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教皇勅書に「火と硫黄」ならぬ「屁と硫黄」をおみまいするドイツ農民
マルチン・ルター「Depictions of the Papacy」(1545年)より

(へ)は、肛門から排出される気体で、で発生されるガスも含める。おならガスともいう。

平均的には大人は普通一日に合計0.5 - 1.5Lの量の屁を5回から20回に亘り放出する。屁を放出することを放屁(ほうひ)という。

メカニズム[編集]

小腸上部で消化吸収されなかった食物の残渣(カス)は、小腸の下部や大腸腸内細菌の作用によって分解される際に、腸内ガスを発生させる。このガスのほとんどは腸管から吸収されるが、吸収しきれない分が肛門から排出される。

開腹手術を行った後は腸管蠕動運動が一時停止し、屁が出ないようになる。また手術後に屁が出る事が、腸機能の回復した証とされている。

臭いと原因[編集]

小腸には、食物繊維を分解する酵素がないため、繊維分は小腸で消化吸収されず、大腸へ送られて分解される。その際に発酵してガスが発生する。したがって、食べた物の種類や量、又は体調によりガスの発生量やにおいが異なってくる。

  • イモ類など食物繊維の多い食物
食物繊維は大腸でしか分解されないため、食物繊維の多い食物を多く食べると、それだけガスの量も多くなる。その際、大腸で乳酸菌などによって水素メタンのガスが多量に発生するが、全くの無臭である。
これらの食物を多く食べると、大腸でウェルシュ菌などによって分解される時に腐敗し、硫化水素二酸化硫黄二硫化炭素インドールスカトールなどのガスが大量に発生し、匂いの強いガスが発生する。
  • 病気によるガス
、腸、肝臓胆道膵臓の病気や菌交代症の際には、蛋白質の腐敗による、不快なにおいのガスが発生することがある。
  • その他
炭酸飲料ビール等)をよく飲む人は、摂取しない人よりも、ガスの量が多いという俗説がある。

対策[編集]

屁は音や悪臭を伴うことが多いため、人前での放屁は一般にマナー違反とされ、本人も恥ずかしさを感じる。このため放屁を我慢したり、ゆっくり音がしないように出したりすることが多い。静かに出しても臭気がきつく周囲に不快感を与えることが続く場合には、食生活や体内環境の改善が必要となる。

病気[編集]

成分[編集]

気体成分[編集]

腸内のガスの9割は体外から口と鼻を通って入ってくるもので、残りの1割は体内の微生物により造られる。主成分を以下に示す。

主に肛門の近くにいるメタン菌によって合成されるが、3人の内2人はメタンを一切含まない屁をする事がわかっている。メタン菌がいないと硫酸還元菌が優勢になるため硫化水素 (H2S)が増加することも[1]
これは大腸菌等の腸内菌が、ガスを排出する際に一緒に放出されてくるものである。一回あたり数千~数万個が放出されると言われる。

口臭が腸内ガスに近い臭いを発することがある。これは便秘しているから腸内ガスが吸収され血管内を運ばれ、から放出され口腔に至る為である。

屁には水素、メタン、硫化水素など可燃性ガスが含まれるため、ライターマッチを近づけると燃えることがある。これは体質、食したものなどによる成分によって、よく燃える場合と燃えない場合がある。面白半分に行うと、二酸化硫黄(SO2)を発生したり、火炎による火傷を起こしたりする恐れがある。

文化[編集]

日本における呼称・俗語[編集]

「おなら」は「お鳴らし」が略されてできた女房言葉で、「屁」よりも上品(あるいは婉曲)な言い方であるとされており、およそ室町時代にできた言葉である。元来は屁のうち音が鳴ったもののみが「お鳴らし」であるため、音のしない屁を「おなら」と表現するのは厳密には誤用であり、江戸時代にこれら音のしない屁を指す「すかしっ屁」という表現ができた。

屁をすることを「屁をこく」「屁を放(ひ)る」「放屁する」と言う。

また屁に関する慣用句や俗語としては「イタチの最後っ屁」(追い詰められた時の必死の抵抗やあがき)、「屁の突っ張りにもならない」、「屁とも思わない」、へたれ(屁垂れ)などがある。

マナー[編集]

現代では公共の場において放屁することはあまり良くないとされる。日本では「屁=汚い・臭い」など良いイメージを持たない者が大多数であるからである。車の中やバス、満員電車など人が密集する可能性の場所で屁をすることは、面白半分でも、多くの人に不快感を与える恐れが強い。誰もいない場所やトイレでするのが一般のマナーとされている。

1873年(明治6年)2月8日東京押上の土手において放屁した女を邏卒が連行し、罰金75銭を支払わせた。これに憤慨した女は罰金額が法外であるとして警視庁に抗議。1872年(明治5年)の東京違式詿違条例では立小便や落書きといった現在の軽犯罪にあたる行為などを規制していたが、放屁に関する規定はなく罰金刑は不当なものであった。このことは当時の新聞で議論を呼び、放屁の規制も条例に加えるべきとする意見と生理現象であり規制すべきでないとする意見とに分かれた。のちに司法卿江藤新平は通達を出し、放屁は規制の対象外として罰金も返還された。

また、当時開業したばかりの鉄道では客車内での放屁に罰金を科す旨の掲示があった。

俗説では、欧米諸国等では放屁は比較的失礼とされず、ゲップのほうが失礼とされるが、文化圏、階層、個人などにもよる。

マラウイ共和国では、「公序良俗を遵守する」という目的で、2011年2月、公共の場所での放屁を禁止する法案が提出された[2]

放屁を面白がる文化[編集]

一般に行儀が悪い、無礼な行為とされる放屁を自在に操って、一種の音楽を奏でるなどする曲芸がある。これを曲屁、行う人を放屁師と呼ぶ。

日本の絵巻物などには放屁合戦という画題がある。室町時代に制作された『福富草紙』という御伽草子は、放屁の芸を披露して立身する翁を描いている[3]

創作でのテーマ化や描写[編集]

屁の色
漫画イラストアニメなどで、判り易くする為に、屁がのように表現される事がある。モノクロ絵では輪郭や灰色、カラーでは黄色茶色で描かれることが多い。これは作画的効果を狙った物であり、実際の屁は無色透明である。
武器
ゲームやアニメなどでは相手に向けて放屁しての攻撃の描写がある。
楽曲

その他[編集]

カメムシ
カメムシは防衛の為に悪臭を放つため、ヘッピリムシやヘヒリムシなどと呼ばれ、おならをすることを、「おならをふる」という長崎県では、ヘップリと呼ばれる。実際は後胸の腹面に一対ある臭腺から分泌されており、種によってはリンゴのような匂いがするものもある。
欠番の「へ」
日本におけるナンバープレートでは、「へ」は屁(=排ガス)を連想させるとして使われていない。
ナンバープレートと同じく、江戸時代町火消し「いろは四十八組」に「へ組」はなかった。
地名
山梨県中央市の地名・西新居(にしあらい)は、かつて西新屁と表記したことで知られた。
競技中の屁
2018年11月に行われたダーツ世界大会で、対戦相手の発した悪臭で影響を受けたと抗議する選手が現れた[4]

脚注[編集]

関連項目[編集]