壁が設置される。

そのような中、分割球装置(BARS装置)は最もコンパクトで、効率よく、さらに経済的にもダイヤモンドを合成できる。この装置の中心には、容積約2cm³セラミックス製の小さな円筒容器が配置されている。この合成容器を葉ろう石等の立方体の圧力伝達物質の中に入れ、さらに炭化タングステン等の超硬合金製の内部アンビルで、そしてそれを最も外側にある8つの鋼鉄製外部アンビルにより加圧する[42]。直径1mのチャンバー内に固定され、この中に油が満たされ、反応容器に熱と圧力を同時に加えていく。同軸黒鉛加熱装置により合成容器を熱し、温度を熱電対により計測する。[43]

化学気相蒸着法

化学気相蒸着法(CVD法)は、炭化水素の混合ガスによりダイヤモンドを合成する事ができる。1980年代初頭、この方法は世界中の科学機関により研究対象にされていた。しかし大量に合成ダイヤモンドを生産するには、前節の高温高圧法がより適してしるが、容易で順応性の高いCVD装置は研究機関の間では人気がある。CVD法によるダイヤモンド合成の利点は様々な種類の基盤上で広範囲にダイヤを成長させることができる点と、また化学的な不純物の種類と量を細かく制御でき、それによりダイヤモンドの特性を自由に変化させることが可能な点である。高温高圧法とは異なり、CVD法による合成では高圧力の環境を必要としなく、一般的に27kPa未満でダイヤモンドの成長が行われる。[35][44]

CVD法でダイヤモンドを合成するには、合成基盤の前処理と、チャンバー内の混合気体の種類とその比率が重要である。まず基盤は、合成に適した材料とその結晶方位を選択しなければならない。基盤の合成面をダイヤモンド粉末で傷付け処理を施し、ダイヤ成長に最適な基盤表面温度(約800°C)を設定していく。次に、合成ガスはメタンなどの炭素を含む気体と水素(メタンと水素の割合は1対99)を必要とする。非ダイヤモンド炭素をエッチングにより選択的に除去するため、水素は不可欠である。そして混合ガスはマイクロ波、熱フィラメント、アーク放電、電子ビームなどの方法で化学的に活性なラジカルへと励起させる。

ダイヤモンド合成中、プラズマ状態の気体によりチャンバー内の物質はエッチングされ、成長中のダイヤモンド内に取り込まれる。特に気相合成ダイヤモンドには、装置に取り付けている透明の石英窓由来のケイ素が不純物として混入している事がある[45]。それゆえに、石英窓のない装置で合成するか、また基盤から遠ざければよい。チャンバー内にホウ素を含む物質が存在すると、非常に低い濃度でも純粋なダイヤモンドの合成に適さなくなる。[35][44][46]

デトネーションによる合成

透過型電子顕微鏡(TEM)で撮影したデトネーションダイヤモンド

直径5nmのダイヤモンド結晶は、金属製のチャンバー内で炭素を含む爆発物による合成により生成できる。爆発の間、爆薬の炭素からダイヤモンドへと変換可能な高い圧力と温度を発生する。水中に沈めると、爆発合成後のチャンバーは急冷され、グラファイトからダイヤモンドへの生成を抑える[47]。生成した物質はグラファイトや非ダイヤモンド炭素が多く付着している為、約250°Cの熱硝酸で1日間それらを溶解させる[36]。このナノダイヤモンド粉末は研磨材として利用される。主に中国、ロシア、ベラルーシで生産され、大規模で市場に取引されつつある[48]

超音波キャビテーション法

ミクロンサイズのダイヤモンドは、超音波によるキャビテーションを行うことで、標準状態下の有機溶媒中で分散したグラファイトから合成する事が可能である。ダイヤモンドの生産収率は、初めのグラファイトの質量の約10%しかない。またこの方法では、高温高圧法によりも非常に結晶性の悪いダイヤモンドが生成する。比較的簡素な設備と合成手順で生成可能であるが、2か所の研究機関からの報告のみで、2009年現在でも産業用の利用はない。グラファイト粉末の前処理、超音波の強さ、合成時間、溶媒などの多くのパラメータは未だ最適化されていない。そして生産効率の向上とコストの課題も残されたままである。[37][49]

特性

全てのダイヤモンドの特性には光沢などの光の高い分散が挙げられる。しかし合成方法の違いにより特性も異なる。[50]

結晶性

ダイヤモンドは一つの単結晶か、またより小さい結晶の集合体である多結晶で構成される。無色透明の単結晶ダイヤモンドは宝石として利用される。一方、多結晶ダイヤモンドは多数の小粒子で成り、裸眼でも光の強い吸収散乱を確認できる。このダイヤは宝石には向かず、採掘道具と切削用具に利用されている。またこのダイヤは構成している結晶の粒子平均サイズで表せる。粒子の大きさは数nmから数百μmの範囲に広がり、それぞれナノ結晶ダイヤモンド、マイクロ結晶ダイヤモンドといわれる。[51]

硬度

ダイヤモンドは最も硬い物質であることは知られている[52]。ここでの「硬度」は、ある物質で引っ掻いた時の傷付きにくさを最も軟らかい数値の「1」から「10」までの鉱物を定義したモース硬度のことであり、ダイヤモンドのモース硬度は最も硬い「10」である[53]。合成ダイヤモンドの硬度は、純度、結晶完全性、結晶方位に依存する。欠陥がなく結晶がより完全に近い程、また立方体型のダイヤモンド格子の対角線に沿った[111]方向(ミラー指数)の結晶面が硬い[54]。CVD法により合成したナノ結晶ダイヤモンドは、単結晶ダイヤモンドの30% - 75%の硬度を持ち、特殊な方法で硬度を調節することも可能である。高温高圧法により生成したナノダイヤモンド(ハイパーダイヤモンド)は、全ての天然ダイヤモンドよりも硬いことが知られている。[52][55][56]

不純物の存在

全てのダイヤモンドには、少なからず炭素以外の原子を含んでいる。ダイヤモンドに含まれる不純物は除去されるべきであるが、これがダイヤモンドの何らかの特性を決定づけている。例えば、純粋なダイヤモンドは電気絶縁体であるが、ホウ素をドープすると電気伝導性を示し、電子工学分野での応用が期待できる[57]。窒素が含まれると、格子転位結晶構造内に起こる欠陥)の移動を妨げ、格子に圧縮応力が加わるため、硬度と靱性が増す。[58]

熱伝導性

大抵の電気絶縁体と異なり、純粋なダイヤモンドは結晶内の強い共有結合により熱伝導の優れた物質である。純粋なダイヤモンドの熱伝導性はあらゆる固体物質の中で最も大きい。また99.9%の質量数12の炭素(12C)で構成される単結晶の合成ダイヤモンドは全物質中で最大の熱伝導率を有し、室温での値は30 W/cm•Kで、の7.5倍である。しかし天然ダイヤモンドの熱伝導率は合成ダイヤモンドのそれより1.1%減少する。それは、天然ダイヤには13Cが含まれ、格子内の異質物としてふるまうからである。[59]

ダイヤモンドの高い熱伝導性を用いて、宝石商と宝石学者らはダイヤモンドの模倣品と区別する為に、熱電極プローブを使用している。先端に高純度の銅を取り付けたプローブは、1組2本の電池可動サーミスタで成り立つ。一方のサーミスタは熱を発生させ、他方は温度を測定している。ダイヤモンドを例に挙げると、それはプローブ先端からの熱エネルギーを瞬時に伝え、もう一つのプローブでダイヤモンド内の温度変化を計測する。この試験に要する時間はわずか2、3秒である。[60]

利用

工作機械・切削道具

アングルグラインダー(英語版)の刃に埋め込まれたダイヤモンド

殆どの合成ダイヤモンドの産業利用は長らく、ダイヤモンドの持つ「硬さ」に関係している。ダイヤモンドは工作機械や切削道具の理想的な材料として利用されている。全ての物質で最も硬いことから、あらゆる物(ダイヤモンド自身も)を研磨、切断、摩減させる。例えば、ドリルの刃、のこぎり、研磨用のダイヤモンド粉末に使用され、合成ダイヤモンドの最も一般的な利用方法となっている[61]。しかしこれらの道具で高速で鉄合金を加工するのには適さない。なぜなら、摩擦により生じる熱で炭素が鉄に溶解しやすくなる為、ダイヤモンドで作られた道具は他のよりも非常に摩耗しやすい。[62]

切削道具においては、切断部分の表面上に焼結した金属(コバルト等)にダイヤモンドの微粒子を分散しているのが多い。このダイヤは産業界で主に多結晶ダイヤモンド(Polycrystalline diamond, PCD)と言われている。PCDは切削工具以外にも採掘用機械にも使用される。以前は金属にCVDダイヤモンドをコーティングした工具が作製されたが、現在はPCD工具に取って代わるほど期待されていない。[63]

熱伝導体

金属のような高い熱伝導率を有する物質はたいてい電気伝導性を持つ。純粋な合成ダイヤモンドも熱伝導率が大きいが、電気はわずかしか通さない。このダイヤモンドの性質は電子産業にとって非常に貴重で、高出力のレーザーダイオードやトランジスタ用のヒートシンクに利用されている[64][65]。多少高価なダイヤモンド放熱器を使用し効率的に熱を拡散すれば、装置の寿命を延ばすことも可能である。半導体技術にも、合成ダイヤモンド製の放熱板が利用され、オーバーヒートによるシリコンと半導体物質に受ける損傷を防いでいる。[66]

光学的利用

ダイヤモンドは硬く、化学不活性でまた熱伝導率が高く、熱膨張率は小さい。このような特性を持つダイヤモンドは赤外線とマイクロ波放射に用いられる透過窓に非常に適している。合成ダイヤモンドは高出力CO2レーザー[67]とジャイロトロン(英語版)の放射窓に使われるセレン化亜鉛に代替するものとして注目されている。これらダイヤモンド窓は直径の大きな(ジャイロトロン用は約10cmの)円盤状で、光の吸収を減少させる為に厚さを薄くしている。これはCVD法のみでしか作製できない。[68][69]

高温高圧法と化学気相蒸着法の進歩により、単結晶ダイヤモンドの純度と結晶構造の完全性の向上がみられ、この合成ダイヤモンドは回折格子シンクロトロンのような高出力の光源の透過窓に用いられるケイ素に代わるものとして十分である[70][71]。また電気・磁気特性の測定用機械として透明なダイヤモンドアンビルを製造するために、CVD法と高温高圧法両方とも使用されている。[72]

エレクトロニクス産業

合成ダイヤモンドにホウ素とリン等をドープできる為、半導体として使用できる可能性がある[73]。これら元素は炭素と比較して、価電子が1つ多いないし1つ少なく、ダイヤモンドをp-型またはn-型半導体に変化させる。連続的にホウ素とリンをダイヤモンド内にドープしpn接合を作製させると、波長235nmの紫外線を発生するLEDを作り上げたと報告されている[74]。ドープした合成ダイヤモンドの他の特性としては、電子移動度が高いことが挙げられる。CVD法で合成した単結晶ダイヤモンドの電子移動度は4500cm²/( V•s)に達し、高周波数の電界効果トランジスタに期待できる[75]。ダイヤモンドのバンドギャップが5.5eVと大きい為、優れた誘電体を与える。ダイヤモンドの高い電気的安定性が発電所の高電圧用開閉器の原型となっている。[76]

合成ダイヤモンドのトランジスタは研究所内で作られてきた。これらはシリコン製よりも遥かに高い温度で作動でき、光や熱また化学的変化の耐性を持つ。ダイヤモンドのトランジスタなしでエレクトロニクス産業は成功しなかったと言われ、非常に高電圧で非酸化の状態を嫌う環境での使用に期待されている。[77][78]

合成ダイヤモンドは既に放射線検出器として使用されている。これは放射線に対して強化され、バンドギャップも高い。また安定した酸化物が不足しているダイヤモンドは、他の大部分の半導体と区別できる。これらの特性を利用して、SLAC国立加速器研究所BaBer検出器等に用いられている。[79]

導電性CVDダイヤモンドは、様々な分野で活躍している[80]。光化学では、CVDで合成した多結晶ダイヤモンドの表面にDNAを共有結合により結合させる開発がなされている。検出対象となる生体分子とDNAとの相互作用によりダイヤモンドの電気伝導性が変化することにより、様々な生体物質を検出することが可能になる[81]。またダイヤモンドは通常発見できない酸化還元反応を検出し、時に水中の有機汚染物を酸化還元により分解できる。電極として、合成ダイヤモンドは有機物や酸化物を含む排水処理に使用されている[82][83]

宝石

CVD法により合成し、宝石カットを施した無色透明のダイヤモンド

宝石として使用されるダイヤモンドは高温高圧法[30]やCVD法[84]による合成でも作製される。これらは窒素の不純物により黄色に、ホウ素により青色に呈したのが多く、限りなく無色透明に近いダイヤモンドも合成されている[28]。合成後に照射することによりピンクや緑色等のダイヤモンドにすることも可能である[85]。幾つかの企業は遺灰からダイヤモンドの合成を試みている[86]

実験室で合成された宝石と同等の価値をもつダイヤモンドは化学的、物理的、光学的にも天然ダイヤモンドと同一のものであるが、赤外線や紫外線、X線によるスペクトル分析で判別できる。デビアスが開発した分析装置では、蛍光紫外線を用いて合成ダイヤモンドに含まれる窒素、ニッケルや他の金属の不純物を検出できる。[87]

天然ダイヤモンドを取扱う業界にとって、合成ダイヤモンドの宝石市場への進出は脅威になりつつある。天然ダイヤの流通企業らは、彼らが取得した全ての特許情報を開示し、宝石にシリアルナンバーをレーザーで刻む方法を行った。[84]

脚注

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参考文献

関連項目

外部リンク