ギー

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ギーヒンディー語: घी ghī、: ghee)は、インドアフガニスタンなどで古くから作られ、食用にされている乳脂肪製品。澄ましバターの一種。バターに似ているが、加熱する過程で独特の香ばしい香りが生まれる。語源は「ふりかけられた」を意味する サンスクリット: घृत(ghṛta グルタ)。ネパール語: Ghiu(ギウ)。アフガニスタンではローガネ・ザルド(roghan-e zard)とも呼ばれる。


ウシスイギュウヤギを沸騰させて加熱殺菌した後に乳酸発酵させ、 凝固したものを撹拌してバター状にする。これを更に加熱、ろ過してホエー乳清)を除去して作る。加熱ろ過の過程で水分、糖分、蛋白質などが除かれるため、バターよりも腐敗しにくくなり、平均気温の高い地域において長期間、常温で保存することが可能になる。[1]

バクラヴァなどバターを使った菓子類にも、保存性が良いため澄ましバターが好まれる。

炒め物や菓子作りに用いるほか、炊いた白飯に混ぜたり、焼きたてのチャパティナーンに塗って食べる。

食用にする他に、インドの宗教儀式にもギーは欠かせない。ヴェーダの宗教の儀式ではしばしばギーが神々に捧げられ(『ヤジュル・ヴェーダ』を参照)[1] 、ギーへの讃歌が存在する。ヒンドゥー教アールティAarti)の祭祀にもギーを燃やす。礼拝の際には神像をギーで沐浴させる他、結婚式や葬式にも用いられる。マハー・シヴァラートリーMaha Shivaratri)でのシヴァ神への祈祷を始めとするその他の祭祀には、聖なる物質である砂糖ヨーグルト蜂蜜に加えギーが供物とされる。『マハーバーラタ』によれば、ビーシュマBhishma)が犠牲として捧げたものの根本はギーであるという。

インドでは全乳生産量のうち約半分がギーの生産に用いられている。

ギーに類似する澄ましバターは、インドから中近東、アフリカにいたる広い地域で食用とされている。古代メソポタミアには、すでに同様の澄ましバターが存在したらしい。よく似た食品にモロッコのスメン(سمن Smen)、歴史的シリアのサムネ(سمنة Samneh)またはサムナ、イラクのディヒン・フール(Dihin Hur)などがある。

ヘレン・バンナーマンの絵本の『ちびくろサンボ』では虎が溶けてギーになり、パンケーキ(ホットケーキ)が焼かれた。

[編集] 脚注

  1. ^ a b 森井 啓二 (27 7 2008), ホメオパシー マテリアメディカ大全1(Abel-Agar), エンタプライズ, p. 293, ISBN 978-4-87291-188-6 
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