コンウィ城

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世界遺産 グウィネズのエドワード1世の城郭と市壁
イギリス
城壁と中庭
城壁と中庭
英名 Castles and Town Walls of King Edward in Gwynedd
仏名 Châteaux forts et enceintes du roi Édouard Ier dans l'ancienne principauté de Gwynedd
登録区分 文化遺産
登録基準 (i) (iii) (iv)
登録年 1986年
公式サイト 世界遺産センター(英語)
使用方法表示
コンウィ城
Conwy Castle
Castell Conwy
ウェールズ、コンウィ
Conwy Castle.jpg
巨大な城壁と旧表門(右端)
コンウィ城の位置(ウェールズ内)
コンウィ城
座標北緯53度16分48秒 西経3度49分32秒 / 北緯53.28度 西経3.825556度 / 53.28; -3.825556座標: 北緯53度16分48秒 西経3度49分32秒 / 北緯53.28度 西経3.825556度 / 53.28; -3.825556
種類方形の城郭
施設情報
所有者 Cadw[注 1]
現況廃墟
ウェブサイトコンウィ城
歴史
建設1283年–1289年
建設者マスター・ジェームズ
建築資材石灰岩砂岩
主な出来事マドグ・アプ・ルーウェリン英語版の反乱(1294年-1295年)[1]
オワイン・グリンドゥールの反乱(1400年-1409年)
イングランド内戦(1642年-1646年)
指定建築物 – 等級 I
登録日1950年

コンウィ城(コンウィじょう 英語: Conwy Castle, ウェールズ語: Castell Conwy; ウェールズ語発音: [kastɛɬ 'kɔnwɨ̞])は、イギリスウェールズ北部の都市コンウィにある城。英語表記はコンウェイ城Conway Castle)とも[2]13世紀イングランドエドワード1世がウェールズ遠征の拠点として築いた城は8本の円塔と外壁が残り、1986年、カーナーヴォン城ビューマリス城ハーレフ城とともに「グウィネズのエドワード1世の城郭と市壁」として世界遺産に登録された。イギリスの画家、ターナーほか、この城を描いた作品が数点ある[3]

歴史[編集]

13世紀[編集]

もともとコンウィはグウィネズ王国英語版ルウェリン・アプ・ヨーワース英語版の庇護を受けたシトー会修道院が治めていた。

1276年以後、イングランド王エドワード1世は4回にわたりウェールズを侵攻し、イングランド軍は1282年の最後の攻撃でカーマーゼンから北進して翌1283年3月にコンウィを占領した。イングランド王はウェールズ遠征の中心拠点となる城を建てるよう命じ[4][疑問点]ジョン・ド・ボンヴィラール英語版の監督のもとマスター・ジェイムズは築城を主導する。城郭のうち城壁と塔は1283年から1284年にわたって築かれ、城内の建物は1284年から1286年に工事が始まると[5]、1287年には完成した[6]

1294年にオワイン・グウィネズの嗣孫マドグ・アプ・ルウェリン英語版(ルーウェリンのマドグ)が蜂起し[注 2]城が包囲されると、エドワード1世は海軍の応援が着く翌年まで篭城している[1]

14世紀-15世紀[編集]

その後コンウィは活気を失い、エドワード黒太子が支配権を引き継ぐまで低迷が続いた[7]。城は侍従のジョン・ウェストンにより大規模な修理を施され、黒太子が没すると城は再び荒れるに任された[7]

薔薇戦争の際にはランカスター家ヨーク家の対立を背景に補強されながら、実戦には使われていない[8]

16世紀初頭にヘンリー8世が手を加えて以降、軍事拠点としては形骸化し、もっぱら賓客を迎える施設または倉庫として使われるようになった[8]

18世紀-21世紀[編集]

18世紀に入るとこの城は遺跡という画題としてジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー、トマス・ガーティン英語版モージズ・グリフィス英語版など多くの画家に描かれた。

1953年、城は英国建設省に貸し出されると広範囲にわたる修理と城の歴史調査が始まり、1986年には「グウィネズのエドワード1世の城郭と市壁」として世界遺産に登録された。

姫路城とは2019年10月29日に兵庫県姫路市において姉妹城提携を結び、英国ウェールズとの文化、芸術、教育、観光の交流促進を趣旨とする活動が始まった[9][10]

世界遺産基準[編集]

この世界遺産は世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録された(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準からの翻訳、引用である)。

  • (1) 人類の創造的才能を表現する傑作。
  • (3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
  • (4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。

脚注[編集]

[脚注の使い方]

[編集]

  1. ^ Cadw の英語正式名称は「Historic Environment Service of the Welsh Government」。
  2. ^ ウェールズ貴族 Madog ap Llywelyn(ルーウェリンのマドグ・1312年以降没)は Llywelyn ap Maredudd の長子でオワイン・グウィネズの嗣孫。父王は遠縁の末代公サウェリン・アプ・グリフィズに領地 Meirionydd を奪われ(1256年)、のちに恭順し1263年没。マドグ公はエドワード1世 (イングランド王) につき末代公改めプリンス・オブ・ウェールズから旧領を取り戻そうと1278年に訴追するがかなわず、アングルシー島領主に封じられ、末代公が1283年に刑死するとグウィネズに帰る。やがてイングランドの圧政と重税が募ると、マドグ公はウェールズの王オワインの嗣孫という出自をかかげて「ウェールズの王位継承者」を標榜し諸侯の先頭に立ち兵を挙げる。一時は優勢であったが、エドワード1世はフランス遠征を取りやめて鎮圧にあたり、マドグ公を捕らえる。イングランドに移された公は生前最後の記録が1312年にあり、その後に獄死したと伝わる[1]

出典[編集]

  1. ^ a b c . “MADOG ap LLYWELYN, rebel of 1294”. biography.wales. Dictionary of Welsh Biography(ウェールズ人物伝辞典). 国立ウェールズ図書館. 2021年3月13日閲覧。
  2. ^ 五十畑 2017, p. 293.
  3. ^ “「リヒテンシュタイン展」「エル・グレコ展」「巨匠たちの英国水彩画展」など”. 朝日新聞 (10月17日号). (2012年10月17日). http://www.asahi.com/event/AIC201210170022.html 2018年5月6日閲覧。 
  4. ^ Ashbee 2007, p. 7
  5. ^ Ashbee 2007, pp. 8–9
  6. ^ Ashbee 2007, pp. 9
  7. ^ a b Ashbee 2007, p. 11
  8. ^ a b Ashbee 2007, p. 13
  9. ^ コンウィ城と姫路城の姉妹城提携”. 姫路市 (2019年(令和元年)10月29日(火曜日)). 2019年10月29日閲覧。
  10. ^ “Conwy and Himeji castles' twinning starts 'beautiful friendship'” (英語). BBC News. (2019年11月7日). https://www.bbc.com/news/uk-wales-50339999 2019年10月29日閲覧。 

参考文献[編集]

本文脚注の典拠、主な執筆者名の50音順

  • Ashbee、2007年[疑問点]
  • 五十畑弘『図説日本と世界の土木遺産』秀和システム、2017年、293頁。ISBN 978-4-7980-5223-6
  • J・E・カウフマン、H・W・カウフマン「コンウィ城塞:ウェールズ」『中世ヨーロッパの城塞:攻防戦の舞台となった中世の城塞、要塞および城壁都市』ロバート・M・ジャーガ(作図)、中島智(訳)、マール社、2012年、196-197頁。ISBN 978-4-8373-0631-3

関連項目[編集]

英語版の関連記事[編集]

関連資料[編集]

出典ではない資料。発行年順

  • Morris, J. E. (1901) The Welsh Wars of Edward I, Oxford — a contribution to mediaeval military history, based on original documents.
  • Edwards, J. Goronwy. The English historical review, xxxix, xlvi.
  • Bulletin of the Board of Celtic Studies, xiii, 4.
  • Griffiths, J. "The Revolt of 1294", リヴァプール大学(未公刊の論文)
  • 編集部「北ウェールズを扼する堅城 コンウィ城」『歴史群像』第7巻第2号 (34)、ワン・パブリッシング、学習研究社(販売)、1998年5月、p30-32(コマ番号0020.jp2)、doi:10.11501/7968062国立国会図書館内公開 。
  • 『古城のまなざし vol.6 イギリス編』ビデオディスク 1枚 (50分) : DVD(カラー映像・ステレオ ワイド)、ジェー・ピー、東芝EMI、2004年。TOBH-7126。
    • (9)コンウィ
    • (10)コンウィ城
  • チャールズ・スティーヴンソン(編)「コンウィ城塞、ウェールズ」『世界の城の歴史文化図鑑 : ビジュアル版』中島智章(日本語版監修)、村田綾子(訳)、柊風舎、2012年、p47, 86-87。
  • チャールズ・フィリップス「コンウィ城」『イギリスの城郭・宮殿・邸宅歴史図鑑』大橋竜太(日本語版監修)、井上廣美(訳)、原書房、2014年、p96。
  • ジョナサン・グランシー「コンウィ城」『世界建築大全 = Architecture a visual history : より深く楽しむために』山田雅夫(日本語版監修)、日東書院本社、2016年、p192。
1300年代初期の市壁と城塞の立体地図
見取り図

外部リンク[編集]