国際両備フェリー

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国際両備フェリー株式会社
Kokusai Ryobi Ferry Co.,Ltd.
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
702-8003
岡山県岡山市中区新築港9番1号
本店所在地 761-4301
香川県小豆郡小豆島町池田1番地18号
設立 1960年10月4日
業種 海運業
法人番号 3470001012143 ウィキデータを編集
事業内容 一般旅客定期航路事業
代表者 代表取締役社長 小嶋光信
資本金 1,760万円
売上高 4億6,000万円(2007年3月期実績)
純利益 ▲1億6385万2000円
(2022年03月31日時点)[1]
総資産 16億4466万1000円
(2022年03月31日時点)[1]
従業員数 134人(2020年03月31日現在)
決算期 毎年3月31日
主要株主 両備ホールディングス 100%
(同社の連結子会社
外部リンク https://ryobi-shodoshima.jp/company/ryobiferry
特記事項:2020年4月1日に国際フェリーが両備フェリーを吸収合併し、国際両備フェリーに商号を変更。
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国際両備フェリー株式会社(こくさいりょうびフェリー)は、岡山県岡山市中区に本社、香川県小豆郡小豆島町に本店がある海運会社。岡山市・新岡山港と小豆島土庄港高松市高松港と小豆島・池田港を結ぶフェリー航路を運航している。

沿革

両備フェリーは、1928年に設立された南備海運合資会社を起源としている。1949年に南備海運株式会社が設立され、1960年に南備海運株式会社は南備海運合資会社と合併した。1969年南備海運は、日の丸タクシーと合併し両備運輸となる[2]。2007年4月1日、両備運輸と両備バスが合併し両備ホールディングス株式会社となり、フェリー部門は両備ホールディングスの社内カンパニーの両備フェリーカンパニーとなる。2011年に両備フェリーとして分社化される。

国際フェリー株式会社は、1963年に設立され、2007年7月1日両備ホールディングスが同社の全株式を取得し完全子会社化し、両備グループの企業となった[3]

2020年4月1日に国際フェリーが両備フェリーを吸収合併し、国際両備フェリーに商号を変更した[4][5]

さらに2020年8月31日をもって小豆島・草壁港を拠点とする内海フェリーからの支援要請に応える形で同社の全株式を取得し子会社化した。2021年4月には同社の航路を近隣の高松 - 池田(小豆島)航路に統合し経営の効率化を図る[6][7]と共にオーキドホテルに隣接するサイクルステーション内に小豆島事業部を創設させ、ホテル料飲部門、港売店・船内売店、ホテル売店の運営管理を統合させ、経営の効率化を図ると共にモビリティ事業及びECサイト事業、地域商社事業への立上げに着手した。

事業所

  • 本社・岡山航路事業部(旧両備フェリー)
  • 本店・高松航路事業部(旧国際フェリー)
  • 小豆島事業部・ホテル部(オーキドホテル)
  • 小豆島事業部・ライフ&リゾート部

航路

南備海運時代には岡山京橋を拠点として、岡山県下の瀬戸内海沿岸と小豆島犬島、高松を発着する旅客船航路を運航していた。1964年岡山港 - 土庄港のカーフェリー航路を開設した後、その他の航路は順次撤退し、これに一本化される形となった。一方の国際フェリーは、一貫して高松 - 小豆島の航路を運航していた。

就航中の航路

2018年10月1日から運賃の支払いにICOCA電子マネー交通系ICカード全国相互利用サービス(PiTaPaを除く)の電子マネー機能)・楽天EdynanacoWAONiDQUICPayクレジットカードデビットカードが使用できる[15]。ただし、窓口でのチャージ(入金)はできない。

過去の航路

  • 岡山京橋 - 土庄港
    旅客船当時の主力航路で、1964年(フェリー航路開設以前)時点で一日10往復が運航されていた[16]
  • 岡山京橋 - 犬島 - 土庄港 - 高松港 ほかに直航便、区間便あり
  • 岡山京橋 - 犬島 - 牛窓 - 日生港
  • 日生港 - 犬島 - 土庄港 - 高松港
    それぞれ1964年時点で一日1往復程度運航の旅客船航路[16]で、1968年時点では日生~高松のみが運航されていた[17]
  • 新岡山港 - 瀬戸大橋遊覧
  • 新岡山港 - 牛窓 - 土庄港
    1980年代から1990年代に運航されたデイクルーズ航路。

船舶

就航中の船舶

いずれの船舶も、甲板に子ども用遊具を備えるほか、カーペット敷きの部屋も多いなど、乳幼児連れの家族に配慮した内装となっている。

  • 新岡山港 - 土庄港
    1964年の東京オリンピックと同日に開設されたことから、この航路の歴代のフェリーはすべて「おりんぴあ」と命名されている[18]
    おりんぴあ どりーむ[19]
    2005年6月就航。967総トン。全長66.03m、全幅14.70m、出力3,200馬力、航海速力14ノット。
    旅客定員500名。車両積載量:普通乗用車60台またはバス9台。藤原造船所建造。
    おりんぴあどりーむ せと[19][20]
    2019年5月1日就航[20]。942総トン[21]。全長60m、全幅14.7m、出力2,800馬力、航海速力13ノット[21]
    旅客定員500名[22]、座席定員229名[21]。車両積載量:普通乗用車60台または大型車10台[21]
  • 高松港 - 池田港
    第一こくさい丸(3代・通称:パンダ)
    2007年6月竣工、同年7月1日就航。696.0総トン[19][23]、全長70.0m、幅13.7m、出力3,200馬力、航海速力15.0ノット(最大15.9ノット)。
    旅客定員500名。車両積載数:乗用車55台。藤原造船所建造。
    屋上デッキの煙突部分にパンダをかたどった外板を設置している。また、屋上にはパンダの遊具が設置されている。
    第十一こくさい丸(2代・しまぞう)
    2021年6月28日竣工、同年7月21日就航 1,213総トン 全長73.05m 幅15m 出力3,600馬力 定員500名 車両積載60台 藤原造船所建造。
    屋上デッキにゾウをかたどったマストを設置している。また、屋上には、ブランコや、ゾウのメリーゴーランドが設置されている。
    しまぞうという愛称は、公募で決まった。[24]
    このクラスとして日本初前と後ろにエレベーターを設置した。また、今までのこくさい丸で初めて1000tを超えた。本船の設計は高島屋スペースクリエイツが担当。

なお、新岡山航路のドック入り時又は他航路応援時による離脱時には「おりんぴあどりーむ」もしくは「おりいぶ丸」(四国フェリーグループ)が代船運航、池田航路のドック入り時には「おりんぴあどりーむせと」が代船運航。 また、「おりんぴあどりーむせと」については四国汽船の代船としても運航する。

過去の船舶

  • 新岡山港[25] - 土庄港
    おりんぴあ(初代)
    1964年10月就航。417.88総トン、全長38.87m、幅10.97m、出力900ps、航海速力12.3ノット。
    旅客定員415名、乗用車25台。神田造船所建造。1981年日本船舶明細書より削除[26]
    にゅう おりんぴあ(初代)
    1967年就航、1980年4月むつ湾フェリーに売船[26]
    さん おりんぴあ(初代)
    1972年3月就航。344.82総トン、全長38.6m、幅11.2m、出力1,000ps、航海速力12ノット。
    旅客定員412名、乗用車25台。今村造船建造。1991年名鉄海上観光船に売船[26]
    しぃ おりんぴあ
    1966年3月竣工、1972年10月買船・就航。587.02総トン、全長49.97m、幅13.4m、出力1.400ps、航海速力12.5ノット。
    旅客定員710名、乗用車50台。金指造船建造。元東京湾フェリーとうきょう丸。1990年海外売船[26]
    おりんぴあ(2代)
    1979年11月竣工・就航。606.3総トン、全長51m、幅13.85m、出力2,600ps、航海速力13ノット。
    旅客定員480名、乗用車50台。神田造船所建造。 フィリピンのサンタクララシッピング会社に売船

  2005年日本船舶明細書より削除[26]

  • さん おりんぴあ(2代)
    1979年2月竣工、1989年8月買船・就航。641.18総トン、全長59.5m、幅14.0m、出力2,000ps、航海速力12ノット。
    旅客定員480名、トラック22台。讃岐造船鉄工所建造。元四国フェリー第七十二玉高丸。1999年海外売船[26]
    さん おりんぴあ(3代)
    1984年3月竣工、2001年買船・就航。763総トン、全長62.16m、幅14.2m、出力2,200ps、航海速力13.5ノット。
    旅客定員490名、トラック22台。藤原造船所建造。元瀬戸内観光汽船ひなせ丸。2006年日本船舶明細書より削除[26]
    にゅう おりんぴあ(2代)
    1988年6月竣工、同7月就航。690総トン、全長56m、幅14.0m、出力2,600ps、航海速力13ノット。
    旅客定員480名、乗用車55台。神田造船所建造
    2020年3月フィジーに売船[26]
    クイーンオリーブ(高速船)
    64.95総トン、旅客定員94名、航海速力24ノット[27]
    プリンセスオリーブ(高速船)
    65.00総トン、旅客定員94名、航海速力24ノット[27]
    マーメイドオリーブ(高速船)
    18.00総トン、旅客定員20名、航海速力24ノット[13]
  • 高松港 - 池田港
    第一こくさい丸(初代)
    1964年就航、1972年売船。108総トン[14]
    第三こくさい丸
    1965年就航、1969年売船。133総トン[14]
    第八こくさい丸
    1969年就航、1972年売船。199総トン[14]
    第十一こくさい丸(初代)
    1972年8月竣工・就航。493.2総トン、全長52.5m、幅10.0m、出力2,000馬力、航海速力13.5ノット(最大14.5ノット)。
    旅客定員421名。車両積載数:トラック(8t換算)21台。新浜造船建造。
    1981年、関西急行フェリーに売船し、船名を「しわく丸」に変更。1991年、日本船舶明細書より削除。
    第一こくさい丸(2代)
    1976年5月竣工・就航。199.99総トン、全長35.3m、幅9.5m、出力600馬力、航海速力9.0ノット。
    旅客定員50名。車両積載数:不明。伸和産業建造。
    引退後個人事業主に売却され「蛭子丸」として笠岡-北木島豊浦間に就航。廃業に伴い廃船となる。
    第二十一こくさい丸(通称:ゾウ)
    1981年10月竣工・就航。649.2総トン、全長54.8m、幅13.0m、出力2,800馬力、航海速力13.5ノット(最大14.0ノット)。
    旅客定員490名。車両積載数:乗用車20台、トラック(8t換算)10台。藤原造船所建造。
    1990年、四国汽船に売船し、船名を「なおしま」に変更。1997年、日本船舶明細書より削除。
    第三十一こくさい丸(通称:カメ)
    1990年4月竣工、同年5月就航、2000年改装。905.0総トン、全長63.2m、幅14.7m、出力4,000馬力、航海速力16.5ノット(最大17.6ノット)。
    旅客定員490名。車両積載数:乗用車60台、トラック(8t換算)22台。藤原造船所建造。
    2007年、タイのseatran ferryに売船されseatran ferry7として運航されている。上に乗っていた亀は港近くの公園に置かれている。
    第三十二こくさい丸(通称:キリン)
    2001年10月竣工、同年11月就航。749総トン[19][23]、全長65.77m、幅14.7m、出力3,600馬力、航海速力15.0ノット(最大16.0ノット)。
    旅客定員500名。車両積載数:乗用車70台。藤原造船所建造。
    2021年、引退後すぐ韓国で改造し、フィリピンのサンタクララシッピング会社に売船されM/V DON EDUARDOとして運航されている
  • その他
    御座船 備州
    1986年7月21日竣工。486総トン。全長49.7m、幅11.0m、出力850ps、航海速力12.0ノット。旅客定員500名。神田造船所建造。
    岡山藩主池田斎政が奉納した御座船の模型をモデルとした和風のデイクルーズ客船で、岡山を拠点に瀬戸大橋方面の周遊航路に就航[28]。その後は御座船 安宅丸として、東京湾を経て、2021年から神戸ベイクルーズで就航。
    鄭和
    1989年8月竣工。288総トン。全長43.4m、幅8.5m、出力650ps、航海速力10.0ノット。旅客定員300名。中国福建省漁輪修造廠建造。
    中国明代の宝船をモチーフとしたデイクルーズ客船(木造船)で、岡山 - 牛窓 - 土庄に就航[29]。後年は博多湾観光汽船の博多湾クルーズで使用された。
「明代宝船 鄭和」(土庄港にて)

乗り場とアクセス

連携輸送

  • かもめバス切符 - 岡山駅 - 新岡山港のバスとフェリー乗船券をセットにしたプラン。
  • 小豆島縦断プラン - 当航路または瀬戸内観光汽船と国際フェリーを乗り継ぎ高松港へ行くことができるセットプラン。
  • 小豆島周遊プラン - 当航路と瀬戸内観光汽船を乗り継ぐ新岡山港 - 日生港間のセットプラン。

関係会社

事故

  • 2019年12月29日12:50頃、第三十二こくさい丸(キリン)は高松港へ入港時に停止できず岸壁に衝突、右舷側船首付近の船体に穴が開く事故が発生した。浸水や油の流出はなかったが、乗客1名が負傷、岸壁も修理完了まで発着に支障が出た。
  • 2022年5月5日午前9時頃、高松港の岸壁に停車中の同社のワンボックスカーが海中に転落。無人のため人的被害がなかったが、引き上げ作業のため岸壁の使用が停止された。

事件

2022年2月21日午前8時すぎ、小豆島の池田港から高松港に向かっていた第一こくさい丸(パンダ)の男子トイレに「爆弾がある。警察に連絡しろ。」というメモが見つかった。 フェリーは高松港に着岸し、乗客80人を降ろしたあと、船員10人を避難させ、香川県警と高松海上保安部が船の中や船底などをおよそ2時間半捜索したが爆弾のようなものは見つからなかった。 メモはA4のコピー用紙を3分の1程度に切ったものに、ボールペンによる手書きだったということで、威力業務妨害の疑いもあるとみて捜査している。折り返し池田港へ運航する予定だった高松港発午前8時32分の便と池田港発午前9時50分発の1往復2便が運休となった。

脚注

  1. ^ a b 国際両備フェリー株式会社 第59期決算公告
  2. ^ 会社概要&沿革”. 2020年5月25日閲覧。
  3. ^ 「国際フェリー株式会社」を 両備グループ傘下に Archived 2007年7月8日, at the Wayback Machine.(ニュースリリース) - 両備グループ(2007年7月5日付、2010年4月25日閲覧)
  4. ^ 両備HD、小豆島フェリーの傘下2社統合”. 日本経済新聞 (2020年3月25日). 2020年3月25日閲覧。
  5. ^ 国際フェリー㈱、両備フェリー㈱を吸収合併 新社名を国際両備フェリー㈱に”. 両備グループ (2020年3月26日). 2020年4月26日閲覧。
  6. ^ “両備グループ、高松―小豆島フェリー会社の経営権取得”. 日経電子版. (2020年9月11日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63751610R10C20A9LC0000/ 2020年9月11日閲覧。 
  7. ^ 小嶋光信 (2020年9月11日). “新コロナ禍の内海フェリーを経営支援し、国際両備フェリーで航路再編”. 両備ホールディングス. 2020年9月11日閲覧。
  8. ^ 世界の艦船別冊 日本のカーフェリー-その揺籃から今日まで-p.318(海人社,2009)
  9. ^ JTB時刻表1990年8月号p.763
  10. ^ JTB時刻表2008年8月号および9月号p.855
  11. ^ 四国フェリーは「第七しょうどしま丸」にて運航。
  12. ^ 同共同運航は、海上運送法第28条に基づくものであり、独占禁止法の適用を除外されている。
  13. ^ a b c "フェリー・旅客船ガイド2006年春季号p.215(日刊海事通信社,2006)
  14. ^ a b c d 会社概要&沿革
  15. ^ よくあるご質問” (PDF). 両備小豆島フェリーグループ. 2020年5月16日閲覧。
  16. ^ a b 時刻表完全復刻版1964年10月号p.510(JTBパブリッシング,2019)
  17. ^ 時刻表完全復刻版1968年10月号p.372(JTBパブリッシング,2021)
  18. ^ https://ryobi-shodoshima.jp/facility/ryobi_ferry/ 船名由来
  19. ^ a b c d 就航船の紹介”. 2020年5月25日閲覧。
  20. ^ a b おりんぴあどりーむせと - 両備フェリーカンパニー(2019年4月23日、2019年4月30日閲覧)
  21. ^ a b c d 代表メッセージ 「おりんぴあどりーむ せと」5/1に就航! - 両備グループ
  22. ^ 豪華! 5月から就航の新クルーズフェリー 愛媛の今治市で進水式 - FNN.jpプライムオンライン(2019年3月7日)
  23. ^ a b 船の設備 高松港~小豆島池田港”. 2019年12月30日閲覧。
  24. ^ https://www.asahi.com/sp/articles/ASP7G7FM0P7FPTLC03C.html
  25. ^ 岡山港時代を含む
  26. ^ a b c d e f g h 世界の艦船別冊 日本のカーフェリー-その揺籃から今日まで- pp.198-199
  27. ^ a b 全国フェリー・旅客船ガイド1987年上期号p.166(日刊海事通信社,1986)
  28. ^ 世界の艦船別冊 日本の客船2 1946-1993 野間恒・山田廸生共編 海人社,1993 p.199
  29. ^ 世界の艦船別冊 日本の客船2 1946-1993 野間恒・山田廸生共編 海人社,1993 p.205

参考文献

  • 日本のカーフェリー -その揺籃から今日まで- (世界の艦船 別冊) - 海人社(2009年3月) JANコード 4910056040393

外部リンク