フェラーリ・458イタリア

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フェラーリ・458イタリア
' 10 - ITALY - Ferrari 458 Italia rossa a Milano 19.jpg
' 10 - ITALY - Ferrari 458 Italia rossa a Milano 18.jpg
製造国 イタリアの旗 イタリア
販売期間 2009年 -
デザイン ピニンファリーナ
乗車定員 2名
ボディタイプ 2ドアクーペ
スパイダー
エンジン 4.5L V型8気筒 DOHC
最高出力 425kW (578PS) /9,000rpm
最大トルク 540N·m (55.1kgf·m) /6,000rpm
変速機 7速DCT
駆動方式 MR
サスペンション 前: ダブルウィッシュボーン
後: マルチリンク
全長 4,527mm
全幅 1,937mm
全高 1,213mm
ホイールベース 2,650mm
車両重量 1,380kg
先代 F430
-自動車のスペック表-

458イタリア458 Italia )は、イタリア自動車メーカー、フェラーリミッドシップスポーツカーである。

概要[編集]

車名の458は4.5Lのエンジン排気量と8気筒を表す。イタリアの文字はルカ・ディ・モンテゼーモロが458の持つ高度な品質、創造性、スタイリングに敬意を表しフェラーリの祖国イタリアの名前を付けたものである。発売当時の税込み価格は、本国イタリアで19万7,000ユーロ 、日本では2,830万円。

シャーシ、ボディ、エンジン、サスペンションは総アルミ製で軽量化され、車体重量は1,380kgに収まっている[注 1]

タイヤは発注時にブリヂストンポテンザS001、ピレリP ZERO、ミシュランパイロットスーパースポーツの中から選択する。ピレリとミシュランの指定空気圧は同一だがポテンザのみ指定空気圧が高い。また、ミシュランとブリヂストンのタイヤ一本あたりの重量を比較すると約2kgポテンザの方が重いことから、正規ディーラーの中にはセラミックカーボンブレーキローターや鍛造ホイール (オプション) によるバネ下重量軽量思想を考慮してミシュランを推薦する場合もある。

沿革[編集]

F430の後継として2009年7月28日にデザイン・主要諸元が公開され、同年9月15日のフランクフルト・モーターショーにて正式に発表された。2010年8月までに製造された1,248台のうち、エンジン断熱材固定用接着剤が可燃性であったために車輌が炎上する事故が、カリフォルニア州パリ市スイス中国などで5件以上相次いだ[1]。これを受けて同年9月にフェラーリは458の全車をリコールし、断熱材はリベットによって固定するように改善された[1]

2010年12月から右ハンドル車も注文可能となり、2012年4月からは458スパイダーの右ハンドル車も受注が開始された。なお、右ハンドルはオプションではなく左ハンドルの場合と同一価格。シートは標準装備の物のほかにデイトナシートとセミバケット式レーシングシートを選択することができる。標準装備シートのバケット幅は比較的タイトである。レーシングシートでは手動式調整機構になるが、シート幅は3種類用意されている。標準装備のシートでは3つまでポジション記憶させられるフル電動式機構のオーダーが可能で、プリセットボタンを押すとシート位置やバックレスト角度のほか、ステアリング上下・前後位置やサイドミラー角度も自動調整される。

スパイダーの登場に伴い、クーペについては磁性流体ダンパーのソフトウェアが改められた他、走行特性可変システム“マネッティーノ“のRACEモード実行時にDCTとトラクション制御システム“F1トラック”のレスポンスがさらに上がるという変更が施され、既存のオーナーも希望をすれば同じプログラムが書き込まれたCPUユニットに換装可能となった[2][注 2]

バリエーション[編集]

458スパイダー[編集]

458スパイダー

2011年8月23日、458のオープンカー仕様である458スパイダーの写真が公開、10月に開催されたフランクフルト・モーターショーにおいて実車が公開された。従来の幌とは異なりアルミ製の電動格納式屋根が装備されたクーペカブリオレとなっている。車重は458イタリアに比べて50kg増加し1,430kgとなった。2シーターMR車でクーペカブリオレを採用するのは世界初である[3]。ルーフ格納時の重心はクーペより下がっているが、オープン・トップ化によってボディのねじり剛性はクーペ比35%の低下を余儀なくされた。

ルーフの展開・格納にかかる時間はそれぞれ約14秒。格納時にはZ字状に折りたたまれるのではなく、屋根が180度回転しながら格納される2分割式を採用。シート背後にゴルフ・バッグ1個分のスペースが確保されている。展開した状態ではクーペと比較しても遜色のない車体との一体感・連続感があり、格納した状態では往年のフェラーリ・レージングカーを彷彿とさせるような、空気の流れを意識した2つの大きなコブが運転席・助手席の双方から車体後方へ伸びる優雅なスタイリングが特徴。

ワンオフモデル[編集]

2012年3月、458イタリアをベースに512BBのモチーフを取り入れたスペシャルデザインのモデル「SP12 EC」がイギリスのディーラーからデリバリーされた[4]。当初、フェラーリは守秘義務のため注文主を明らかにしていなかったが、5月に発行された「Ferrari Magazine」16号に登場し、大のフェラーリファンである[5]エリック・クラプトンがオーダーしたものと正式に認めた。名称の“SP”はSpecial Programを、“12”はクラプトンが数多く乗り継いだ (中でも512BBは3台) 12気筒ベルリネッタへの憧憬を、“EC”はクラプトン (Eric Clapton) のイニシャルを表しているとされる。また、スクープ時には“SP12 EPC”という名称(クラプトンのミドルネーム"Patric" - 恐らく、記者がナンバープレートから車名を予想したため)で、V12エンジンを搭載していると報じられていた。

458スペチアーレ[編集]

458スペチアーレ

2013年8月20日、458スペチアーレを発表。458イタリアの570PSから35PS増え605PSとなり、0-100km/h加速は3.4秒から3.0秒に短縮された。フロントバンパーリアデュフューザーは専用のものが奢られた[6]

メカニズム[編集]

エンジンルーム

エンジンは、90度V型8気筒NAで伝統のシングルプレーンクランクシャフトを採用しており、左右バンクからの排気管を交差せずとも排気干渉を防ぐことができるので高馬力と共にフェラーリらしい排気音を得ている。潤滑方式はドライサンプ、圧縮比は12.5:1、燃料噴射機構はMRとして初めての直噴である。9,000rpmで最大出力を発生するが、3,250rpm時に最大トルクの約80%を得られるトルク特性によって、街乗りでもスムーズな走りを楽しむことが可能な懐の広さを見せる。フェラーリの公式データでは、0-100km/h加速3.35秒、最高速度325km/h、燃費13.7L/100km、二酸化炭素排出量320g/km。

トランスミッションは、カリフォルニアに続きゲトラグ製7速デュアルクラッチ式F1マチック (ATポジション装備パドルシフトMT) が採用された。操作方法は従来のF1マチックと同様だが、DCTになり瞬間的な変速が可能となった。パドルシフトはハンドル操作と連動しない固定式で、クラッチペダルやシフトレバー、パーキングブレーキレバーはない。リバースギアはコンソール中央のRボタンを押すことで選択、パーキングブレーキはハンドル下の小型レバーで操作する。

サスペンションは磁性流体を用いた第2世代の電磁式減衰力可変機構を装備、ボディのロールを抑制しつつ横剛性を向上させている。高速コーナーでは踏ん張り、高速道路舗装の継ぎ目などを走行する際には突き上げ感の少ない優れた乗り心地を両立。ステアリングコラム右下には“マネッティーノ”と呼ばれる走行特性可変スイッチが装備され、走行場面に応じてエンジン・サスペンション特性の変更が可能となっている。マネッティーノのSPORTSモードは低速回転時の排気音も小さくなるほか、BUMPYボタンを操作することによって凸凹道での走行性を安定させることができる。

デザイン[編集]

エクステリア[編集]

高速走行時の空気抵抗を減らす弾性ウィングレット

過去のモデルとは一線を画しており空気力学上、高度なものである。フロントグリルに一つの開口部、両サイドにエアインテークが配される。これは、車体周囲に流れる空気をエアインテークから直接ラジエーターやアンダーボディに送りダウンフォースを発生させるためのもので、ノーズ開口部の弾性ウィングレットは高速走行時に変形、空気抵抗を低減しダウンフォースをより効率的に発生させる構造となっている。これらの空力処理により200km/h走行時では140kgのダウンフォースを実現する。

ベースのスタイリングについてはフェラーリのほとんどの車種を手がけているデザイン工房ピニンファリーナが行なった。先端が長く低いボンネット、滑らかな稜線を描く屋根、隆起したフェンダーなどといったフェラーリのミッドシップ車の伝統を受け継いでいる。砲弾型のテールランプは上面が露出しており、この意匠はエンツォフェラーリF430から踏襲しているが、LEDを採用したテールランプの数は左右合わせて2個に減っているため、テールランプ1個に後進灯、制動灯、方向指示灯が集約されている。リアフォグランプはリアエンド下部のデュフューザー付近に装備される。

インテリア[編集]

ステアリングホイール

ステアリングホイールの形状は丸みを帯びた六角形をしており、エアバッグが備わる位置にはF430と同様にマネッティーノ電子制御システムのモード切り替えダイヤルとエンジン始動ボタンのほか、ロービーム・ハイビーム切り替え、ワイパー、ウィンカーの操作スイッチが備わる。クラクションボタンはステアリングホイールの親指位置に装備。メーカーオプションとして、ステアリングホイール上部にシフトタイミングをLEDの点灯で知らせる“シフトフラッシャー”を装着したものを選べる。ステアリングコラムは電動式で上下・前後に調節可能。

ダッシュボードには、ドライバーの目線中央にエンジン回転計、その両脇にTFT液晶ディスプレイを配置。左側のディスプレイには水温・電圧・残燃料などの車両情報、右側にはカーナビゲーション、リアビューカメラ画像、オーディオ、Bluetooth対応ハンズフリーフォンなどのインフォテインメント情報を表示する。なお、内装の装備やデザインにはミハエル・シューマッハの意見が取り入れられている。

モータースポーツ[編集]

競技専用車両は、ワンメイクレース「フェラーリ・チャレンジ」仕様の“458チャレンジ”、LM-GTE仕様の“458GTC”、FIA-GT3仕様の“458GT3”が存在する。

2012年、458GTCがル・マン24時間レースにおいてGTE-PROクラスで優勝した[7]

日本では458GTCがDIXCEL DUNLOP 458」として2011年度SUPER GTに参戦した。優勝こそしていないが手堅い走りで表彰台獲得を連発し、最終戦を迎えた時点でGT300クラスのポイントランキング1位[8]となっていたものの逆転され2位で終了した。チームマッハはGT3仕様で参戦する予定だったものの2011年はフェラーリ側の意向で見送られたが、その後2012年度から2013年度途中までGT3仕様で参戦している。

脚注[編集]

出典[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 【参考値】Mcralen MP4-12C: 1,434kg、Lamborghini Aventador: 1,575kg
  2. ^ センサーの数が増加しているなどの理由でROMの書き換えではなくCPUユニットの交換となり、工賃込み価格は約60万円以下という。 (ロッソスクーデリア碑文谷SSへの問い合わせで確認)

外部リンク[編集]

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タイプ 1970年代 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3
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