ガロ系
Template:漫画 は 廃止されました |
---|
ガロ系(あるいはアックス系)とは、1964年から2002年まで青林堂が刊行していた漫画雑誌『月刊漫画ガロ』および1998年から青林工藝舎によって刊行されている漫画雑誌『アックス』などに掲載された漫画作品、ないし、その作家である個性派の特殊漫画家[1]、またその作風を指す表現。日本におけるオルタナティヴ・コミックに相当する。
また、『ガロ』『アックス』出身ではない作家についても、上記の意味でのガロ系作家を思わせるような、作家性が強い独自の作風をもつ者について「ガロ系」と称することがある。
概要
『ガロ』は日本のサブカルチャーやアンダーグラウンドを代表する漫画雑誌であり、大学生など比較的高い年齢層の読者に支持され、その独創的な誌面と伝説的経営難の中で独自の路線を貫き、漫画界の異才をあまた輩出した。特殊漫画家の根本敬は「ガロってのは全国のキチガイの集まりでキチガイが集まる率が日本で一番高い雑誌だったと思う」と回想している[2]。
『ガロ』は商業主義を無視してオリジナリティを重視する編集方針「面白かったらなんでも載せる(=面白主義)」のもと、前衛表現や芸術表現を含む独創的な実験作・意欲作を積極的に掲載した。これは作家側にすれば編集者の干渉が比較的少なく、自由に作品を発表出来たため、その結果、他誌では到底受け入れられないアウトサイダーな作風を持つ個性的な漫画家が集まり、それらの作風を総括して「ガロ系」というジャンルが産まれた。
ガロ出身の漫画家みうらじゅんは「アクション」「ギャグ」「ファンタジー」「ホラー」「SF」「恋愛」「ヒューマンドラマ」など、一般向け漫画とは一線を画した、どのジャンルにも属さない「ガロ系」という特殊なジャンルについて「世の中の漫画は『ガロ系』と『それ以外』の2つに大きく分けられます」と述べている[要出典]。
漫画界を病院に例えるなら「ガロ」は間違いなく精神病院です。 — 『ガロ曼荼羅』より
著名なガロ系作家
- 赤瀬川原平 - 『超芸術トマソン』『櫻画報』『おざ式』
- 秋山あゆ子
- 東元
- 安彦麻理絵
- 安部慎一 - 『やさしい人』『美代子阿佐ヶ谷気分』
- あらいあき - 『チュウチュウカナッコ』『ヒネヤ2の8』
- 荒木経惟(写真家)
- 安西水丸[3][4]
- 井口真吾
- 池上遼一[3][4]
- 泉昌之 - 『夜行』『かっこいいスキヤキ』
- 市場大介
- 糸井重里
- 内田春菊 - 『南くんの恋人』『ファザーファッカー』『でんこちゃん』
- 蛭子能収[1] - 『地獄に堕ちた教師ども』『私はバカになりたい』
- 衿沢世衣子
- 大越孝太郎
- 太田基之 - 『高梨さん』
- 大槻ケンヂ - 『新興宗教オモイデ教』『グミ・チョコレート・パイン』
- 奥平衣良
- 駕籠真太郎 - 『輝け!大東亜共栄圏』
- 笠辺哲 - 『フライングガール』『ももきや』
- 勝又進 - 『勝又進作品集』『赤い雪』
- 鴨沢祐仁
- 唐沢俊一 - 『と学会』
- 唐沢なをき - 『カスミ伝』『怪奇版画男』『まんが極道』
- 河井克夫
- 川崎ゆきお - 『悪いやつほどよく走る』『猟奇王』
- 菅野修
- キクチヒロノリ
- 楠勝平 - 『彩雪に舞う…』
- 久住卓也 - 『中学生日記』
- 久住昌之 - 『孤独のグルメ』
- クリハラタカシ - 『ツノ病』
- 古泉智浩 - 『死んだ目をした少年』
- 高信太郎
- 小林銅蟲 - 『ねぎ姉さん』
- コマツシンヤ
- 近藤聡乃 - 『電車かもしれない』『はこにわ虫』『いつものはなし』
- 近藤ようこ
- 斎藤裕之介
- 佐伯俊男
- 坂口尚
- 逆柱いみり(望月勝広) - 『象魚』『马马虎虎』『赤タイツ男』『はたらくカッパ』
- 桜玉吉 - 『しあわせのかたち』『幽玄漫玉日記』
- さくらももこ - 『神のちから』
- 佐々木マキ
- 白土三平[1] - 『カムイ伝』
- 島田虎之介
- しりあがり寿 - 『コイソモレ先生』『ジャカランダ』
- スージー甘金
- 杉浦茂
- 杉浦日向子 - 『合葬』『百日紅』
- 杉作J太郎
- 鈴木翁二 - 『オートバイ少女』
- 鈴木詩子 - 『女ヒエラルキー底辺少女』
- 園子温(映画監督) - 『自殺サークル』『愛のむきだし』『紀子の食卓』『冷たい熱帯魚』
- 高浜寛
- 高山和雅
- 滝田ゆう[1][3][4] - 『寺島町奇譚』
- 田口トモロヲ
- 辰巳ヨシヒロ - 『劇画漂流』
- 田中六大
- つげ忠男[3][4]
- つげ義春[1][3][4] - 『ねじ式』『紅い花』『ゲンセンカン主人』『李さん一家』『無能の人』
- 土橋とし子
- 津野裕子
- 津山週三
- つりたくにこ
- 東陽片岡
- とがしやすたか
- とま雅和(とま)
- 友沢ミミヨ
- 魚喃キリコ
- 永島慎二 - 『フーテン』『漫画家残酷物語』
- 西岡兄妹 - 『地獄』『人殺しの女の子の話』
- 西野空男 - 『幼年クラブ』『もののけ同人』
- ねこぢる - 『ねこぢるうどん』
- 根本敬(特殊漫画家)[1] - 『天然』『生きる』『タケオの世界』『花ひらく家族天国』『豚小屋発犬小屋行き』『因果鉄道の旅』『未来精子ブラジル』
- 芳賀由香
- 鳩山郁子
- 花くまゆうさく - 『狂い咲きサンダーロートル』『東京ゾンビ』
- 花輪和一 - 『かんのむし』『刑務所の中』
- 林静一[3][4] - 『赤色エレジー』
- 早見純
- 原田ちあき - 『よいこのための悪口メーカー』
- panpanya - 『足摺り水族館』
- ひさうちみちお
- 日野日出志 - 『地獄変』『毒虫小僧』『蔵六の奇病』『地獄の子守唄』
- 平口広美
- 平田弘史 - 『血だるま拳法・おのれらに告ぐ』
- 福満しげゆき - 『まだ旅立ってもいないのに』『僕の小規模な失敗』
- 藤本和也
- 藤原マキ
- 古川益三 - 『まんだらけ』『紫の伝説』
- 古屋兎丸 - 『Palepoli』『ライチ☆光クラブ』『人間失格』
- 星園すみれ子 - 『創世記』
- 堀道広 - 『青春うるはし!うるし部』『部屋干しぺっとり君』『耳かき仕事人サミュエル』
- ますむらひろし - 『ヨネザアド物語』
- 町野変丸 - 『無修正ゆみこちゃん』
- 松井雪子 - 『マヨネーズ姫』
- 松本充代
- マディ上原 - 『漫姦全席』
- 幻の名盤解放同盟
- 丸尾末広 - 『少女椿』
- みうらじゅん - 『単になんぎなうし』『アイデン&ティティ』
- みぎわパン - 『ぱんこちゃんになろうっ』
- 水木しげる - 『鬼太郎夜話』『星をつかみそこねる男』
- 水野純子 - 『ピュア・トランス』
- 三本美治(三本美春)
- 南伸坊[3][4]
- 三橋乙耶(シバ)[3]
- 睦月影郎(ならやたかし) - 『ケンペーくん』
- 村崎百郎(鬼畜系ライター) - 『電波系』
- 村野守美 - 『さんささかやの』『だめ鬼』
- 模造クリスタル - 『ミッションちゃんの大冒険』 『金魚王国の崩壊』
- 本秀康 - 『たのしい人生』『ワイルドマウンテン』
- 森口裕二
- 森下裕美
- 森雅之 - 『ペッパーミント物語』
- 森元暢之 - 『反省しない犬』『オチンポ博士の異常な愛情』
- 山川直人
- 山田勇男(映画監督)
- 山田花子 - 『神の悪フザケ』『嘆きの天使』『花咲ける孤独』『自殺直前日記』
- やまだ紫 - 『性悪猫』『しんきらり』
- 山野一 - 『四丁目の夕日』『貧困魔境伝ヒヤパカ』『混沌大陸パンゲア』『どぶさらい劇場』
- 山松ゆうきち - 『くそばばの詩』『インドへ馬鹿がやって来た』
- 山本ルンルン - 『シトラス学園』
- ユズキカズ
- 湯村輝彦 - 『情熱のペンギンごはん』
- 吉田光彦
- 淀川さんぽ
- 渡辺和博 - 『金魂巻』『毒電波』『お父さんのネジ』
関連雑誌
刊行中
- 青林工藝舎 『アックス』(1998年創刊~)
- 北冬書房 『幻燈』(1998年創刊~)
- エンターブレイン 『コミックビーム』(1995年創刊~)
- セミ書房 『漫画雑誌架空』(2006年創刊~)※同人漫画誌[注 1]
- ドグマ出版 『漫画少年ドグマ』※ミニコミ誌
- リイド社 『トーチweb』(2014年創刊~)※web雑誌
- 青林工藝舎 『放電横丁』※web雑誌
休廃刊
- 青林堂 『月刊漫画ガロ』(1964年創刊~2002年休刊)
- 虫プロ商事 『COM』(1967年創刊~1973年休刊)
- 小学館 『月刊IKKI』(2003年創刊~2014年休刊)
- 幻堂出版 『何の雑誌』(2000年創刊~現在休刊)
- 太田出版 『マンガ・エロティクス・エフ』(2001年創刊~2014年休刊)
関連項目
- サブカルチャー
- アンダーグラウンド (文化)
- アバンギャルド
- インディーズ
- ニューウェーブ
- アンダーグラウンド・コミック
- オルタナティヴ・コミック
- ひばり書房
- 立風書房
- ワイズ出版
- タコシェ
- 模索舎
- まんだらけ
- ねじ式
- ヘタウマ
- エロ劇画
- ホラー漫画
- カルト漫画
- 封印作品
- ナゴムレコード
注釈
- ^ 高田馬場つげ義春研究会を主宰する西野空男が創刊した「エッジがききすぎて行き場を失くしてしまった迷子漫画」を掲載するミニコミ雑誌。インディーズの自主流通出版物であり、日本全国でも9店舗の書店でしか扱っていない。 特に休刊したわけではなかったが、wikipediaの本項にて、「廃刊雑誌」として紹介されていたのを目にした関係者が『架空』存続の危機を感じて奔走。2015年夏に3年ぶりの「復刊」を果たした。
脚注
- ^ a b c d e f 幸 (1990年9月17日). “拡大続くマンガ界 最近人気があるのは… おなじみ「ちびまる子ちゃん」ほか”. 読売新聞・東京朝刊: p. 9 - ヨミダス歴史館にて閲覧
- ^ 根本敬氏インタビュー「ガロという雑誌」
- ^ a b c d e f g h “ギャラリービブリオ・ミニ収蔵展「ガロ系の表現者たち」!”. NPO法人 国立市観光まちづくり協会 (2012年8月22日). 2015年4月14日閲覧。
- ^ a b c d e f g 蕃茄山人 (2014年1月23日). “告知・収蔵展「“ガロ系”の表現者たち part3」”. 蕃茄山人. 2015年4月14日閲覧。