2016年ヨーロッパグランプリ

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アゼルバイジャンの旗 2016年ヨーロッパグランプリ
レース詳細
日程 2016年シーズン第8戦
決勝開催日 6月19日
開催地 バクー市街地コース
アゼルバイジャン バクー
コース長 6.003km
レース距離 51周(306.349km)
決勝日天候 晴(ドライ)
ポールポジション
ドライバー
タイム 1:42.758
ファステストラップ
ドライバー ドイツの旗 ニコ・ロズベルグ
タイム 1:46.485(Lap 48)(ラップレコード)
決勝順位
優勝
2位
3位

2016年ヨーロッパグランプリは、2016年のF1世界選手権第8戦として、2016年6月19日アゼルバイジャンバクー市街地コースで開催された。

レース前[編集]

このレースでピレリが持ち込んだタイヤはスーパーソフト、ソフト、ミディアムの3種類[1]

ダニエル・リカルドレッドブルとの契約を2018年まで延長[2]

フリー走行[編集]

2016年6月17日金曜日

1回目(FP1)
初開催のコースだったため、エスケープゾーンへ逃れたりスピンやクラッシュするマシンが相次いだ。セバスチャン・ベッテルは16コーナーでスピン、エステバン・グティエレスダニール・クビアトは15コーナー、ケビン・マグヌッセンは3コーナー、ジョリオン・パーマーは4コーナーでエスケープゾーンへ逃れた。終了25分前、ダニエル・リカルドが15コーナーでクラッシュし赤旗中断。再開後、カルロス・サインツが15コーナーを曲がりきれずバリアに軽く接触した。トップタイムはルイス・ハミルトン(1:46.435)。セッション終了後、多くのマシンのタイヤで縁石による損傷が確認されたため、FIAは「ターン6にある縁石の出口を極力避けてほしい」と警告した。なお、FP1の後に行われたGP2の予選でも同様の原因により赤旗中断となっている。多くのドライバーが「狭い」、「アタックしにくい」[3]という感想を残した。
2回目(FP2)
FP1に続き、トップタイムはハミルトン(1:44.223)。フェラーリ勢の不調が目立った。この日の深夜、FIAは3箇所(6コーナー、12コーナー、15コーナー)の縁石を撤去した。また、ピットロード入口へと導入する白線も変更された。最低空気圧の設定値が高過ぎるとの批判を受け、ピレリはタイヤの最低空気圧引き下げに応じた。

2016年6月18日土曜日

3回目(FP3)
開始直後にピットロード出口でバルテリ・ボッタス排水溝の上を通過した直後に、外れたがマシンの側面に接触してダメージを受けた。この修復のため、ボッタスはタイムを出せなかった。FP1から好調だったフォース・インディアだったが、終了直前にセルジオ・ペレスがターン15の立ち上がりでクラッシュ、赤旗が振られそのまま終了となった。なお、ペレスはこのクラッシュによりギアボックスを交換、5グリッド降格が決定している。ハミルトン(1:44.352)が全てのセッションでトップタイムを記録した。

予選[編集]

2016年6月18日(土曜日)

ニコ・ロズベルグポールポジションを獲得。バルテリ・ボッタスが予選におけるF1最高速度の378km/hをマークした[4]

経過[編集]

Q1
ニコ・ロズベルグがトップタイムを出し、ルイス・ハミルトンもロズベルグに続いたが15コーナーでエスケープに直進している。
Q2
Q1に続いてロズベルグがトップタイム。2位のハミルトンに1秒以上の差を付けた。ハミルトンは7コーナーでコースアウトするなどミスが目立った。
Q3
残り2分5秒でハミルトンがクラッシュしたため赤旗中断。再開後はハミルトンを除く全車が1ラップのアタック合戦を行うという形になったが、ロズベルグのトップは揺るがず、ポールポジションを獲得した。2位のセルジオ・ペレスギアボックス交換により7番グリッドに降格、ダニエル・リカルドセバスチャン・ベッテルは同タイムだったが、規定により先に記録したリカルドが3位となりフロントローを獲得した。予選セッション終了後、ハミルトンは「バクーは高速道路[5]」と感想を残した。

結果[編集]

Pos. No. ドライバー コンストラクター Q1 Q2 Q3 Grid
1 6 ドイツの旗 ニコ・ロズベルグ メルセデス 1:43.685 1:42.520 1:42.758 1
2 11 メキシコの旗 セルジオ・ペレス フォース・インディア-メルセデス 1:44.462 1:43.939 1:43.515 71
3 3 オーストラリアの旗 ダニエル・リカルド レッドブル-タグ・ホイヤー 1:44.570 1:44.141 1:43.9662 2
4 5 ドイツの旗 セバスチャン・ベッテル フェラーリ 1:45.062 1:44.461 1:43.9662 3
5 7 フィンランドの旗 キミ・ライコネン フェラーリ 1:44.936 1:44.533 1:44.269 4
6 19 ブラジルの旗 フェリペ・マッサ ウィリアムズ-メルセデス 1:45.494 1:44.696 1:44.483 5
7 26 ロシアの旗 ダニール・クビアト トロ・ロッソ-フェラーリ 1:44.694 1:44.687 1:44.717 6
8 77 フィンランドの旗 バルテリ・ボッタス ウィリアムズ-メルセデス 1:44.706 1:44.477 1:45.246 8
9 33 オランダの旗 マックス・フェルスタッペン レッドブル-タグ・ホイヤー 1:44.939 1:44.387 1:45.570 9
10 44 イギリスの旗 ルイス・ハミルトン メルセデス 1:44.259 1:43.526 2:01.954 10
11 8 フランスの旗 ロマン・グロージャン ハース-フェラーリ 1:45.507 1:44.755 11
12 27 ドイツの旗 ニコ・ヒュルケンベルグ フォース・インディア-メルセデス 1:44.860 1:44.824 12
13 55 スペインの旗 カルロス・サインツ トロ・ロッソ-フェラーリ 1:44.827 1:45.000 183
14 14 スペインの旗 フェルナンド・アロンソ マクラーレン-ホンダ 1:45.525 1:45.270 13
15 21 メキシコの旗 エステバン・グティエレス ハース-フェラーリ 1:45.300 1:45.349 14
16 12 ブラジルの旗 フェリペ・ナッセ ザウバー-フェラーリ 1:45.549 1:46.048 15
17 88 インドネシアの旗 リオ・ハリアント MRT-メルセデス 1:45.665 16
18 94 ドイツの旗 パスカル・ウェーレイン MRT-メルセデス 1:45.750 17
19 22 イギリスの旗 ジェンソン・バトン マクラーレン-ホンダ 1:45.804 19
20 9 スウェーデンの旗 マーカス・エリクソン ザウバー-フェラーリ 1:46.231 20
21 20 デンマークの旗 ケビン・マグヌッセン ルノー 1:46.348 PL4
22 30 イギリスの旗 ジョリオン・パーマー ルノー 1:46.394 21
107% time: 1:50.942
ソース[6]
追記
  • ^1 - ペレスはFP3でのクラッシュによりギアボックスを交換したため5グリッド降格[7]
  • ^2 - リカルドベッテルは同タイムだが、規定により先にタイムを出したリカルドが上位となる
  • ^3 - サインツは決勝レース前にギアボックスを交換したため5グリッド降格[8]
  • ^4 - マグヌッセンは決勝レース前にギアボックスを交換したため5グリッド降格となったが、サスペンションのセットアップを変更したためピットレーンからスタート[8]

決勝[編集]

2016年6月19日日曜日

  • 天候:晴
  • 路面状況:ドライ

経過[編集]

メルセデスのルイス・ハミルトンがパワー設定に問題があるままの走行を続けたため、大幅に順位を落とし、終了直前にタイヤの弱ったキミ・ライコネンをパスしてセルジオ・ペレスが表彰台に登るなど、新旧交代をうかがわせるレース展開であった。マクラーレンホンダバクー特有の「特大のストレート」に対処できず、ジェンソン・バトンが入賞圏に一歩及ばず11位、フェルナンド・アロンソはギアボックスのトラブルでリタイアしノーポイントに終わった。一度もトップの座を譲らずポール・トゥ・ウィンを果たしたニコ・ロズベルグは48周目にファステストラップも記録し、ロシアGPに続いて自身2度目のグランドスラムを達成した。

アゼルバイジャン初のF1という触れ込みの割には、本選は肉眼でもわかるほどのスタンド席の空席が目立っていた。ただし、ヘルマン・ティルケの安全設計は十分で、セーフティーカーゼロ、クラッシュゼロ(ただし、接触はあった)の結果に終わった。建物から観戦するファンが目立った。コースは非常に狭く、アゼルバイジャンのイスラム教信者に配慮して「Heineken」の広告の代わりに、「WELL DONE BAKU」という当たり障りのない看板が据えられた。

結果[編集]

Pos. No. ドライバー コンストラクター 周回数 タイム/リタイア Grid Pts.
1 6 ドイツの旗 ニコ・ロズベルグ メルセデス 51 1:32:52.366 1 25
2 5 ドイツの旗 セバスチャン・ベッテル フェラーリ 51 +16.696 3 18
3 11 メキシコの旗 セルジオ・ペレス フォース・インディア-メルセデス 51 +25.241 7 15
4 7 フィンランドの旗 キミ・ライコネン フェラーリ 51 +33.1021 4 12
5 44 イギリスの旗 ルイス・ハミルトン メルセデス 51 +56.335 10 10
6 77 フィンランドの旗 バルテリ・ボッタス ウィリアムズ-メルセデス 51 +1.00.886 8 8
7 3 オーストラリアの旗 ダニエル・リカルド レッドブル-タグ・ホイヤー 51 +1:09.229 2 6
8 33 オランダの旗 マックス・フェルスタッペン レッドブル-タグ・ホイヤー 51 +1.10.696 9 4
9 27 ドイツの旗 ニコ・ヒュルケンベルグ フォース・インディア-メルセデス 51 +1.17.708 12 2
10 19 ブラジルの旗 フェリペ・マッサ ウィリアムズ-メルセデス 51 +1.25.375 5 1
11 22 イギリスの旗 ジェンソン・バトン マクラーレン-ホンダ 51 +1.44.817 19
12 12 ブラジルの旗 フェリペ・ナッセ ザウバー-フェラーリ 50 +1 Lap 15
13 8 フランスの旗 ロマン・グロージャン ハース-フェラーリ 50 +1 Lap 11
14 20 デンマークの旗 ケビン・マグヌッセン ルノー 50 +1 Lap PL
15 30 イギリスの旗 ジョリオン・パーマー ルノー 50 +1 Lap 21
16 21 メキシコの旗 エステバン・グティエレス ハース-フェラーリ 50 +1 Lap 14
17 9 スウェーデンの旗 マーカス・エリクソン ザウバー-フェラーリ 50 +1 Lap 20
18 88 インドネシアの旗 リオ・ハリアント MRT-メルセデス 49 +2 Laps 16
Ret 14 スペインの旗 フェルナンド・アロンソ マクラーレン-ホンダ 42 ギアボックス[9] 13
Ret 94 ドイツの旗 パスカル・ウェーレイン MRT-メルセデス 39 ブレーキ[10] 17
Ret 55 スペインの旗 カルロス・サインツ トロ・ロッソ-フェラーリ 31 サスペンション[11] 18
Ret 26 ロシアの旗 ダニール・クビアト トロ・ロッソ-フェラーリ 6 サスペンション[11] 6
ソース[12]
ファステストラップ[13]
ラップリーダー
追記
  • ^1 - ライコネンはピットエントリーの白線を踏んだにもかかわらずピットレーンに入らなかったため、5秒加算ペナルティとペナルティポイント2点が科された[14][15]

第8戦終了時点でのランキング[編集]

  • :ドライバー、コンストラクター共にトップ5のみ表示。

脚注[編集]

  1. ^ F1ヨーロッパGP:各ドライバーのタイヤ選択. F1-Gate.com(2016年6月7日).
  2. ^ リカルド、レッドブルと契約延長の報道。若手昇格のチャンスは当面なしか. AUTOSPORTweb(2016年6月17日).
  3. ^ 外部リンク
  4. ^ 初開催バクーでF1最高速記録を更新、コース設計者も驚き”. TOPNEWS (2016年6月21日). 2016年12月3日閲覧。
  5. ^ ハミルトン(メルセデス)、「バクーは高速道路」”. fmotorsports.cocolog-nifty.com (2016年6月16日). 2018年9月13日閲覧。
  6. ^ 2016 FORMULA 1 GRAND PRIX OF EUROPE - QUALIFYING. The Official F1 Website(2016年6月18日).
  7. ^ セルジオ・ペレス、ギアボックス交換で5グリッド降格. F1-Gate.com(2016年6月18日).
  8. ^ a b サインツが5グリッド降格、マグヌッセンはピットスタート. ESPN F1(2016年6月19日).
  9. ^ アロンソ「トラブルも辛いが、一番の問題はペースのなさ」:マクラーレン・ホンダ ヨーロッパ日曜. AUTOSPORTweb(2016年6月20日).
  10. ^ マノー:戦略的なチャンスは訪れず / F1ヨーロッパGP. F1-Gate.com(2016年6月20日).
  11. ^ a b トロ・ロッソ:サスペンション問題でダブルリタイア / F1ヨーロッパGP. F1-Gate.com(2016年6月20日).
  12. ^ 2016 FORMULA 1 GRAND PRIX OF EUROPE - RACE RESULT. The Official F1 Website(2016年6月19日).
  13. ^ 2016 FORMULA 1 GRAND PRIX OF EUROPE - FASTEST LAPS. The Official F1 Website(2016年6月19日).
  14. ^ ポジション入れ替えはもっとうまくできたとライコネン. ESPN F1(2016年6月20日).
  15. ^ Stewards Decision Doc41 - K.Raikkonen”. fia.com (2016年6月19日). 2016年6月20日閲覧。
前戦
2016年カナダグランプリ
FIA F1世界選手権
2016年シーズン
次戦
2016年オーストリアグランプリ
前回開催
2012年ヨーロッパグランプリ
アゼルバイジャンの旗 ヨーロッパグランプリ