中国人民解放軍陸軍
中国人民解放軍陸軍 中国人民解放军陆军 People's Liberation Army Ground Force | |
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中国人民解放軍陸軍の徽 | |
中国人民解放軍陸軍の旗 | |
創設 | 1927年8月1日 |
本部 | 北京市 |
総人員 | |
現総人員 | 約98万人 |
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中国人民解放軍陸軍(ちゅうごくじんみんかいほうぐんりくぐん、英語: People's Liberation Army Ground Force) は、中華人民共和国の陸軍組織であり、人民解放軍の陸軍部門である。
「人民陸軍」や、「人民解放陸軍」と表記されることがあるが、「人民解放軍 陸軍」が正式な組織名称である[注釈 1]。
概要
兵力98万人(2018年)[1]。解放軍出版社が2007年12月に発行した年鑑で、兵力の概要が初めて公開された際は約140万人であった[2]。近代化のため兵力削減傾向にあり、MBTなどの兵器保有数も段階的に縮小している。 兵役は法律により不足に応じて選抜徴兵制を実施することになっているが、不足した事は今までになく実質的には志願兵制となっている[3]。
長期間にわたって人民解放軍の軍令・軍政組織は陸軍が他の軍種に対して優位を持つ組織形態になっており、解放軍陸軍は人民解放軍の中核であり、主体組織であった[注釈 2]。近代化を進めつつある過程で、陸軍の軍区司令官が所属の空軍及び海軍に指揮権を有する七大軍区制となっていたが、現在では陸軍も地域別の統合組織である5個の戦区に所属するように改編されている。
軍または軍団に相当する集団軍は、数個の合成(諸兵科連合)旅団に各1個の砲兵、防空、航空、特殊作戦、工兵/化学防御、役務支援旅団とその他の部隊から構成される[4]。
合成旅団は戦車及び装軌式装甲車を主力とした重型合成旅団、装輪式装甲車を主力とした中型合成旅団、軽装甲型汎用4輪駆動車を主力とした軽型合成旅団の3種類が基本で[5]、2020年の初めには陸軍全軍の機械化を基本的に完了するという目標が達成された[6]。
各集団軍の特殊作戦旅団はロシアのスペツナズやアメリカのレンジャーなどを参考にしており、緊急展開作戦やテロ対策の任務についている。
指揮階梯
現在、陸軍の指揮階梯は、概ね以下の通りである。
- 戦区(方面軍相当、軍管区を持つ)- 2016年に軍区から改編された。この階梯は各軍種の統合組織とされた。
- 集団軍 (軍団または軍相当、1985年に「軍」から改編された)
- 師(師団相当、近年旅団が直接集団軍に所属しており、この階梯の部隊数は減少している)
- 旅(旅団相当)
- 団(連隊相当)
- 営(大隊相当)
- 連(中隊相当)
- 排(小隊相当)
- 班(分隊相当)
初期の指揮階梯
過去、国共合作により一応の指揮階梯を作るも、非正規戦を戦う為に部隊規模は一定しなかった。国共内戦期の1948年~1949年に指揮階梯が整備された。
- 野戦軍(方面軍相当) - 一級(大)軍区と対応する。第4野戦軍(1955年廃止)以外は1950年に廃止
- 兵団 (軍相当) - 二級軍区と対応する。朝鮮戦争(中国人民志願軍)時代まで存在
- 縦隊 (軍団相当) - 三級軍区と対応する。1948年~1949年に「軍」に改称
陸軍指導機構
- 陸軍司令員
- 陸軍政治委員
- 陸軍副司令員
- 陸軍副政治委員
- 陸軍参謀長
- 陸軍政治工作部主任
- 陸軍後勤部長
- 陸軍裝備部長
- 高波少将
- 陸軍紀委書記
集団軍
2018年現在13個集団軍を有する。
5大戦区(2016年2月~現在)
7大軍区制末期(~2016年1月末)
2000年頃~2006年までに廃止された集団軍
1985年~2000年頃までに廃止された集団軍
1985年までに廃止された軍
1985年(軍から集団軍への改編時)以前に廃止された軍の一覧。
- 第11軍 - 昆明
- 第19軍 - 蘭州
- 第29軍 - 福州
- 第43軍 - 武漢
- 第46軍 - 済南
- 第50軍 - 成都
- 第55軍 - 広州
- 第60軍 - 南京
- 第66軍 - 北京
- 第68軍 - 瀋陽
- 第69軍 - 北京
装備
2021年の時点で主力戦車約5,650輌、歩兵戦闘車約6,700輌、装甲兵員輸送車約3,950輌、自走砲約3,600輌、自走多連装ロケット砲約1,600輌及びヘリコプター約1,000機等を保有する[7]。
車両
- 軽戦車
- 歩兵戦闘車
- 86式歩兵戦闘車
- BMD-303式空挺歩兵戦闘車
- 04式歩兵戦闘車(WZ-502/ZBD-04)
- 05式水陸両用歩兵戦闘車
- 08式歩兵戦闘車(ZBL-08)
- 装甲兵員輸送車
- 92式装輪装甲車(WZ-551A/ZSL-92)
- 63式装甲兵員輸送車
- 89式装甲兵員輸送車
- 地対空ミサイル
- 自走対空砲
- 装甲戦闘車
- 自走迫撃砲
- 05式自走迫撃砲
- PCP-001
- 自走対戦車砲
火砲
- 83式自走152ミリ榴弾砲
- 85式自走122ミリ榴弾砲
- 05式155mm自走榴弾砲
- 07式122mm自走榴弾砲
- 衛士2 400mm6連装自走ロケット砲(衛士-1BはトルコなどのNATO諸国にも輸出された)
- 89式122ミリ自走多連装ロケット・システム
- 96式300mm10連装自走ロケット砲
航空機
小火器
- 拳銃
- 短機関銃
- 機関銃
- 自動小銃
- 狙撃銃
- 携帯式防空ミサイルシステム
脚注
注釈
- ^ 英語では「 People's Liberation Army Ground Force」と表記され、「PLAG」と略号される。
- ^ 英語で特に陸軍組織だけを指す場合には「People's Liberation Army Ground Force (PLAGF:直訳では「人民解放軍陸上部隊」) 」の語が用いられるが、海軍部門が「People's Liberation Army Navy (PLAN,PLA NAVY) 」、空軍部門が「People's Liberation Army Air Force (PLAAF) 」と表記される事に対し、“Ground Force”と特記しない「People's Liberation Army(PLA) 」のみの表記でも特に説明のない場合は陸軍組織のみを指すことが通例である。
日本の政府公式表記、もしくはメディアでの表記・呼称では「中国陸軍」と表記されることが多く、正式名称の「人民解放軍陸軍」が用いられることは少ない。また、陸軍組織のみを指して「人民解放軍」と表記されていることも多い。 - ^ 集団軍の名称と所属軍区は 米国防総省Military Power of the People's Republic of China2006 File:China_Report_2006.pdfによる。
出典
- ^ 平成30年度版 防衛白書
- ^ 『世界軍事年鑑2007』
- ^ “人民解放軍を辞めたらこうなる――過酷な処分内容を公表 中国”. CNN (2019年12月17日). 2021年2月21日閲覧。
- ^ Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China 2018米国防総省
- ^ 「習近平の中国人民解放軍」『月刊パンツァー』727号(2021年8月号)、アルゴノート、2021年6月、38-42頁
- ^ “我军两款新"打印"神器亮相高原 拉开下一代换装序幕” (2020年8月17日). 2021年7月2日閲覧。
- ^ The Military Balance 2021. The International Institute for Strategic Studies. (2021). pp. 250–251
関連項目
外部リンク
- 中華民国九十五年国防報告書(繁体字、英語)
- Chinese Defence Today(英語)
- GlobalSecurity.org(英語)