ゲール (宇宙戦艦ヤマト)

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ゲール / グレムト・ゲール
宇宙戦艦ヤマトシリーズのキャラクター
登場(最初) 宇宙戦艦ヤマト』第15話「必死の逃亡!!異次元のヤマト」
作者 松本零士岡迫亘弘
声優 阪脩(『ヤマト』)
広瀬正志(『2199』)
プロフィール
年齢 地球換算で47歳相当(『2199』)
性別
種類 ガミラス人
国籍 ガミラス帝国(『ヤマト』)
大ガミラス帝星(『2199』)
肩書き 太陽系方面作戦司令長官→同・副司令(『ヤマト』)
銀河方面作戦司令長官→同・作戦副司令官(『2199』)

ゲールは、アニメ『宇宙戦艦ヤマト』『宇宙戦艦ヤマト2199』の登場人物。声優阪脩(『ヤマト』)、広瀬正志(『2199』)、稲葉実(『スパロボV[注 1])。

宇宙戦艦ヤマト[編集]

小さな口髭が特徴のガミラス帝国軍人。地球ガミラスイスカンダルの中間地点に浮かぶバラン星のガミラス基地司令官であったが、デスラー総統に志願して銀河系方面軍作戦司令長官[注 2]としてドメルが赴任してきたことにより、副司令官に降格される。そのため、第17話では「副司令」という呼ばれ方に嫌悪感を示している。

ドメルからは横柄な接し方をされており、折り合いが非常に悪い。バランまでヤマトを引きつけてから叩こうとするドメルとは対照的に、ヤマトはバラン(ガミラス本星やデスラー)から可能な限り遠いところで撃沈しようという考えを持つ[注 3]が、そのための作戦はドメルからはことごとく却下される。

一般的な将軍の軍服が緑地に黒の6対点線、肩部に3対点線なのに対し、ゲールの軍服は緑地に赤の6対点線、肩部は点線が無く、『宇宙戦艦ヤマト2』以降のガミラス軍服に近い形状である。

劇中での活躍[編集]

初登場は第15話。ドメルの着任直後、副司令官に降格されたうえに鞭で自室の家具やコレクションを粉砕され、「趣味が悪い」と罵られる。このことから、ドメルに強い反感を抱くようになる。

第15話での次元断層でヤマトとの初戦闘を経て、第17話ではバラン星の原住生物バラノドンを生体兵器に仕立て上げて作戦採用をドメルに具申するも、指揮権を盾に却下されてしまう。その日の夕食時に悪酔いして従兵や侍女に酒瓶を投げるなど八つ当たりするが、懲りずにバラノドン特攻兵器を完成させ、予行演習ではヤマトのダミーの撃破に成功する。勢いをかって独断でヤマトを攻撃するが、波動砲の返り討ちに遭って失敗に終わり、再びドメルから叱責される[注 4]

第18話ではドメルと共に宇宙要塞13号破壊の報を受けた際、喫煙中のドメルにライターを差し出すが着火に失敗し、「要塞と同じく役立たず」と侮蔑されている。

第20話ではドメルの「ヤマトをバラン星地表までおびき寄せ、人工太陽を落下させてバラン星基地もろともヤマトを破壊する」という作戦が実行された際、ドメルから何も聞かされていなかったゲールはこの不条理な作戦をガミラス本星に密告する。そして、あと一歩というところでデスラーが中止命令を下したため、その隙に人工太陽を破壊され、ヤマトを取り逃がしたうえに基地も人工太陽の残骸によって壊滅する。この作戦失敗の責任を問われてガミラス本星に召喚されたドメルを裁く軍法会議では、ゲールは総統への忠誠心を理由に自らの密告を正当化し、ドメルの死刑判決を見るもデスラーの決断でドメルは恩赦され、ゲールは再びドメルの副官としてヤマトとの決戦に参加させられる。

第22話での七色星団の決戦に敗れたドメルは自爆を決断するが、またしてもゲールは相談されないまま呆然とするうちに巻き込まれ、戦死する。もっとも、出撃前に万が一の作戦失敗の場合の方策を問うゲールに対し、ドメルは「総統への忠誠心こそが最後の武器」と答え、暗に自爆をほのめかしている。これは、密告を総統への忠誠心ゆえと自己弁護したゲールへの皮肉になっている。

ゲールとドメルの対立以後、「力(特に軍事力・科学力)はあれど「人の和」の無い異星人が内ゲバの果てに、非力だがチームワークと機転があるヤマトに敗れる」のはシリーズの定番となった。

宇宙戦艦ヤマト2199[編集]

『宇宙戦艦ヤマト』(以降、「旧作」)のリメイク作品である本作では「グレムト・ゲール」というフルネームが設定されている。容貌に大きな変更はないが、年齢が地球年齢に換算して47歳と設定された。

階級は少将と設定されている。旧作と同様に銀河方面軍作戦司令長官として登場し、旧作では無かった部下のシュルツたちと接するシーンもある。

上司にはへつらい部下には横柄に接するという、典型的な中間管理職として描写されており、シュルツからは「日和見主義者」「部下の手柄を横取りする男」と忌避されている。また、二等ガミラス人[注 5]であるシュルツたちを「劣等種族」と見下し、ヤマトがワープ[注 6]したという重要な情報を「夢物語」と一蹴するなど、旧作より傲慢になっている。また、国家元帥のゼーリックに媚を売り、銀河方面軍司令に推挙してもらった経緯があり、権力にすがる卑怯な人物にもなっている。その態度から、航宙艦隊総司令のガル・ディッツからは、第12話で「もみあげゼーリックの腰巾着」と揶揄されている。

シュルツの重要な報告を一蹴したり、窮地に陥ると自分だけ助かろうとしたりなど、保身を第一に考えるために決して有能とはいえないが、友軍艦が密集隊形をとっている中へヤマトが突然現れた際には、同士討ちによる友軍の被害拡大を避けるために散開するようゼーリックに進言したり[注 7]、彼が謀反人となった後には即座に射殺したりするなど、咄嗟の状況における頭の回転は速い。小説版の描写では、ガミラスの戦力はすべてデスラーのものであると考えているため、部下に無理強いをしたり、窮地で部下を見捨てたりはするものの、最初から犠牲を前提とした作戦立案はせず、そういったことを推奨する者には否定的である。

デスラーに心酔しており、彼の政権崩壊後も保身の観点から付くべき新体制側ではなく、圧倒的に不利なデスラー側に付くほど、忠誠心は非常に高い。下品かつ見え見えの媚びを売るその言動ゆえにデスラーからは嫌われているものの、ゲール当人は自覚していない模様。その反面、ゼーリックには崇拝や忠誠心の類をまったく持っておらず、保身や出世のために媚びへつらっているに過ぎない。また、旧作と比較するとドメルとの接点は少ない。

劇中での活躍(2199)[編集]

本作ではシュルツたちの直属上官として、第4話(名前のみなら第2話)から登場している。

第10話ではシュルツが冥王星基地を失ったうえ、デスラーの立案したヤマト撃滅作戦を彼の眼前で失敗して敗死したことにより、ゼーリックから管理責任を問われたために艦隊を率いて出撃する。そして、次元断層に落ちこんだヤマトが二等ガミラスの軍人で構成された友軍艦「EX178」とともに断層から脱出したところを捕捉する。ディッツの娘であるメルダ・ディッツがまだヤマトに乗っていると知りながら攻撃を開始してEX178を撃沈し、その罪をヤマトに擦り付けたうえで撃沈を狙う。しかし、その直後に次元断層の揺れ戻しに艦隊が巻き込まれて吸い込まれていったため、撤退指令も出さずに自艦だけワープして逃げ延びる。

第13話ではドメルが銀河方面軍作戦司令長官に就任したことで副司令に降格されるが、第15話でのカレル163での戦闘後、ドメルが総統暗殺の容疑で出頭したため、暫定的に再び銀河方面軍の指揮を執ることになる。第18話のバラン星で執り行われた観艦式において、やって来たゼーリックにひたすら媚びへつらっていたが、ヤマトを攻撃する際にいかなる犠牲もいとわず、「歴史とは犠牲の上に成り立つもの」とまで言い切るその言動に辟易し始める。ゼーリックによるデスラー暗殺の陰謀についてはまったく知らされておらず、彼の死を知らされたときは驚いており、後にデスラーの健在を知った時には歓喜している。その一方、ゼーリックがデスラー暗殺計画の首謀者であることを知った際には、逆賊と見做して背後から射殺した。ゼーリックの死後、バランに沈んだと思われたヤマトが浮上して来た際には臨時に艦隊指揮を執るが、ヤマトの波動砲によってバラン星のコアとバラン鎮守府を破壊され、その余波に艦隊も巻き込まれそうになる。今度は一応撤退命令を出したため、艦隊の全滅だけは免れるが、それでも逃げ切れなかった多くの艦が大損害を受け、さらに亜空間ゲートが破壊されたことでヤマトの追撃もできなくなる。仕方なく残存艦艇3000隻を率いて通常のワープ航法で本星を目指すが、到着には3か月はかかる見通しとなり、本人の意気とは裏腹に何の役にも立たなかった。

ヤマトのガミラス本星戦後、ガミラスの実権を握ったディッツの召還命令を無視し、艦隊30余隻を率いて離反する。宇宙を放浪中、ガミラスから逃走してきたデウスーラII世に出会い、再びデスラーの下につく。第25話では亜空間回廊内で待ち伏せするデウスーラII世にヤマトを接触させるため、バラン星の銀河側亜空間ゲートの作動維持とヤマトの追い込みを担当する。しかし、その最中にディッツにより派遣されたフラーケンのUX-01と交戦した結果、UX-01が放った魚雷の直撃を受け、無様にわめき散らしながら乗艦ごと爆沈する。しかし、フラーケンがデスラーの存在を知らなかったためか、自身を囮としてヤマトの亜空間ゲート突入を援護したため、結果的にヤマトを亜空間ゲート内に追い込むという作戦は成功を収めた。

上記のように亜空間ゲートが破壊されてバラン星の宙域に取り残されたため、旧作と異なり七色星団の会戦には参戦しておらず、ドメルと運命を共にはしていない。初登場時期の早さも合わせ、劇中での出番が旧作からほとんど変更された人物となっている。

なお、先行公開版第七章では第25話でのUX-01の件は省略されたため、ヤマトが亜空間ゲートへ入った後の動向は不明となっている。

PSゲームシリーズ[編集]

PS版『宇宙戦艦ヤマト 遥かなる星イスカンダル』、PS2版『宇宙戦艦ヤマト イスカンダルへの追憶』に登場。

ドメルの死刑判決を嘲笑を浮かべながら眺めていたが、デスラーにより死刑判決が覆されると、ヒスからバラン星陥落の共同責任者としてドメルと共に最前線へ向かうことを命令される。ドメルからドリルミサイル瞬間物質移送機の説明を聞くのはゲールではなく一兵士であり、ドリルミサイルによるヤマト破壊が失敗した直後に特攻作戦を暗喩された後の出番は無いが、アニメ版同様ドメルと心中としたとされる[1]

なお、アニメ版では上官のドメルに一応は敬語で接していたが、ゲーム版では上官に対するものとは思えぬほどの粗野な口調に変更されており、ゲールの狭量さとドメルへの反感が強調されている。デスラーへの密告についても、基地が破壊された際にアニメ版では呆然としていたのに対し、ゲーム版ではドメルの作戦失敗を嘲笑っており、基地の安否を懸念した[注 8]というよりも単に彼を妨害するためということが、主な理由となっている。

『イスカンダルへの追憶』では回想ステージに登場する。

その他[編集]

当初の設定では「ゲーリング」や「ゲル」という名前になっていた[2]

当初はヒス副総統と共にデスラー総統暗殺未遂事件を起こし、逆にデスラーに粛清される予定であった。この設定はひおあきらの漫画版で描かれている[注 9]。ひおあきら版での名前は「ゲル」であり、髪型はオールバックで髭は無く、容姿がかなり異なる。

松本零士の漫画版では、ガミラス本星での戦後に脱出したデスラーに付き添っていたのはタランではなく、ゲールとなっている。

『宇宙戦艦ヤマト 遥かなる星イスカンダル コミックアンソロジー』(スタジオDNA、2000年)では、七色星団の戦いにおいて、最終的にはドメルに着き従って死んでいく好人物として描かれている。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 『2199』で担当していた広瀬正志が病気療養で休業していたための代役。
  2. ^ 劇中では「太陽系方面」とも表現されていた。
  3. ^ 円道祥之著の『発信後30年!「宇宙戦艦ヤマト」健在ナリ』(宝島社、2005年)[要ページ番号]では移住の下準備という目的に対して地球人の発想では合理的で正しい意見であるが、待ち伏せ作戦を多用するガミラス人の常識では変人として評価を下げる原因になったのではないか、と総括している。
  4. ^ ただし、この時のヤマトはワープ直後に波動砲を使ったために機関部が損傷して航行不能になったので、バラノドンの攻撃は無駄にはなっておらず、ドメルはヤマトを撃沈する絶好の機会をみすみす逃してしまっている。
  5. ^ ガミラスに征服された植民惑星の住人で、肌の色が純血ガミラス人と異なる。リメイクに際して再構築された設定。
  6. ^ ガミラス側ではゲシュタムジャンプと呼ぶ。リメイクに際して再構築された設定。
  7. ^ 当のゼーリックはその進言を却下し、ひたすら数でごり押す戦術を取っている。
  8. ^ そもそもゲーム版での作戦ではバラン基地はただの囮で、必ずしも基地が巻き添えになるというわけではない。
  9. ^ デスラー総統暗殺未遂事件のエピソードは、全52話予定だったアニメ版の後半に登場する予定だったが、全26話に短縮されたために取り止められており、ハーロック(古代守)登場シーンと同じく漫画版のみで描かれることとなった。

出典[編集]

  1. ^ 『宇宙戦艦ヤマト 遥かなる星イスカンダル 設定資料集』(スタジオDNA、2000年)P090。
  2. ^ 『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち 設定資料集』(スタジオDNA、2001年)P121。

外部リンク[編集]

  • ゲール - 宇宙戦艦ヤマト発信!(インターネットアーカイブ2008年4月21日分キャッシュ)
  • グレムト・ゲール - 宇宙戦艦ヤマト2199