高い城の男 (テレビドラマ)

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高い城の男
The Man in the High Castle
Man High Castle (TV Series) map-2.svg
ドラマの舞台となる分割支配されたアメリカ
ジャンル 歴史改変SF
原作 フィリップ・K・ディック
脚本 フランク・スポトニッツ
ディレクター デビッド・セメル英語版
出演者 アレクサ・ダヴァロス
ルパート・エヴァンス英語版
ルーク・クラインタンク
DJクオールズ
ジョエル・ラ・エ・フエンテ英語版
ケイリー=ヒロユキ・タガワ
ルーファス・シーウェル
ブレナン・ブラウン英語版
カルム・キース・レニー英語版
ベラ・ヒースコート
オープニングテーマ ジャネット・オルソン英語版エーデルワイス
コンポーザー ヘンリー・ジャックマン
ドミニク・ルイス
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
シーズン数 2
話数 20
製作
製作総指揮 リドリー・スコット
フランク・スポトニッツ
クリスティアン・バウタ
イサ・ディック・ハケット
スチュワート・マッキノン
クリストファー・トリカリコ
プロデューサー マイケル・シダー
ジャン・ヒギンズ英語版
ヨルダン・シーハン
デヴィッド・ザッカー
製作場所 シアトル
モンロー
バンクーバー
撮影監督 ジェームズ・ホーキンソン
製作会社 アマゾン・スタジオ英語版
スコット・フリー・プロダクション英語版
エレクトリック・シェパード・プロダクション英語版
ヘッドライン・ピクチャーズ
ピクロー
番組販売会社 Amazon.com
放送
放送局 Amazonビデオ
放送期間 2015年11月20日 – 現在
外部リンク
ウェブサイト

高い城の男』(原題:The Man in the High Castle)は、フィリップ・K・ディックの同名の小説『高い城の男』に基づくAmazon.comのテレビドラマである。

概要[編集]

第二次世界大戦で敗れた1960年代のアメリカは、西海岸は日本、東半分はナチスドイツに占領されて傀儡国家が統治し、両国の中間には中立地帯がおかれている。世界の大半は日本とナチスドイツに支配され、両国は表向きの友好関係の陰で冷戦状態にある。アメリカでは両国に抗するレジスタンス運動がひそかに広がる。サンフランシスコニューヨークを主な舞台とし、体制を転覆させようとする、あるいは守ろうとするアメリカ人、日本人、ドイツ人たちによる群像劇である。「高い城の男」と呼ばれる謎の人物が収集する、自分たちの歴史とは全く異なる現実を撮影した謎のフィルム「イナゴ身重く横たわる」が出回り、フィルムを巡る争いが人々を巻き込む。

シーズン1の10話が Amazonビデオ で2015年11月20日から配信され[1][2][3]、シーズン2の10話が2016年12月15日に配信された。2017年1月3日には、シーズン3の制作が発表された[4]

設定や人物名など多くが原作とは異なり、原作にない内容が大幅に追加されている。

公開が遅れていた日本では、2016年12月13日にシーズン1がAmazonビデオにて配信され、2017年1月27日にはシーズン2が配信された。

キャスト[編集]

メイン[編集]

  • ジュリアナ・クレイン
    • 演 - アレクサ・ダヴァロス (Alexa Davalos) / 日本語吹替 - 山賀晴代
      • 合気道を学ぶ日本太平洋合衆国サンフランシスコの住民。憲兵隊に射殺された異父妹・トゥルーディが所持していたフィルム「イナゴ身重く横たわる」の謎を追って中立地帯のキャノンシティを訪れ、ジョー・ブレイクと出会う。後に日本太平洋合衆国政府に採用され田上大臣のスタッフとして勤務する。実の父は大戦中に南太平洋で戦死している。
  • フランク・フリンク
    • 演 - ルパート・エヴァンス (Rupert Evans) / 日本語吹替 - 佐藤美一
      • ジュリアナと同棲するボーイフレンドでユダヤ人の血を引く白人男性。宝飾品加工の確かな腕を持つが模造銃工場で働いている。ジュリアナとの平穏な生活を望んでいたがフィルムを巡る争いに否応なく巻き込まれてゆく。フィルムを追う憲兵隊に拘束され、人質とされた姉とその子供たちを殺害されたことから、復讐を誓う。
  • エド・マッカーシー
  • 木戸
    • 演 - ジョエル・ラ・エ・フエンテ (Joel de la Fuente) / 日本語吹替 - 矢崎文也
      • 日本太平洋合衆国の憲兵隊幹部。"Chief Inspector"(吹替え版では警部)および大尉と呼ばれる。私服でレジスタンスの摘発にあたっており、皇太子狙撃事件の捜査を担当する。フランクの姉と子供たちをガス室で殺害するなど冷酷な性格の一方で、戦争回避のためには自決も厭わないなど自己犠牲の精神もあわせ持つ人物。
  • 田上信輔(英語版ではNobusuke Tagomi)
    • 演 - ケイリー=ヒロユキ・タガワ (Cary-Hiroyuki Tagawa) / 日本語吹替 - 松永英晃
      • 日本太平洋合衆国の貿易担当大臣。白人であるジュリアナにも敬意を持って接する。易占いを好む平和主義者で皇太子妃からの信頼も厚い。核抑止力によって戦争を避けるため、ナチスの原爆技術を日本にもたらそうとヴェゲナーと共に秘密裏に活動する。妻とは死別している。
  • ロバート・チルダン
    • 演 - ブレナン・ブラウン (Brennan Brown) / 日本語吹替 -
      • サンフランシスコのアメリカン芸術工芸品商会店主。日本人を主な顧客に骨董品を取り扱う。フランクに実弾を販売したことをきっかけに贋作骨董品の製造販売で手を組む。
  • ジョン・スミス
    • 演 - ルーファス・シーウェル (Rufus Sewell) / 日本語吹替 - 木下浩之
      • ニューヨークの親衛隊本部に勤務する大ナチス帝国の親衛隊大将。旧アメリカ合衆国出身ながら大将まで上り詰めた人物で、ジョーを使いフィルムの調査と回収にあたる。郊外の邸宅に妻と子供たちと暮らし、家族思いの一面も見せる。レジスタンスに襲撃された際には拳銃のみでマシンガン装備の集団を制圧するなど高い戦闘能力をもつ。かつてはアメリカ陸軍に所属しており、南太平洋ソロモン諸島で激戦を経験している。1945年のワシントンへの原爆投下の際には近郊の自宅から閃光とキノコ雲を目撃している。
  • ジョー・ブレイク (ヨーゼフ・ホイスマン)
    • 演 - ルーク・クラインタンク (Luke Kleintank) / 日本語吹替 - 川島得愛
      • 大ナチス帝国のスパイでジョン・スミス大将の指揮下で動く。任務でレジスタンスに潜入し、キャノンシティにフィルムを輸送したことからジュリアナと行動を共にし好意を抱く。任務の範疇を超え「イナゴ身重く横たわる」の内容に興味を抱く。ニューヨークの母子家庭で育ったが、シーズン2で自身の本当の出自を知ることになる。

リカーリング[編集]

サンフランシスコ[編集]

  • ポール・梶浦 (英語版ではKasoura) - ルイ・オザワ -裕福なサンフランシスコ在住日本人。チルダンの顧客。ヤクザともつながる弁護士。
  • ベティ・梶浦 (英語版ではKasoura) - TAO - ポールの妻
  • ライス - ベルンハルト・フォルケル - 在日本太平洋合衆国ナチス大使
  • 小野田秀久 - ツィ・マー - 日本陸軍の将軍。階級は大将。サンフランシスコに乗り込み原爆製造を推進する。 (シーズン2)
  • 琴道 - アーノルド・クーン - 田上の側近。スーツの下に熱傷のケロイドを隠している。長崎出身。
  • 吉田 - Lee Shorten - 憲兵隊の私服捜査員で木戸の右腕。階級は巡査部長。(英語版では"sergeant")
  • 皇太子 - 辻大輔 - 大日本帝国の皇太子。サンフランシスコでの演説中、何者かによる狙撃を受け重傷を負う。
  • 皇太子妃 - 吉田真由美
  • ウインダム=マトスン - ジャック・ケーラー (Jack Kehler) / 日本語吹替 - 宮崎敦吉
フランクの働く工場の社長
  • ローラ - クリスティン・シャトレイン英語版 - フランクの姉
  • アーノルド・ウォーカー - ダニエル・ローバック - ジュリアナの母の再婚相手。家族には郵便局勤務と偽り、政府の盗聴部門で働く。
  • アン・クレイン・ウォーカー - Macall Gordon - ジュリアナの母
  • トゥルーディ・クレイン - コナー・レスリー - ジュリアナの妹。レジスタンスの一員で憲兵隊に射殺される。死の直前にフィルムをジュリアナに託す。
  • ケイト・オーウェンズ - シャノン・デイ - レジスタンスの一員。夫は以前活動中に殺害されている。
  • カレン - カミール・サリヴァン - レジスタンスの一員
  • ランドール - ハンク・ハリス英語版 - レジスタンスの一員
  • サラ - Cara Mitsuko - 日系人のレジスタンス 。戦時中は強制収容所に入れられていた。(シーズン2)
  • タイシ・オカムラ - ヒロ・カナガワ - ヤクザ
  • ミチコ - 小松ゆかり- 田上の妻 (シーズン2)
  • 紀明 - Eddie Shin - 田上の息子 (シーズン2)

ニューヨーク[編集]

  • ヘレン・スミス - Chelah Horsdal - ジョン・スミス大将の妻
  • トーマス・スミス - Quinn Lord - ジョン・スミス大将の長男。法律で安楽死の対象となっている不治の難病に罹患していることが明らかになる。
  • ジョー・ディクソン - テイト・ドノヴァン - クレイン家の知人でニューヨークを拠点に活動するレジスタンス (シーズン2)。ジュリアナの父とアーノルドとは戦友。

キャノン・シティ[編集]

別世界を見せるフィルムを集めている通称「高い城の男」。サンフランシスコなどを転々とする。

ナチスドイツ[編集]

  • ヴィクター・ベインズ / ルドルフ・ヴェゲナー - カルステン・ノーガード(英語版
    • 大ナチス帝国の親衛隊大佐。スミス大将とは同じ任務に就いていた戦友だが、ナチスの人種政策や残虐行為には強い嫌悪感を抱いている。核抑止力によって戦争を回避するため田上大臣とと手を組み、ナチスの原爆情報を盗み出し日本側に漏洩させる。言動を怪しんだスミス大将により拘束されるが、後にハイドリヒ上級大将の手でベルリンに復帰、家族の命と引き換えにある任務を命じられる。
  • アドルフ・ヒトラー - Wolf Muser - 大ナチス帝国の総統。1960年代に至っても健在であるが、老齢のため後継者争いが起こる。旧オーストリア領にある山中の大本営で、大量の「イナゴ身重く横たわる」とおぼしきフィルムを収集、観賞している。
  • ラインハルト・ハイドリヒ - レイ・プロスチア - 親衛隊上級大将。
  • マーティン・ホイスマン - セバスチャン・ロッシェ - ジョー・ブレイクの父親で大ナチス帝国首相(シーズン2)
  • ハインリヒ・ヒムラー - ケネス・タイガー英語版 - 親衛隊全国指導者 (シーズン2)
  • ヨーゼフ・ゲッベルス - Peter Anderson - 帝国宣伝大臣 (シーズン2)
  • エヴァ・ブラウン - Lisa Paxton - ヒトラーの愛人 (シーズン2)

登場する国家[編集]

大ナチス帝国 (Greater Nazi Reich)[編集]

ヨーロッパの大半とアフリカを手中に収め、旧アメリカ合衆国のうちロッキー山脈より東側を統治する全体主義の超大国。首都はベルリンで、1962年には、総統であるアドルフ・ヒトラーは山中にある総統大本営で執務している。旧アメリカ合衆国における拠点はニューヨークで、星条旗の星がハーケンクロイツとなった独自の国旗が制定されている。厳格な人種政策がとられ、ユダヤ人は絶滅させられ、難病患者や身体障碍者は安楽死させられる。核兵器のみならず超音速旅客機を運用するなど優れた科学技術を持つ。旧アメリカ合衆国内ではレジスタンスの活動も活発である。

日本とは表面的に友好関係を結んでいるものの、首脳部の中では日本との全面戦争で領土を拡大しようとする勢力も多い。

日本太平洋合衆国 (Japanese Pacific States)[編集]

旧アメリカ合衆国のうち、ロッキー山脈の西側とアラスカ等を国土とする日本の傀儡国家。満州国と同様に、閣僚をはじめ要職は日本人が占める。サンフランシスコにある「日本政府総合本部ビル」に政府機能が置かれている。人種政策は大ナチス帝国に比較すれば緩やかではあるが、法的にはユダヤ人は粛清対象となっている。市街地には日本語の看板や表記があふれテレビでは相撲が放送されており、日本人の居住者も多い。銃の所持は日本人にのみ許可されている。治安維持には憲兵隊が当たっており、レジスタンスと目された人物は裁判なしで処刑されるなど強権的な統治がおこなわれている。大ナチス帝国と比べ、科学技術や生活環境は劣る。

中立地帯 (Neutral Zone)[編集]

大ナチス帝国と日本太平洋合衆国の間にある緩衝地帯。原作では「ロッキー山脈連邦」であるが、ドラマでは単に中立地帯と呼ばれ、統治機構なども登場しない。国境の検問所は隣接する2国の兵士によって警備されている。一般市民であっても車やバスで国境を越えることが可能である。中立地帯の中ではユダヤ人が商店を営むなど比較的自由がある半面、ナチスの息のかかった人物による私的な処刑が行われ、スパイが跋扈するなど安全とは言い難い場所である。「高い城の男」も中立地帯にいるとされている。ジュリアナとジョーが訪れたキャノンシティからはサンフランシスコとを結ぶ長距離バスが運行されている。

大日本帝国[編集]

大ナチス帝国と共に世界を支配する、アジア、オセアニアにまたがる広い範囲を国土とする大国。天皇を頂点とする全体主義国家として描かれている。連合国軍に勝利したものの核開発をはじめとする科学技術では大ナチス帝国に大きく遅れをとっており、軍事面のパワーバランスも劣勢である。皇太子など平和を求める人物がいる一方で、軍首脳の中には大ナチス帝国に先制核攻撃を加え領土を拡大しようとするものもある。田上大臣の画策でナチスの原爆製造法を入手したのちは核兵器の戦力化を急ぐ。

旧アメリカ合衆国[編集]

フランクリン・ルーズベルト大統領は暗殺されてジョン・N・ガーナーが後継となり、1945年12月には首都ワシントンがナチスによる原子爆弾投下で壊滅し、1947年には枢軸国側に降伏した。東部を中心とした国土の大部分は大ナチス帝国に併合され、西海岸の数州は傀儡国家の日本太平洋合衆国となり、ロッキー山脈沿いは中立地帯となっている。

登場する組織[編集]

レジスタンス[編集]

大ナチス帝国と日本の統治に対抗する旧アメリカ合衆国市民の勢力。全米を統一する組織は存在せず、ジョーが潜入したニューヨークを拠点する組織、レミュエル・ワシントン率いるキャノンシティを拠点とする組織、ケイト・オーウェンズが所属するサンフランシスコの組織が登場する。別時間軸を描く複数のフィルムをアメリカ解放に向けた重要物として扱い、「高い城の男」に送り届ける。

親衛隊[編集]

大ナチス帝国の軍事組織。旧アメリカ合衆国ではニューヨークの超高層ビルに本部を置き、各地に部隊を駐留させている。隊員は旧ドイツおよび旧アメリカ出身のアーリア人種に限られる。略称は”SS”(ドイツ語のSchutzstaffelの略)で制服の襟章にも刺繍されている。スミスら将校や幕僚はドクロの紋章の制帽と黒い制服を着用する。レジスタンスを厳格に取り締まり、捜索時の射殺および拷問も厭わない。日本太平洋合衆国内の大使館にも兵士が駐在する。

憲兵隊[編集]

日本太平洋合衆国の治安維持を担当する軍事警察。隊員は全員が日本人である。私服捜査員の木戸が軍の階級である大尉と警察官の階級である警部を併用し、「厚生労働省」の身分証を提示するなど謎の多い組織である。私服捜査員と制服の隊員で構成され、14年式拳銃や軍刀のほか、重機関銃を搭載した車両や装甲兵員輸送車も装備しレジスタンスの摘発にあたっている。本部施設内にガス室や銃殺用の処刑場を持ち、拘束した被疑者や市民を裁判なしで処刑することも少なくない。

大日本帝国陸軍[編集]

日本本国の陸軍で、軍首脳の中では大ナチス帝国への先制攻撃を推進する勢力が強い。原爆の製造法を入手したのち、サンフランシスコに倉庫に偽装した秘密工場を建設、旧アメリカ領で採掘したウランを使い原爆製造に着手した。太平洋合衆国を訪れた小野田将軍が大臣である田上を恫喝するなど、シビリアンコントロールとは無縁のようである。合衆国の憲兵隊を直接指揮することもある。

近衛兵(皇宮警察)[編集]

サンフランシスコでの皇太子の警備にあたっていた日本の部隊。吹替え版では「皇宮警察」であるが、英語版で”imperial guards”と呼ばれていることから、日本本国から皇太子に同行した近衛兵のようである。64式小銃に酷似した銃を装備している。皇太子の演説会場では拳銃を持ったフランクが接近できるほど杜撰な警備を行い、実際に狙撃が起きたことから指揮官は現場の公園内で切腹する。

警察[編集]

戦前の警察機構を引き継いだ自治体単位で設置されている警察で、アメリカ人の警察官が所属している。シーズン1ではジョーのパンク修理を手伝った警官のほか、スミス大将襲撃の際に出動したニューヨーク市警とみられるパトカーが確認できる。サンフランシスコでは憲兵隊の指令を受けた私服警官がジュリアナの自宅の監視にあたる。

ヤクザ[編集]

サンフランシスコを拠点とするオカムラ率いる日系の暴力団。飲食店や風俗店を経営し政府高官も顧客に持つ。違法薬物の密輸を行い、ジュリアナやジョーを監禁しレジスタンスに多額の身代金を要求するなど犯罪行為でも荒稼ぎしている。木戸率いる憲兵隊に情報を売り、ひそかにナチスとも取引する。情報収集能力はかなりのもので、オカムラの情報により皇太子狙撃事件の捜査は大きく進展することになる。

「イナゴ身重く横たわる」[編集]

フィルムの概要[編集]

レジスタンスと親衛隊、憲兵隊が争奪戦を繰り広げる、複数の別世界の映像を記録したおびただしい数の映写用ポジフィルム[5]

リールに張られたテープに” The Grasshopper Lies Heavy”(イナゴ身重く横たわる)と手書きの文字で記されている。

レジスタンスは「高い城の男」ことホーソーン・アベンゼンに、親衛隊はアドルフ・ヒトラー総統のもとにフィルムを送り届けている。

タイトルの由来は作中では明らかにされていないが、旧約聖書に類似した一節がある[6]

映像と内容[編集]

冒頭にカウントダウンの数字があり、シーンが頻繁に切り替わることから、カメラで撮影されたままの生素材ではなく、何者かによって編集されている。

数多くの別世界の過去と未来の映像が存在し、アベンゼンの拠点では1940代から1950年代後半まで、年ごとに分類された状態で保管されていた。

過去を映したフィルムには、現実とは異なる経緯で連合軍が勝利した世界大戦の結末も存在する。また未来を映したフィルムには、核攻撃で焦土と化し遺体が散乱するサンフランシスコと、ナチス兵の制服を着たジョー・ブレイクに射殺されるフランクらレジスタンスの姿が映るものもある。

「高い城の男」アベンゼンはフィルムの映像を分析することで、これから起こりえる事象の把握を試みる。アベンゼンによれば一連のフィルム群には現在の時間軸の世界に実在する、鍵となる複数の人物が登場するという。それらの人物の行動によって未来が変化するとも語る。

あらすじ[編集]

シーズン1のあらすじ[編集]

アメリカ合衆国は日本に支配される西部のアメリカ太平洋合衆国、ドイツに支配される優勢な東部の大ナチス帝国、その間に挟まれた中立地帯であるロッキー山脈連邦に三分されている
大ナチス帝国の旗
日本太平洋合衆国の旗

1962年、アメリカ合衆国は日本に支配される西海岸の日本太平洋合衆国、ドイツに支配される優勢な東部の大ナチス帝国、その間に挟まれた中立地帯であるロッキー山脈連邦に三分されている。世界はほぼ日本とナチスによって分割され、ヨーロッパのユダヤ人は絶滅させられ、アフリカ全土は奴隷化されている。アメリカでもユダヤ人は虐殺され、わずかな数が隠れ住む。

日本太平洋合衆国のアメリカ人の大半は支配階級である日本人におもねる。ジュリアナ・クレインはサンフランシスコに住み合気道を学ぶ。ジュリアナの妹はレジスタンスに加わり、憲兵隊に射殺され、死の直前に姉にあるフィルムを渡す。そこには、第二次大戦で連合国が勝利し、ドイツと日本が敗れた改変歴史のニュースが収められている。ジュリアナは妹の代わりにロッキー山脈連邦のキャノン・シティに行ってフィルムを接触相手に渡そうとし、ニューヨークから来たトラック運転手のジョー・ブレイクと知り合う。ジョー・ブレイクは実は大ナチス帝国の親衛隊のスパイであり、レジスタンスに潜入してやはりフィルムをキャノン・シティに運んでいる。「高い城の男」と言う謎の人物が、様々な未来を見せるフィルムを集め、その代わりにレジスタンスを助けていることがわかる。

ナチス帝国ではヒトラーが病気で弱り、後継者たちは日本に戦争を仕掛けてアメリカ西海岸も手に入れようと画策する。戦争を避けようとするナチス国防軍大尉のルドルフ・ヴェゲナーと、日本太平洋合衆国の田上貿易大臣は密かに協力し、劣勢の日本政府にナチスの核兵器の秘密をもたらして両国の戦力を互角にしようとする。木戸憲兵隊大尉はフィルムを追い、ジュリアナのボーイフレンドでユダヤ人のフランク・フリンクを尋問してその家族を殺し、フランクは日本への復讐を誓う。日本人相手に卑屈に骨董品を売るロバート・チルダンは、フランクと組んで模造品を日本人に売りつける。日本の皇太子がサンフランシスコ訪問中に狙撃され、木戸はフランクを容疑者として追う。皇太子を狙撃したのは、実は日本との開戦の口実が欲しいナチスの一勢力であるが、敗北が必至の戦争を避けたい木戸は隠蔽する。ジョーは新しいフィルムを追ってニューヨークからサンフランシスコに来るが、スパイとしての使命とジュリアナへの愛の板挟みとなる。

東部でもアメリカ人はナチスにおもね、ジョーの上司であるアメリカ人のナチス親衛隊大将ジョン・スミスは冷酷にレジスタンスを追い詰める。だが息子の不治の病を知って、義務である安楽死処理を躊躇する。ヴェゲナーはラインハルト・ハイドリッヒにヒトラー暗殺を強制されるが失敗して自殺し、ハイドリッヒはスミスに逮捕される。ジュリアナはフィルムの秘密を知るため、レジスタンスに近づく。易に頼り平和を求める田上はジュリアナを雇い援助するが、不意に別世界のサンフランシスコに移動し、その光景を見て驚く。

シーズン2のあらすじ[編集]

シーズン2はシーズン1の直後から始まる。

それぞれ異なる時間線をもつ多数の別世界が存在し、一部の人間は世界間を移動する能力を持ち、「高い城の男」やヒトラーは様々な別世界の映像を収めたフィルムを収集し研究する。別世界の未来を参考にすることで、この世界の未来を改変できることが分かる。

ジョーはニューヨークに戻るが、ジュリアナが死んだと聞かされ、ドイツに行き首相の父ホイスマンと再会する。ドイツ文化に親しみ、疎遠だった父との関係を修復する。ジュリアナはサンフランシスコへの原爆投下を避けるため、大ナチス帝国に亡命してスミスの保護を受け、「高い城の男」が示唆した謎の男ディクソンをニューヨークで探す。スミスは不治の病に冒された息子トーマスを安楽死から救うために診察した医師を殺し、トーマスをナチス社会から逃がす計画を立てる。フランクはヤクザの力を借りてエドを憲兵隊から取り戻すが、日本への憎しみからレジスタンスに参加して将軍を暗殺する。田上は日本が敗れた別世界で、死んだはずの妻と息子、その嫁となっているジュリアナに会い、ビキニ環礁水爆実験のフィルムを見て、核戦争を阻止するためにフィルムを元の世界に持ち帰る。

ヒトラーが死んで後継となったホイスマンは、圧倒的な軍事力で日本との核戦争を企てる。木戸は日本による水爆実験であると偽って田上の持ち帰ったフィルムをスミスに渡し、日本の報復による大惨事を避けるよう説く。ジュリアナはスミスの息子のスキャンダルの露見を防ぐ。スミスはベルリンに飛びジョーの助けでフィルムをナチス幹部に見せて戦争を阻止し、ホイスマンの陰謀を暴露して失脚させ、称賛を浴びる。だがトーマスは自ら安楽死を求める。「高い城の男」はジュリアナに会い、様々な別世界を映すフィルムにおいて、ジュリアナは常に鍵となる人物であると話し、死んだはずの妹トゥルーディに会わせる。

エピソード[編集]

シーズン1のエピソード[編集]

通算
話数
シーズン
話数
タイトル 監督 脚本 放送日
1 1 "新世界"
"The New World"
David Semel フランク・スポトニッツ 2015年1月15日 (2015-01-15)
1962年、連合国が枢軸国に敗れた世界のアメリカで、ドイツの傀儡国家である大ナチス帝国の親衛隊大将ジョン・スミスのために働くスパイであるジョー・ブレイクは、禁制のニュースフィルムを調査するよう命じられる。日本の傀儡国家である日本太平洋合衆国のサンフランシスコに住む合気道を学ぶジュリアナ・クレインは、ユダヤ人の出自を隠す宝石デザイナーのフランク・フリンクと同棲する。貿易大臣の田上はベルリンからやってきたナチ将校のルドルフ・ウェゲナーに会う。ジュリアナの目の前で妹のトゥルーディが憲兵隊に殺されるが、連合国が勝った歴史を映すフィルムを受け取り、ジュリアナは妹がレジスタンスであったことを知る。ジュリアナは妹の遺志を継いでフィルムを中立地帯に運ぶが、途中で荷物が盗まれてしまう。ジュリアナとジョーは中立地帯で出会う。フランクはフィルムを追う木戸憲兵隊大尉に逮捕され、大ナチス帝国に送還されて処刑されそうになる。
2 2 "サンライズ"
"Sunrise"
Daniel Percival フランク・スポトニッツ 2015年10月23日 (2015-10-23)
中立地帯のキャノン・シティの食堂で働き始めたジュリアナは折り紙を折る男に会い、妹の接触相手だと考える。男は実はナチのスパイであり、ジュリアナを襲うものの合気道で逆襲されてダムから転落する。スミスは通勤途中に襲撃される。フランクの姉と子供たちも逮捕され、フランクが協力しないとユダヤ人として処刑されると脅される。フィルムを含むジュリアナの荷物を盗んだ女が逮捕され、フランクは釈放されるが、姉と子供たちはすでに処刑されている。
3 3 "スケッチの女"
"The Illustrated Woman"
ケン・オリン Thomas Schnauz&Evan Wright 2015年11月20日 (2015-11-20)
ジョーとジュリアナはキャノン・シティを出ようとするが、ナチの賞金稼ぎがやってくる。二人は食堂主のレミュエル・ワシントンがレジスタンスでありトゥルーディの連絡先であることを知る。賞金稼ぎはジュリアナがナチのスパイを殺したと疑って追い詰める。サンフランシスコでは、フランクが日本への復讐のために皇太子暗殺を計画する。田上とウェゲナーは極秘情報の入ったマイクロフィルムを日本政府に渡そうと画策する。
4 4 "発覚"
"Revelations"
Michael Rymer Thomas Schnauz & Jace Richdale 2015年11月20日 (2015-11-20)
ジョーはジュリアナを賞金稼ぎから救う。二人はレジスタンスに囲まれ、ジョーが運んできたフィルムを取り上げられる。賞金稼ぎが再び二人を襲い、ジョーは自分がナチのスパイであることを明かす。ジュリアナは交通事故死を装って逃れる。スミスはコンリー大尉が自分の通勤路をレジスタンスに明かしたと疑う。サンフランシスコでは、フランクが皇太子暗殺を躊躇する間に、皇太子が何者かに撃たれる。
5 5 "新しい日常"
"The New Normal"
ブライアン・スパイサー Rob Williams 2015年11月20日 (2015-11-20)
皇太子は病院に急送され、一命はとりとめるが警備隊の大尉は切腹する。ウェゲナーはマイクロフィルムを日本政府高官に渡すことに成功する。犯人を見つけられなければ自分も切腹すると木戸は言う。ジュリアナはサンフランシスコの家に戻り、フランクと再会する。ジョーは中立地帯で確保されてニューヨークに護送され、スミスに報告させられる。スミスは納得し、対米戦勝記念日にジョーを自宅に招く。
6 6 "3匹の猿"
"Three Monkeys"
Nelson McCormick Rob Williams 2015年11月20日 (2015-11-20)
ジュリアナは田上の下での仕事を見つける。ジョンは旧友のウェゲナーの秘密行動を知って空港で待ち伏せ、自宅に招いて秘密を探った後で逮捕する。スミスはジョーが自分の書類を探るのを見とがめる。
7 7 "真実"
"Truth"
ブラッド・アンダーソン Emma Frost 2015年11月20日 (2015-11-20)
田上はジュリアナの過去を知る。スミスはジョーを尋問する。
8 8 "世界の終わり"
"End of the World"
カリン・クサマ Walon Green 2015年11月20日 (2015-11-20)
ジュリアナとフランクは日本太平洋合衆国から逃げ出そうとするが、憲兵隊に待ち伏せされる。新たなフィルムを入手するため、ジョーがサンフランシスコに来る。チルダンは偽物を梶浦夫妻に売りつけようとする。スミスは息子の不治の病を知り、安楽死させる義務を迫られる。
9 9 "真心"
"Kindness"
Michael Slovis Jace Richdale 2015年11月20日 (2015-11-20)
スミスは自分を襲撃したレジスタンスに情報を漏らした人物を見つける。フランクは命を懸けてジョーを救う。木戸の捜査は大きく転換する。フランクとジュリアナは新たに手に入れたフィルムを見て、サンフランシスコに原爆が落とされ、SSの制服を着たジョーがフランクら生存者を処刑するシーンを見る。
10 10 "運命を握る者"
"A Way Out"
Daniel Percival Rob Williams 2015年11月20日 (2015-11-20)
フランクとジュリアナはジョーがナチのスパイだと知り問い詰める。ジョーはサンフランシスコのドイツ大使館にフィルムを持って行き、ラインハルト・ハイドリヒが罠を仕掛けたことを知る。木戸は戦争を避けるためにナチの関与を隠蔽し、ヤクザの情報をもとに、皇太子狙撃犯のナチを殺す。フランクの銃を持ったエドが逮捕されて犯人に仕立て上げられ、木戸は切腹を逃れる。ウェゲナーはドイツに送還され、家族に別れを告げた後、別のフィルムを見ていたヒトラーを暗殺しようとして失敗し、自殺する。スミスはクーデターに加わるようハイドリヒに誘われるが断り、逮捕してヒトラーに報告する。ジョーはレミュエルの襲撃から逃れてメキシコに向かう漁船に乗る。フランクはエドの逮捕を知って憲兵隊に出頭する。田上がユニオンスクエアに行って瞑想し目を開けると、連合国が第二次世界大戦に勝った別の世界に移動している。

シーズン2のエピソード[編集]

通算
話数
シーズン
話数
タイトル 監督 脚本 放送日
11 1 "虎の穴"
"The Tiger's Cave"
ダニエル・パーシヴァル英語版 フランク・スポトニッツ 2016年12月16日 (2016-12-16)
ジョーはニューヨークに戻り、フィルムをスミスに渡し、辞職を希望する。スミスは拒否し、ドイツに渡ってフィルムをヒトラーに手渡す。カレンとレムはジュリアナを責めたあとで昏睡させ、ジュリアナは「高い城の男」ホーソーン・アベンゼンの家で目覚める。小野田将軍は、科学技術大臣のポケットで見つかったマイクロフィルムに収められた技術情報を用いて、ナチに対抗する核兵器を製造すると宣言し、田上は悲嘆する。ジュリアナは、アベンゼンから核戦争を避けるためのヒントを聞き出す。ジュリアナはレジスタンスに捕えられて殺されそうになるが、憲兵隊の検問所で逃げ出し、カレンと憲兵隊が銃撃戦で死ぬ。
12 2 "険しい道"
"The Road Less Traveled"
コリン・バックシー英語版 Rob Williams 2016年12月16日 (2016-12-16)
木戸は検問所での銃撃戦を調査し、ジュリアナの関与を疑う。フランクは逮捕されたエドを救うため、チルダンとともに弁護士のポール梶浦を通じてヤクザのオカムラに会い、エドの手を借りて偽の骨董品を作って売り上納金を納めると約束する。オカムラは木戸に与えた恩義を利用してエドを釈放させ、代わりに死んだカレンが犯人に仕立て上げられる。スミスはジョーにジュリアナは死んだと言い、ベルリンに行って父親のホイスマン首相と会うよう命令する。レジスタンスから逃げるジュリアナは、原爆が落とされるはずのサンフランシスコから逃げるよう家族に願うが聞き入れられない。アベンゼンがヒントをくれた謎の男は、トゥルーディの父親のジョージ・ディクソンであることを知る。ディクソンがブルックリンにいることを知り、ジュリアナは大ナチス帝国大使館に駆け込む。
13 3 "旅人たち"
"Travelers"
ダニエル・サックハイム エリック・オリーソン英語版 2016年12月16日 (2016-12-16)
かかりつけの医者で友人のアドラー医師は、不治の病に冒されたトーマスを安楽死させるようスミスを説く。スミスはジュリアナの亡命を知り、ひそかにニューヨークに招いて尋問し面倒を見るが、ジョーには隠す。フランクはジュリアナの亡命を知るが、レジスタンスを裏切ったとは信じない。憲兵隊が検問所での銃撃戦の復讐に住民を殺したため、フランクはレジスタンスに協力し始める。ジュリアナはジョーがナチ側に戻ったと聞かされ、裏切られたと考える。ジョーはベルリンで父親と会うが、死んだ母親の扱いを巡って対立は解けない。スミスはトーマスを安楽死させようとして果たせず、アドラー医師を殺して口封じをする。
14 4 "緊張の高まり"
"Escalation"
デヴィッド・ペトラルカ英語版 ウェズリー・ストリック 2016年12月16日 (2016-12-16)
ジュリアナはスミスの妻ヘレンとトーマスの助けで新生活になじみ始める。憲兵隊による市民処刑に怒ったフランクは骨董品の偽造を怠り、レジスタンスと共に危険な任務に参加するようになる。フランクはレジスタンスの一員である日系人のサラと親しくなる。スミスはヘレンに、トーマスの病気を隠すためにアドラー医師を殺したことを打ち明ける。ジュリアナは探していたディクソンと会う。
15 5 "壊滅の予兆"
"Duck and Cover"
ジョン・フォーセット英語版 エリック・オリーソン & リック・クリーブランド英語版 2016年12月16日 (2016-12-16)
ディクソンはレジスタンスの指導者であることが分かる。ジュリアナは、サンフランシスコ原爆投下のフィルムにディクソンが何度も出てきたと話す。ディクソンは、ジュリアナがジョーにフィルムを持たせて逃したことを裏切りと呼び、スミスをスパイするよう命じる。ジョーは父親から自分が人種の純化を目的にしたレーベンスボルンの子であると聞かされる。木戸はニューヨークに行き、ジュリアナを奪還しようともくろむが果たせず、スミスと内密の話し合いをする。エドは憲兵隊のためにスパイ活動をしていたことが分かる。アベンゼンは大量のフィルムと隠れ家に火を放ち、新たな隠れ家に移る。田上は再び別世界に移動し、死んだはずの妻ミチコと息子の紀明に会うが、この世界では家族と疎遠であることが分かる。第二次大戦で日本に原爆が落とされて敗北したことを知る。息子の嫁がジュリアナであることを知って田上は驚愕する。
16 6 "金継ぎ"
"Kintsugi"
ポール・ホラハン英語版 Francesca Gardiner 2016年12月16日 (2016-12-16)
ジュリアナはナチスの女性たちと交際し始め、ルーシーと親しくなる。トーマスが南アメリカに向かうヒトラーユーゲントに選ばれたことが分かる。ヘレンは拒否するが、トーマスを誘拐させて安楽死を避ける手はずであることを夫から聞かされて翻意する。ジョーは同じレーベンスボルンである映画製作者のニコルと親しくなる。田上は、息子が日本文化を軽んじることに失望する。木戸は、アベンゼンの隠れ家が焼けて見つかったと吉田に聞かされ、ヤクザもまたフィルムを探していたことを知る。
17 7 "ほほ笑みの国"
"Land O' Smiles"
カリン・クサマ Rob Williams 2016年12月16日 (2016-12-16)
エドとチルダンはフランクの骨董品を売った儲けを納めにオカムラの家に行くが、木戸と憲兵隊が来たために倉庫に隠される。ヤクザがナチのために働いたことを知った木戸はオカムラと子分らを殺す。吉田はエドとチルダンを見つけて逃がす。フランクは小野田将軍が視察に来る港に爆弾を仕掛けようとするが、ひそかに原爆が製造されていると知って中止する。アドラー医師の未亡人は夫の死に不審を抱き、解剖を求める。ジュリアナはトーマスが意識を失ったところに居合わせ、秘密を守るとヘレンに約束する。ヒトラーが倒れたことをハインリヒ・ヒムラーがスミスに伝える。
18 8 "不用意な噂"
"Loose Lips"
アレックス・ザクシェフスキ リック・クリーブランド 2016年12月16日 (2016-12-16)
スミスはジュリアナを尋問し、サンフランシスコに原爆投下が迫っていることを知る。ルーシーは、TV番組制作者の夫が過去のヒトラーの画像を流しているとジュリアナに教える。ジュリアナはヒトラーがおそらく死んでいるとディクソンに伝える。レジスタンスは蜂起を決め、ジュリアナは原爆投下を避けようとした自分が核戦争のきっかけになったのではないかと悩む。ホイスマンは総統代理となる。フランクは、ジュリアナが家族と自分にサンフランシスコから逃げるよう言ったことを知る。ジュリアナと木戸からの情報をもとに、スミスは囚われのハイドリヒを誘導してナチ指導者の中に日本との戦争を企む勢力があることを認めさせ、首謀者がホイスマン首相であることを聞き出した後で殺す。ヒトラーは亡くなり、ホイスマンが後継となる。
19 9 "爆発"
"Detonation"
クリス・ロングe版 ウェズリー・ストリック 2016年12月16日 (2016-12-16)
田上は家族と共にビキニ環礁での水爆実験のフィルムを見る。田上は日本とナチとの戦争を阻止するため、フィルムをもって元の世界に戻る。琴道は長崎に原爆が落とされた別世界から来たことが分かる。トーマスは盗聴されていることを知らずに、自分の症状のことでジュリアナを問いただす。スミスは二人の会話のテープを後に聞かされ、秘密にするよう計らう。ホイスマンはヒトラーが日本によって毒殺されたと発表し、復讐を公言する。フランクはエドとチルダンにサンフランシスコを離れるよう説得した後、サラと共に憲兵隊本部の地下に爆弾を仕掛けて小野田将軍暗殺を謀る。だが二人を木戸が見つけて銃撃戦が始まる。田上が到着したときに爆弾は爆発し、将軍と幕僚たちを殺し、フランクとサラの姿も消える
20 10 "フォールアウト"
"Fallout"
ダニエル・パーシヴァル エリック・オリーソン 2016年12月16日 (2016-12-16)
上官の爆死により、木戸は憲兵隊の指揮官となる。田上は戦争回避を木戸に迫り、木戸はニューヨークに赴き、田上の持ち帰った水爆実験のフィルムを、日本の水爆保有の証拠としてスミスに見せる。レジスタンスはカレンの死の復讐にジュリアナを殺そうとするが、ジュリアナは合気道の技で逃れる。ジュリアナは、トーマスとの会話のテープを公開してスミスを陥れようとするディクソンをも殺す。ホイスマンは日本本土およびサンフランシスコなど勢力範囲の大都市を核攻撃する計画を進める。スミスはベルリンに飛び、ジョーの助けで水爆実験のフィルムをナチス上層部に見せ、核戦争を起こして日本の水爆による報復を招かないよう説得する。ハインリヒ・ヒムラーにハイドリヒの供述書を見せて、ホイスマンが日本によるヒトラー暗殺をでっち上げた裏切り者であると納得させる。ヒムラーはホイスマンとジョーを逮捕させ、世界中に生中継される中で権力の掌握を宣言し、スミスの貢献を称賛する。だが、父親の晴れの姿を見たトーマスは、自ら安楽死を求めて当局に身柄の確保を求める。ジュリアナは中立地帯に逃げ、「高い城の男」アベンゼンに会う。アベンゼンは、様々な別世界のフィルムの中でジュリアナだけは常に鍵となる存在であり、スミスを助けたジュリアナの行動が核戦争を防いだといい、死んだはずのトゥルーディに会わせる。レムはアベンゼンのフィルムを田上に渡す。

企画[編集]

2010年BBCがテレビドラマ化を発表した。ディックの小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』の映画化作品である『ブレードランナー』を監督したリドリー・スコットが製作総指揮、ハワード・ベントン英語版が脚本を務め、スコット・フリー・プロダクション英語版エレクトリック・シェパード・プロダクション英語版、ヘッドライン・ピクチャーズ制作による全4話構成でBBC Oneで放送されることが決まったが、その後は動きがなかった[7][8]

2013年2月11日、アメリカのケーブルテレビ局であるSyfyがテレビドラマ化を発表した。BBCと同様に全4話構成で制作することになり、「Xファイルシリーズ」のフランク・スポトニッツが脚本兼任で、スコットと共に製作総指揮を担当することになった[9][10]。しかし、Syfyがドラマ化を断念したため、最終的にアマゾン・スタジオ英語版がネットドラマ化を発表した。スコット、スポトニッツに加え、演出を『PERSON of INTEREST 犯罪予知ユニット』のデビッド・セメル英語版が担当し、パイロット版が制作された[11]

2015年1月15日にドラマシリーズ化候補13作品中の1本としてパイロット版が公開され[12]、13作品中最も視聴された作品となった[13]。これを受け、2月19日に他の4作品と共にドラマシリーズ化が正式に決定し、7月に開催されたサンディエゴ・コミコンでは第1話・2話の試写会が行われた[14]。シリーズは11月20日からAmazonビデオで配信された。

撮影[編集]

ブリティッシュコロンビア大学での撮影風景(2015年6月2日)

2014年10月1日にパイロット版の撮影が開始され、サンフランシスコニューヨークシアトルロザリン (ワシントン州)英語版で撮影が行われた[15]。シアトルではシアトル・センター・モノレール英語版パラマウント・シアター英語版を使用した他、パイク・プレイス・マーケット英語版やジョージタウン地区の中心街、国際街での撮影が行われ、ロザリンでは『たどりつけばアラスカ』のオープンセットで撮影が行われた[15][16]

2015年4月からはカナダブリティッシュコロンビア州バンクーバー金融センターで撮影が行われ、5月から6月にかけてブリティッシュコロンビア大学でも撮影が行われた[17][18]

騒動[編集]

2015年11月、ドラマ宣伝の一環としてニューヨーク市地下鉄の車両座席に旭日旗ナチス・ドイツの国章をあしらった星条旗をデザインしたが、市民から批判が殺到する騒動が起きた[19]。デザインの掲示はニューヨークシティ・トランジット・オーソリティの許可を得て実施されたが、ニューヨーク市長ビル・デブラシオは「無責任で侮辱的だ」と批判し、Amazon.comは12月まで掲示予定だったデザインの撤去を決定した[19][20]

評価[編集]

批評[編集]

パイロット版は批評家から高い評価を受け、Rotten Tomatoesには16件のレビューが寄せられ、「リドリー・スコットにより、第二次世界大戦後のディストピアが再現され、放送開始後すぐに夢中にさせる内容となっており、他の作品とは異なる」などとして94%の支持を集めている[21]

受賞[編集]

2016年の第68回プライムタイム・エミー賞クリエイティブアート・エミー賞において撮影賞シングルカメラ・シリーズ部門とメインタイトルデザイン賞を受賞した。

脚注[編集]

  1. ^ ナチスドイツと大日本帝国がアメリカを占領する架空戦記「高い城の男」がドラマ化、制作はAmazon”. カルラボ (2015年7月19日). 2015年7月21日閲覧。
  2. ^ Jarvey, Natalie (2015年8月3日). “'The Man in the High Castle' Creator Frank Spotnitz on Creating Alternate Histories”. hollywoodreporter.com. 2015年8月19日閲覧。
  3. ^ “もし第2次大戦の勝敗が逆転していたら…?フィリップ・K・ディック「高い城の男」ドラマ化”. シネマトゥデイ. (2015年10月25日). http://www.cinematoday.jp/page/N0077228 2015年11月1日閲覧。 
  4. ^ 'The Man in the High Castle' Gets Another Season and Another Showrunner” (2017年1月3日). 2017年1月6日閲覧。
  5. ^ 原作では本の題名である
  6. ^ ”かかる人々は高き者を恐る畏しき者多く途にあり 巴旦杏は花咲くまた蝗もその身に重くその嗜欲は廢る”  旧約聖書『コヘレトの言葉』12章5節 。
  7. ^ Sweney, Mark (2010年10月7日). “Ridley Scott to return to work of sci-fi icon for BBC mini-series”. The Guardian (London). http://www.guardian.co.uk/media/2010/oct/07/ridley-scott-sci-fi-philip-k-dick-bbc-drama 2015年7月25日閲覧。 
  8. ^ “リドリー・スコット制作、ドラマ版「高い城の男」の脚本家が決定”. 映画.com. (2013年2月15日). http://eiga.com/news/20130215/13/ 2013年11月21日閲覧。 
  9. ^ “ニュース:フィリップ・K・ディックの小説「高い城の男」がリドリー・スコット製作でドラマに”. 海外ドラマNAVI. (2013年2月14日). http://dramanavi.net/news/2013/02/k-6.php 2013年11月21日閲覧。 
  10. ^ “Syfy, Ridley Scott, Frank Spotnitz set miniseries”. Variety. http://www.variety.com/article/VR1118066024/ 
  11. ^ 米アマゾン・スタジオがフィリップ・K・ディック「高い城の男」をドラマ化”. 映画.com (2014年8月5日). 2014年9月17日閲覧。
  12. ^ Amazon、オリジナル番組のパイロット版公開、フィリップ・K・ディック「高い城の男」のドラマ化も”. MarkeZine (2015年1月8日). 2015年3月2日閲覧。
  13. ^ ニュース:フィリップ・K・ディックの小説「高い城の男」のドラマ版、米Amazonでシリーズ製作決定”. 海外ドラマNAVI (2015年2月20日). 2015年3月2日閲覧。
  14. ^ 日本人女優TAO、リドリー・スコット製作『高い城の男』ドラマ版に出演”. クランクイン! (2015年7月19日). 2015年9月9日閲覧。
  15. ^ a b Muir, Pat (2014年10月5日). “Roslyn hopes new TV show brings 15 more minutes of fame”. Yakima Herald. http://www.yakimaherald.com/photosandvideos/localphotos/2542464-8/roslyn-hopes-new-tv-show-brings-15-more 2015年7月25日閲覧。 
  16. ^ Nuts and Bolts  » 2014 » October”. djc.com. 2015年7月25日閲覧。
  17. ^ http://yvrshoots.com/2015/04/shoot-the-man-in-the-high-castles-nazi-john-smith-rufus-sewell-films-at-vancouvers-iconic-arthur-erickson-designed-tower.html#.VTcM8iFVhBc
  18. ^ http://ubyssey.ca/blog/the-man-in-the-high-castle-filming-at-ubc534Hauen, Jack (2015年6月1日). “The Man in The High Castle is filming at UBC”. http://ubyssey.ca/blog/the-man-in-the-high-castle-filming-at-ubc534/ 2015年6月5日閲覧。 
  19. ^ a b “旭日旗とナチスのデザインで物議、アマゾンがNY地下鉄の広告撤去”. AFP. (2015年11月25日). http://www.afpbb.com/articles/-/3067941 2015年11月28日閲覧。 
  20. ^ “旭日旗の地下鉄広告が物議 NY市長批判、撤去へ”. 産経ニュース (産経新聞). (2015年11月25日). http://www.sankei.com/world/news/151125/wor1511250031-n1.html 2015年11月28日閲覧。 
  21. ^ The Man In The High Castle Season 1”. 2015年1月28日閲覧。

外部リンク[編集]