終止符
終止符(しゅうしふ)は、横書き文書で文の終わりに打たれる点である。約物のひとつであり、図に示すようにベースライン(en:Baseline (typography))上に置かれる。
英語では、period ピリオド又は full stop フルストップ(en:full stop)と呼ばれる。アメリカ英語では period が普通であり、イギリス英語では full stop が普通である[1][2][3]。
文末を示す
日本語の縦書き文書では文の終わりにもっぱら句点(“。”、マル)が用いられる。横書き文書では句点を用いる流儀と終止符を用いる流儀があるが、普通はいずれか一方に統一され、混用されることはない。なお、横書きの公用文書には、旧文部省の「公用文作成の要領」および旧自治省の「左横書き文書の作成要領」のいずれにおいても句点の使用が正しいとされているため、終止符は用いられない。
日本語ベースで欧文交じりの横書き文書では、句点、終止符の両方が混用される場合があり、その使い分けはその直前の文字種に合わせるといった流儀もある。また、数式や欧文文字をある程度用いる理学系の文書などでは、統一性の観点から終止符に統一しているものも多い。
欧文(ラテン文字、キリル文字などで記述された言語による文)ではもっぱら文の終わりに終止符が用いられる。
省略の印
英語など多くの言語で、略語の最後に終止符と同じ点を打つが、イギリスでは単に "Mr", "Dr" などとすることが多い。語の途中の音を略すとき(エリジオン)にはアポストロフィー(’)が用いられる。頭字語でもそれぞれの字の後ろに終止符を打つことがあるが、英語では終止符を打たないことも多い。
- U.S.A. < United States of America
- Mr. < Mister
- rit. < ritardando
数の区切り
日本、中国、英語圏(イギリス、アメリカ)などでは、小数点に終止符を用いる。
ヨーロッパ大陸(フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ロシア)などでは、大きな数の3桁ごとの区切り(千、百万、十億など)に終止符を用いる。例:12.345 (一万二千三百四十五)。空白を用いる場合もある。例:12 345。なお、この場合、小数点にはコンマを用いる。例:1,23 (一点二三)。 13.344.556,677 889 92(1334万4千5百5十6点六六七 八八九 九二:小数の桁区切りには空白を用いるのが普通)
年月日などの区切り
いくつかの国では、年月日の区切りに終止符を用いることがある。 JIS X 0301-2019(情報交換のためのデータ要素および交換形式 - 日付および時刻の表記)では、年月日を元号の記号(令・R、平・H、昭・S など)を用いて表記する場合においては、年・月・日の区切りに終止符を用いると定めている(ISO 8601#国家標準による拡張)。
- 「令和2年6月23日」の表記の例:年・月・日はそれぞれ2桁で表示する。年月日を区切る記号は「.」(終止符)を用いなければならない(西暦を用いる場合は、2020-06-23のように、ハイフンで区切ると規定されている)。
- 令02.06.23
- R02.06.23
日本の「公用文作成の要領」においても、「昭和24.4.1」のような書きかたを認めている[4]。
時と分の区切りに:の代わりに終止符を用いることがあり、日本の道路標識ではそのように用いられる。
装飾としての利用
装飾として文字の間にピリオドが入れられる場合がある。発音はピリオドが無い場合と同じように行う(アルファベットで読まない)。S.T.A.L.K.E.R.など。
コンピュータ関係
コンピュータ関係では通常「ドット」と呼ばれ、小数点以外にもさまざまな用途に用いられる。
- Pascal、C言語、Javaなどでは、構造体やクラスの要素を参照するために用いられる。言語によっては名前空間による修飾にも用いられる。
- Pascal、Perl、Rubyなどでは2つのドット(..)を範囲指定に用いる。ALGOLではコロンを使っていたが、当時の多くの文字集合にコロンが含まれていなかったために「..」で代用したことに由来する。
- LISPでは2つの要素xとyから構成されるデータを「(x . y)」の形で表す。これを点対(dotted pair)と呼ぶ。
- Prologでは節の終わりを示す。
ファイル名やインターネットのホスト名(ドメイン名)やIPアドレスなどの区切り記号として用いられる。
- readme.txt
- www.wikipedia.org
- 192.168.0.1
縦書きにおける置き換え
日本語では、横書きに終止符を用いる場合であっても、縦書きとするときには終止符は次のように置き換えられる。
- 文末に終止符を用いる場合でも、句点に置き換えられる。
- 小数点は中黒に置き換えられる。
- No.などの表現は縦中横に置き換えられることがある。
- 日本語以外の言語の場合やドメインの区切りなどの場合は、句点のように終止符を文字枠の右上に配置して使用される。
終止符に係る慣用表現
- 終止符を打つ/ピリオドを打つ - 終わりにする、終わりになる。
終止符を含む語
終止符は前述した例(省略語を示す場合など)を除き文章中に用いられるものであり、固有名詞や単語に含まれることはほとんどないが、日本語において下記の固有名詞の例が存在する。
- 本田美奈子.:2004年に「本田美奈子」から画数が31画となるよう名前の後に「.」をつけ改名したもの。読みは変わらない。
符号位置
記号 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 名称 |
---|---|---|---|---|
. | U+002E |
1-1-5 |
. . |
ピリオド FULL STOP |
. | U+FF0E |
1-1-5 |
. . |
ピリオド(全角) FULLWIDTH FULL STOP |
出典
- ^ Full stop vs. period Grammarist
- ^ Full Stop/Period (.) English Oxford Living Dictionaries
- ^ 『プログレッシブ和英中辞典』 第3版 小学館 「しゅうしふ【終止符】」のページ
- ^ 公用文改善の趣旨徹底についての別紙 内閣閣甲第16号 昭和27年(1952年)4月4日、内閣官房長官から各省庁次官宛て(1981年、1986年、2010年に必要な読替えや省略がなされている。) 第3 書き方について 3 注2. 「日付は,場合によっては,「昭和 24.4.1」のように略記してもよい。」