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*[[プロ野球]]で期待はずれに終わると思われる新人注目選手。
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*ごく稀に、[[自爆]]と同様の意味で「地雷を踏む」(自分で踏むことで起動することから)とも言われる。
*ごく稀に、[[自爆]]と同様の意味で「地雷を踏む」(自分で踏むことで起動することから)とも言われる。
*トレーニング用語での「ランドマイン」は、バーベルシャフトを地面や壁に接地させて、そこを軸にローイングやプレス動作等を行うことを指す。語源の由来は軸にする点にプレートを横に置く様子が円形で平面状の地雷に似ていることから名付けられた。また、軸にする為の用具も市販されている。


== 脚注 ==
== 脚注 ==

2020年3月10日 (火) 14:20時点における版

イラクに敷設された、中国製の72式対人地雷

地雷(じらい、: land mine)は、地上または地中に設置され、人や車両の接近や接触によって爆発して危害を加える兵器

本稿では、前近代の同概念の火器の1つである、埋火(うずめび)についても解説する。

概説

古典的な感圧起爆方式では、一定の重量が信管にかかることによって作動し、爆発することで通過した人や物を殺傷・破壊することを目的としている。この方式は構造の単純さから安価かつ信頼性があり、今でも配備・使用される地雷の多くを占める。 対人地雷には、前述の圧力式のほか、ワイヤでピンが抜かれることで爆発するもの(引張式)、赤外線センサなどを使用するものがある。中には地雷探知機の発する磁気を感知して爆発するものもある。

設置方法はさまざまで、人力で設置する、地雷敷設車両や専用ヘリコプターを使って敷設する、航空爆弾ロケット弾など、大型の弾殻の中に入れて遠隔地から散布するなどの方法がよく利用される。

踏むと瞬時に起爆するものが一般的である。第二次世界大戦中にドイツ軍が開発したS-マインドイツ語読みではS-ミイネ)と呼ばれる対人地雷は、触角状の信管を踏むと火薬の爆発により地中から高さ1mほど飛び上がり、空中で鉄球をばら撒くことで踏んだ人物以外にも被害を与える。

対応する重量によって、対人地雷・対戦車地雷などに分類される。第二次大戦中の対戦車地雷の感知重量は、90-200kgに設定されており、人が踏んでも爆発しないとされている。

地雷の戦略上欠点として、一度通過すればそこは安全地帯になってしまうということが挙げられる。一度爆発すればそこにはもう地雷はないし、爆発しなければそこにはそもそも地雷がない。そのため過去においては、捕虜に前を歩かせ、その後ろを行軍するといったことも行われた。また、巨大なローラーのようなものを車両の前に取り付ける対地雷装備も開発されている。この欠点を補うために、複数回刺激が加わって爆発する地雷が造られた。これには、隊列を組んで行軍している部隊に対してより多くの被害を与えられるという効果もある(先頭を歩いている者が踏んで爆発するよりも後続の隊列中間で爆発する方がより被害が大きい)。一方で、このような地雷は残留地雷の問題をより厄介なものにしている。

広範囲に地雷が埋設された場合、その地域は地雷原と呼ばれる。地雷原に対しては、小型爆弾を大量にばらまき地雷ごと爆破させる、日本92式地雷原処理車のような対地雷兵器なども開発されている(→地雷処理戦車)。

適切に敷設し、適切に管理された地雷原は比較的低コストで防衛ラインを設定できるため、国境線や海岸線の長い国にとっては、効果的な防衛に適している。また、進軍の阻止・遅滞だけでなく誘導を目的としたり、移動中の部隊が宿営地の周辺の要所に障害物と共に一時的に敷設して敵に備えることも行われる(この場合は宿営地の撤収時に全て回収、または処分される)。しかし、目印も付けずに手当りしだい埋めるなど不適切に敷設されたり、地雷が大雨で流されるなどした適切に管理されていない地雷原は敵だけでなく味方にとっても脅威となる。前線がいくつも独立しているような場合、内戦が長期化している場合など、地雷は敵・味方あるいは軍人民間人を区別せず爆発する。そのため、地雷を敷設した場合は、記録した上でそのことを直ちに友軍へ連絡する必要があり、戦闘終結後には速やかに地雷を撤去することになっている。そのため、正規軍が敷設する地雷は敵対勢力の脅威になりこそすれ、民間人や友軍の脅威にはなり得ない場合が多い。

散布型地雷とスマート地雷

ベトナム戦争ではゲリラ戦が主だったこともあり、戦況が流動的で、地雷設置に時間を割くことが難しかった。そのため、航空機などから散布する散布型地雷が開発された。しかし、個々の散布型地雷の設置場所は散布部隊自身にもわからず、また、ゲリラ戦ゆえ戦場も流動的であるため、友軍が散布した地雷が行軍上の障害になるという事態が発生した。

この問題を解決するために開発されたのが「スマート地雷」である。最初のスマート地雷は、アメリカ1978年に開発したFASCAM(Field Artillery Scatterable Mines、ファスカム)で、散布後一定時間が経過すると自爆する。タイマーによる自爆・無力化以外に、暗号化された無線送信に対して応答して所在を知らせ除去を容易にするものなど、さまざまな技術が開発されている。しかし、自爆に失敗する確率が0.1-5%あるなど、完全ではない。

スマート地雷は、あくまで軍事上の必要性から生まれた兵器であるが、結果として、地雷の非人道性を減ずることとなった。つまり、今叫ばれている地雷の人道的な面での問題のほぼ全ては(コストは掛かるが)、技術で解決が可能なものである。しかし、昨今問題とされているのはこうした機能を持たない旧式の地雷および地雷を敷設する際のセオリーを守ることのない非正規交戦組織によるものであり、発展途上国では現在でも依然として安価且つ大量に製造販売が行われている。

戦略上の地雷

地雷は、原則として(自分から飛んで行ったり)能動的に攻撃を行うものではない。その意味で、日本国政府が標榜する「専守防衛」という戦術的観念には適合している。しかし、陸上自衛隊は対人地雷禁止条約(後述)に従い、2003年2月までに処理訓練用のものを除く対人地雷を廃棄した。もっとも、遠隔操作のみで爆破可能な指向性散弾は、条約の禁止する対人地雷に含まれないため、代用武器として使用している。

地雷による被害

地雷による被害は、車両などが破壊されたり人畜が傷つけられる直接的な被害と、地雷が埋まっているかもしれない土地が不動産価値を失ってしまう経済被害に大別できる。たった1個の地雷が埋まっているかもしれないというだけでその土地を活用することができなくなり、その土地を通行することはおろか、農地や宅地として使用することができなくなってしまう。通行できない土地が多くなると流通にも支障をきたし、外国資本だけでなく国内投資もその場所を避けるので多大な経済損害を受ける。またゾウや牛など人間以外の大型動物も被害にあっている。一方で地雷原化された地域は人間がまったく立ち入らないため、野鳥や野生動物の聖域になる例もある。

対戦車地雷

ソ連製のTM-46対戦車地雷
アフガニスタンバグラム空軍基地にて地雷除去作業を行う、南アフリカキャスパー装甲兵員輸送車

対戦車地雷(たいせんしゃじらい)は、主に戦車などの装甲戦闘車両を破壊する事を目的として使用される地雷である。

地雷防護のない軍用車両は底部の装甲が薄いため、地雷による攻撃は有効な手段となる。一般的には5-10kgほど、または2-9kgほどの火薬が内蔵[1]されている。対戦車地雷を踏めば、主力戦車といえどもほぼ確実に履帯を切断され、足回りに損傷が生じて走行不能に陥る。戦車以外の車両への被害はより深刻で、装甲車装甲兵員輸送車程度の装甲があっても、車体を破壊し収容人員を死傷させうる。ゆえに、機械化歩兵が対戦車地雷を恐れて車上に跨上するタンクデサントを行うことすらある。耐地雷性の高い車両を設計するには、高い車高や舟形の底板など、特別な配慮が必要で、低姿勢や軽量性という一般的な軍用車両に求められる要求を相反するものになってしまう。

70-130kgほど、または100-300kgほど[1]の垂直加重で起爆するようにされており、これは、武器などを携帯した兵士が踏んだだけでは起爆せずに、車両が通過するときに爆発させて攻撃するためである。磁気吸着式により、車両に吸着させるタイプや、有人管制により手動で起爆させるタイプもある。地雷除去を防ぎ、殺傷力を上げるために対人地雷とセットで埋設されることがある。人間が踏んでも起爆装置の中心点を踏めば起爆しないが、少しでも中心点を外れた部分を踏めばテコの要領で起爆する重量に達してしまい起爆してしまう。そのため、現在[いつ?]陸上自衛隊での教育時にも、対戦車地雷だからと言って踏んでも問題ないわけではないことを十分に教育している。

対戦車地雷に対抗するためには、車両底部の装甲を厚くしたり、二重にする、車両床を高い位置にし爆風を逃がすV字型にする、装輪数を増やすなどの方法がある。

爆薬が不足している武装勢力においては、榴弾砲迫撃砲砲弾航空爆弾を地面に埋め込み、対戦車地雷として利用した例がある。

第二次世界大戦中の日本軍の場合、兵士が地雷を背負って敵戦車の前に身投げしたり、タコツボ(一人用の)内で爆弾を抱えてうずくまり、敵の接近に合わせて信管を叩いて起爆させる「人間地雷」戦術を実行している。また、ソ連軍は、エンジンをかけた自動車の下で餌を与えることにより、条件反射で自動車の下にもぐりこむように訓練した犬に爆薬をくくり付けてドイツ軍の車両を破壊する地雷犬を実戦に投入している。さらに、各国でも地雷を埋めておくのではなく、兵士が自陣を蹂躙する敵戦車の履帯前に投げ出す、棒の先に付けて突き出す、時限式信管を取り付け機関部やハッチ上に載せるなどして破壊するという戦術も取られた。

パレスチナでは、重装甲で知られるイスラエル国防軍メルカバ Mk.3戦車を、遠隔操作により地中に埋めた手製の爆薬で、イラクでは対戦車地雷を積み重ねることによりアメリカ軍M1A2SEP エイブラムス戦車を、完全に撃破した事例がある。

対人地雷

対人地雷の一種、クレイモア地雷
PFM-1空中散布地雷

近代の主な対人地雷(たいじんじらい)には、踏みつけた人間のの踝(くるぶし)やすね程度を吹き飛ばす小型で低威力の爆風型地雷や、仕掛け線や踏圧などで信管が作動すると最初に少量の火薬で炸裂部を1-2mほどの高さに打ち上げ、続いてそれが炸裂することで内部の鋼球などを撒き散らして周囲数十mの敵を倒す方式の、対人地雷としては比較的大型の破片式の跳躍地雷と呼ばれるものなど、一般には地下に埋設する形式が多いが、これらとは別に、物陰などに固定しておき仕掛け線などを用いて信管が作動すると主に水平方向に扇状に鋼球などを撒き散らして殺傷する、破片式でも地上設置型のものがある[1]

炸裂した時、一定の方向に扇形に散弾を発射する性質(指向性)を持った地雷(クレイモア地雷など)を指向性対人地雷、または指向性散弾といい、危害範囲が非常に広いのが特徴である。これは地中に埋設するのではなく、付属した簡易な三脚や四脚に載った形で地上に設置され、水平方向に散弾や弾片を射出する。また、張られたワイヤーに兵がひっかかることで作動するだけでなく、遠隔操作で任意のタイミングで炸裂させることもできる。これにより兵が密集していた場合、一度に10名以上が殺傷されることもある。

安価で数多く使われる小型のものは、敵兵の即死による殺害ではなく負傷による無力化を目的としている。敵兵1人の即死はそのまま兵力の1減であるのに対し、1名が重傷を負えば看護や後送にも人員が割かれるため、前線兵力は2以上減となり、また、苦痛を訴え続ける味方兵の存在は、戦意高揚を困難にする要素となる。

小型の地雷は、空中投下によって散布することが可能である。しかし、正確な散布場所が分からなくなるので被害を出しやすい危険な方法である。広く流布した話に「小型地雷に子供の興味を引くぬいぐるみやおもちゃのようなものを取り付けてばら撒き、触れた子供の手足や生命を奪う」とするものがあるが、事実として確認されていない[2]

以上のように、対人地雷は敵味方・軍民を問わず被害を受ける危険があるため、厳格な運用が必要とされる。しかし、紛争国では無計画に埋設された結果、除去困難に陥り戦後の紛争の後遺症として住民を苦しめ続ける例が見られる。そのため、規制が議論されている。そのような観点からオタワ条約が発効した。ただし、主要な地雷輸出国が批准しておらず、紛争地帯での地雷被害は減っていない。中には、残留日本人が被害に遭う事例があり、日本国内にも影響を与えている。

戦場における地雷原の突破

92式地雷原処理車から発射される地雷原処理用ロケット
90式戦車に取り付けられている、92式地雷原処理ローラ

戦場において地雷原を突破する際には、以下のような方法が取られる。

地雷処理用の専用機材を用いる
もっとも望ましい方法であり、前述の地雷処理戦車や地雷処理用の機材(地雷原処理用のロケット弾発射機など)を使用する。以前は、戦車の前方方向に伸びた機材で対戦車地雷を捜索し爆破するスネークが使用されたこともある。また、地雷の探知に第二次世界大戦から使用され始めた金属探知機を用いる方法もあるが、これは、木製地雷などの金属の使用量が極めて少ないものに対しては効果を発揮できない。
地雷原に銃砲撃を加える
砲兵部隊の支援が受けられるならば、地雷原に砲弾を撃ち込み地雷を誘爆させるという方法もある。これは、砲兵でなくとも、進撃する戦車自身が搭載砲で道路を射撃することでも可能である。また、露出している地雷に対しては遠距離から対物ライフルなどで銃撃を加えることで安全に処理する。現在は、大型の狙撃銃として知名度の高いバレットM82も、元々は爆発物処理機材としてスウェーデン軍に採用されたのが始まりである。その他にも、エル・アラメインの戦いで、悪魔の園と言われた二重三重に埋めてあるドイツ軍の対戦車地雷を、イギリス軍が砲撃を加えて爆破処理した例もある。
歩兵の一般装備を用いて地雷を処理する
上記のような方法が取れないとき、歩兵がスコップナイフを用いて地中を探り、地雷を除去(単にマーキングだけに留めることもある)する。地雷は一定以上の圧力が加わらないと爆発しないので、ナイフなどでコツコツ叩く程度では安全である。
ただし、地雷の中には除去する人物をも対象にしたものがあるので注意が必要である。例えば、信管が複数存在する地雷や、ある一定の角度以上に傾けると爆発する地雷がある。また、そんな機能を備えていなくとも地雷を二重に設置し、下の地雷の信管を上の地雷に結ぶ・箱型地雷のフタの下やクレイモア地雷の足に手榴弾を仕掛けるなど、除去しようとした人間が地雷を持ち上げれば仕掛けが爆発する、無力化しようとする人間を標的とした一種のブービートラップも存在する。
非人道的な方法を用いる
上記のような「正攻法」ではなく、敵の捕虜一般市民懲罰部隊に送られた自軍将兵を背後からで脅し、部隊の先頭を歩かせるという方法がある。第二次世界大戦東部戦線では、独ソ両軍で見られた光景である。また、人を使うのではなく動物を使う方法もあるが、こちらは成功しないことが多い(あらぬ方向に走っていく、人間以上に足裏の面積が小さすぎる)。ただし、これらの方法では、重量の関係で対戦車地雷に対する効果は薄い。

無視する

悠長に地雷を処理していられる時間のない緊急時においては「踏んだら不運と諦めろ」というように地雷の存在を無視して行動することもある。人命が軽視される、あるいはできうる体制下にあっては、「十個の地雷があっても、十一人の兵士がいれば必ず突破できる」という考え方がなされる場合もある。これは、ノルマンディー上陸作戦のオマハF地区での戦闘に例が見られる。

地雷除去

ゴラン高原地雷原標識、シリア陸軍によって40年以上前に設置されたもの

戦乱のあった地域では、一旦地雷が埋設されると残存し、戦争終結後も一般市民への事故(傷害事故だけではなく死亡事故も多い)が後をたたない。世界では正確な数は不明だが、いまだに「7000万個とも1億個とも言われる対人地雷が埋設」[3]されていると考えられている。

戦後の復興には、安全な土地の保証がかかせない。その地域の国家が地雷除去の能力に不足する場合など、他国の部隊やNGOが対人地雷除去を人道援助として行うことがある。対人地雷だけでなく対戦車地雷でも、放置されることでバスのような民間車両が被害を受けて多くの人命が失われている。

除去方法

陸上自衛隊施設科装備の89式地雷原探知機セット
検知部・本体部・操作部・ハンドル・受話部などからなり、地中の金属を探知する機器。地雷や不発弾を探知する目的で使用する
掃除機の吸い込み口を思わせる検知部を、地上数十cmの高さに浮かせて動かし、地中に金属反応がないか探る

地雷の除去方法は未だに効率が悪く、地雷1個の除去に、その地雷の製造費の100倍は費用がかかるといわれている(3USドルで作られた対人地雷を探し出すには、200-1,000USドルほど掛かると言われている)[要出典]。また、危険を伴う人力作業が一般的である。しかし、紛争の傷跡が残る国では失業率が高いことが多く、地雷除去作業は雇用対策としての側面もある。

世界的に地雷の問題が注目を集める中で、危険な人力による除去方法の代替となり得る機械を用いた除去方法が世界各国で研究されているが、貧しい国は機械を購入したり運用する負担に見合わないと考える事が多く、援助以外での普及は進んでいない。また、機械により物理的な外力で起爆を誘う対人地雷の除去方法は、人手より確実性に劣り、特に金属要素をほとんど含まなくなった性能向上型では、極めてローテクに属する人手に頼った除去方法以外に有効な手段がない。旧式の地雷は、長年土中に埋まっていることで金属筐体腐食信管/爆薬劣化といった経年変化による機能喪失が期待できたが、近代的な地雷ではプラスチックの採用を含む兵器としての性能向上によって、意図的に有効期間を短くしない限り何十年経っても機能を保ち続けるという特徴がある[1][4]

マルチコプターを使って地雷を探知し処理まで行えないか、研究が進められている[5]

世界発の除去活動

戦後復興における地雷処理に関してのノウハウ蓄積は、周辺国との紛争をくり返してきた南アフリカに一日の長がある。『Mine Detection Vehicle (MDV)』と呼ばれる、ロードサイドの地雷を探査する耐爆構造の探査車両が開発されており、南ア製の『Meerkat[6]』、『Husky[7][8]』は、イラクアフガン米軍IED探査に活用されている。 日本などの国では、地雷を除去するためのロボット開発が進んでいる。また、ブルドーザーショベルカーを改造した地雷除去用重機[9][10]も有り、一部高い効率で地雷を処理しているが、あまり普及していない。

アフリカタンザニアでは、ベルギー人のバート・ウィートジェンスが創設したNGOであるAPOPOが、ネズミの嗅覚をトレーニングして地雷を発見するという活動を始めている。と同等の探知能力を誇りながら、より安価に地雷の有無を調査できるという利点がある。トレーニングされたネズミはヒーローラッツと呼ばれ、チェンジ・メーカー世界一受けたい授業など、日本のメディアでもたびたび取り上げられている。

ノルウェーのNGOであるノルウェージャン・ピープルズ・エイド(NPA:The Norwegian People’s Aid)は、1992年に地雷除去の活動を開始し、カンボジアモザンビークアンゴラボスニアなどで不発弾処理、地雷回避教育、地雷犬訓練を実施するなど、重要な役割を果たしている。

日本発の除去活動

日本ODAは、地雷除去を進めるNGOにも「日本NGO支援無償」として資金協力している。

人道目的の地雷除去支援の会(JAHDS)
1998年設立。カンボジアタイで地雷除去プロジェクトを実施(2006年活動終了)。
日本地雷処理を支援する会(JMAS)
2002年自衛隊OBが中心となって設立されたNGOで、「日本NGO支援無償」による援助を得てカンボジアで地雷・不発弾処理活動を行った。
日本紛争予防センター(JCCP)「人道的地雷除去プロジェクト」
実際の人道的対人地雷除去作業を日本の組織として初めて単独で行ったのは、外務省のNGO支援無償資金協力により活動資金を得て、元陸上自衛官の辰巳竜悟が中心となって2004年1月にスリランカで開始した日本紛争予防センターの対人地雷除去プロジェクトである。
NPO法人国際地雷処理・地域復興支援の会(imccd)
日本のPKO活動第1陣としてカンボジアへ派遣された元陸上自衛官の高山良二が設立した団体。「日本地雷処理を支援する会(JMAS)」より独立。

また、難民を助ける会が行う地雷回避教育や被害者の義足作成支援など、日本の非政府組織NGOによる対人地雷除去を後方から支援する活動も盛んに行われている。また、地雷により皮肉にも義足の需要が急激に増えており、義足などを無料で配布するボランティアなども多く存在している。

2001年に、坂本龍一が中心となり、N.M.L.(NO MORE LANDMINE)というユニットを結成、地雷撲滅のチャリティーソング「ZERO LANDMINE」を発売した。このCDの収益は地雷除去活動を支援するために使われた。

地雷の使用規制

対人地雷全面禁止条約

  条約批准国

人道的な見地から、「対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約」(対人地雷全面禁止条約、オタワ条約などともいう)が作られ、1999年3月1日に発効した。この条約が作られる機運を盛り上げるにあたっては、1992年に結成された地雷禁止国際キャンペーンを支持したイギリスダイアナ元皇太子妃も大きな役割を果たした。

日本1998年9月30日に、この条約を受諾して締約国となり、対人地雷の製造の禁止及び所持の規制等に関する法律を制定して2003年2月8日に保有してていた対人地雷のうち、訓練用など一部を除いたすべての廃棄を完了した。この式典には小泉純一郎首相(当時)も出席した。

ただ、外国などからの侵略行為に対し日本の長い海岸線を対人地雷なしに(対戦車地雷を高感度で使用する方法もあるが)どのようにして守るかについては、自衛隊をはじめ新たな防衛方法が模索されており、かねてより航空自衛隊などが保有しているクラスター爆弾、ないしは新たに開発した対人障害システムを対人地雷の代替とするようであるが、これも極めて限定的な補完にしかならないため、防衛力の空白が懸念されている。また、クラスター爆弾を廃棄する動きも進んでおり、ますます代替手段の必要性が高まってきている。

さらには米中露といった大量配備/輸出国が批准していない現状では条約は象徴的で限定的な意味しかもっていない。むしろ先進国の撤去対策が施された対人地雷が廃棄され、紛争国が求める安価なおなそん地雷が野放しになり被害が拡大する一方という皮肉な事態を招いている。

アメリカの状況

2014年、バラク・オバマ大統領は、前述の禁止条約に依らず朝鮮半島を除いた地域での対人地雷の使用禁止、韓国向け以外の備蓄の廃棄を自主的に決定した。しかしながら2020年1月、ドナルド・トランプ大統領は、最新の地雷はアメリカの安全保障に貢献するとして、遠隔操作で無効化できる対人地雷を対象に使用規制を緩和すること発表した[11]

埋火(うずめび)

地雷と同じコンセプトの火器(土中に埋め、踏むと起爆する兵器)は前近代の頃よりあり、日本でいえば忍者が用いた埋火(うずめび)がある。時代的に見て、対人・対戦車の分類はないが、騎兵にも有効と考えられる。ヒストリーチャンネル『古代からの発見S3』の番組内にて、『万川集海』(17世紀成立)の記述に基づいて実験が行われている。その記述によれば、道の下にトンネルを掘り、その道上に埋火を埋め、爆発と共に道を陥没させ、大名の暗殺に用いられたとしている。

「地雷」という語自体は、明代の中国兵書『武備志』(1621年)に記載されたの項の一つに「地雷火」の説明がある。この時代の日本忍者が用いた地雷は「埋火」という名称である。

埋火の仕組みは、製の箱に、導火線となる縄を、箱の内部、ふたの裏側に付け、人が踏んだ重みで直接火薬に発火させるというものであり、たとえ目標が踏まなくとも時限式で起爆し、確実に対象を暗殺した。縄の長さで起爆時間の調節も可能であり、したがって厳密には、「地雷」と「時限爆弾」の両方の性質をおびた兵器だった。デメリットとして、雨天時は(木板や導火線が塗りだったとしても)ふたが重みで下がる構造上、水がしみ込んで用いられなかったとみられる(従って、沼地や水辺での使用は好まれない)。

地雷汚染地域

世界には地雷が多く埋められている国々があり、それらは反政府勢力が関与している場合が多数である。一方でタイでは、自国ではなく隣国・カンボジアのポルポト政権が越境して地雷を埋めたケースが殆どである。地雷汚染地域トップ5か国は以下である。

国別 地雷汚染地域
資料:Landmine Monitor[12]
順位 国家 地雷汚染地域
1位 イラクの旗 イラク 1,207km2
2位 ボスニア・ヘルツェゴビナの旗 ボスニア・ヘルツェゴビナ 1,113km2
3位 エチオピアの旗 エチオピア 1,056km2
4位 カンボジアの旗 カンボジア 890km2
5位 タイ王国の旗 タイ 360km2

題材とした作品

※発表年順

単語としての「地雷」の他の用法

地雷という語は、「うっかり踏むと爆発する・踏んではいけない」という連想から、色々な場面で「触れてはいけないもの」「禁忌」を表す喩えとして用いられる。巧妙に偽装され爆発するまで気付かない・仕掛けられてから長期間放置されていたものが突如爆発し、相手に被害をもたらすといった地雷の特性による喩えもある。以下一例である。

  • 就職転職活動では、短期離職率が高いなど体質的な問題のある企業(ブラック企業DQN企業も参照)のことを指して地雷と呼んだり、そのような企業が多い業種のことを地雷原と呼ぶ場合もある。会社生活では関わってはいけない人物を指す。
  • サブマリン特許など見つかりにくい特許を「特許地雷」と呼んだり、また、そのような特許が多く存在する、あるいは特許取得合戦となっている技術分野を特許地雷源と呼ぶことがある。特にアメリカでは個人の権利を尊重して先申請しておく必要があり、なおかつ日本特許庁とは違い非公開であることに由来しており、揶揄も存在する[13]
  • 俗語で、恋愛相手にしてはいけないタイプの人を「地雷」と呼ぶ。
  • いわゆる性風俗遊びにて、相手になった女性の対応が劣悪だったり容姿が醜悪であった場合、「地雷」を踏んだと言うこともある。
  • テレビゲーム書籍ビデオソフトAndroid端末のスマートフォンなどの購入した後でないと内容を十分に確認できない商品で、宣伝・評判・印象などである程度の期待を持って買ったのに内容が面白くなかった場合、その商品を指して「地雷」と呼ぶ。特にゲームで言えばクソゲーを指すことがほとんどで、地雷ゲーと呼ぶことがあり、あまりにひどい内容(バグが多い、シナリオに一貫性がなく面白くない、アニメ漫画を原作としたゲームにおける原作と比べ明らかに違うなど)の場合は地雷(ちなみに核地雷は実在する兵器であり、時限装置や遠隔操作で爆破させる)と呼ばれる[14]
  • また、オンラインゲーム対戦ゲームなどの複数人による対戦や、複数人による協力プレイが行われるゲームにおいて、足を引っ張ったりおかしな行動・言動をするプレイヤーを称して地雷プレイヤー、略して地雷と呼ぶことがある。これは、実際に行動を共にしてみないと当人の実力や気質がわからないことに起因している[15][16][17]
  • インターネット上で、主に掲示板において、クリックしたリンク先にブラウザクラッシャーコンピューターウイルスが埋め込まれていたり、グロテスクな画像・性的な内容の画像(特に男性同性愛的な画像)だった場合に「思わぬ落とし穴」という点で「地雷」と呼ばれることがある。
  • コンピュータの部品。
  • 陸上自衛隊においては、演習中に野外で大便をすることを「地雷」と表現することがある(大便は行動の痕跡となるため、現地で処理する場合には敵見されないよう巧妙に埋めて隠蔽する必要がある。航空自衛隊では「爆撃する」と表現することがあるが、いずれも大便を爆発物に見立てている)。
  • プロ野球で期待はずれに終わると思われる新人注目選手。
  • ごく稀に、自爆と同様の意味で「地雷を踏む」(自分で踏むことで起動することから)とも言われる。
  • トレーニング用語での「ランドマイン」は、バーベルシャフトを地面や壁に接地させて、そこを軸にローイングやプレス動作等を行うことを指す。語源の由来は軸にする点にプレートを横に置く様子が円形で平面状の地雷に似ていることから名付けられた。また、軸にする為の用具も市販されている。

脚注

  1. ^ a b c d 赤十字国際委員会原著、難民を助ける会ボランティア訳、『対人地雷 味方か?敵か?』、自由国民社、1997年12月25日第1刷発行、ISBN 4426892015
  2. ^ ソ連軍のアフガニスタン進駐等で使用されたとする記事も多いが、実態は空中散布式のバタフライ型地雷PFM-1であったようだ。不発弾を発見しやすくするための明るい色や、散布時に適度な空気抵抗を得るための独特な形状を見ておもちゃと誤解した子供が触れたのを、手の込んだ罠であると解釈した事例が多い
  3. ^ 古田勝久「対人地雷探知除去の研究開発の総括をして」 (PDF) 『JISTEC REPORT Vol.74』(2010年冬季号)、社団法人 科学技術国際交流センター、p.2 、2010年8月22日閲覧
  4. ^ 他の地雷除去方法として、2007年5月に発見された地雷などに使われるTNT火薬にわずかに含まれる化学物質に反応し、緑色に光る酵母を用いる地雷検出方法が現在研究中で、酵母の散布によって地雷を速やかに探知できるのではないかと期待されている
  5. ^ ドローンで地雷を駆除。Mine Kafonプロジェクトが目指すもの”. DRONE.jp (2016年8月22日). 2017年11月1日閲覧。
  6. ^ Meerkat Mine Detection Vehicle (MDV)”. 2010年2月24日閲覧。
  7. ^ Husky Metal Detecting and Marking Vehicle”. 2010年2月24日閲覧。
  8. ^ Husky(動画)”. 2010年2月24日閲覧。
  9. ^ 「地雷廃絶への挑戦」-アンゴラの地雷原に挑む-”. Film.hitachi.jp. 2010年2月24日閲覧。
  10. ^ 「地雷廃絶への挑戦」(前編)-大地に実りを、子供たちに笑顔を-”. Film.hitachi.jp. 2010年2月24日閲覧。
  11. ^ トランプ氏、対人地雷の規制緩和を表明 オバマ政権の方針覆す” (2020年2月1日). 2020年2月1日閲覧。
  12. ^ Landmine Monitor
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関連項目

外部リンク