薩摩揚げ

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薩摩揚げ

薩摩揚げ(さつまあげ)は、魚肉すり身を成型し、油で揚げた魚肉練り製品揚げかまぼこに分類される。薩摩地方の名産品ともなっており、鹿児島県ではツキアゲ、沖縄地方では、チギアギーなどともいう。

概要

魚肉のすり身に砂糖などで味付けし、形を整えて油で揚げたもの。丸形・角形など形は様々である。ゴボウイカゆで卵などの素材を包み込んだものもある。

水産地では、地元で多く取れるを材料とする事が多く、イワシサメカツオサバホッケなど多様だが、ほとんどの場合2種以上の魚を混ぜて使う。すり身のみで作られた物のほか、キクラゲ紅しょうが玉ねぎネギなどの野菜を入れた物、じゃこイカタコエビなどの魚介類を入れた物、薬味を加えたものなどもある。

そのまま、あるいは軽く焼いてショウガ醤油やからし醤油などを付けて食べる。おでん種、うどんの具、皿うどんの具、煮物の材料にも用いられる。

歴史

薩摩揚げの由来については諸説があるが、鹿児島県薩摩地方が発祥で[1]島津藩琉球との交易・侵攻の過程で、1864年頃に沖縄県の揚げかまぼこであるチギアギ(付け揚げ)を持ち帰ったことが始まりであるとも言われている[2]

鹿児島県薩摩地方では、「つけあげ」[3]として多く生産され、農山漁村の郷土料理百選に選ばれている。

名称

鹿児島県薩摩地方が発祥地とされ、東北地方関東地方では「薩摩揚げ」と呼ばれる。中部地方広島県などでは「はんぺん」、西日本や明治の開拓期に関西地方の人が多く移住した北海道などでは「天ぷら」等と呼ばれる。薩摩揚げが各地のてんぷらの発祥であるとの説は、宇和島のじゃこ天などは、宇和島藩の初代藩主・伊達秀宗が故郷仙台をしのんで職人を連れて生産をはじめており、その技法は京都から伝わったとされていることから疑問が多い。鹿児島県では「付け揚げ」や「つきあげ」、沖縄県では「チキアギ」(付け揚げの意)と呼ばれる。「揚げ半(ぺん)」など、その他の異称も多い。

種類

ホタテ貝柱アスパライカの薩摩揚げ

形状による名称

  • ひら天 - 平らな形(丸型など)に成形して揚げたもの。
  • 角天 - 長方形に成型して揚げたもの。東北地方では、「大角天」。北海道では、角天の分厚いものをその形状より「マフラー」とも呼ばれる。
  • 丸天 - 薄く平たい円盤の形状にして揚げたもの。九州地方、主に福岡県では、丸天うどんの具として使用される。
  • ボール天 - 小型の球状に成形して揚げたもの。また、関西では丸天と呼ぶこともある。
  • コンセット - 沖縄県における、いわゆるカマボコ型の揚げかまぼこに対する呼称。語源は米軍の仮設兵舎に由来する。

類似の物・日本国外の物

  • ガンスは白身魚のすり身に衣をまぶしてあげた物で、カツレツの一種とも言われる。
  • タイでは、トートマンといい、魚のすり身のものはトートマン・プラ、エビのすり身のものはトートマン・クンという。
  • ベトナムにも類似の食品がある。
  • かつて日本の植民地統治下だった韓国台湾では、薩摩揚げそのものが名前を変え、屋台などで売られている。韓国の屋台では、練り物の串刺しを「おでん」と称して売っているが、薩摩揚げを小さく切ったものも「おでん」と称し、飲食店の付け合わせに出される。台湾の屋台で、「天婦羅」(ピン音:Tīanfùlúo)、「甜不辣」(Tíanbúlà、天ぷらの音訳)の名称で売られているものも、多くの場合、薩摩揚げである。

脚注

  1. ^ 【鹿児島県いちき串木野市】観光・特産品:特産品
  2. ^ つけあげ かごしま 文化の引き出し(かごしま地域情報WEBリビングアイ 2003年11月8日)
  3. ^ 上方で「つけあげ」、江戸では「ゴマ揚げ」として天明期にいわゆる揚げ物の名称として使用されていると「蜘蛛の糸巻」弘化刊には記されている

関連項目