一方通行

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一方通行(いっぽうつうこう)とは、交通規制により車両などの進行を一つの方向に限定している状態、およびそれが実施されている道路のことである。転じて、意思伝達が一方的で相手に伝わっていないことや、その状態にある人間関係も指す。本項では前者に関して記す。

道路標識[編集]

世界[編集]

一方通行
車両進入禁止

いずれも一方通行出口の逆走側に設置される。

日本[編集]

日本において一方通行の規制をする場合には、「一方通行」(326-A・B)と「車両進入禁止」(303)の道路標識が対になって用いられ、前者の標識を設置して一方通行の方向を指定し、交差点等の一方通行の出口付近では後者の標識を設置するのが通常である。

また、歩道自転車道において自転車の一方通行の規制をする場合には、矢印に自転車のマークの「自転車一方通行」(326の2-A・B)の道路標識を設置して一方通行の方向を指定し、交差点等の一方通行の出口付近では「車両進入禁止」(303)の標識(補助標識で「この歩道」・「この自転車道」などと指定する)を設置するのが通常である。

目的[編集]

警察庁が一方通行規制を実施する目的は

車両の相互通行に伴う複雑、危険な交通状態を単純化して交通容量を増大させ、交通の安全

と円滑を図る。

— 警察庁交通規制課、交通規制基準、63頁

としている。

また、実施する場所は以下のように示している。

原則として次のいずれかに該当する道路
  • 1 交差点における交通流の整序化、単純化、安定化を図る必要性が特に高い都市部の幹線道路等
  • 2 車両の相互通行に十分な車道幅員がなく、安全と円滑を確保するため必要がある道路
  • 3 変則又は多岐の交差点と接続し信号処理上交通流を単純化する必要がある道路対象道路
  • 4 一定方向への交通量が著しく多く、交通の円滑を図るため必要がある道路
  • 5 通過交通を排除する必要がある生活道路
  • 6 相互通行が困難な踏切及びその前後の道路
  • 7 側道、副道、ロータリー等道路構造が特殊で、相互通行が困難又は円滑な交通流の確保が必要な道路
  • 8 高速自動車国道等の流出入路
— 警察庁交通規制課、交通規制基準、63頁

生活道路狭隘道路ランプウェイにおいて交通安全を確保するために一方通行規制が設けられる。

また、この規制を都市交通に導入することへの長所として、廣川(1966)[1]は以下のように挙げている。

  • 平均速度が上昇する。
  • 交通容量が増大する。
  • 駐車規制が不要となる。
  • 事故件数が減少する。
  • 経路選択の転換によって、交通事情が改善する。
  • 公共交通機関の輸送環境が改善される。
  • 沿道の商業利益が増大する。

このようにして、一方通行の規制は都市交通における交通容量を増大による渋滞を解消させ、都市交通を活性化させる効果がある。

運用[編集]

補助標識「車両の種類」(503-A)により二輪を除外(香川県高松市
補助標識「車両の種類」(503-B)により二輪の自動車以外の自動車に限定(三重県尾鷲市
補助標識「日・時間」(502)により日時を指定(東京都新宿区
逆転式一方通行の実施例(東京都新宿区)
「一方通行」「車両進入禁止」「歩行者専用道路」の標識を同時に設置し、補助標識で時間別の規制内容を指定することにより一方通行の方向を変化させている。

前述の通り、一方通行規制を実施する区間には「一方通行」(326-A・B)と「車両進入禁止」(303)の道路標識が対になって用いられる。いずれもその効果は歩行者以外の全ての車両(路面電車や自転車も含む)・時間帯に及ぶが、日本の道路標識#補助標識を併用して実施区間の実情に合わせた規制を行う。

車両による違い[編集]

一部の車両について、一方通行の対象外とすることがあり、補助標識で「自動車・原付」・「自転車を除く」・「軽車両を除く」・「自動車(二輪を除く)」などと指定される。この場合、規制対象外となっている車両が反対側から走行してくる可能性があるので、注意が必要となる。

時間帯による違い[編集]

繁華街や商店街の中を通る細い道には午前と午後で進行できる方向を逆転させる「逆転式一方通行」とする場合がある。日本における例としては、早稲田通りの内、東京都千代田区富士見九段中等学校前交差点)から新宿区矢来町(牛込中央通りとの交点)までの区間について、12時を境に午前は東行き、午後は西行き(ただし12時から13時の間は歩行者専用道路)とする規制を実施している。 この他、東京都足立区千住仲町の東京藝大前交差点 - 千住仲町公園前交差点付近(ミリオン通り)などにおいても実施されている。

また、住宅街や学校のそばを経由して主要道路と並行して走り、別の主要道路と交差する道(いわゆる抜け道になるような道)を指定された時間帯のみ一方通行にし、それ以外の時間帯は両方向に走ることのできる一方通行道路もある(神奈川県相模原市市営斎場前交差点~鵜野森旧道交差点など)。

道路交通以外[編集]

鉄道[編集]

単線環状鉄道を、列車を片方にしか進めない一方通行で運用することがある。

船舶[編集]

港湾やその付近の水域において、船舶の衝突防止のため、水路に一方通行が設定されることがある[2]

歩行者[編集]

展示会展覧会などで見学する歩行者に対して一定の順序で展示物を巡回するように、通路に一方通行が設定されることがある[3]

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ 廣川楡吉 『交通規制』 技術書院〈交通工学シリーズ26〉、1966年3月20日
  2. ^ 海上保安庁・よくあるご質問
  3. ^ 人と防災未来センター・観覧案内・展示ガイド