切腹 (映画)
切腹 | |
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監督 | 小林正樹 |
脚本 | 橋本忍 |
原作 | 滝口康彦 |
製作 | 細谷辰雄 |
出演者 |
仲代達矢 石浜朗・岩下志麻 丹波哲郎 三國連太郎 |
音楽 | 武満徹 |
撮影 | 宮島義勇 |
配給 | 松竹 |
公開 | 1962年9月16日 |
上映時間 | 133分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
『切腹』(せっぷく)は、1962年の日本映画。昭和37年度芸術祭 (文化庁)参加作品。
滝口康彦の小説『異聞浪人記』を、松竹の小林正樹が演出した作品である。
概要
社会派映画を監督してきた小林正樹が、初めて演出した時代劇映画である。武家社会の虚飾と武士道の残酷性などの要素をふんだんに取り入れた、かつて日本人が尊重していたサムライ精神へのアンチテーゼがこめられた作品である。
1963年にカンヌ国際映画祭で審査員特別賞、第13回毎日映画コンクールでは日本映画大賞・音楽賞・美術賞・録音賞を受賞した。また、ブルーリボン賞では橋本忍が脚本賞、仲代達矢が主演男優賞を受賞した。さらに『キネマ旬報』においてはその年のベスト3に入賞した。
あらすじ
1630年(寛永7年)5月13日、津雲半四郎と名乗る老浪人が井伊家の江戸屋敷を訪ねてきた。半四郎は井伊家の家老である斎藤勘解由に「仕官もままならず生活も苦しいので、このまま生き恥を晒すよりは武士らしく、潔く切腹したい。ついては屋敷の庭先を借りたい」と申し出た。これは当時、江戸市中に満ち溢れた食い詰め浪人によって横行していたゆすりの手法であった。屋敷で切腹などされてはたまらないと金銭をさし出させることをねらいとしたものである。
勘解由は、先日も同じように申し出てきた千々岩求女という若い浪人を庭先で本当に切腹させたことを思い出し、勇武の家風できこえた井伊家はゆすりたかりに屈することはないからと、そのいきさつを語り聞かせて思いとどまらせようとした。半四郎は動じず、千々岩求女の同類では決してなく本当に腹を切る覚悟であると決意のほどを述べたので、それならばと勘解由は配下の者に切腹の準備を命じた。
いざ切腹の時となり、半四郎は介錯人に井伊家中の沢潟彦九郎、矢崎隼人、川辺右馬介を名指しで希望した。しかしその三名は奇怪なことに揃って病欠であった。介錯は誰か他の者にという勘解由に、半四郎は、この切腹の背景となった衝撃的な事実を語りはじめた…。
キャスト
- 仲代達矢(津雲半四郎)
- 石浜朗(千々岩求女)
- 岩下志麻(美保)
- 丹波哲郎(沢潟彦九郎)
- 三島雅夫(稲葉丹後)
- 中谷一郎(矢崎隼人)
- 佐藤慶(福島正勝)
- 稲葉義男(千々岩陣内)
- 井川比佐志(井伊家使番A)
- 武内亨(井伊家使番B)
- 青木義朗(川辺右馬介)
- 松村達雄(清兵衛)
- 小林昭二(井伊家使番C)
- 林孝一(代診)
- 五味勝雄(槍大将)
- 安住譲(新免一郎)
- 富田仲次郎(人足組頭)
- 天津七三郎(小姓)
- 三國連太郎(斎藤勘解由)
- 田中謙三、中原伸、池田恒夫、宮城稔、門田高明、山本一郎、高杉玄、西田智、小宮山鉄朗、成田舟一郎、春日昇、倉新八、林健ニ、林章太郎、片岡市女蔵、小沢文也、竹本幸之佑
スタッフ
- 監督:小林正樹
- 製作:細谷辰雄
- 製作補:岸本吟一
- 脚本:橋本忍
- 原作:滝口康彦(『異聞浪人記』より)
- 撮影:宮島義勇
- 音楽:武満徹
- 美術:戸田重昌、大角純平
- 録音:西崎英雄
- 照明:蒲原正次郎
- 編集:相良久
- スチール:梶原高男
- 助監督:丹波康二
- 装置:中村良三
- 装飾:田尻善一
- 衣裳:植田光三
- 技髪:木村垚右ヱ門
- 結髪:木村よし子
- 進行:内藤誠
- 撮影助手:関根重行
- 照明助手:奥谷保
- 録音助手:藤田茂
- 編集助手:瀬頭純平
- 製作助手:斎藤次男
- 現像:東洋現像所
- 時代考証:猪熊兼繁
- 衣裳考証:隅田董之助、河村長潅
- 殺陣:加登秀樹
- 題字:勅使河原蒼風
逸話
終盤の津雲半四郎演じる仲代と沢潟彦九郎役の丹波の、護持院原での決闘では殺陣に使われる竹光ではなく真剣が使われており、文字通り命懸けの撮影であった。