第57回有馬記念

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第57回有馬記念
優勝馬のゴールドシップ
開催国 日本の旗 日本
主催者 日本中央競馬会
競馬場 中山競馬場
施行年 2012年
施行日 12月23日
距離 芝2500m
格付け GI
賞金 1着賞金200,000,000円
出走条件 サラ系3歳以上(国際・指定)
天候
馬場状態
優勝馬 ゴールドシップ
優勝騎手 内田博幸
優勝調教師 須貝尚介
優勝馬主 小林英一
優勝生産者 出口牧場
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第57回有馬記念(だい57かいありまきねん)とは2012年平成24年)12月23日に行われた競馬の競走である。

優勝したのは同年の皐月賞菊花賞を制覇した二冠馬のゴールドシップであった[1][2]

出走馬の状況[編集]

ゴールドシップ菊花賞を制覇した後、ジャパンカップを見送った上で一旦吉澤ステーブルウエストへ放牧に出された後に有馬記念へ出走する事が10月24日に発表された[3]。またその菊花賞で2着に入ったスカイディグニティがクリストフ・スミヨンを背に出走する事が12月8日に決定した[4]

兼ねてから出遅れ癖が課題だったルーラーシップの陣営がレース本番では尾つりロープを使わず、角居勝彦調教師自らゲートの裏まで赴き、出走に立ち会うと宣言した[5]

当初エイシンフラッシュには秋の天皇賞に続きミルコ・デムーロが騎乗する予定になっていたが、開催当日の午前5時半に腰の痛みを訴えた為近くの病院へ搬送されて検査を受けたところ右尿管結石と診断された為、急遽三浦皇成に乗り替わりになった[6][7]

オウケンブルースリは当初金鯱賞にも登録していたが、そちらを回避し有馬記念へ専念する事になった[8]

後述のファン投票では1位に推されたものの、宝塚記念優勝馬で凱旋門賞2着馬だったオルフェーヴルは回避した[9][10]。また同厩舎のトーセンジョーダンもファン投票で7位になったが右前脚の裂蹄が再発し放牧へ出されていた[8]

この他デスペラードメイショウカンパクが抽選対象となった後抽選外となった[11]

ファン投票[編集]

事前に行われたファン投票は以下の通り。有効投票総数は1,107,620票であった[12][13]

最終順位 競走馬名 最終票数 管理調教師 出否
1 オルフェーヴル 牡4 90,474 池江泰寿 回避
2 ルーラーシップ 牡5 65,330 角居勝彦 出走
3 エイシンフラッシュ 牡5 59,467 藤原英昭 出走
4 ジェンティルドンナ 牝3 59,206 石坂正 回避
5 フェノーメノ 牡3 54,857 戸田博文 回避
6 ゴールドシップ 牡3 54,555 須貝尚介 出走
7 トーセンジョーダン 牡6 38,263 池江泰寿 回避
8 ヴィルシーナ 牝3 36,431 友道康夫 回避
9 ダークシャドウ 牡5 32,428 堀宣行 出走
10 トゥザグローリー 牡5 30,318 池江泰寿 出走
11 ローズキングダム 牡5 27,008 橋口弘次郎 出走
12 ペルーサ 牡5 21,556 藤沢和雄 回避
13 ナカヤマナイト 牡4 21,170 二ノ宮敬宇 出走
14 カレンブラックヒル 牡3 17,848 平田修 回避
15 ビートブラック 牡5 17,118 中村均 出走
16 ルルーシュ 牡4 16,151 藤沢和雄 出走
17 アーネストリー 牡7 14,152 佐々木晶三 出走
18 ネコパンチ 牡6 13,578 星野忍 回避
19 オウケンブルースリ 牡7 12,308 音無秀孝 出走
20 ジャガーメイル 牡8 12,243 堀宣行 回避

出走馬・枠順[編集]

枠番 馬番 競走馬名 斤量

[kg]

騎手 調教師 単勝

人気

オッズ 馬体重

[kg]

1 1 ローズキングダム 牡5 57 岩田康誠 橋口弘次郎 13 51.6 460
2 エイシンフラッシュ 牡5 57 三浦皇成 藤原英昭 3 10.0 488
2 3 スカイディグニティ 牡3 55 C.スミヨン 友道康夫 7 16.7 480
4 アーネストリー 牡7 57 福永祐一 佐々木晶三 14 70.1 530
3 5 ネヴァブション 牡5 57 田中勝春 伊藤正徳 16 144.1 488
6 オーシャンブルー 牡4 57 C.ルメール 池江泰寿 10 27.6 438
4 7 ダイワファルコン 牡5 57 北村宏司 上原博之 12 38.4 514
8 トレイルブレイザー 牡5 57 武豊 池江泰寿 9 27.4 498
5 9 ルーラーシップ 牡5 57 C.ウィリアムズ 角居勝彦 2 3.7 438
10 ダークシャドウ 牡5 57 R.ムーア 堀宣行 4 10.8 514
6 11 トゥザグローリー 牡5 57 蛯名正義 池江泰寿 11 29.6 534
12 オウケンブルースリ 牡7 57 田辺裕信 音無秀孝 15 116.6 486
7 13 ゴールドシップ 牡3 55 内田博幸 須貝尚介 1 2.7 506
14 ビートブラック 牡5 57 石橋脩 中村均 8 23.6 522
8 15 ナカヤマナイト 牡4 57 柴田善臣 二ノ宮敬宇 5 13.9 490
16 ルルーシュ 牡4 57 横山典弘 藤沢和雄 6 15.6 514

レース展開[編集]

映像外部リンク
2012年 有馬記念(GI
レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画
ゴールドシップ【有馬記念2012】
レース映像 カンテレ競馬【公式】YouTubeチャンネルによる動画

1番人気のゴールドシップは後方からのスタートとなった他、3番人気ルーラーシップは対策したにも係わらず立ち上がりながらのスタートとなり大幅に出遅れた[14]為人気馬2頭が馬群の真後ろからのスタートになってしまった。

レースはそのまま3コーナー手前付近までアーネストリーが馬群を先導する形で進行したが、残り800m地点からゴールドシップが馬群の外々を回りながら、徐々にスパートを掛けて順位を上げていく[1]。最終コーナーを抜けたタイミングではまだ外側の11番手で更に馬群が前にいたが、そこから外側へ馬体を出した。その間に最内からエイシンフラッシュが抜け出すが、続いてオーシャンブルーが馬群を割って差す形でエイシンフラッシュを追い抜き先頭に変わる[15]。しかし、その外側後方から末脚を発揮していたゴールドシップがオーシャンブルーを捉え差し切って1着に入線。また、ゴールドシップより後ろにいたルーラーシップも同じくゴールドシップを追う形で末脚を発揮し3着に滑り込んだ[15][1][2]

レース結果[編集]

出典:JRA[15]及びnetkeiba[16]

着順[編集]

着順 馬番 馬名 タイム 上3F 着差
1 13 ゴールドシップ 2:31.9 34.9
2 6 オーシャンブルー 2:32.1 35.3 1.1/2
3 9 ルーラーシップ 2:32.2 35.2 クビ
4 2 エイシンフラッシュ 2:32.4 35.8 1.1/2
5 3 スカイディグニティ 2:32.5 36.0 1/2
6 10 ダークシャドウ 2:32.5 35.9 ハナ
7 15 ナカヤマナイト 2:33.0 36.2 3
8 16 ルルーシュ 2:33.4 37.1 2.1/2
9 14 ビートブラック 2:33.4 37.4 アタマ
10 7 ダイワファルコン 2:33.5 37.1 3/4
11 4 アーネストリー 2:33.5 37.6 アタマ
12 1 ローズキングダム 2:33.6 37.2 1/2
13 8 トレイルブレイザー 2:34.2 37.3 3.1/2
14 12 オウケンブルースリ 2:34.4 37.5 1.1/2
15 5 ネヴァブション 2:34.5 37.4 3/4
16 11 トゥザグローリー 2:36.1 39.5 10

データ[編集]

1000m通過タイム 60.5秒(アーネストリー)
上がり4ハロン 48.1秒
上がり3ハロン 36.0秒
上がり最速 ゴールドシップ(34.9秒)

払戻金[編集]

馬番/枠番 人気 金額(円)
単勝 13 1 270
複勝 13 1 130
6 10 530
9 2 140
馬単 13-6 18 5200
馬連 6-13 12 3730
枠連 3-7 12 3350
ワイド 6-13 13 1250
9-13 1 240
6-9 15 1360
三連複 6-9-13 7 4020
三連単 13-6-9 58 24250

入場者数・レース売り上げ[編集]

  • 入場人員:10万1237人(内有料入場人員9万1900人)[11]
  • 売上金:341億525万7800円[11]

達成された記録[編集]

エピソード[編集]

  • クラシック二冠馬で本競走を優勝したゴールドシップは2012年度の最優秀3歳牡馬に選ばれた[1]
  • 先述のルーラーシップの立ち上がりは枠内駐立不良と認定され、発走調教再審査処分が下った[11]。但し数日後には引退し競走馬登録が抹消された為[17]実際に審査は行われなかった。
  • オウケンブルースリはこの競走を以て引退し、翌年の1月19日に京都競馬場で引退式が行われた[18]。同様にアーネストリーもこの競走を以て引退した[19]
  • ゴールで内田博幸が左手を挙げるシーン『ウマ娘プリティーダービー』のテレビ版3期の3話で再現された。

テレビ・ラジオ中継[編集]

本レーステレビ・ラジオ放送の実況担当者

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g 【有馬記念】ゴールドシップ3冠 豪快まくりで“金”イヤー締め!”. スポニチ Sponichi Annex (2013年1月9日). 2023年11月7日閲覧。
  2. ^ a b 大外一気!ゴールドシップが豪快差し切りGI・3勝目/有馬記念”. netkeiba.com (2012年12月23日). 2023年11月7日閲覧。
  3. ^ 【3歳次走】2冠馬ゴールドシップは有馬記念へ”. スポニチ Sponichi Annex (2012年10月24日). 2023年11月7日閲覧。
  4. ^ 【有馬記念】スカイディグニティが参戦”. デイリースポーツ online (2012年12月8日). 2023年11月7日閲覧。
  5. ^ ルーラーシップ角居師決断、秘密兵器封印「地力信じる」/有馬記念”. netkeiba.com (2012年12月22日). 2023年11月7日閲覧。
  6. ^ ミルコ・デムーロ騎手は有馬記念(GI)他で騎手変更”. 日本中央競馬会 (2012年12月23日). 2013年1月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月7日閲覧。
  7. ^ 【有馬記念】M・デムーロ尿管結石 急きょ乗り代わりにどよめき”. スポニチ Sponichi Annex. 2023年11月7日閲覧。
  8. ^ a b ジェンティルドンナは放牧、オルフェーヴル有馬記念出走は回復次第”. netkeiba.com (2012年11月29日). 2023年11月7日閲覧。
  9. ^ オルフェーヴル、有馬記念出走回避 ファン投票1位”. 日本経済新聞 (2012年12月6日). 2023年11月7日閲覧。
  10. ^ オルフェーヴルは有馬記念回避、現役続行へ”. netkeiba.com (2012年12月6日). 2023年11月7日閲覧。
  11. ^ a b c d 第5回 中山競馬 第8日』(PDF)(プレスリリース)日本中央競馬会、2023年12月23日https://www.jra.go.jp/datafile/seiseki/report/2012/2012-5nakayama8.pdf2023年11月7日閲覧 
  12. ^ 有馬記念ファン投票 最終結果発表!”. 日本中央競馬会 (2012年12月6日). 2013年1月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月7日閲覧。
  13. ^ 【有馬記念ファン投票】~最終結果発表、オルフェーヴル1位”. netkeiba.com (2012年12月6日). 2023年11月7日閲覧。
  14. ^ 【有馬記念】ルーラーシップ また出遅れ 角居師「重症です」”. スポニチ Sponichi Annex (2012年12月23日). 2023年11月7日閲覧。
  15. ^ a b c d 谷川善久 (2012年12月23日). “第57回 有馬記念”. www.jra.go.jp. 日本中央競馬会. 2023年11月7日閲覧。
  16. ^ 第57回有馬記念(G1)”. netkeiba.com (2012年12月23日). 2023年11月7日閲覧。
  17. ^ ルーラーシップ号が競走馬登録抹消”. 日本中央競馬会 (2012年12月26日). 2013年1月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月7日閲覧。
  18. ^ オウケンブルースリ号が引退”. 日本中央競馬会 (2012年12月24日). 2013年1月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月7日閲覧。
  19. ^ 2011年宝塚記念制覇のアーネストリーが引退、種牡馬入りへ”. netkeiba.com (2013年1月8日). 2023年11月7日閲覧。