仮想移動体通信事業者
仮想移動体通信事業者(かそういどうたいつうしんじぎょうしゃ、英語: Mobile Virtual Network Operator, MVNO、モバイル・バーチャル・ネットワーク・オペレーター)とは、無線通信回線設備を開設・運用せずに、自社ブランドで携帯電話やPHSなどの移動体通信サービスを行う事業者のことである。通信サービスの提供には移動体通信事業者(MNO)の卸売をうけたり、仮想移動体サービス提供者(MVNE)の機能を利用したりする。携帯電話サービスプロバイダまたは単にサービスプロバイダと呼ばれる。wireless communications services provider ワイヤレス コミュニケーションズ サービス プロバイダ とも呼ばれる。
なお、総務省による定義では、「MNOの提供する移動通信サービスを利用して、又はMNOと接続して、移動通信サービスを提供する電気通信事業者であって、当該移動通信サービスに係る無線局(基地局)を自ら開設しておらず、かつ、運用をしていない者」である[1]。
概略
移動体通信サービスにおけるOEM製品ともいえる。MVNOは、物理的な移動体回線網設備の負担なくサービスを提供できる(ただし、MVNOは間接的に、MNOが物理的設備にかけるコストの一部を負担している)。
MVNOとMNOとの契約形態は、大きく卸売(卸電気通信役務)か相互接続(事業者間接続)に分けられる。両者は、MVNO側が個人等の利用契約者に対して契約上提供する電気通信サービス(SIMカードからインターネット等まで)の範囲が異なる。すなわち、前者においては電気通信サービスの各部分のうち、本来であればMNOのみが提供できる部分(SIMカードや無線基地局等)も含め、MVNOが(利用契約者との契約上は)提供している(※MVNOは、MNOから当該部分の電気通信サービスを卸で購入している)。よって、利用契約者はMNOと契約する必要はない。一方後者は、本来であればMNOのみが提供できる部分については利用契約者とMNOが、それ以外の部分は利用契約者とMVNOがそれぞれ契約を結んで、電気通信サービスが提供されている。
最終的に電気通信サービスを利用する個人等から見たとき、どのサービスを利用するのか選択するにあたり「このサービス提供会社がMNOなのかMVNOなのか」やMVNOサービスの中でも「このサービスはどのMNOを経由するものか」が比較のための属性の一つとなる場合がある。また、MVNOに分類される会社によっては、複数のMNOと卸等の契約を結んでおり、それにより経由するMNOが異なる複数の通信サービスを提供しているものもある(例:2019年現在、株式会社インターネットイニシアティブは、MNOであるNTTドコモを経由するサービスプラン、およびMNOであるKDDIを経由するサービスプランを有する)。
2019年現在においては、最終利用者から見たとき、無線通信そのものの質では同程度の通信サービスについて、MNOと契約するよりもMVNOと契約する方が安価となるケースが存在している。このような安価となりうるMVNOサービス全般を指して「格安SIMサービス」という言葉が使われることもある。
日本におけるMVNO
2017年時点の日本で、MNOによるMVNOを除くMVNOは、NTTドコモ・KDDIの携帯電話網、UQコミュニケーションズのモバイルWiMAXを利用したものがある。また、MNOによるMVNOは、KDDIの+WiMAXやソフトバンクのSoftBank 4Gなどがある。
日本でのMVNO第1号は、2001年の日本通信 b-mobile(ビーモバイル)で、DDIポケット(現・ソフトバンク)のPHS網を利用した。同社は2009年からNTTドコモ網のレイヤー2接続も開始している。
2020年9月時点で、1450社がMVNOに参入している(MNOによるMVNOを除く)[2]。
テレコムサービス協会は、MVNOの普及、認知度向上を目的として「しむし」というゆるキャラを作成した[3]。
電話番号は、概ね関東・甲信越地域で卸元と契約した場合に発番される番号が割り当てられる(ディズニー・モバイルは、契約した各地域毎の番号帯が割り当てられる)。ただし、Y!mobileの自社回線[4]は、開業当初から全国一社体制だった関係もあり、地域別の附番は行っていないため、総務省が同社割り当てた番号帯のいずれも附番されうる。
音声通話系
名称 | MVNO | MVNE | MNO | サービス | 備考 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
開始 | 新規加入停止 | 廃止 | |||||
J:COM MOBILE powerd by WILLCOM | ジュピターテレコム (J:COM PHONE) |
Y!mobile (PHS) |
2006年3月1日 | 2010年7月1日 | 2013年3月31日 | 事実上、ウィルコム定額プランの再販。 | |
.Phoneユビキタス | NTTコミュニケーションズ (050IP電話) |
2007年10月25日 | 2018年3月8日 | 2020年3月31日 | NTTコミュニケーションズや無料通話先プロバイダを通話相手とした音声通話定額制 | ||
FUSION IP-Phone PHSプラン (旧称 楽天モバイル for Business) |
楽天コミュニケーションズ (050IP電話) |
2009年4月15日 | 2018年3月9日 | 2020年7月31日 | 自社IP電話回線と併用する形でのFMCサービス | ||
ディズニー・モバイル・オン・ソフトバンク | ウォルト・ディズニー・ジャパン | ソフトバンク | 2008年3月1日 | 2015年9月30日 | 2017年11月30日 | プランはソフトバンクのものと同様 |
SIMカード型
この節の加筆が望まれています。 |
データ通信回線の提供を主とするサービスで、「格安SIM」とも呼ばれる。一部の事業者は、データ通信機能に加えてSMS機能や音声通話機能に対応したサービスを提供している。
通信端末には、当該MVNOと対応するMNOが発売した端末、または、SIMフリー端末を使用することができる。ただし、MNOにより使用周波数帯が異なるため、使用する端末が対応しているかを当該MVNOのウェブサイト等であらかじめ確認する必要がある。一部のMVNOは独自に対応を確認したSIMフリー端末を販売している。
NTTドコモ系
名称 | MVNO | MVNE | サービス開始 | 系統 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
OCN モバイル ONE | NTTコミュニケーションズ | NTTコミュニケーションズ | 2013年8月29日 | ISP系 | NTTドコモの兄弟会社 |
ASAHIネット LTE | 朝日ネット | 2013年3月4日 | ISP系 | ||
NifMo | ニフティ | 2014年11月26日 | ISP系 | ||
@モバイルくん。 | SORAシム | 2015年6月10日 | ISP系 | ||
カシモ | MEモバイル | 2016年9月27日 | 独立系 | ||
@Sモバイル | 静岡新聞 | 2017年2月1日 | 独立系 | ||
INTERFONE mobile | IPC World, Inc. | 2017年4月20日 | 衛星放送系 | ||
LINEモバイル | LINEモバイル | 2016年9月21日 | キャリア系 | ||
イオンモバイル タイプ2 | イオンリテール | 2016年12月15日 | 流通系 | ||
インターリンクLTE SIM | インターリンク | NTTPCコミュニケーションズ | 2014年7月8日 | ISP系 | |
SkyLinkMobile | エレコム→アイキューブ・マーケティング | 2014年9月1日 | 独立系 | 2018年2月28日新規受付終了 | |
mineo Dプラン | オプテージ | オプテージ | 2015年9月1日 | 電力系 | 関西電力グループ |
Fiimo Dプラン | STNet | 2016年2月15日 | 電力系 | 四国電力グループ | |
nuroモバイル | ソニーネットワークコミュニケーションズ | ソニーネットワークコミュニケーションズ | 2016年10月1日 | ISP系 | |
ロケットモバイル プランD | IoTコンサルティング | 2016年5月16日 | 独立系 | ||
リペアSIM Dプラン | ギア | 2018年3月12日 | 独立系 | ||
AIRSIMモバイル | エア・コミュニケーション | 2016年7月19日 | ISP系 | ||
イプシム | WITH Networks | 2017年10月2日 | ISP系 | ||
IIJmio タイプD | インターネットイニシアティブ | インターネットイニシアティブ | 2012年2月27日 | ISP系 | |
BIC SIM タイプD | ラネット | 2013年6月14日 | 流通系 | ビックカメラの完全子会社 | |
Tikimo SIM タイプD | エヌディエス | 2015年6月26日 | ISP系 | ||
エキサイトモバイル | エキサイト | 2016年7月1日 | ISP系 | ||
hi-ho mobile | ハイホー | 2012年3月1日 | ISP系 | IIJの完全子会社 | |
DMM mobile | DMM.com→楽天モバイル | 2014年12月17日 | 独立系 | 2019年8月27日新規受付終了 | |
G-Call SIM | ジーエーピー | 2016年7月1日 | 独立系 | ||
エックスモバイル | エックスモバイル | 2017年10月10日 | 独立系 | ||
QTmobile Dタイプ | QTnet | 2017年3月1日 | 電力系 | 九州電力グループ | |
J:COM MOBILE Dプラン | ジュピターテレコム | 2015年10月29日 | CATV系 | ||
イオンモバイル タイプ1 | イオンリテール | 2016年2月26日 | 流通系 | ||
U-mobile PREMIUM | U-NEXT | 2016年7月1日 | ISP系 | 2017年6月30日新規受付終了 | |
BIGLOBEモバイル タイプD | ビッグローブ | ビッグローブ | 2017年10月10日 | ISP系 | |
b-mobile | 日本通信 | 日本通信 | 2008年8月7日[5] | 独立系 | |
日本通信SIM | 2020年7月15日 | ||||
HISモバイル | H.I.S.Mobile | 2018年2月15日 | 独立系 | H.I.S.と日本通信の合弁企業 | |
ヤマダ ニューモバイル | Y.U-mobile | 2017年4月1日 | 独立系 | ヤマダ電機とU-NEXTの合弁企業 | |
U-mobile MAX | U-NEXT | 2016年10月17日[6] | ISP系 | 2020年2月6日新規受付終了 | |
TONEモバイル | トーンモバイル→ドリーム・トレイン・インターネット | フリービット | 2015年5月5日 | ISP系 | |
DTI SIM | ドリーム・トレイン・インターネット | 2015年9月17日 | ISP系 | ||
レキオスモバイル | レキオス | 2015年10月1日 | ISP系 | ||
y.u mobile | Y.U-mobile | 2020年3月12日 | 独立系 | ||
スマモバ | スマートモバイルコミュニケーションズ | 2015年2月23日 | ISP系 | ||
U-mobile 通話プラス/データ専用 | U-NEXT | 2013年9月2日 | ISP系 | 2020年2月6日新規受付終了 | |
LinksMate | LogicLinks | LogicLinks | 2017年7月1日 | 独立系 | Cygamesの子会社 |
COMST SIM | 兼松コミュニケーションズ | 2018年11月8日 | 独立系 | ||
WirelessGate SIM | ワイヤレスゲート | ワイヤレスゲート | 2014年9月1日 | ISP系 | |
楽天モバイル | 楽天モバイル | 楽天モバイル | 2014年10月29日 | 中継電話系 | 2020年4月7日新規受付終了 |
Wonderlink | パナソニック | 富士通 | 2015年7月16日 | 独立系 | |
LIBMO | TOKAIコミュニケーションズ | TOKAIコミュニケーションズ | 2017年2月23日 | ISP系 | |
ピクセラモバイル | ピクセラ | 楽天コミュニケーションズ | 2017年3月22日 | 独立系 | |
ペンギンモバイル | 日本自由化事業協会 | 2015年11月1日 | 独立系 | ||
GMOとくとくBB SIM | GMOインターネット | 2016年3月31日 | ISP系 |
au系
名称 | MVNO | MVNE | サービス開始 | 系統 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
UQ mobile | UQコミュニケーションズ→KDDI | UQコミュニケーションズ | 2014年12月18日 | キャリア系 | KDDIの関連会社、2020年10月1日よりKDDIへ事業承継によりMNOに分類 |
J:COM MOBILE Aプラン | ジュピターテレコム | 2015年10月29日 | CATV系 | KDDIの子会社 | |
BIGLOBEモバイル タイプA | ビッグローブ | ビッグローブ | 2017年10月10日 | ISP系 | KDDIの完全子会社 |
mineo Aプラン | オプテージ | オプテージ | 2014年6月3日 | 電力系 | |
Fiimo Aプラン | STNet | 2016年2月15日 | 電力系 | ||
QTmobile Aタイプ | QTnet | 2017年3月1日 | 電力系 | ||
nuroモバイル | ソニーネットワークコミュニケーションズ | ソニーネットワークコミュニケーションズ | 2019年5月9日 | ISP系 | |
ロケットモバイル プランA | IoTコンサルティング | 2019年9月17日 | 独立系 | ||
IIJmio タイプA | インターネットイニシアティブ | インターネットイニシアティブ | 2016年10月1日 | ISP系 | |
BIC SIM タイプA | ラネット | 2016年10月1日 | 流通系 | ||
Tikimo SIM タイプA | エヌディエス | 2017年6月15日 | ISP系 | ||
エキサイトモバイル | エキサイト | 2020年11月4日 | ISP系 | ||
イオンモバイル タイプ1 | イオンリテール | 2018年3月1日 | 流通系 | ||
楽天モバイル | 楽天モバイル | 2018年10月1日 | 中継電話系 | 2020年4月7日新規受付終了 | |
LINEモバイル | LINEモバイル | 2019年4月22日 | キャリア系 |
ソフトバンク系
名称 | MVNO | MVNE | サービス開始 | 系統 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
LINEモバイル | LINEモバイル | LINEモバイル | 2018年7月2日 | キャリア系 | LINEとソフトバンクの合弁企業 |
Hitスマホ | 飛騨高山ケーブルネットワーク | SBパートナーズ | 2016年8月22日 | CATV系 | |
mineo Sプラン | オプテージ | オプテージ | 2018年9月4日[7] | 電力系 | |
nuroモバイル | ソニーネットワークコミュニケーションズ | ソニーネットワークコミュニケーションズ | 2017年12月19日 | ISP系 | |
ロケットモバイル プランS | IoTコンサルティング | 2018年7月18日 | 独立系 | ||
リペアSIM Sプラン | ギア | 2018年3月12日 | 独立系 | ||
QTmobile Sタイプ | QTnet | 2018年2月1日 | 電力系 | ||
b-mobile S | 日本通信 | 日本通信 | 2017年3月22日 | 独立系 | |
HISモバイル | H.I.S.Mobile | 2018年2月15日 | 独立系 | ||
スマモバ | スマートモバイルコミュニケーションズ | 2017年3月22日 | ISP系 | ||
U-mobile S | U-NEXT | 2017年3月22日 | ISP系 | 2020年2月6日新規受付終了 |
課金体系
SIMカード型サービスのデータ通信の課金体系は下記のようなものがある。
- 高速で通信可能な通信量が決まっており、それ以上の通信は速度が規制されるもの。1か月を単位として通信量を計算することが多いが、MVNOによっては1日単位とする契約プランもある
- MVNOによっては、専用アプリの操作で低速モードに切り替えることにより、高速で利用可能な通信量を消費しないようにすることができる
- 特定サービスの利用に関する通信は通信量の計算に含まないMVNOもある
- 速度は中速または低速だが、総通信量には制限がないもの
- 規定の通信量に達すると、追加料金を支払わなければ所定の期間中は通信不可能になるもの
- プリペイド方式で、利用可能期間と通信量が決まっているもの。なお、プリペイド方式では、本人確認不要にするため通話機能をなくしデータ通信専用とするのが一般的である
サービス終了または、事業撤退
名称 | MVNO | MVNE | MNO | サービス | 系統 | 備考 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
開始 | 新規加入停止 | 廃止 | ||||||
ファンダム支援SIM | アイストリーム | NTTドコモ | 2015年07月14日[8] | 2018年03月31日[9] | 独立系 | |||
ぷららモバイルLTE | NTTぷらら | NTTコミュニケーションズ | NTTドコモ | 2013年11月1日 | 2017年5月2日 | 2017年11月30日[10] | ISP系 | NTTコミュニケーションズの関連会社 |
ポインティSIM | アクセリア | NTTPCコミュニケーションズ | NTTドコモ | 2014年4月22日 | 2018年7月31日 | 独立系 | ||
FREETEL SIM | プラスワン・マーケティング→楽天モバイル | プラスワン・マーケティング | NTTドコモ | 2015年7月15日[11] | 2017年12月4日[12] | 独立系 | ||
J:COM MOBILE | ジュピターテレコム | ウィルコム | 2006年 | 2013年3月31日 | CATV系 | PHSと直収電話とのFMC 通話料にオプション割引制度 | ||
talkingSIM | 日本通信 | NTTドコモ | 2010年7月30日 | 2013年5月16日 | 独立系 | UIMカードのみ | ||
talking b-microSIM Platinum Service | SIMフリー版のiPhone4向けmicroSIM | |||||||
WILLCOM CORE 3G | ウィルコム | NTTドコモ | 2009年03月09日[13] | 2010年10月01日・08日[14] | 2017年11月30日[15] | キャリア系 | 日本通信の協力を得てサービスを開始したが、IIJに移管 | |
WILLCOM CORE 3G | ウィルコム | ソフトバンクモバイル | 2010年10月01日・08日[14] | 2014年8月 | キャリア系 | PHSとの組み合わせを音声でも提供開始 | ||
EMOBILE 4G-S | イー・アクセス | ソフトバンクモバイル3G Wireless City Planning AXGP |
2013年8月20日 | 2014年8月 | キャリア系 | 自社回線を一切利用しない | ||
ECナビケータイ | ECナビ | インフォニックス セレクトモバイル |
au電話 CDMA 1X WIN |
2009年8月3日 | 2012年7月27日 | 2013年2月28日 | 独立系 | 初期投資での資金不足により基盤ごとKDDIに移管[16] |
Tigersケータイ | 阪神タイガース | 2010年5月24日 受付開始5月10日 |
独立系 | |||||
GIANTSケータイ | 読売ジャイアンツ | 2010年6月30日 受付開始6月10日 |
独立系 | |||||
JALマイルフォン | 日本航空インターナショナル | 2010年5月18日 | 2013年6月30日 | 独立系 | ||||
ベネッセモバイルFREO | ベネッセコーポレーション | ソフトバンクテレコム | ソフトバンクモバイル | 2010年2月9日 | 2010年5月15日 | 2011年2月28日 | 独立系 | 進研ゼミ会員を対象 |
VERTU | ノキア | NTTドコモ | 2009年5月 | 2011年8月31日[17] | 独立系 | 国際ローミングサービスWORLD WING対応。 銀座に旗艦店をオープン。金、プラチナ、宝石、螺鈿をちりばめた職人手作りの端末、電話やメールでホテルやレストラン、航空券の予約などを行える"VERTU Club"コンシェルジュも展開。[18] |
なお、MVNOとは称していなかったが、現在で言うMVNOに近いものとして、次のサービスがあった。
- YOZAN時代末期のアステル東京が2004年9月より「全国コールサービス」としてDDIポケット(当時)網に接続するサービスを開始したが、その実態はアステル電話機にDDIポケットの番号を書き込むというものであった(旧番号への着信は1ヶ月間無料で新番号に転送された)。これにより自社網は一切使えず、通話以外の機能は使えなかった。対象者は同年8月末時点での契約者に限られ、2005年3月に受付終了、同年11月30日にアステル東京自体がサービス終了した。同サービス利用者のウィルコムへの移行は番号変更なしでできた。
データ通信系
契約数
日本におけるMVNOは、2013年頃に「格安SIM」や「SIMフリー」などのキーワードがマスコミなどによって取り上げられ[19]、一般ユーザーに浸透した。この時期から契約数が急速に伸びている[20]。 しかし、2020年9月末時点でも移動系通信全体の1割強にしかすぎず[2]、主流にはなっていない。特に、2017年ごろからMVNOでは契約数の伸びが鈍化している。その理由としては、MNO系列のサブブランドの台頭、総務省の指導によるMNOの料金値下げ、実店舗が少ないMVNOへのネットでの番号ポータビリティの手続きや、SIMカードの入れ替え、APNの設定などに手間を惜しまないITリテラシーの高いユーザーの需要の一巡、日本のスマートフォン市場で圧倒的な人気を誇るiPhoneの最新ハイエンドモデルがMVNOから販売されていないことなどが挙げられる。
MNOから自社グループ外のMVNOへの顧客流出はMNOにとっては痛手であるため、SIMロックフリースマートフォンの発売やMVNOの新規参入が相次いだ2014年には、MNOであるソフトバンクとKDDIはMVNO(特にNTTドコモ回線を利用したMVNO)への対抗策として、自社のメインプランドとは別に、サブブランドであるY!mobileとUQ mobile(当時はMVNOで現在はMNO)をそれぞれ設けた。これらのサブブランドは、有名タレントを起用したテレビCM、MNOの販売網を利用した実店舗展開やそれによるアフターサービス、小規模MVNOでは困難な型落ちのiPhoneの販売、これまでのMVNOのネックだった通信速度などで差別化を図った。また、MNOのメインブランドでも、2017年ごろから総務省の指導などにより、端末との分離プランの導入や、ある程度の料金の値下げが進んだ結果、顧客流出に歯止めがかかった[21][22][23]。特に、これまでサブブランドを持っていなかったNTTドコモは、菅義偉内閣の値下げ要請を受け、2020年12月に、既存の料金プランとは分離された、サブブランドに相当する独自プランの「ahamo」を発表し[24]、さらに、すでにサブブランドを持っているKDDI・沖縄セルラーとソフトバンクも、ahamoの内容に近いプランを発表するなど、MNOの影響力が増してきている。
この結果、2010年代後半には早くもMVNOの淘汰が始まり、FREETELやDMM mobileが楽天モバイルに吸収されて事業を撤退した。また、BIGLOBEやLINEモバイルのようにMNOの傘下に入ったMVNOもある。さらに、MVNOからMNOに転換することになった楽天モバイルやUQ mobileのような事例もある[25]。
時期 | サービスの契約数 (万件) |
移動系通信の 契約数に占める比率 (%) | ||
---|---|---|---|---|
携帯電話・PHS | BWA (+WiMAX・SoftBank 4G) |
合計 | ||
2013年9月 | 485 | 127 | 611 | 4.2 |
2013年12月 | 537 | 132 | 669 | 4.6 |
2014年3月 | 596 | 143 | 739 | 4.9 |
2014年6月 | 644 | 147 | 792 | 5.2 |
2014年9月 | 687 | 153 | 840 | 5.5 |
2014年12月 | 735 | 156 | 892 | 5.8 |
2015年3月 | 786 | 166 | 952 | 6.1 |
2015年6月 | 836 | 161 | 997 | 6.3 |
2015年9月 | 901 | 163 | 1,063 | 6.7 |
2015年12月 | 991 | 164 | 1,155 | 7.2 |
2016年3月 | 1,102 | 167 | 1,269 | 7.8 |
2016年6月 | 1,176 | 169 | 1,346 | 8.2 |
2016年9月 | 1,256 | 171 | 1,427 | 8.6 |
2016年12月 | 1,314 | 171 | 1,485 | 8.9 |
2017年3月 | 1,409 | 177 | 1,586 | 9.4 |
2017年6月 | 1,454 | 182 | 1,636 | 9.7 |
2017年9月 | 1,501 | 186 | 1,687 | 10.0 |
2017年12月 | 1,575 | 188 | 1,764 | 10.3 |
2018年3月 | 1,652 | 188 | 1,840 | 10.6 |
2018年6月 | 1,731 | 188 | 1,918 | 11.0 |
2018年9月 | 1,801 | 187 | 1,988 | 11.3 |
2018年12月 | 1,850 | 186 | 2,036 | 11.5 |
2019年3月 | 1,905 | 190 | 2,094 | 11.6 |
2019年6月 | 2,036 | 194 | 2,230 | 12.2 |
2019年9月 | 2,102 | 196 | 2,298 | 12.5 |
2019年12月 | 2,192 | 196 | 2,388 | 12.9 |
2020年3月 | 2,265 | 201 | 2,465 | 13.2 |
2020年6月 | 2,323 | 207 | 2,531 | 13.4 |
2020年9月 | 2,350 | 210 | 2,560 | 13.4 |
現在、技術上の問題で一時的にグラフが表示されなくなっています。 |
事業者別シェア
総務省が公表した、2020年9月末時点でのMVNOの「SIMカード型の契約数における事業者別シェア」では以下の通り[2]。 上位5社で半数を超えている。
現在、技術上の問題で一時的にグラフが表示されなくなっています。 |
MMD研究所の『2020年11月格安SIMサービスの利用動向調査』[27]による、「メイン利用のMVNO」では以下の通り。 楽天モバイル(MVNO)が3割に達しており、また上位3社で半数を超えている。
現在、技術上の問題で一時的にグラフが表示されなくなっています。 |
法規制
MVNO/MVNEの提供役務に関しても、音声通話が可能となる通信端末やSIMカード等は、携帯電話不正利用防止法の規制対象となり、契約者の本人性確認の義務付けや、不正な譲渡の禁止等がなされている。その為、契約において身分証明書の提出が必要となり、解約の際には違約金が発生する。なお、データ通信専用となる通信端末やSIMカード等は、同法の規制対象外である。
一部のMVNO/MVNE事業者では、データ通信専用となる通信端末やSIMカード等について本人確認書類の授受を省略しているものがある。(空港等で販売している、訪日観光客向けのデータ通信専用のSIMカード等)
欧米におけるMVNO
GSMA Intelligence(2015年)の統計によると2014年の全世界のMVNO事業者のうち最も多いのがヨーロッパであり59%となっている[28]。
イギリスやイタリアなどでは、郵便局のMVNO事業参入が行われた一方、アメリカでは、MVNOを保護する法規制は存在しないため、ネットワークを安価に調達することが難しく、価格面でのMNOとの差別化が困難になっている[29]。
ドイツ
欧州地域ではMVNOの普及率が高いが、ドイツは主要国の中でも特にMVNOの普及率が高い[28]。
2003年12月現在、ドイツの移動通信市場(契約件数)の約27%はMVNOであり、2004年以降もMVNOによる事業参入が増加[30]。2015年9月時点ではドイツの移動体市場の契約数の約半数をMVNO契約が占める[28]。
イギリス
イギリスでは2000年代にMVNOによるサービスが活発化し、ヴァージン・グループ傘下のヴァージン・モバイルは2004年3月末に400万弱の加入者を獲得した[30]。
また、小売業者のテスコや移動体事業を分離したBTなどMVNOへの新規事業者の参入が相次いでいる[30]。
脚注
- ^ "MVNOに係る電気通信事業法及び電波法の適用関係に関するガイドライン(再改定)" (PDF) (Press release). 総務省. 19 May 2008. 2015年11月4日閲覧。
- ^ a b c d 総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表(令和2年度第2四半期(9月末)) 別紙」 総務省、2020年12月18日
- ^ 【ニュース】業界の現状や展望について話し合う「MVNOフォーラム」開催、キャラクター「しむし」選ばれる
- ^ EMOBILE 4G-S契約は、ソフトバンク関東・甲信地域(旧・ジェイフォン東京)の番号帯が割り当てられる。
- ^ “日本通信、プリペイドスタイルの3Gデータ通信サービスを開始――「b-mobile3G hours150」”. ITmedia mobile. アイティメディア. 2018年4月23日閲覧。
- ^ "新プラン「U-mobile MAX 25GB」を本日より提供開始!" (Press release). U-NEXT. 17 October 2016. 2018年4月23日閲覧。
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- ^ 〈お知らせ〉 「JALマイルフォン」、「Tigersケータイ」、「GIANTSケータイ」および「ECナビケータイ」に係るMVNO事業の譲り受け完了について
- ^ スマートフォンの台頭などによるVERTU事業・ノキア業績悪化のため
- ^ VERTU端末向けサービス「VERTU Club」発表(ITMedia)
- ^ SIMフリーとは? | OCN プロバイダ(インターネット接続)
- ^ 格安SIMの今後はどうなるのかをMVNOの中の人に聞いてみた
- ^ 大手キャリアの“逆襲”が目立った2017年/MVNOは「勝ち組」「負け組」が明確に (1/3) ITmedia、2017年12月23日
- ^ 国内携帯の出荷台数、Appleが前年比2%減も6年連続1位 ITmedia、2018年2月14日
- ^ 目標の200万回線は困難に…… 伸び悩むMVNO「mineo」が挽回策 カギは“通信回線の譲り合い” ITmedia、2020年1月30日
- ^ 新料金プラン「ahamo(アハモ)」を発表 NTTドコモ 報道発表資料 2020年12月3日
- ^ 楽天モバイルとUQ mobileの“MNO化”により、2021年3月末の格安SIMは純減の見込み MM総研の調査 ITmedia、2020年6月17日
- ^ 総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表(平成26年度第4四半期(3月末)) 別紙」 総務省、2015年6月23日
- ^ 2020年11月格安SIMサービスの利用動向調査 MMD研究所、2020年11月4日
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- ^ “MVNOの深イイ話:海外のMVNOから学ぶべきこと”. (2016年1月29日) 2016年11月26日閲覧。
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