三毛猫
この記事には独自研究が含まれているおそれがあります。 |
三毛猫(みけねこ)とは、3色の毛が生えている猫の総称。単に三毛(みけ)とも言う。英語ではキャリコ(英: calico)と呼ばれる。
概要
一般的に白・茶色・黒の3色で短毛の日本猫。白・茶色・こげ茶のものを「キジ三毛」、縞模様(トラネコ)との混合のものを「縞三毛(しまみけ)」と特に分けて呼ぶことがある。
ネコの遺伝子の特徴上、そのほとんどがメスであり、オスは滅多に出現しない。また、オスの場合でも生殖機能を持たないことが多いため、オスではないとの考えもある[1]。そのため、伴性遺伝の具体例として遺伝学の教科書などで扱われることが多い。[要出典](進化の風景 -魅せる研究と生物たち-東京大学名誉教授 理博 石川 統 著、2.ダイナミックなゲノムと遺伝子 2.4 三毛猫はメスばかり ──X染色体の不活性化)(NKH 九州大学 名誉教授 佐々木裕之 三毛猫の謎に挑む)((「大学、大学院の『教科書』とは教授などの研究者が論文をまとめて書かれて講義に使う専門書の事を示す」))
日本では珍しくないネコだが、日本国外では比較的珍しく、キャリコ(英: calico)、またはトーティ・アンド・ホワイト(英: tortie and white)と呼ばれる。フランス語風にトリコロール(仏: tricolore)、あるいはトライカラー(英: tricolour、米: tricolor)と呼ばれることがある。ただし、英語のトライカラーは錆び猫(トータスシェル〈英: tortoiseshell〉または短縮形のトーティ〈英: tortie〉と呼ばれる)も含み、かつ「真の」トライカラーは赤(茶、オレンジ)、白、黒の3色、もしくは赤黒が「薄まった」色が全てある猫である、ただし、白の部分が極めて少なく、2色に見える場合も含む[2]。西欧や北米にあっては、ジャパニーズボブテイルが「ミケ」(Mi-ke) の愛称で珍重されている[3]。
遺伝的特質と性別
原則として三毛猫はメスとなる[4]。これは、ネコの毛色を決定している遺伝子がX染色体に起因するためである。ぶち(白斑)や黒などを決定する遺伝子は常染色体上に存在するが、オレンジ(茶)を決定するO遺伝子のみはX染色体上に存在し、伴性遺伝を行なう。そのため、三毛猫が産まれるのはO遺伝子が対立するo遺伝子とのヘテロ接合になった場合となる。これは哺乳類では2つのX染色体の内、どちらか一方がランダムに胚発生の初期に不活性化されることにより、毛色がオレンジになる(O遺伝子が発現)部分と他の色になる部分に分かれるからである。
一方で、オスの三毛猫も存在する。オスの三毛猫が産まれる原因は、クラインフェルター症候群と呼ばれる染色体異常(X染色体の過剰によるXXY等)やモザイクの場合、そして遺伝子乗り換えによりO遺伝子がY染色体に乗り移った時である。クラインフェルター症候群のオスの出生率は3万分の1である[5]。
染色体異常の場合は通常繁殖能力を持たないが、モザイク、遺伝子乗り換えの場合は生殖能力を持つことがある。生殖能力のある三毛猫のオスは、1979年にイギリスと1984年にオーストラリアで確認されたものの他に、2001年に日本でも確認された。映画化もされたドラマ『ねこタクシー』に出演した「みーすけ」が、生殖能力のある三毛猫のオスである[要出典]。なお、生殖能力のあるオスの三毛猫が交配しても、オスの三毛猫の子猫が生まれる確率は変わらず、その可能性は非常に小さい。
オスの三毛猫を船に乗せると福を呼び、船が遭難しないという言い伝えがある。「猫が騒げばシケになり、眠れば天気平穏」と信じられた[4]。縁起物である招き猫においては、三毛猫がモデルにされることが多い。江戸時代には高値で取引されていたという説もあるが、実際の取引事例は不明である。日本の第一次南極観測隊でも、珍しくて縁起が良いという理由で、民間人からオスの三毛猫が贈られたことがあった[6]。この三毛猫は、当時の観測隊の隊長であった永田武の名前にちなんでタケシと名付けられ、昭和基地内のペットとして隊員達と共に南極で越冬した。タケシは南極から日本に戻った後、隊員の一人に引き取られたものの、間もなく隊員の家から脱走して行方不明となった。なお、1991年に「環境保護に関する南極条約議定書」が採択されて以来、動物の南極への渡航は一切禁止されている。
脚注
- ^ 三毛猫のオスはいないのか - SWEETCAT ささねっと
- ^ Torties, Calicos and Tricolor Cats – Cat Fanciers
- ^ 『日本と世界の猫のカタログ (2003年版)』2002年10月 ISBN 4415097553 ― 50頁:ジャパニーズボブテイル&ジャパニーズボブテイルロングヘアー
- ^ a b “三毛猫のオスは幸運招く 希少性の理由”. NIKKEI STYLE. 生きものがたり (2013年12月28日). 2019年10月25日閲覧。
- ^ ローラ・グールド『三毛猫の遺伝学』古川奈々子・訳、翔泳社、1997年、215頁 ISBN 4-88135-533-3
- ^ 南極へ行った猫 たけし - 国立極地研究所 アーカイブ室