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プライベートゾーン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

プライベートゾーン(和製英語:private zone[1])とは、本来「自分だけの個人的な領域」を意味する言葉である[2]。転じて「他人にむやみに見せたり触らせたりしてはならず、また他者が不用意に見たり触れたりすることも不適切とされる特定の身体部位(性器、胸、お尻など)[2]」を指す言葉としても用いられる。

男子と女子は、現代の日本において一般的な「プライベートゾーン」およびその周辺を覆うデザインの水着を着用している。

この概念はプライバシー権と人権の概念に基づきアメリカで生まれた。[3]英語圏においては、 intimate parts(日本語音写例:インティメイトゥ パーツ、インティメットゥ パーツ)[1]、あるいは private parts(日本語音写例:プライヴィットゥ パーツ、日本語読み:プライベートパーツ)[1]と呼ばれる。(いずれも文脈に応じて単数形・複数形の両方で表現される。)

概要

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性犯罪や性暴力は、被害者の尊厳を著しく踏みにじる人権侵害であり、その心身に長期にわたる深刻な悪影響を及ぼす。そのため、性暴力の根絶に向けた予防教育や被害者支援の強化は国際的な課題となっている。

日本では文部科学省が、政府の「性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議」において策定された「性犯罪・性暴力対策の強化」の方針に基づき[4]、子どもたちを対象とした「生命(いのち)の安全教育」を推進している。この教育プログラムでは、子どもたちが予防と対処の知識を身につけるため、以下の3つの原則を掲げている。

  • 「加害者にならない(他者の身体や尊厳を傷つけない教育)」
  • 「被害者にならない(自分の身体を守る境界線や防犯知識の習得)」
  • 「傍観者にならない(不適切な行為を目撃した際の対応や相談意識の向上)」

子どもを性被害から守るためのアプローチとしてこの概念が用いられ始めた地域はアメリカである。アメリカの防犯教育等においては、プライベートゾーンを「むやみに他人に見せたり触らせたりしてはならない、性に関わる自身の身体の重要な部位」と定義し、自己権利感や防犯意識を育む基礎概念として位置づけている[3]。

広報

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2024年7月19日に東京都が公開した「子供の性被害防止動画」は、10代に人気イラストレーターのもじゃクッキーの作画による動物キャラクターを使用したアニメ動画で、小学校高学年向けに、他者のプライベートゾーンを見たり触ったりする行為そのものがいけないことである、というメッセージを平易な言葉で伝えている[5]。

教育の実態と防犯指導

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プライベートゾーンに対する正しい認識や防犯意識を養うべき幼児期から学童期(小学生など)においては、発達段階に応じた適切な指導が求められます。

現代の日本において、未就学児(幼稚園児・保育園児)や小学生にプライベートゾーンの概念を伝える取り組みは、自身の身を守るための防犯教育および性教育の重要な一環として実施されている[6]。地方自治体ごとに異なるが、小学一年生のカリキュラムに組み込まれている[7][8]場合も多く、様々な内容が順序立てて指導されている。

自分の身体と価値の理解: 自分の身体の構造を知り、自分や他者の身体にはプライベートゾーンと呼ばれる大切にすべき部位が存在することを理解する。

尊重と適切な扱い: 自分の身体であっても他者の身体であっても、プライベートゾーンを乱暴に扱ったり不適切に触れたりしてはならないと学ぶ。

危険に対する警戒と対応: 不当な興味や意図を持って近づく危険な存在に対し警戒心を持ち、危険から自身の身を守るための意識や具体的な対処行動(拒否する、逃げる、大人に相談するなど)を身につける[7]。

教育現場における定義と「口」の包含

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このような教育現場で語られる「プライベートゾーン」に厳密な定義は無いものの[2]、『大辞泉』では「水着を着用した際に隠れる部分と説明される場合が多い」とされている[2]。実際の学習指導要領では、自分の体のなかで家族以外に触らせたくない部分を自ら考えさせ[7]、「水着で隠れる部分」と「口」がプライベートゾーンであると教えている[7][6][3]。口をプライベートゾーンとして扱うことは、本来の定義から離れてはいるが、子どもの現実に即した実効性の高い独自の解釈といえる。なお、このようは捉え方は教育現場だけでなく、医療分野などでも子どもに対して同様の指導がされている[9][3]。

対象部位の範囲と個人の感覚

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基本的には男女共通の陰部(性器・臀部)周辺に加え、女性の場合は乳房(上半身)が該当する。また、生地面積の広い水着(ラッシュガードなど)で隠れる範囲をプライベートゾーンに含める指導もあり、近年では男子であっても上半身を人前に晒すことに抵抗や苦痛を感じる児童が存在することに配慮がなされている[10]。

こうしたプライベートゾーンの認識や尊重の概念は、低年齢期からの段階的な学習を通じて定着させることが推奨されている[11][12]。

専門家による教育と指導方針

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  • 遠見才希子(産婦人科医)

プライベートパーツは一般に「水着や下着で隠れる部分」と認識されがちだが、実際には胸や口(唇)も含まれ、何より人それぞれ大切にしたい部位は異なる。「身体はどこもすべて大切である」という前提を踏まえた上で、「自分のプライベートパーツを触ってよいのは自分だけであり、他人に不用意に触らせない権利がある」と肯定的に教えることが重要であると指摘している[13]。

また、「子どもを守るためには、まず『自分の身体は自分だけのもの』だと教えることが不可欠であり、そうした性教育は大人が無自覚な加害性に気づくきっかけにもなる」と述べている。[14]。

  • 大貫詩織(助産師)

小学生に向けた指導において、プライベートゾーンを「人と人との間にある、決して超えてはならない境界線(パーソナルスペース)」の一つとして説明している。万が一他人に不適切に触られた場合には、「嫌だと感じる自分の気持ちを一番に尊重し、信頼できる大人に伝えてほしい」と呼びかけている[15]。

  • 高橋幸子(産婦人科医)

自分の身体を大切にする第一歩として、「入浴時にプライベートパーツを自分自身で優しく洗い、清潔さを保つこと」を推奨している。日常のセルフケアを通じて自分の身体への愛着と尊厳を育むアプローチを提案している[16]。

脚注

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注釈

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出典

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  1. 1 2 3 “プライベートゾーン”. Weblio和英辞書. Weblio. 2020年1月29日閲覧。
  2. 1 2 3 4 「プライベートゾーン」『デジタル大辞泉』。コトバンクより2024年2月2日閲覧。
  3. 1 2 3 4 池田匠美 (2019年8月13日). “子どもに教えておきたい! - LINE NEWS「朝日こども新聞」人気の記事 - ジュニア朝日”. 朝日学生新聞社. 2020年1月30日閲覧。
  4. ↑ 文部科学省「性犯罪・性暴力対策の強化について」 (令和2年6月決定、令和3年4月施行)
  5. ↑ “「子供の性被害防止動画」概要”. 東京都庁. 2024年8月19日閲覧。
  6. 1 2 清瀬どろんこ保育園 (2019年3月20日). “性教育は「生」教育。自分の体と命を守るために伝えたいこと - 前編”. どろんこ会グループ. 2020年1月30日閲覧。
  7. 1 2 3 4 愛知県春日井市立神領小学校、愛知県春日井市立南城中学校、愛知県立春日井高等学校 (2003年). “学級活動・道徳における指導内容”. 平成14・15・16年度文部科学省指定 愛日地方教育事務協議会・春日井市教育委員会委嘱 エイズ教育(性教育)研究 研究主題「命の大切さを知り,ともになかよく生きる児童生徒の育成」─エイズ教育(性教育)の推進を通して─. 春日井市教育委員会. 2020年1月29日閲覧。
  8. ↑ “ママ・パパが教える 大切なあなたの心とからだのレッスン” (PDF). 神戸市総合児童センター こべっこランド (2014年). 2020年1月30日閲覧。
  9. ↑ 塚田訓子(医療法人社団シリウス アトラスレディースクリニック) (2019年10月). “平成30年度女性のための健康セミナーコラム 10代のからだとこころ ~正しい知識を身につけよう!~” (PDF). 新宿区. 2020年1月30日閲覧。
  10. ↑ 性的マイノリティの子どもたち 2014.
  11. ↑ “6月10日 1年生「プライベートゾーン」”. 箕面市. 2016年11月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月19日閲覧。
  12. ↑ “からだと命の大切さを学ぶ~幼児からの性教育~”. 社会福祉法人 熱田福祉会. 2016年7月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月19日閲覧。
  13. ↑ 遠見才希子, 川原瑞丸 著、高柳美知子 編『だいじ だいじ どーこだ?』大泉書店、2021年7月15日。ISBN 978-4-2780-8700-0。
  14. ↑ 保育園児に性教育 特に大事な「プライベートパーツ」は明るく前向きに語りかけて | 東京すくすく | 子育て世代がつながる ― 東京新聞
  15. ↑ 「親子で読む 守るべき体の境界線を知ろう」朝日小学生新聞2019年3月8日1面
  16. ↑ サッコ先生 ココカラ学園インタビュー - Yahoo!きっず

関連項目

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