SB2A (航空機)
SB2A
SB2Aは第二次世界大戦の初期にブリュースター社が開発した艦上爆撃機である。愛称はバッカニア(Buccaneer)[1]。
ブリュースター社が自社で開発し制式採用されて生産した最後の航空機となった。
概要
アメリカ海軍は1938年、新型艦上偵察爆撃機に関する要求をまとめ、国内各社に提示した[2]。ブリュースター社はこれに答えModel340の社内名称を付けた設計案を提出、前作SBA(SBN)の性能が高かったこともあり、海軍当局はこれを採用しブリュースターに開発を依頼した。
開発・運用
Model340の細部を改修した試作機は1940年12月にXSB2Aの名称で発注され、1941年6月に初飛行し、前作SBA(SBN)を上回る性能を示した。これを受けてSB2Aとして制式化され、アメリカ海軍の他イギリス及びオランダからの発注を受けた。米海軍における愛称はバッカニアであったが、イギリスではこれを嫌い[3]バーミューダ(Bermuda)と命名している。イギリス海軍でも少数のバーミューダを導入し評価テストが行われたが、導入はなされなかった。アメリカ陸軍でも急降下爆撃機として採用し、A-34の制式番号も与えられたが、陸軍向けの生産が開始される直前に発注が取り消され、計画のみで終わった。
各軍からの発注を受けブリュースターでは量産型への改修作業と本格的な生産の準備に入ったが、試作機から量産型に改修するにあたり武装搭載量や装甲を改良・強化したことにより機体重量が増加し、動力銃座を廃止するなどして対策に務めたが、量産型は試作機に比べて大幅に性能が低下する結果となった。
工場規模の小さいブリュースター社の生産能力の問題から生産も遅延し、イギリス向けの最初の生産機が完成したのは1942年6月のことであった。オランダ向けの生産機は生産が遅延しているうちにオランダが降服してしまったために1943年にアメリカ海兵隊航空隊向けの練習機として完成、主発注者のアメリカ海軍向けの生産機が全て納入されたのは、契約から実に1年半以上遅れた1944年5月である。この時には既にカーチス社の生産したSB2Cが大量に生産されて納入されており、SB2Aの量産機は実戦に出ることなく訓練や標的曳航に利用されるに留まった。一部の機体は地上教材としてのみ用いられている。
英国に供給されたものも含め、1945年の初頭には大半のSB2Aはスクラップとして処分された。
ブリュースター社は次に手がけたアメリカ陸軍向けの機体であるXA-32の開発に失敗し、以降はチャンスヴォート F4U コルセアの請負生産に専念したが、これも大幅に生産が遅延して問題となり、アメリカ海軍からの援助が打ち切られ第2次世界大戦直後の1946年に倒産した。
各型
- XSB2A-1 バッカニア
- 社内名称 Model 340-7。試作型。1機製作。
- SB2A-2
- 社内名称 Model 340-20。武装等を改修した初期量産型。主翼の折り畳み機構が装備されていない地上型。80機生産。
- SB2A-3
- 社内名称 Model 340-26。主翼の折り畳み機構と着艦フックを装備した艦上機型。60機生産。
- SB2A-4
- 社内名称 Model 340-17。オランダ空軍向け生産型。オランダの降伏により米海軍向けとして納入される。162機生産。
- バーミューダ Mk.1
- 社内名称 Model 340-14。イギリス軍向け生産型。750機が発注されたが、実際に生産されて引き渡された機体は468機に留まる。
- A-34 バーミューダ
- アメリカ陸軍向け地上型。生産開始前に発注が取り消され、イギリス向けレンドリースのために発注が切り替えられたものの、実際の生産はなされなかった。イギリス軍向け地上教材として発注されたものは、R340の名称で呼ばれる。
スペック
*スペックはSB2A-2のもの
- 全長:11.94 m
- 全幅:14.33 m
- 全高:4.70 m
- 全備重量:5,754 kg
- エンジン:ライト R-2600-8 空冷星型14気筒 1,700hp×1
- 最大速度:441 km/h
- 実用上限高度:7,590 m
- 航続距離:1,160 km
- 武装
- 爆弾 最大 452 kg
- 7.62mm機関銃 4門(翼内 X2、後部機銃架 連装 1基)
- 12.7mm機関銃 2門
- 乗員 2名
脚注
参考文献
- 『世界の駄っ作機』著:岡部ださく(ISBN 978-4499226899-)刊:大日本絵画(1998年)