コンテンツにスキップ

フェラーリ・458イタリア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。F446 (会話 | 投稿記録) による 2012年5月30日 (水) 12:06個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎ワンオフモデル)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

フェラーリ・458イタリア
フロント
リア
ダッシュボード
概要
製造国 イタリアの旗 イタリア
販売期間 2009年 -
デザイン ピニンファリーナ
ボディ
乗車定員 2人
ボディタイプ 2ドアクーペ
スパイダー
駆動方式 MR
パワートレイン
エンジン 4.5L V8 DOHC
最高出力 425kW (578PS) /9,000rpm
最大トルク 540N·m (55.1kgf·m) /6,000rpm
変速機 7速DCT
前: ダブルウィッシュボーン式
後: マルチリンク式
前: ダブルウィッシュボーン式
後: マルチリンク式
車両寸法
ホイールベース 2,650mm
全長 4,527mm
全幅 1,937mm
全高 1,213mm
車両重量 1,380kg
系譜
先代 F430
テンプレートを表示

458 イタリアFerrari 458 Italia )は、イタリア自動車メーカー、フェラーリミッドシップスポーツカーである。

概要

エンジンルーム

F430の後継として2009年7月28日にデザイン、主要諸元が公開され、2009年9月15日フランクフルト・モーターショーにて正式に発表された。車名の458は4500cc、8気筒を表す。イタリアの文字はルカ・ディ・モンテゼモーロが458の持つ高度な品質、創造性、スタイリングに敬意を表しフェラーリの祖国イタリアの名前を付けたものである。2009年の発売時、本国イタリアでの販売価格(税込み)は、19万7,000ユーロ(約1910万円)である[1]。また日本での新車販売価格は2830万円(消費税)。

エンジンは90度V型8気筒自然吸気式でフェラーリ伝統のシングルプレーンクランクシャフトを採用しており、左右バンクからの排気管を交差せずとも排気干渉を防ぐことができるので高馬力と美しい排気音を得ている。潤滑方式はドライサンプ方式で最高出力578PS/9,000rpm、最大トルク55.1kgf·m/6,000rpmで、0km/h-100km/hは3.35秒を誇る。圧縮比は12.5:1で、燃料噴射機構はMRとして初めての直噴エンジンである。9000rpmも廻すことのできるスポーツエンジンにも関わらず、3250rpm時に最大トルクの約80%を得られるトルク特性によって街乗りでもスムーズな走りを楽しむことができることは特筆に値する。ステアリングコラム右下にはマネッティーノと呼ばれる走行特性可変スイッチが装備され、さまざまな走りの場面に応じてエンジン・サスペンション特性を選択することができる。

シャーシー・ボディ・サスペンション・エンジンは総アルミ製。全長4527mm×全幅1937mm×全高1213mm、ホイールベース2650mmで車体重量は1380kg 【参考:Mcralen MP4-12C/1434kg Lamborghini Aventador/1575kg】従来のアルミニウムに加え、新合金の採用や航空技術を応用したアルミ成型などによって、ねじれ剛性15%&ビーム剛性5%増しの強靭なボディを手に入れている。

サスペンション形式は前輪ダブルウィッシュボーン式、後輪マルチリンク式。磁性流体を用いたサスペンションは第2世代の電磁式減衰力可変機構を装備しており、ボディのロールを抑制しつつ横剛性を向上させている。高速コーナーではしっかりとした踏ん張り感を体感しつつ、高速道路舗装の継ぎ目などを走行する際には突き上げ感の少ない優れた乗り心地を両立させている。マネッティーのをSPORTSモードを選択すると低速回転時の排気音も小さくなるほか、BUMPYボタンを操作することによって凸凹道での走行性を安定させることができる。

トランスミッションは、フェラーリ・カリフォルニアに続きゲトラグ製7速デュアルクラッチ式F1マチック(ATポジション装備パドルシフト式MT)が装備される。パドルシフトはハンドル回転時に一緒に回転するタイプではなく固定式である。クラッチペダルやシフトレバー、パーキングブレーキレバーはない。リバースギアはコンソール中央のRボタンを押すことにより選択する。パーキングブレーキはハンドル下の小型レバーで操作する。方向指示器はステアリングコラム上に装備されておりウィンカーレバーはない。ステアリングコラムは電動式で上下・前後に調節することができる。

2010年12月から458ITALIAは右ハンドル車も注文できるようになった。458SPIDERの右ハンドル車も2012年4月から受注が開始された。右ハンドルはオプションではなく左ハンドルの場合と同一価格。シートは標準装備のもののほかにデイトナシートとセミバケット式レーシングシートを選択することができる。標準装備シートのバケット幅は比較的タイト(幅狭)である。レーシングシートの場合には手動式調整機構になるが、シート幅は3種類用意されている。標準装備のシートではポジションを記憶させることができるフル電動式機構をオーダーできる。ポジションは3つ記憶させることができる。プリセットボタンを押すとシート位置やバックレスト角度のほか、ステアリング上下・前後位置やサイドミラー角度も自動調整される。

タイヤは発注時にブリヂストンポテンザS001、ピレリP ZERO、ミシュランパイロットスーパースポーツの中から選択する。ピレリとミシュランの指定空気圧は同一値だがポテンザだけ指定空気圧が高い。ミシュランとブリヂストンのタイヤ一本あたりの重量を比較すると、約2kgほどポテンザの方が重い。このため正規ディーラーの中には、セラミックカーボンブレーキローターや鍛造ホイール(option)によるバネ下重量軽量思想を考慮してミシュランを推薦する場合もある。

日本時間2011年8月23日、フェラーリの公式サイトで「458 Spider」が公開された。幌ではなく、アルミ製のハードトップを持つ、いわゆるクーペカブリオレを採用している。車重は458ITALIAよりも50kg増しの1430kg。2シーターMR車でクーペカブリオレを採用するのは世界初である[2]

シート背後にゴルフ・バッグ1個分のスペースができた。ルーフを下げれば重心はクーペより下がっているが、オープン・トップ化によってボディ剛性はクーペ比35%の低下(ねじり剛性)を余儀なくされた。スパイダーの登場にともない、クーペ(458イタリア)については、磁性流体ダンパーのソフトウェアがあらためられ、さらに、ステアリング・パッド上で走行セッティングを選ぶマネッティーノ・ボタンでレース・モードを実行すると、DCTとF1トラックのレスポンスがさらに上がる、という変更が施された。サーキット走行もたびたびするという硬派走り屋が多いというクーペ・オーナー向けの変更で、既存の(458イタリア)オーナーも希望すれば、おなじプログラムが書き込まれたCPUユニットに換装できる。センサーの数が増加している等の理由でROM書き換えではなくCPUユニットの交換となる。工賃込み価格は約60万円以下という。(以上はENGINE誌からの引用およびロッソスクーデリア碑文谷SSへの問い合わせで確認) 2010年8月までに製造された1,248台のうち、エンジン断熱材固定用接着剤が可燃性であったために車輌が炎上する事故が、カリフォルニア州パリ市スイス中国などで5件以上相次いだ[1]。これを受けて同年9月、フェラーリは458の全車をリコール扱いし、断熱材はリベットによって固定するように改善された[1]

デザイン

外観

高速走行時の空気抵抗を減らす弾性ウィングレット

458のデザインは過去のモデルとは一線を画しており空気力学上、ハイレベルなデザインである。例えばフロントグリルに一つの開口部、その両サイドに存在するエアインテークがある。これは走行時に車体に流れる空気をエアインテークから考え抜かれたボディデザインにより直接冷却ラジエターやアンダーボディに送りダウンフォースを発生させるためのものである。また、ノーズ開口部には弾性ウィングレットが付いており、これも高速走行時に変形し、空気抵抗を低減させ、ダウンフォースをより効率的に発生させるためのものである。これらのデザインにより458は200km/h走行時では140kgのダウンフォースを実現する。ベースのスタイリングについてはフェラーリのほとんどの車種を手がけているデザイン工房であるピニンファリーナが行なった。先端が長くて低いボンネット、滑らかな稜線を描く屋根、隆起したフェンダーといったフェラーリのミッドシップ車の伝統を受け継いでいる。砲弾型のテールランプは上面が露出しており、この意匠はエンツォF430から踏襲している。ただし、テールランプの数は左右合わせて2個に減っている。そのため、テールランプ1個に後進灯、制動灯、方向指示灯が集約されている。光源はLEDリアフォグランプはリアエンド下部のデュフューザー付近に装備される。

内装

内装の装備やデザインには、ミハエル・シューマッハの意見が取り入れられているという。

ハンドルの形状は丸みを帯びた六角形をしており、エアバッグが備わる位置にはF430と同様にマネッティーノ電子制御システムのモード切り替えダイヤルとエンジン始動ボタンが備わるほか、ロービーム・ハイビーム切り替え、ワイパー、ウィンカーの操作スイッチも備わる。クラクションボタンはステアリングホイールの親指位置に装備されている。メーカーオプション装備としてステアリングホイール上部にシフトフラッシャー(変速タイミングを知らせるLEDライト)を装着したものを選べる。ダッシュボードには、ドライバーの目線中央にエンジン回転計、その両脇にTFT液晶ディスプレイを配置。左側のディスプレイには水温・電圧・残燃料などの車両情報、右側にはカーナビゲーション、リアビューカメラ画像、オーディオ、Bluetooth対応ハンズフリーフォンなどのインフォテインメント情報を表示する。

トランスミッションの操作方法は従来のF1マチックと同様だが、デュアルクラッチ式になったことによって変速が瞬間的に行われるようになった。

性能

フェラーリの公式データでは0-100km/h加速3.35秒、最高速度325km/hを発揮し、燃費は13.7L/100km、二酸化炭素排出量は320g/kmである。

458スパイダー

458スパイダー(2011フランクフルト・モーターショー).

2011年8月23日、458のオープンカー仕様である458スパイダーの写真が公開、10月に開催されたフランクフルト・モーターショーにおいて実車が公開された。従来とは異なり、アルミニウム製の自動格納式屋根が装備される屋根を展開した状態ではクーペと比較しても遜色のない車体との一体感・連続感があり、屋根を格納した状態では往年のフェラーリ・レージングカーを彷彿とさせるような、空気の流れを意識した2つの大きなコブが運転席・助手席の双方から車体後方へ伸びる優雅なスタイリングが特徴。屋根の展開・格納にかかる時間はそれぞれ約14秒。格納時にはZ字型のように折りたたまれるのではなく、屋根が180度回転しながら格納される2分割式を採用している。

ワンオフモデル

2012年3月、458イタリアをベースにV12エンジンを搭載し、512BBのモチーフを取り入れたスペシャルデザインのモデル「SP12 EC」がイギリスのディーラーからデリバリーされた[3]。当初、フェラーリは守秘義務のため注文主を明らかにしていなかったが、5月に発行された「Ferrari Magazine」16号に登場し、大のフェラーリファンである[4]エリック・クラプトンがオーダーしたものと正式に認めた。名称の「SP」はSpecial Programを、「12」は12気筒エンジンを、「EC」はクラプトンのイニシャル(Eric Clapton)を表しているとされる。また、スクープ時には「SP12 EPC」という名称で報じられていた(クラプトンのミドルネーム"Patric" - 恐らく、記者がナンバープレートから車名を予想したため)。

モータースポーツ

『458GTC』 LM-GTE仕様
<SUPER GT 2011 第2戦 富士>
『458GTC』 LM-GTE仕様
<SUPER GT 2011 第6戦 富士>

ワンメイク仕様の「458チャレンジ」のほか、LM-GTE仕様の「458GTC」とFIA-GT3仕様の「458GT3」が開発されておりヨーロッパ選手権に参戦する見込みである。
日本でも458GTCが11号車「JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458」として2011年度SUPER GTに参戦した(右写真)。デビュー戦となる第2戦富士スピードウェイ戦(第1戦の岡山戦が延期のため事実上の開幕戦)および第1戦岡山、第3戦セパンにて決勝2位に入っており(第4戦菅生では7位)、第5戦鈴鹿(4位)終了時点でGT300クラスのポイントランキングトップ[5]となっていたものの最終的に2位で終了した。

また、チームマッハはGT3仕様で参戦する予定だったものの2011年はフェラーリ側の意向で出られなかったが2012年度よりGT3仕様で参戦する予定となっている。

脚注

外部リンク

Template:Link GA