ヴァルトブルク城

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世界遺産 ヴァルトブルク城
ドイツ
ヴァルトブルク城
ヴァルトブルク城
英名 Wartburg Castle
仏名 La Wartburg
登録区分 文化遺産
登録基準 (3),(6)
登録年 1999年
公式サイト 世界遺産センター(英語)
地図
ヴァルトブルク城の位置
使用方法表示

ヴァルトブルク城(ヴァルトブルクじょう)は、ドイツテューリンゲン州にある史跡である。ゲーテ街道沿いにあるアイゼナハ郊外の山上に位置する[1]1999年12月、ユネスコ世界遺産(文化遺産)に登録された。漆黒の外見が特徴的である。

概要[編集]

歴史と伝説[編集]

築造

古文書に初めて登場するのは1080年である[2]1067年テューリンゲン伯ルートヴィヒ・デア・シュプリンガードイツ語版(跳躍伯)が狩りに行き、美しい森の中の山に達し、「待て(wart)、山よ、汝我が城(Burg)となれ!」と叫んだことに由来するとされる[3]。別の伝説では、ルートヴィヒはある時狩りに行き、獣を追ううちにある山に達した。家臣の到着をまっていたが、その山が気に入ったので策を練って自分の領地に組み入れ城を建設した。家臣の到着を「待った」ので「待つ城」と命名したというもの[4]フランクフルト・アム・マインからアイゼナハエアフルトを経由してライプツィヒに通じる重要な街道を見下ろす、戦略的に重要な地に築かれたこの城の名の Wart は、学問的には、>Platz, von dem man ausspäht<「周囲を監視できる場所」と解釈されている[5]

歌合戦伝説

中世の伝説、「ヴァルトブルクの歌合戦」(de:Sängerkrieg auf der Wartburg)の舞台となった[6]12世紀ドイツの芸術保護で著名なテューリンゲン方伯ヘルマン1世の宮廷で歌合戦が催されたという設定になっている。 後に13世紀に入って「ヴァルトブルクの歌合戦」の題で競演的・論争的な歌がまとめられた[7]

マネッセ写本の伝える「歌合戦」の挿絵には、ドイツ中世最大の抒情詩人ヴァルター・フォン・デア・フォーゲルヴァイデやその師匠ラインマル・デア・アルテのほか、叙事詩の大作『パルチヴァール』を著わしたヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハそしてハインリヒ・フォン・オフターディンゲンが歌を競い合った詩人として描かれている。

リヒャルト・ワーグナーが「ヴァルトブルクの歌合戦」の伝説をもとに楽劇『タンホイザー』を作成したことは良く知られている。

聖女エリーザベト

1224/27年、テューリンゲン方伯 ルートヴィヒ4世とその妃エリーザベト(死後4年を経ずして聖者とされた「エルジェーベト (ハンガリー王女)」)の治世中、この城においてしばしば「方伯宮廷会議」(Der landgräfliche Hof)が催されたらしい[8]


マルティン・ルターとドイツ語訳聖書

ヴォルムス帝国議会の後、マルティン・ルターザクセン選帝侯フリードリヒ3世の保護の元隠れ住み、聖書を翻訳した場所としても知られている。ルターが悪魔にインク瓶を投げつけた為に出来たという伝説で有名なインクの染みが今でも残っている。

ルターを尊敬していたゲーテは、ヴァイマル公国の宰相となってからも、アイゼナハを度々訪れて古城の補修を指示したといわれている。

参考文献[編集]

  •  岸谷敞子・柳井尚子訳著『ワルトブルクの歌合戦』大学書林1987年
  •  坂井栄八郎『ドイツ歴史の旅 増補』(朝日新聞社) 1997(12刷)(朝日選書 312)(ISBN 4-02-259412-8)、「11 夢の名残ワルトブルク」86-92頁。
  •  Walter Hotz : Kleine Kunstgeschichte der deutschen Burg. Darmstadt: Wissenschaftliche Buchgesellschaft 2. Auflage 1972 (ISBN 3-534-03693-X), S.50, 134-138, Z 78,79, T 71-73.
  • de:Baedeker: Deutschland. Ostfildern: Karl Baedeker 8.Aufl. 2005 (ISBN 3-8297-1079-8), S. 415-416.
ヴァルトブルク城(1900年)
Wartburg2004.JPG

世界遺産[編集]

この世界遺産は世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録された(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準からの翻訳、引用である)。

  • (3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
  • (6) 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接にまたは明白に関連するもの(この基準は他の基準と組み合わせて用いるのが望ましいと世界遺産委員会は考えている)。

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ 世界遺産詳解の解説”. コトバンク. 2018年5月13日閲覧。
  2. ^ M. Werner: Wartburg. In: Lexikon des Mittelalters. Bd. VIII. München: LexMA Verlag 1997 (ISBN 3-89659-908-9), Sp. 2056.
  3. ^ Roger Rössing (Text)/Renate und Roger Rössing (Fotografie) : Wartburg. Leipzig : VEB F.A.Brockhaus 2.Auflage 1987 (ISBN 3-325-00056-8), S.4. ≫Wart, Berg, du sollst mir eine Burg werden!≪
  4. ^ Brüder Grimm: Deutsche Sagen. Bd. 2. Herausgegeben von Hans-Jörg Uther. München: Diederichs 1993 (ISBN 3-424-01177-0), S. 515.
  5. ^ Dieter Berger: de:Duden, geographische Namen in Deutschland: Herkunft und Bedeutung der Namen von Ländern, Städten, Bergen und Gewässern, Bibliographisches Institut, Mannheim/Wien/Zürich 1993 (ISBN 3-411-06251-7), S. 270. なお、伊東泰治・馬場勝弥・小栗友一・松浦順子・有川貫太郎編著『中高ドイツ語小辞典』(Mittelhochdeutsch-Japanisches Taschenwörterbuch) 同学社(1991); 『新訂・中高ドイツ語小辞典』 同学社(2001)ISBN 4-8102-0054-X、669頁の見出し語 >warte< には、1. 「見張り、歩哨勤務、偵察」、 2. 「待ち伏せ場所、見張り所」の訳が付されている。
  6. ^ Brüder Grimm: Deutsche Sagen. Bd. 2. Herausgegeben von Hans-Jörg Uther. München: Diederichs 1993 (ISBN 3-424-01177-0), S. 522-525. - Historische Sagen. Herausgegeben und erläutert von Leander Petzoldt. Bd. 1. : Fahrten, Abenteuer und merkwürdige Begebenheiten. München: Beck 1976 (ISBN 3-406-00723-6), S. 266-269.
  7. ^ H.Brunner: Wartburgkrieg. In: Lexikon des Mittelalters. Bd. VIII. München: LexMA Verlag 1997 (ISBN 3-89659-908-9), Sp. 2056-2057.
  8. ^ M. Werner: Wartburg. In: Lexikon des Mittelalters. Bd. VIII. München: LexMA Verlag 1997 (ISBN 3-89659-908-9), Sp. 2055.

関連項目[編集]

外部リンク[編集]