ヒシミラクル

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ヒシミラクル
Hishi Miracle 20041031P1.jpg
現役期間 2001 - 2005年
品種 サラブレッド
性別
毛色 芦毛
生誕 1999年3月31日(15歳)
サッカーボーイ
シュンサクヨシコ
母の父 シェイディハイツ
生国 日本の旗 日本北海道三石郡三石町
(現、日高郡新ひだか町
生産 大塚牧場
馬主 阿部雅一郎
調教師 佐山優栗東
競走成績
生涯成績 28戦6勝
獲得賞金 5億1498万9000
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ヒシミラクルとは日本競走馬である。2002年人気薄ながら菊花賞に勝ち、その後も天皇賞(春)宝塚記念を制覇するなど中央競馬で活躍した。

戦績[編集]

2歳・3歳時代[編集]

デビューは2歳(2001年)の夏。デビュー直後は短距離を中心に使われていたが、結果が出なかったため中距離を使われはじめる[1]。しかしそこでも勝ちきれないことが多く、初勝利は2002年5月26日中京競馬第2競走だった。この日はタニノギムレットが勝利した東京優駿と同日だった。その後は阪神競馬の条件戦で2勝。とくに500万下特別の売布特別は5馬身差であったうえ、ダンツフレームが勝利した同日の宝塚記念のタイムを上回る好時計だった。菊花賞トライアル神戸新聞杯にも出走したが6着に終わり、菊花賞の優先出走権(3着以内)は取れなかった。それでも菊花賞を目指して出走登録を行い、抽選を突破し菊花賞に出走することとなった。クラシック登録がなかったため追加登録金を払っての出走であった[2]人気は10番人気と低かったが、スタート直後に1番人気ノーリーズン鞍上の武豊落馬し場内がどよめくなか、自慢のスタミナを発揮。道中は鞍上の角田晃一がずっと手綱をしごきっぱなしながらも第4コーナーで先頭に並びかけ、メガスターダムとゴール寸前まで競り合い最後は追い込んできた16番人気のファストタテヤマをハナ差退け優勝。3連複が34万馬券と大波乱となった。年末の有馬記念に出走したが11着。その後休養に入る。

古馬[編集]

4歳となったヒシミラクルは阪神大賞典から始動した。しかし12着と惨敗。本番の天皇賞(春)を前にもう一叩きとして大阪杯を使ったが7着。そして天皇賞(春)に出走するも菊花賞後の惨敗続きで7番人気と評価は低かった。しかし、ヒシミラクルは菊花賞と同じように3〜4コーナーでまくり気味に順位を上げていくとスタミナを活かして早め先頭に立った。これに対し後続は追いつけず、GI2勝目を挙げた。

ヒシミラクルの次走は宝塚記念に決まった。この宝塚記念は前年の年度代表馬シンボリクリスエスや有馬記念2着のタップダンスシチー、この年の東京優駿(日本ダービー)優勝馬ネオユニヴァース、GI6勝アグネスデジタルなどが出走し、菊花賞・天皇賞(春)とGIを2勝しているものの距離不足が懸念されたヒシミラクルは6番人気であった。レースでは、最後の直線で先頭に立ったシンボリクリスエスが伸びを欠き、タップダンスシチーが先頭に立った。しかし、外からヒシミラクルとツルマルボーイが追い込んで最後は2頭の一騎打ちとなり、首差ヒシミラクルが出てGI連覇を達成した。これまでのレースはまくりや早め先頭などで勝ってきたが、先行馬が伸びを欠いたこともあり、今回は直線勝負をして差しきるという新たな一面を見せた。

秋はGI3連戦を目前にして京都大賞典に出走。ここでは今までの休養明けとは違いスムーズに先行してタップダンスシチーの2着となった。しかし、秋のGI戦線本番というところで繋靭帯炎を発症してしまい1年間休養することになる。

復帰したのが次の年(2004年)の天皇賞(秋)だったが、結果は16着。続くジャパンカップではヒシミラクルの十八番ともいえる早め先頭策に出たが9着。しかし悲観する内容ではなかっただけに有馬記念に期待がかかったが、ここでも4コーナーで先頭に並びかけたが14着に敗れた。

2005年は2月の京都記念から始動し、60キログラムの斤量を背負いつつも3着に入るが、続く天皇賞(春)では16着と惨敗した。レース数日後には右前脚繋靱帯炎を再発していることが判明し引退が決定した。

競走成績[編集]

年月日 競馬場 競走名


オッズ
(人気)
着順 騎手 斤量 距離馬場 タイム
上り3F
タイム
勝ち馬/(2着馬)
2001. 8. 11 小倉 2歳新馬 13 7 11 58.4(09人) 7着 角田晃一 53 芝1200m(良) 1.13.0 (37.2) 1.1 リバートレジャー
8. 25 小倉 2歳新馬 18 6 11 54.3(10人) 11着 角田晃一 53 芝1200m(良) 1.12.3 (36.6) 2.0 マイネルプレーリー
9. 8 阪神 2歳未勝利 12 7 9 81.2(09人) 8着 角田晃一 53 芝1200m(稍) 1.11.2 (34.9) 1.6 ヤマニンイデアル
9. 23 阪神 2歳未勝利 13 1 1 86.3(10人) 9着 角田晃一 53 芝1200m(良) 1.12.1 (35.6) 1.3 セトノアケボノ
10. 7 京都 2歳未勝利 8 8 8 11.4(06人) 5着 角田晃一 53 芝2000m(良) 2.03.3 (36.6) 1.6 チトセサクセス
10. 21 京都 2歳未勝利 15 3 4 45.0(10人) 2着 角田晃一 53 芝1800m(良) 1.48.8 (36.8) 0.5 フジヤマワイルド
11. 4 京都 2歳未勝利 16 5 9 5.2(02人) 3着 角田晃一 54 芝1800m(稍) 1.49.7 (36.5) 0.3 ナムラサンクス
2002. 4. 20 京都 3歳未勝利 18 8 17 18.2(07人) 4着 安田康彦 55 芝1800m(良) 1.48.5 (35.8) 0.8 ホシノササヤキ
5. 4 京都 3歳未勝利 18 2 3 5.1(02人) 6着 安田康彦 55 芝1800m(良) 1.48.5 (35.7) 0.6 サフランブリザード
5. 26 中京 3歳未勝利 18 7 15 11.7(05人) 1着 角田晃一 55 芝2000m(良) 2.00.5 (36.5) -0.5 (メイショウノビノビ)
6. 8 中京 ぶっぽうそう特別 15 8 15 3.8(01人) 2着 角田晃一 55 芝2000m(良) 2.01.7 (36.2) 0.0 アクトナチュラリー
6. 22 阪神 売布特別 18 7 13 6.7(03人) 1着 角田晃一 53 芝2200m(良) 2.12.6 (36.2) -0.8 (プローサム)
7. 20 新潟 佐渡特別 9 5 5 2.2(01人) 3着 角田晃一 54 芝2200m(良) 2.13.2 (34.6) 0.4 プレシャスソング
8. 4 函館 洞爺湖特別 16 7 13 4.3(02人) 3着 四位洋文 54 芝2000m(良) 2.04.5 (36.2) 0.2 プレジオ
9. 8 阪神 野分特別 8 2 1 2.0(01人) 1着 角田晃一 55 芝2000m(良) 2.02.0 (34.1) -0.1 (エルウェースター)
9. 22 阪神 神戸新聞杯 GII 16 4 8 16.1(07人) 6着 角田晃一 56 芝2000m(良) 2.00.4 (35.7) 1.3 シンボリクリスエス
10. 20 京都 菊花賞 GI 18 1 2 36.6(10人) 1着 角田晃一 57 芝3000m(良) 3.05.9 (35.2) 0.0 ファストタテヤマ
12. 22 中山 有馬記念 GI 14 3 3 18.5(05人) 11着 角田晃一 55 芝2500m(稍) 2.34.2 (35.6) 1.6 シンボリクリスエス
2003. 3. 23 阪神 阪神大賞典 GII 15 4 7 16.1(05人) 12着 角田晃一 58 芝3000m(良) 3.07.0 (35.3) 1.1 ダイタクバートラム
4. 6 阪神 産経大阪杯 GII 15 4 6 28.8(08人) 7着 角田晃一 59 芝2000m(良) 1.59.6 (35.0) 0.5 タガノマイバッハ
5. 4 京都 天皇賞(春) GI 18 6 11 16.1(07人) 1着 角田晃一 58 芝3200m(良) 3.17.0 (35.6) -0.1 サンライズジェガー
6. 29 阪神 宝塚記念 GI 17 5 10 16.3(06人) 1着 角田晃一 58 芝2200m(良) 2.12.0 (36.0) 0.0 ツルマルボーイ
10. 12 京都 京都大賞典 GII 9 8 9 2.5(02人) 2着 角田晃一 59 芝2400m(良) 2.26.8 (34.1) 0.2 タップダンスシチー
2004. 10. 31 東京 天皇賞(秋) GI 17 7 14 19.8(10人) 16着 角田晃一 58 芝2000m(稍) 2.02.7 (37.8) 3.8 ゼンノロブロイ
11. 28 東京 ジャパンC GI 16 6 11 25.0(11人) 9着 角田晃一 57 芝2400m(良) 2.25.6 (36.2) -1.4 ゼンノロブロイ
12. 26 中山 有馬記念 GI 15 6 11 13.1(06人) 14着 角田晃一 57 芝2500m(良) 2.31.3 (37.1) 1.8 ゼンノロブロイ
2005. 2. 19 京都 京都記念 GII 12 6 8 14.8(05人) 3着 角田晃一 60 芝2200m(重) 2.16.1 (35.6) 0.4 ナリタセンチュリー
5. 1 京都 天皇賞(春) GI 18 4 8 6.0(03人) 16着 角田晃一 58 芝3200m(良) 3.18.3 (36.3) 1.8 スズカマンボ

種牡馬として[編集]

種牡馬になったヒシミラクル(2006年9月21日撮影)

競走馬引退後、北海道静内郡静内町(現、日高郡新ひだか町)のレックススタッドで種牡馬となった。GI3勝の実績とは裏腹に、成績にムラのある現役時代の穴馬的側面や、地味な母方の血統により生産者の間では敬遠され気味で、種牡馬入りが決定した当初もなかなか繋養する種馬場が決まらなかった。同じサッカーボーイ産駒の種牡馬ナリタトップロードの死亡により、数少ないサッカーボーイの後継種牡馬の筆頭となっていたが、種付け数も供用初年度は22頭、2年目8頭、3年目8頭と伸びなかった。中央競馬でデビューした馬もいるが、ほとんどが本馬の馬主である阿部雅一郎名義で登録されている。2009年から初年度産駒がデビューしているが、勝ち上がり率は低く、低調な滑り出しとなっている。2010年の種付けシーズン終了をもって種牡馬を引退し、11月1日に中村雅明牧場へ移動して余生を過ごしている。

おもな産駒[編集]

エピソード[編集]

ヒシミラクルが競馬というジャンルを超えて一躍有名になったエピソードに、宝塚記念における大口の投票があった。前日発売が行われていた土曜日の11時ごろにウインズ新橋で一人の中年男性が安田記念の的中単勝馬券(130万円×9.4倍)と引き換えにヒシミラクルの単勝を1222万円分購入した[3]

購入前、9.7倍を示していた単勝オッズは彼の投票によって1.7倍の圧倒的1番人気となり、その後はオッズを下げていくものの前日オッズでは2番人気で、日曜日のスポーツ紙に「ヒシミラクルの単勝に1000万円」の見出しで大きく取り上げられた。ヒシミラクルの単勝オッズは最終的に16.3倍の6番人気に落ち着いたものの、ヒシミラクルがレースに勝利したためその払戻金は1億9918万6000円もの高額となった。馬券を購入した男性には馬名にかけて「ミラクルおじさん」、または払戻金にかけて「2億円おじさん」という通称がついた。さらにその後もワイドショーで取り上げられたり、的中させた男性を装う人物が現れて「配当金をすべて寄付する」とJRAに連絡があったりした。なお的中させた男性が実際に配当金を受け取ったかどうかはJRAも公表していないため定かではない。

ヒシミラクル鞍上の角田晃一騎手もレース前日にこの事実を把握しており、優勝騎手インタビューでは「その(1222万円の)単勝を賭けた人は、僕以上の勝負師ですね」と語っていた。

角田の後輩である藤田伸二の著書には「角田さんが『どうしても野分特別を勝たせたい馬がいる。ここを勝てば菊花賞は獲れる』としきりに言っていた馬がいた。それがヒシミラクルだった」というエピソードが載っている。

角田はヒシミラクルを「ズブくて仕方ないがスタミナは無尽蔵」と評価しており、レースでもスタミナを生かした戦法をとることが多かった。宝塚記念の勝利ジョッキーインタビューでは「どのタイミングで追い出したか」という質問に対し、「スタート直後から追っていた」とヒシミラクルの特徴を捉えたジョークで返していた。

血統表[編集]

ヒシミラクル血統ファイントップ(タッチストン系) / Nasrullah5×5=6.25%

サッカーボーイ 1985
栃栗毛 北海道白老町
*ディクタス
Dictus 1967
栗毛
Sanctus Fine Top
Sanelta
Doronic Worden
Dulzetta
ダイナサッシュ 1979
鹿毛
*ノーザンテースト
Northern Taste
Northern Dancer
Lady Victoria
*ロイヤルサッシュ
Royal Sash
Princely Gift
Sash of Honour

シュンサクヨシコ 1992
芦毛 北海道三石町
*シェイディハイツ
Shady Heights 1984
鹿毛
Shirley Heights Mill Reef
Hardiemma
Vaguely Bold Lad
Vaguely Mine
シュンサクレディ 1979
芦毛
*ラナーク
Lanark
Grey Sovereigh
Vermillion o'Toole
ムーンフィニックス *フィダルゴ Fidalgo
ミチアサ F-No.16-c

血統背景[編集]

父のサッカーボーイは、長距離を得意とする産駒を多く輩出している。詳しくはサッカーボーイを参照。母シュンサクヨシコは3戦未勝利だが、兄にエプソムカップで2着のダイワジェームスがいる。牝系先祖のミチアサは菊花賞馬アカネテンリュウの母。7代前まで内国産という日本土着牝系である。

脚注[編集]

  1. ^ 胴長の馬体ではないため、短距離馬だと思われていたが、脚が長く、ズブイがバテない脚を持つことからステイヤーとしての資質があることを見抜いた角田晃一の判断からである。
  2. ^ 同制度による出走馬の優勝は、テイエムオペラオー1999年皐月賞)、アローキャリー(2002年桜花賞)に次いで3頭目。
  3. ^ のちにNHKマイルカップウインクリューガーの単勝に5万円、NHKマイルカップの配当を全部安田記念のアグネスデジタルの単勝に転がし、それをヒシミラクルの単勝に転がしたとすると、受け取った配当と近い数字が出るという一つの可能性が指摘されている。

外部リンク[編集]