もの言えぬ証人

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もの言えぬ証人
DUMB WITNESS
著者 アガサ・クリスティー
発行日 イギリスの旗1937年7月5日
日本の旗1977年2月15日
発行元 イギリスの旗Collins Crime Club
日本の旗早川書房
ジャンル 推理小説
イギリスの旗 イギリス
前作 死人の鏡
次作 ナイルに死す
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もの言えぬ証人』(ものいえぬしょうにん、原題:Dumb Witness)は、イギリスの小説家アガサ・クリスティによって1937年に発表された長編推理小説である。 献辞は、クリスティの愛犬であった「ピーター」に対し捧げられている[注 1]

あらすじ

ポアロは2か月前に死去した老婦人エミリイが差し出した手紙を受け取るが、奇妙なことにその手紙は彼女の死の半月も前の日付が書かれていた。命に危険が迫っていることを示唆する内容と、手紙が差し出された経緯に疑問を抱いたポアロは、婦人の死の真相究明に乗り出す。彼女が死の直前に作り直した遺言書には家政婦に全財産を残すことが記されていたため、遺族の憤懣と関係者の疑念が満ちる中、彼女の愛犬であった「もの言えぬ証人」こと白いテリア犬のボブは何かを語ろうとしていた。

登場人物

  • エミリイ・アランデル - 小緑荘の主人。
  • ウイルヘルミナ(ミニー)・ロウスン - エミリイの家政婦。
  • チャールズ・アランデル - エミリイの甥。
  • テリーザ・アランデル - エミリイの姪で、チャールズの妹。
  • ベラ・タニオス - エミリイの姪。
  • ジュイコブ・タニオス - ベラの夫。ギリシャ人の医者。
  • レックス・ドナルドスン - テリーザの恋人。医者。
  • キャロライン・ピーボデイ - エミリイの古い友人。
  • ジュリア・トリップ - 霊媒師。
  • イザベラ・トリップ - 霊媒師。ジュリアの妹。
  • パーヴィス - エミリイの顧問弁護士。
  • グレインジャー - エミリイの友人。医者。
  • アーサー・ヘイスティングズ - ポアロの友人。
  • エルキュール・ポアロ - 私立探偵。

補足

本作の第18章「隠れた殺人者」において、過去の事件を述懐したポアロが『雲をつかむ死』、『スタイルズ荘の怪事件』、『アクロイド殺し』および『青列車の秘密』の真犯人の名前を列挙する場面がある。

日本における出版

本作品は、早川書房の日本語版翻訳権独占作品となっている。

題名 出版社 文庫名 訳者 巻末 カバーデザイン 初版年月日 ページ数 ISBN 備考
もの言えぬ証人 早川書房 ハヤカワ・ポケット・ミステリ312 加島祥造 1957年 220 絶版
もの言えぬ証人 早川書房 ハヤカワ・ミステリ文庫1-20 加島祥造 アガサ・クリスティー著作リスト 真鍋博 1977年2月15日 4-15-070020-6 絶版
もの言えぬ証人 早川書房 クリスティー文庫14 加島祥造 解説:直井明 Hayakawa Design 4-15-130014-7

翻案作品

ラジオドラマ

TV作品

名探偵ポワロ「Dumb Witness(邦題 もの言えぬ証人)」(イギリス 1996年
ポワロ役はデヴィッド・スーシェ。吹き替えは熊倉一雄。日本では1997年12月30日に初放送。この作品は、ヘイスティングス大尉の吹き替えを富山敬が担当した最後の作品である(富山は1995年9月25日に膵臓癌で死去)。その後のヘイスティングス登場作品での吹き替えは、安原義人に引き継がれた。

関連項目

脚注

注釈

  1. ^ ピーターは『青列車の秘密』の献辞にも登場するほど、作者のお気に入りの犬であった[1]

出典

  1. ^ 『アガサ・クリスティー百科事典』 数藤康雄・編(ハヤカワ文庫)より、作品事典 長編「21 もの言えぬ証人」参照。

外部リンク