フェノーメノ

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フェノーメノ
2013年天皇賞(春)
欧字表記 Fenomeno[1]
香港表記 超常駿驥
品種 サラブレッド[1]
性別 [1]
毛色 青鹿毛[1]
生誕 2009年4月20日(15歳)[1][2]
登録日 2011年5月4日[3]
抹消日 2015年5月28日[3]
ステイゴールド[1][2]
ディラローシェ[1][2]
母の父 デインヒル[1][2]
生国 日本の旗 日本北海道平取町[1]
生産者 追分ファーム[1][2]
馬主 (有)サンデーレーシング
調教師 戸田博文美浦[1][2]
厩務員 箕輪金幸[4]
競走成績
生涯成績 18戦7勝[1]
獲得賞金 6億2910万8000円[1]
WTR
WBRR
120I / 2012年[5]
121E / 2013年[6]
勝ち鞍
GI 天皇賞(春) 2013年・2014年
GII 青葉賞 2012年
GII セントライト記念 2012年
GII 日経賞 2013年
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フェノーメノ(欧字名:Fenomeno2009年4月20日 - )は、日本競走馬種牡馬[1]

2013年2014年天皇賞(春)(GI)の2連覇を果たした。その他の勝ち鞍に2012年青葉賞(GII)、セントライト記念(GII)、2013年の日経賞(GII)。

馬名の意味はポルトガル語超常現象怪物[2]。ニックネームは「マメチン」[7]

経歴[編集]

2011年[編集]

10月30日東京新馬戦芝2000m戦。先行抜け出してデビュー戦を飾った。次のホープフルステークスは1番人気に推されるも直線伸びきれずに7着に敗れる。

2012年[編集]

1月29日の東京の500万下を先行抜け出して2勝目をあげる。しかし皐月賞トライアルの弥生賞は6着に敗れて皐月賞出走はならなかった。そしてダービートライアルの青葉賞は1番人気に応えて3勝目を飾った。そして迎えた東京優駿は最後の直線追い込むもディープブリランテにハナ差及ばず2着に惜敗した。

夏場は休養に当て、秋緒戦として9月17日セントライト記念に出走。レースは1番人気に応えてスカイディグニティに1馬身差をつけての勝利となった。菊花賞を回避して天皇賞(秋)を目指すこととなった。天皇賞(秋)は1番人気に推されたが、最後は内から抜け出したエイシンフラッシュに詰め寄ったものの、1/2馬身及ばず2着に敗れた。ジャパンカップは5着だった。

2013年[編集]

4ヶ月の休み明けだった日経賞は最後の直線で先に抜け出したカポーティスターを差しきって重賞3勝目を飾った。その後、3200mの天皇賞(春)に挑戦、2番人気に推された。レースでは道中7番手で中団につけ、3コーナーから徐々に位置取りを前に詰め、4コーナーから直線入り口で先頭に立つと、2番手以降の追走を許さずそのまま押し切って勝利、初のGI制覇となった。この勝利により、サンデーレーシングは八大競走完全制覇を達成した。しかし宝塚記念は道中ライバルのゴールドシップジェンティルドンナよりも後方の競馬となり、直線追い込むもライバル2頭や先行したダノンバラードの後塵を拝し、4着に敗れた。

宝塚記念の後、秋緒戦として10月27日の天皇賞(秋)に出走する構想であったが、10月1日の調教後に左前脚の違和感が判明、診療所での検査の結果、左前脚繋靱帯炎を発症していることが判明したため、出走ローテーションを白紙に戻して茨城県のムラセファームに放牧に出されて休養に入ることとなった[8]

2014年[編集]

日経賞(5着)を叩いて迎えた天皇賞(春)は人気のキズナとゴールドシップが後方からとなり、フェノーメノはそれよりも前での競馬となり、道中は内に位置をとり、最後の直線で抜け出すとウインバリアシオンやホッコーブレーヴ、キズナの追撃を振り切り、メジロマックイーンテイエムオペラオーに次いで史上3頭目の天皇賞(春)連覇を果たした[9][10]。その後は秋に専念するため宝塚記念を回避し休養に入った[11]。 秋は天皇賞(秋)から始動。天皇賞春秋連覇を狙ったが、レース前に激しいイレ込みを見せ、終始後方のまま14着に敗れた[12]。 次走のジャパンCでは主戦騎手の蛯名正義イスラボニータへ騎乗することからクリストフ・ルメールと初コンビを組む予定だったが、[13]予定していたルメールが落馬負傷したため、[14]岩田康誠を鞍上にジャパンカップへと挑むこととなった。[15] 単勝は9番人気と3番人気だった前走の天皇賞秋よりも人気を落とした。道中後方のまま直線伸びてこなくなり8着に終わった。 秋三戦目となる有馬記念では既に岩田騎手がゴールドシップに騎乗することが発表されていたため、[16]新たに鞍上に田辺裕信を迎えて挑むこととなった。[17]この年に行われた有馬記念の枠順抽選では9番目の抽選で10番目の枠順を選択した。[18]レースは10着に終わり、秋の三戦をすべて着外で終えた。

2015年[編集]

日経賞(8着)から天皇賞(春)3連覇を目指していたが、右前脚の炎症により天皇賞を回避[19]。後日検査を行った結果、右前脚に繋靱帯炎、左前脚に重度の屈腱炎を発症していることが判明し引退が決定[20]。5月28日付けで競走馬登録を抹消された。引退後は社台スタリオンステーション種牡馬になる[21]

競走成績[編集]

競走日 競馬場 競走名 距離(馬場)


オッズ
(人気)
着順 タイム
(上り3F)
着差 騎手 斤量
[kg]
1着馬
(2着馬)
2011.10.30 東京 2歳新馬 芝2000m(良) 14 6 10 07.1(4人) 01着 2:03.5(34.1) -0.0 岩田康誠 55 (シャドウパーティー)
0000.12.25 中山 ホープフルS OP 芝2000m(良) 16 1 2 04.0(1人) 07着 2:01.7(34.6) -0.3 岩田康誠 55 アドマイヤブルー
2012.01.29 東京 3歳500万下 芝2000m(良) 14 2 2 03.6(2人) 01着 2:00.9(34.6) -0.3 岩田康誠 56 スピルバーグ
0000.03.04 中山 弥生賞 GII 芝2000m(稍) 15 5 8 03.6(2人) 06着 2:04.3(34.8) -0.4 岩田康誠 56 コスモオオゾラ
0000.04.28 東京 青葉賞 GII 芝2400m(良) 17 4 7 02.1(1人) 01着 2:25.7(34.1) -0.4 蛯名正義 56 (エタンダール)
0000.05.27 東京 東京優駿 GI 芝2400m(良) 18 6 11 14.6(5人) 02着 2:23.8(33.9) -0.0 蛯名正義 57 ディープブリランテ
0000.09.17 中山 セントライト記念 GII 芝2200m(良) 17 6 12 02.0(1人) 01着 2:10.8(34.4) -0.2 蛯名正義 56 (スカイディグニティ)
0000.10.28 東京 天皇賞(秋) GI 芝2000m(良) 18 2 4 03.4(1人) 02着 1:57.4(33.8) -0.1 蛯名正義 56 エイシンフラッシュ
0000.11.25 東京 ジャパンC GI 芝2400m(良) 17 2 4 08.0(4人) 05着 2:23.9(33.5) -0.8 蛯名正義 55 ジェンティルドンナ
2013.03.23 中山 日経賞 GII 芝2500m(良) 14 8 14 02.0(1人) 01着 2:32.0(34.3) -0.2 蛯名正義 56 カポーティスター
0000.04.28 京都 天皇賞(春) GI 芝3200m(良) 18 3 6 06.2(2人) 01着 3:14.2(36.2) -0.2 蛯名正義 58 トーセンラー
0000.06.23 阪神 宝塚記念 GI 芝2200m(良) 11 3 3 03.2(3人) 04着 2:13.9(35.8) -0.7 蛯名正義 58 ゴールドシップ
2014.03.29 中山 日経賞 GII 芝2500m(良) 15 5 8 03.7(2人) 05着 2:34.9(34.9) -0.5 蛯名正義 58 ウインバリアシオン
0000.05.04 京都 天皇賞(春) GI 芝3200m(良) 18 4 7 11.5(4人) 01着 3:15.1(34.3) -0.0 蛯名正義 58 (ウインバリアシオン)
0000.11.02 東京 天皇賞(秋) GI 芝2000m(良) 18 5 9 04.9(3人) 14着 2:00.4(34.6) -0.7 蛯名正義 58 スピルバーグ
0000.11.30 東京 ジャパンC GI 芝2400m(良) 18 8 16 18.2(9人) 09着 2:24.2(35.3) -1.1 岩田康誠 57 エピファネイア
0000.12.28 中山 有馬記念 GI 芝2500m(良) 16 5 10 15.3(6人) 10着 2:35.7(34.2) -0.4 田辺裕信 57 ジェンティルドンナ
2015.03.28 中山 日経賞 GII 芝2500m(良) 12 7 9 04.5(2人) 08着 2:30.9(34.5) -0.7 戸崎圭太 58 アドマイヤデウス

引退後[編集]

引退後は社台スタリオンステーションで種牡馬となった。

2018年12月、社台スタリオンステーションからレックススタッドに移動した[22]

2021年をもって種牡馬を引退、種牡馬引退後は生まれ故郷の追分ファームで功労馬として余生を送る[23]。 その後去勢され、2022年8月に追分ファームにてリードホースとしてデビュー、生活している[24]

主な産駒[編集]

血統表[編集]

フェノーメノ血統 (血統表の出典)[§ 1]
父系 サンデーサイレンス系
[§ 2]

ステイゴールド
1994 黒鹿毛
父の父
*サンデーサイレンス
Sunday Silence
1986 青鹿毛
Halo Hail to Reason
Cosmah
Wishing Well Understanding
Mountain Flower
父の母
ゴールデンサッシュ
1988 栗毛
*ディクタス Sanctus
Dronic
ダイナサッシュ *ノーザンテースト
*ロイヤルサッシュ

*ディラローシェ
De Laroche
1999 鹿毛
*デインヒル
Danehill
1986 鹿毛
Danzig Northern Dancer
Pas de Nom
Razyana His Majesty
Spring Adieu
母の母
Sea Port
1980 黒鹿毛
Averof Sing Sing
Argentina
Anchor Major Portion
Ripeck
母系(F-No.) (FN:11-d) [§ 3]
5代内の近親交配 Northern Dancer 5×4、Ribot 5・5(母内)、Natalma 5・5(母内) [§ 4]
出典
  1. ^ [25]
  2. ^ [26]
  3. ^ [25]
  4. ^ [25]
主な近親

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n フェノーメノ”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2022年10月8日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g フェノーメノの情報”. サンデーサラブレッドクラブ. 2015年6月7日閲覧。
  3. ^ a b 競走馬情報:フェノーメノ
  4. ^ 『優駿』2013年10月号、62頁。 
  5. ^ 2012 World Thoroughbred Rankings (PDF)
  6. ^ LONGINES WORLD'S BEST RACEHORSE RANKINGS 2013 (PDF)
  7. ^ 競馬ヘッドライン
  8. ^ 天皇賞馬フェノーメノ年内全休…左前繋靭帯炎発症 サンケイスポーツ 2013年10月9日閲覧
  9. ^ 2023年現在、クラシック未勝利から天皇賞(春)を2勝した唯一の競走馬(テイエムオペラオーは皐月賞馬、それ以外の4頭はいずれも菊花賞馬)
  10. ^ 天皇賞2勝馬のうち、GⅠ勝利がその2勝のみなのは2023年現在唯一
  11. ^ フェノーメノ宝塚見送り 戸田師“秋天、JC、有馬全て使いたい” スポニチアネックス 2014年11月4日閲覧
  12. ^ 【天皇賞・秋】フェノーメノ 精彩欠いて14着大敗… スポニチアネックス 2014年11月4日閲覧
  13. ^ “フェノーメノJCはルメール騎手とコンビ”. nikkansports. (2014年11月8日). https://web.archive.org/web/20141119112935/http://www.nikkansports.com/race/news/f-rc-tp0-20141108-1393673.html 2014年12月30日閲覧。 
  14. ^ “ルメール落馬骨折か JC騎乗は厳しく”. nikkansports. (2014年11月25日). https://web.archive.org/web/20141125024630/http://www.nikkansports.com/race/news/p-rc-tp0-20141125-1400618.html 2014年12月30日閲覧。 
  15. ^ “フェノーメノは岩田騎手とのコンビでJCへ”. 予想王TV@SANSPO.COM. (2014年11月25日). http://race.sanspo.com/keiba/news/20141125/ope14112511550006-n1.html 2014年12月30日閲覧。 
  16. ^ “ゴールドシップ岩田騎乗で有馬へ 須貝師が発表”. nikkansports. (2014年10月16日). https://web.archive.org/web/20141213083307/http://www.nikkansports.com/race/news/f-rc-tp0-20141203-1404182.html 2014年12月30日閲覧。 
  17. ^ “【有馬記念】フェノーメノ鞍上は田辺”. スポニチアネックス. (2014年12月8日). https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2014/12/08/kiji/K20141208009421220.html 2014年12月30日閲覧。 
  18. ^ “【有馬記念】(10)フェノーメノ 田辺「希望通りの馬番」”. スポニチアネックス. (2014年12月26日). https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2014/12/26/kiji/K20141226009521700.html 2014年12月30日閲覧。 
  19. ^ “【天皇賞・春】フェノーメノ回避…追い切り後に右前脚炎症判明”. スポニチアネックス. (2015年4月30日). https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2015/04/30/kiji/K20150430010262140.html 2015年6月1日閲覧。 
  20. ^ “フェノーメノ引退 13、14年天皇賞・春連覇、種牡馬に”. スポニチアネックス. (2015年5月24日). https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2015/05/24/kiji/K20150524010404580.html 2015年6月1日閲覧。 
  21. ^ “フェノーメノ号が競走馬登録抹消”. 日本中央競馬会. (2015年5月28日). オリジナルの2015年5月30日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20150530205339/http://www.jra.go.jp/news/201505/052807.html 2015年6月1日閲覧。 
  22. ^ フェノーメノがレックススタッドに移動”. 競走馬のふるさと案内所 (2018年12月13日). 2018年12月13日閲覧。
  23. ^ 天皇賞・春を連覇したフェノーメノが種牡馬を引退”. ヤフー競馬 (2021年9月21日). 2021年9月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年9月21日閲覧。
  24. ^ リードホースデビューを果たしたフェノーメノさん。気の合う友達が出来たようです。”. Twitter:追分ファーム(公式) (2022年8月13日). 2022年12月14日閲覧。
  25. ^ a b c 血統情報:5代血統表|フェノーメノ”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2021年2月11日閲覧。
  26. ^ フェノーメノの種牡馬情報”. 競馬ラボ. 2021年2月11日閲覧。

参考文献[編集]

外部リンク[編集]