桜の通り抜け (大阪造幣局)

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夜間の通り抜け (2016年)

桜の通り抜け(さくらのとおりぬけ)とは、毎年4月中旬頃のヤエザクラの開花時期に、大阪府大阪市北区に位置する独立行政法人造幣局の敷地内の一部が一般公開されて行われる多品種のサクラを見る催しのこと。「通り抜け」という名称は大川沿いに続く構内通路沿いの560mに多くの桜が植えられ、その通路に沿って花見客が通り抜けることから、明治40年ごろに定着したもの。

造幣局は日本さくら名所100選に選定されており、構内に植えられている品種はカンザンフゲンゾウなどの遅咲きのヤエザクラを中心に134品種350本を数える(2017年時点)。このうち一つの品種が「今年の花」として毎年選定され公表されている。

沿革[編集]

江戸期[編集]

天保弘化年代(1830年-1847年)に伊勢国津藩藤堂家大坂蔵屋敷の堤に桜を植えたのが始まり。毎年の花見時期に屋敷を開放し観桜させる桜狩を催した[1]

明治期[編集]

明治政府により没収された蔵屋敷の一部は、明治4年(1871年)に造幣局として整備され開業した。蔵屋敷にあった桜は大川の川岸通りに移植され、造幣局敷地内には明治3年(1870年)以降に新たに桜の若木が植えられ、それらが現在の桜並木のルーツになった[2]

明治16年(1883年)に、造幣局長遠藤謹助が「役人だけが花見をしていてはいけない」と一般に開放された[3]。開放当初は午前10時から午後4時の開放であったが、次第に開放時間が拡大され、明治38年(1905年)には午前8時から午後6時の開放となった。明治40年(1907年)には午前8時から午後5時に縮小された[4]。開放期間中の人出は、明治26年(1893年)7万人、明治32年(1899年)9万6000人との記録がある[5]

明治42年(1909年)には一重のシバヤマ132本、ミクルマガエシ68本等などの18種類287本の桜があり、カンザンフゲンゾウなどの遅咲きのヤエザクラが多い現在の植樹状況とは異なった趣であった[5]

大正時代には周辺の工場からの煤煙の影響によって樹勢が衰えたことで、大正末期から昭和初期にかけて全国から苗木を集めて補植されていった[6]。補植を進めた結果、昭和2年(1927年)には12種455本、最も本数が多かった昭和6年(1931年)には74種764本になった[2]

大正・昭和期(戦前)[編集]

大正6年(1917年)には6日間で70万2252人の人出があり、これは戦前の最高記録である[7]

昭和20年6月15日(1945年)の空襲で造幣局の桜の過半数が焼失する等の被害を受けた[7]

昭和(戦後)・ 平成期[編集]

戦後の復興は、昭和21年(1946年)から北摂地域からの移植を受け、昭和22年(1947年)に5年ぶりに「通り抜け」を再開した。その後も補植が続けられ、昭和26年(1951年)に戦前の状態まで復興し、同年に夜間開放が始まった[7]

昭和34年(1959年)に戦前戦後を通じて最高の106万1780人の人出を記録した[7]

昭和42年4月22日(1967年)、一人の観客がつまづき倒れたことをきっかけとして多く観客が折り重なって転倒し、一名が亡くなる事故となった。この事故を契機として門や通路の拡張工事を行うとともに、閉門時間を混雑状況に応じて変更するなど柔軟な運用が行われるようになった[7]

昭和50年4月19日(1975年)には、1日としては最高の36万人を記録している[8]。その年から「今年の花」の選定と「通り抜け記念メダル」の販売が始まった[9]

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 「通り抜けの桜」造幣局泉友会、創元社1985、pp25-26
  2. ^ a b 「通り抜け」造幣局泉友会、創元社1996、pp48-49
  3. ^ 「通り抜けの桜」造幣局泉友会、創元社1985、pp28-29
  4. ^ 「通り抜け」造幣局泉友会、創元社1996、p56
  5. ^ a b 「通り抜けの桜」造幣局泉友会、創元社1985、p33
  6. ^ 「通り抜けの桜」造幣局泉友会、創元社1985、pp50-51
  7. ^ a b c d e 「通り抜けの桜」造幣局泉友会、創元社1985、p51
  8. ^ 「通り抜け」造幣局泉友会、創元社1996p127
  9. ^ 「通り抜けの桜」造幣局泉友会、創元社1985、p78

参考文献[編集]

外部リンク[編集]

独立行政法人 造幣局:桜の通り抜け(大阪)”. 2016年4月閲覧。

座標: 北緯34度41分46.4秒 東経135度31分15.4秒 / 北緯34.696222度 東経135.520944度 / 34.696222; 135.520944