レッド・オクトーバーを追え!

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レッド・オクトーバーを追え!
The Hunt for Red October
監督 ジョン・マクティアナン
脚本 ラリー・ファーガスン
ドナルド・スチュワート
原作 トム・クランシー
レッド・オクトーバーを追え
製作 メイス・ニューフェルド
製作総指揮 ラリー・デ・ウェイ
ジェリー・シャーロック
出演者 ショーン・コネリー
アレック・ボールドウィン
音楽 ベイジル・ポールドゥリス
撮影 ヤン・デ・ボン
編集 デニス・ヴァークラー
ジョン・ライト
製作会社 ニーナ・サクスン・フィルムデザイン
メイス・ニューフェルド・プロダクションズ
配給 パラマウント映画
公開 アメリカ合衆国の旗 1990年3月2日
日本の旗 1990年7月13日
上映時間 135分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $30,000,000[1]
興行収入 $200,512,643[1]
配給収入 10億円[2] 日本の旗
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レッド・オクトーバーを追え!』(原題:The Hunt for Red October)は、トム・クランシーによる小説レッド・オクトーバーを追え』を原作として1990年に製作されたアメリカ映画冷戦終結後の1990年に公開され、アカデミー音響効果賞を受賞した。

ストーリー[編集]

1984年11月、冷戦時代ソ連。経験豊富なソ連の潜水艦艦長マルコ・ラミウスは、超静音航行システム「キャタピラー・ドライブ」を搭載した新型タイフーン級原子力潜水艦レッド・オクトーバー英語版[注釈 1]の処女航海任務を任された。ラミウスはレッド・オクトーバーを指揮し、かつての教え子であるツポレフ艦長が指揮するアルファ級潜水艦「コノヴァロフ」と一緒に演習を行うためにムルマンスク港を出るが、まもなくラミウスは政治将校のイワン・プーチンを事故に見せかけて殺害し、アメリカ東海岸でミサイル訓練を行うと嘘の命令を艦内に伝える。実はラミウスは1年前の妻の死[注釈 2]をきっかけにソ連政府に嫌気が差しており、ボロディン副長以下、信頼する子飼いの部下たちと共にアメリカへの亡命を企てていた。また、ラミウスは退路を断つために、亡命の意志を伝える手紙をソ連政府に送っており、間もなくソ連上層部はレッド・オクトーバーの追跡及び撃沈命令を出すと、演習と称して大西洋上への大部隊の展開を開始した。

同じ頃、ソ連の新型潜水艦の偵察任務を行なっていたアメリカ海軍ロサンゼルス級原子力潜水艦ダラス」は、レッド・オクトーバーを発見し、情報を受けたアメリカ海軍上層部は潜水艦に精通するCIA分析官で元海兵隊員のジャック・ライアンに、新型潜水艦についての調査を命令する。間もなくライアンはレッド・オクトーバーが未だアメリカも実現できていないキャタピラー・ドライブを搭載していると気づく。しかし、時既に遅く、キャタピラー・ドライブを作動させたレッド・オクトーバーはダラスの前から姿を消し去っていた。

ソ連からの不確かな諜報情報が届く中、レッド・オクトーバーの目的について悩むアメリカ政府上層部であったが、ライアンはラミウスの意図が亡命であると見抜く。海軍上層部はライアンの予想を否定するものの、国家安全保障顧問ジェフリー・ペルトはライアンにその仮説を確認するための3日間の猶予を与える。そしてライアンはかつての事故のトラウマにより苦手な飛行機に乗せられ、大西洋の真ん中にある空母「エンタープライズ」へと派遣される。

一方、レッド・オクトーバーは順調に進んでいるように見えたが、内部にKGBと思われる人員が密かに潜り込んでおり、「キャタピラー・ドライブ」への破壊工作が発生する。やむを得ず通常航行にするが、その航行音によってソ連の哨戒機に発見され、魚雷攻撃を受ける。これは避けるものの、亡命の意図を知らない下士官や乗務員たちの間に不安が広がる。また、遅れながら撃沈命令を知ったツポレフは、ラミウスの航行ルートを正確に予測し、猛追する。同じく、ダラスのソナー技術者であるジョーンズは、水中音響ソフトを使ってレッド・オクトーバーを探知する方法を発見し、その軌跡から航行ルートを予測し、先回りをマンキューソ艦長に進言する。

レッド・オクトーバーを捕捉できず、業を煮やしたソ連政府は外交ルートを通じてアメリカに、ラミウスが錯乱し、アメリカにミサイル攻撃を行おうとしていると嘘をつき、アメリカ軍からも撃沈させるように仕向ける。猶予が無い中、ライアンはラミウスの亡命計画の中身を予測し、彼らと接触するために、荒れた海の中をレッド・オクトーバーを追跡中のダラスへと乗り込む。ライアンは、ソ連の嘘の情報を信じるマンキューソを説得すると、発見したレッド・オクトーバーに古典的なモールス信号を使って亡命の意図を察知していることや、それに協力する意志があることを伝える。内心で喜ぶラミウスは、当初の計画通り、原子力事故による放射能汚染が艦内に起きたように見せかけて、亡命計画を知らない下士官や一般兵たちを避難させるという形で海上へ出て艦外へと追い出す。そこにアメリカのペリー級ミサイルフリゲートルーベン・ジェームズ」がやってくると、ラミウスと彼の子飼いの士官たちは放射能汚染されていることになっている艦内に戻り、自分たちで迎撃すると嘘をつき、潜航する。

ライアン、マンキューソ、ジョーンズの3人は連絡艇を使ってレッド・オクトーバーに乗り込む。ラミウスと部下たちは彼らを快く迎え入れ、正式に亡命の意志を伝える。そこに追いついたコノヴァロフが魚雷攻撃をしてくる。更には例のKGBの人員がまだ艦内に残っており、銃撃によってボロディン副長が死亡し、さらにはレッド・オクトーバーを破壊するためミサイル庫を爆破しようとしている。同じく負傷したラミウスを残し、ライアンは単身でKGBの工作員を追い詰め、危機を救う。また、コノヴァロフの攻撃も加勢してきたダラスの副長らの攪乱作戦やラミウスの代わりにレッド・オクトーバーを指揮していたマンキューソの手腕によって失敗に終わり、逆にコノヴァロフがレッド・オクトーバーによって誘導されてきた魚雷によって撃沈される。このコノヴァロフの撃沈がレッド・オクトーバーが撃沈されたものと誤解されたことによってアメリカとソ連の外交問題は発生せずに済み、ラミウスらの亡命も成功した。

ソ連に探知されないために、ライアンの策によってレッド・オクトーバーは夜半のメイン州ペノブスコット川を俎上する。そこでラミウスは、ライアンに感謝しつつ、ソ連政府がレッド・オクトーバーを使ってアメリカへの無差別核攻撃を計画していること知り、嫌気が指して亡命したと明かす。また、ラミウスがクリストファー・コロンブスの言葉「海は人々に新しい希望をもたらす」[注釈 3]を引用すると、ライアンは同意し「新世界へようこそ」と返す。

すべてが終わり、家族が待つ家へと帰る飛行機の中で、満足そうに眠るライアンのシーン[注釈 4]で幕を閉じる。

登場人物[編集]

ソ連ミサイル原潜(SSBN)「レッド・オクトーバー」[編集]

中央情報局(CIA)[編集]

アメリカ海軍攻撃型原潜(SSN)「ダラス」[編集]

ソ連関係者[編集]

アメリカ関係者[編集]

日本語吹替[編集]

役名 俳優 日本語吹替
ソフト版 TBS テレビ朝日
マルコ・ラミウス ショーン・コネリー 小林清志 若山弦蔵 坂口芳貞
ジャック・ライアン アレック・ボールドウィン 富山敬 大塚芳忠 江原正士
バート・マンキューソ スコット・グレン 納谷六朗 千田光男 田中信夫
ジェームズ・グリーア ジェームズ・アール・ジョーンズ 加藤正之 藤本譲
ヴァシリー・ボロディン サム・ニール 西村知道 池田勝 小川真司
アンドレイ・ルイセンコ ジョス・アクランド 今西正男 亀井三郎 中庸助
ジェフリー・ペルト リチャード・ジョーダン 吉水慶 有本欽隆 仲野裕
イワン・プーチン ピーター・ファース 稲葉実 小島敏彦 牛山茂
ペトロフ ティム・カリー 辻親八 西村知道 後藤哲夫
ロナルド・ジョーンズ コートニー・B・ヴァンス 荒川太朗 星野充昭 高木渉
ツポレフ ステラン・スカルスガルド 稲葉実 金尾哲夫 中田和宏
スキップ・タイラー ジェフリー・ジョーンズ 田原アルノ 津田英三 稲葉実
ビル・スタイナー ティモシー・カーハート 檀臣幸
ジョシュア・ペインター フレッド・トンプソン 小関一 島香裕
ダヴェンポート ダニエル・デイヴィス 沢木郁也 稲葉実
ボモント ネッド・ヴォーン 森一 鈴木正和
トンプソン アンソニー・ペック 大川透
ファーガソン ラリー・ファーガソン 辻親八
メレキン ロナルド・ガットマン 青山穣
ロギノフ トーマス・アラナ 小島敏彦 小室正幸
カマロフ マイケル・ウェルデン 小室正幸 森田順平
キャロライン・ライアン ゲイツ・マクファーデン 有馬瑞香
サリー・ライアン ルイーズ・ボーラス 佐藤ユリ
アンドレイ・ボノヴィア クシシュトフ・ヤンチャル 小形満
パドーリン ピーター・ツィンナー 今西正男 亀井三郎
ムーア判事 レイ・レインハード 小関一
スラヴィン ボリス・クルトノグ 小島敏彦
その他 緒方賢一
古田信幸
藤城裕士
中田和宏
坂東尚樹
小野健一
田中正彦
伊井篤史
沢海陽子
川中子雅人
齋藤龍吾
小野健一
中博史
大黒和広
高瀬右光
清水敏孝
荻原秀樹
プロデューサー   上田正人 圓井一夫
翻訳 島伸三 平田勝茂
演出 小林守夫 伊達康将
調整 荒井孝 田中和成
制作 東北新社 東北新社
TBS
東北新社
初回放送 DVD&VHS版

1991年2月1日発売 

1993年4月7日
水曜ロードショー
1999年5月2日
日曜洋画劇場
正味 約119分 約95分
再放送 BS-TBS
  • 2016年1月30日、BS-TBSでもテレビ朝日版が放送された。CMを含め2時間という枠に収めるためカットが多く、オリジナルに存在しない田中信夫のナレーションで始まる。
  • 2020年11月9日、同年10月31日に亡くなったショーン・コネリーを偲び、テレビ東京午後のロードショーで放送したのもやはりテレビ朝日版である。通常映画番組を放送しない時間帯に2時間2分の放送枠を急遽設けた。

評価[編集]

レビュー集計サイト「Rotten Tomatoes」では72件のレビューを基に89%の支持を獲得し、平均評価は7.7/10となっている。同サイトの批評コンセンサスでは「完璧なキャスティングに、サスペンスが詰まった『レッド・オクトーバーを追え!』は十分な火力(firepower)を持った昔ながらの潜水艦スリラーである」としている[4]Metacriticでは、17人の批評家を基に100点満点中58点の加重平均スコアを獲得しており、「賛否両論または平均的な評価」としている[5]

その他[編集]

  • 映画版ではラミウスやボロディンらのソ連人役のキャストは映画冒頭ではロシア語を話しているが、政治士官プーチンが艦長室でラミウスの私物の聖書の黙示録を読むシーンの「ハルマゲドン」の単語から英語にスイッチしている(ただ、後の場面でもロシア語で話すシーンが所々にある)。
  • アルトロンより、レッド・オクトーバーの名をタイトルに使ったゲームソフトがゲームボーイスーパーファミコン用に発売されている。日本ではファミコン版は発売中止となったが、再三に渡ってこのゲームを自画自賛していた様子が後年話題になった[6]
  • イギリスのゲーム会社JagexのMMORPG『RuneScape』のクエスト、「Cold war」と続編『The hunt for red raktuber』はこの映画から取られている。
  • 2011年3月25日、「スペシャル・コレクターズ・エディション」と題したBlu-ray Disc版がリリースされた。
  • 日本語字幕・吹き替えでは扱われない要素だが、レッド・オクトーバーを追跡するダラスの腕利きソナー員であるジョーンズ兵曹の台詞にはクラシック音楽(マクティアナン監督はジュリアード音楽院で学んだ)やオーディオヴィジュアルに関する、平易に理解し難い知識が含まれている。レッド・オクトーバーの推進音を探しながら"S/N比が劣化して(Signal to noise ratio's dropping.)"と呟き、コノヴァロフの魚雷の特徴を米軍の魚雷より「ピッチが高い(pitch is too high.)」と表現する。
  • 映画終盤、魚雷を回避するためダラスが緊急浮上するシーンにおいて副長の指示に「緊急ベル」と字幕が表示されるが、これは「エマージェンシー・ブロー」(Emergency Blow)の誤訳である

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

  1. ^ ソ連において重要な故事である「十月革命」にちなむ名前。
  2. ^ たびたび悲惨な死であったことが暗示されるが、具体的には示されない。
  3. ^ このコロンブスの言葉とされるものはフィクションである[3]
  4. ^ 劇中序盤や途中の空母やダラスへの移動などにおいて、海兵隊訓練時代の事故によって飛行機やヘリにトラウマがあるライアンは機内で眠ることができないという描写があった。
  5. ^ 現実のソ連海軍では弾道ミサイル潜水艦の艦長には少将の階級にある人員が就いていた。

出典[編集]

  1. ^ a b The Hunt for Red October(1990)”. Box Office Mojo. Amazon.com. 2009年11月19日閲覧。
  2. ^ 1990年配給収入10億円以上番組 - 日本映画製作者連盟
  3. ^ And the Sea Will Grant Each Man New Hope, As Sleep Brings Dreams of Home”. quoteinvestigator.com. 2020年4月7日閲覧。
  4. ^ The Hunt for Red October (1990)”. Rotten Tomatoes. 2021年5月8日閲覧。
  5. ^ The Hunt for Red October”. Metacritic. 2014年1月17日閲覧。
  6. ^ M.B.MOOK『懐かしファミコンパーフェクトガイド』64ページ

参考文献[編集]

  • 木津徹、大賀良平、安陪祐三、水上芳弘「現代の潜水艦戦を語る - 話題の『レッド・オクトーバーを追え』を読んで」『世界の艦船』第365号、海人社、1986年6月、 145-153頁。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]