トップレス
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トップレス とは、女性が上半身裸(乳房を露出)の状態のことを指す[1]。本項では、男性と女性の上半身に関する性差の問題を中心に、その他の事例も扱う。
概要
[編集]伝統文化
[編集]北アメリカ(ネイティブ・アメリカン)、オーストラリア(アボリジニ)、アフリカ、太平洋の島々などでは、上半身に衣服をつけない、今日でいうトップレスのスタイルが一般的であり、イスラム圏とされる地域においても、13世紀から14世紀にかけてイスラム教が定着・浸透する以前は、同様にトップレスが主流だった[2]。
アフリカ南部や南アメリカなどの文化には、上半身裸で生活することが男性と女性に共通する社会規範であった場所も多く、例としてナミビアのヒンバ族やクレタ島の古代ミノア文明などが挙げられる。
西洋文化
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西洋文化においては、男性が海水浴場やプールなどの限定された場所で上半身裸になることは、女性に比べて一般的な行為とされている。男女間で上半身の露出に対する認識が大きく異なる背景には、女性の胸部が性的象徴としての側面を有している点が挙げられる。そのため、服装を規定する法律や規範においても、上半身の露出に関して男女で差異が設けられる場合が多い。
西洋諸国をはじめ、東洋や中東のイスラム圏など多くの地域において、公共の場における女性の胸部露出は社会的に不適切とみなされ、処罰の対象となることもある。こうした抑圧的な習慣に対し、女性の権利擁護者らによる「トップフリー運動」などが反対を表明してきた。なお、女性がトップレス状態で着用する水着は「モノキニ」とも呼ばれる[3]。
歴史
[編集]アメリカ合衆国では、家族で楽しむためのテレビ番組において、女性の乳首が長時間露出すると問題になる場合がある。スーパーボウルのハーフタイムショーにおいてのジャネット・ジャクソンや、MTVにおいて人気ポップ歌手のマイリー・サイラスが、乳首を露出した出来事が一例である。トップレスであるかのように演出する場合もあり、NBCのバラエティ番組『サタデー・ナイト・ライブ』のシーズン22のモノローグでモデル・女優のパメラ・アンダーソンが水着を着用したまま、モザイク入りで乳首だけでなく、陰部・女性器を披露するシチュエーションを行った[4]。しかし、実際に全裸にならなかったことに反感を覚えた人もいた。ヒップの場合は、Tバックなどを着用し大部分を露出した下着や水着を着用している状態で放送されることもある。
イギリスの公共放送局『チャンネル4』で、2016年7月25日から放送されている番組『Naked Attraction』[5]や、オランダの番組『Adam Zkt. Eva』、イタリアのバラエティ番組『ねむれナイト コルポグロッソ』ではモザイク無しで、アメリカ合衆国のリアリティ番組『Dating Naked』[6]や、『Naked and Afraid』、『Buying Naked』では、モザイクありで、全裸の男女が放送で映る。ただし、両者ともお尻には一切かからない。海外の番組を紹介する日本のバラエティ番組で、映像が放送された場合はかかる場合が多い。
映画のプレミアでアメリカ人女優のジェニファー・ローレンスや、アン・ハサウェイ、イギリス人女優のエマ・ワトソンのドレスから乳首が露出した出来事がある。女優のナタリー・ポートマンがナタリーの友達とビーチで日光浴をしている際、トップレスになったところをとらえた写真が流出したこともある。

上半身の自由とは、女性が公共の場で上半身裸になる権利を求める運動。公共の場において男性が上半身裸になることが問題視されていないため、それと同等の権利を女性が獲得することを目指す。「フリー・ニップル運動」と呼ばれる場合もある。この運動が発生したのは、母乳を与えていた母親が逮捕されたことが原因となっている。場所としては、ビーチ、プール、公園などが挙げられる。運動目的としては、子供に母乳を飲ませるとき人目に触れない場を探すことを強制しないこと、プールや海岸などの場所で快適に日光浴を行えるようにすること、男女平等問題などが挙げられる。北アメリカでは、ヨーロッパやオーストラリアよりも、上半身の自由運動が盛んに展開され、2005年2月にはカリフォルニアにおいて、弁護士リナ・ジョンソンは、日光浴のためであれ、子供に母乳を与えるためであれ、公然わいせつ罪で有罪になった女性は、ミーガン法により、強姦罪や子供への性的虐待の罪に問われた者たちと同じく性犯罪者として同列に並べられていることを問題として取り上げた。「トップフリー」という言葉は、否定的な意味合いを帯びている「トップレス」の言い換え語として用いられている。「シャツを着ない権利 」という言葉を好む者もいる。
世界では、女性の胸はプライベートゾーンであり、わいせつであるとの考え方から、公共の場で女性が上半身裸になることには反感が残っている。生物学的には乳腺と交尾の間に特定の関係性は存在しない。異性愛の男性の多くは、女性の胸に性的刺激を感じる。また他の霊長目における臀部の発達と同じようにして、人類の進化と共に女性の胸が第二次性徴として現れてきたと考える動物学者(デズモンド・モリスの名が知られている)も存在する。北アメリカの法廷では、乳腺が性器ではなく、子供を育てるための器官であるとの裁定を下されたこともある。法的に規制されているのは性器の露出であることを考えると、これらの裁定は重要なものであると言える。
- 海に入るトップレス女性
- ドイツの祭りでトップレスで参加する女性
社会的・文化的な規範と意識の変遷
[編集]有史以来、男性、特に農夫や工夫などの労働者は胸を露にして働いてきた。温暖な地域や酷暑の地域においては、これはごく自然な光景であった。中世まではフランスにおいても、女性が川で身一つで水浴びをする姿が見られたとされる。しかし近代以降、文明が発達するにつれて裸に対する社会の態度は厳格化していった。
身体や裸体に対する観念が再び柔軟性を取り戻すのは、20世紀に入ってからのことである。まずプールやビーチにおいて男性の上半身裸が許容され(例えばニューヨークのセントラルパークでは1960年まで上半身裸での活動に罰金が科されていた)、その後徐々に許容範囲が広がっていった。
21世紀に入り、欧州、カリブ海沿岸、オーストラリア、北米などのビーチでは、女性がトップレスで過ごせる場所が増加している。もっとも、これが世界的な潮流とまで言えるわけではない。欧米圏においても上半身裸の男性に反感を覚える人々は根強く存在し、屋内の店舗などでは「シャツ・靴の着用がないお客様はお断り」といった方針を掲げる事例も多い。一方で、一般的な西洋社会において、男性がシャツを着用せずに(あるいはボタンを外して)写真に納まることは特段問題視されず、男性の肉体を誇示する行為は「無害なもの」と受け止められる国も多い。
なお、アフリカ南部のように伝統的に腰布のみを着用し、上半身裸で生活する文化圏が存在する一方で、イスラム圏においては性別を問わず上半身裸になることは認められておらず、ビーチであっても厳罰に処される可能性があるなど、地域による格差は依然として著しい。
組織/団体
[編集]カナダにはトップフリー平等権協会(Topfree Equal Rights Association=TERA)が存在し、男性が上半身裸である場所において、「胸に何も身に付けない」権利を実践した結果、何らかの法的トラブルに見舞われた女性を援助している。そのサイトによれば、TERAはカナダとアメリカの両国における問題を取り扱っている。TERAは、上半身の自由に関する啓発活動も行っている。さらに、TERAは、女性のトップフリーを禁止する規則を女性差別であると問題視しており、北アメリカの司法制度で見られる上半身の自由に関連する法を改正することを目指している。
米国にはGoTopless.orgが存在し、男性が許可されているように、公共の場で女性がトップレスになる憲法上の権利を持っていると主張している。8月26日に最も近い日曜日がGoTopless Dayとして公共の場でトップレスになる女性の権利のためのデモが実施されている。2014年12月12日には、それに基づいたドキュメンタリー映画『Free The Nipple』がニューヨーク市で公開された[7]。2016年2月11日には、ドイツでBlu-ray DiscとDVDが販売された[8]。日本では未公開である。一時、世界的人気ポップ歌手のマイリー・サイラスが参加したことで注目された。
映画『ラブ・アクチュアリー』の女優のキーラ・ナイトレイが、雑誌『インタビューマガジン』の2014年9月号のグラビアを飾って参加したことで世界的に話題になった[9]。フランス出身のトップカメラマンのパトリック・デマルシェリエが撮影した。
男女のトップレス
[編集]胸を露にしたという言葉は、腰よりも上に何も身に付けないことを意味する。「腰まで裸の」や「シャツを着ない」という表現もある。男性が上半身裸になることは、女性よりも一般的であるために、「トップ(上半身に身に付ける服)を着ない(トップレス)」という言葉は、女性にのみ使われる。しかし、両方の行為が、ほぼ同等の肌の露出を伴った体の一部の露出を意味している。なお、イスラム文化では裸自体がタブーである。逆に、女性が公共の場で「トップを着ない」ことは、法律で禁止されており、よくこれらが議論される。
日本の現状
[編集]トップレスと女性の乳房
[編集]日本においても「トップレス」とは、女性が上半身裸になり乳房を露出した状態を指す。特に乳房の露出が重視され、日本では「トップレス=ヌード」と同義に解釈されることが多い。西洋文化圏においてもトップレスがヌードの範疇に含まれる場合はあるものの、日本においては女性が乳房を露出した写真や映像だけで「ヌード」とみなされるのが一般的である。
日本では、女性が乳房を手などで隠す状態は「セミヌード」と表現され、後ろ姿の場合も同様に扱われる。一方、西洋文化圏では「セミヌード」という表現はあまり用いられず、乳房が露出していなければトップレスともみなされない。また近年の日本の情勢として、一部のフェミニスト運動[注釈 1]などを背景に性的表現への抑圧が強まる傾向が指摘されているほか、メディアやテレビ業界においてもコンプライアンスを口実とした露出規制の強化が進んでいる。
日本における法的問題
[編集]1964年には海外においてもトップレス流行の兆しがあることが知られ、日本においても、7月20日には警察がこれを軽犯罪法第1条20号により取り締まる方針を出した。
刑法を専門とする植松正は、この軽犯罪法の規定において乳房の露出が明確に禁じられておらず「その他身体の一部」に含まれるという解釈がなされていることを指摘し、刑法が人を罰する法律であることから「その他」に関する解釈に強い制約がかけられるべきであることと、「けん悪の情を催させるような仕方で」や「みだりに」という露出のありかたに対する規定が論理で割り切れるものでなく文化的なものであるとしている[10]。
一方で、学校の健康診断ではブラジャーも外してトップレスで受診することがあり、トップレスで受診することに女子児童生徒の保護者から疑問の声がある。
21世紀の傾向
[編集]2020年にフランスの調査会社が欧州の女性5,000人を対象に行った調査によれば、50歳未満の女性のうち「トップレスで日光浴を行う」と回答した割合は20%未満にとどまった。これは10年前の28%、1984年の43%と比較して明確な減少傾向を示している[11]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ↑ 大辞林 第三版より
- ↑ “The Garb of Innocence: A Time of Toplessness”. livingheritage.org. 2026年8月11日閲覧。
- ↑ “BBC - Cult - I Love Topless Swimsuits”. bbc.adactio.com. 2026年8月11日閲覧。
- ↑ 『Pamela Lee Monologue - Saturday Night Live』。2019年4月30日閲覧。
- ↑ “Watch Naked Attraction | Stream free on Channel 4” (英語). www.channel4.com. 2026年8月11日閲覧。
- ↑ “Dating Naked | Season 3 Episodes (TV Series)”. VH1. 2019年4月23日閲覧。
- ↑ FilmIsNow Movie Trailers (2014-11-21), Free the Nipple Official Trailer (2014) HD 2019年4月21日閲覧。
- ↑ Free the Nipple (2014) - IMDb 2019年4月30日閲覧。
- ↑ “キーラ・ナイトレイがトップレスを披露”. ELLE (2014年9月1日). 2026年8月11日閲覧。
- ↑ 植松正「トップレス水着」『時の法令』506号、(大蔵省印刷局、1964年8月13日)
- ↑ “仏内相、トップレス日光浴の「貴重な」権利を擁護”. www.afpbb.com (2020年8月26日). 2026年8月11日閲覧。
関連項目
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