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: 樹、ヘレナと共に奏者候補として育てられたが、2人よりもランク(ランクD)が低い奏者であることがトラウマになっており、特に「'''D'''」という言葉に強い拒絶反応を示す。尚、ランクDは量産型の意であり、15話「子供たちの夜」で登場した『先生』やシュバルツァーのパイロットは、全て彼と同じ顔をしている。その中でも、彼は寿命が延びた最新型のバージョン『3.20』で、幼少の頃に知らぬまま実験用ドーレム(15話)と同調し、奏者としての資質の片鱗を見せる。自分の素顔を晒すことも許されていない、その他大勢のDシリーズ達の中で唯一、固有名を与えられ、英才教育を受けた彼は、確かに『選ばれた種』(15話より)であったはずだった。
: 樹、ヘレナと共に奏者候補として育てられたが、2人よりもランク(ランクD)が低い奏者であることがトラウマになっており、特に「'''D'''」という言葉に強い拒絶反応を示す。尚、ランクDは量産型の意であり、15話「子供たちの夜」で登場した『先生』やシュバルツァーのパイロットは、全て彼と同じ顔をしている。その中でも、彼は寿命が延びた最新型のバージョン『3.20』で、幼少の頃に知らぬまま実験用ドーレム(15話)と同調し、奏者としての資質の片鱗を見せる。自分の素顔を晒すことも許されていない、その他大勢のDシリーズ達の中で唯一、固有名を与えられ、英才教育を受けた彼は、確かに『選ばれた種』(15話より)であったはずだった。
:結局、奏者にはなり得ず、それ以降は、常に自分の存在価値と意味を模索して生きてきた。事あるごとに神名綾人に対して苛立ち威圧高に詰るのは、つまるところ奏者としての、価値を無くした者の、劣等感の裏返しに過ぎない。また、樹の幼馴染として、彼の苦悩も充分熟知している為、なおさら、その存在が許せず、嫌悪感に拍車をかけたようだ。
:結局、奏者にはなり得ず、それ以降は、常に自分の存在価値と意味を模索して生きてきた。事あるごとに神名綾人に対して苛立ち威圧高に詰るのは、つまるところ奏者としての、価値を無くした者の、劣等感の裏返しに過ぎない。また、樹の幼馴染として、彼の苦悩も充分熟知している為、なおさら、その存在が許せず、嫌悪感に拍車をかけたようだ。
:その後、神名綾人逃亡の責任追求から功刀仁を更迭し、TERRA臨時司令となるが、全精力を賭けたダウンフォール作戦が失敗し、TOKYO JUPITER自体は消滅したが、結果的にMUの戦力を世界に拡散させてしまった。ただし、この作戦は、敢えてそうなる様、周囲(イシュトリの精神操作、及び八雲達の情報隠蔽、そして障壁消滅の為の、捨石にするというバームの目論見)によってあらかじめ仕組まれていたものだった。最初で最後の作戦名もまた「'''D'''」作戦だったのは、まさに皮肉としか言いようがない。
:その後、神名綾人逃亡の責任追求から功刀仁を更迭し、TERRA臨時司令となるが、全精力を賭けたダウンフォール作戦が失敗し、TOKYO JUPITER自体は消滅したが、結果的にMUの戦力を世界に拡散させてしまった。ただし、この作戦は、敢えてそうなる様、周囲(イシュトリの精神操作、及び八雲達の情報隠蔽、そして障壁消滅の為の、捨石にするというバームの目論見)によってあらかじめ仕組まれていたものだった。最初で最後の作戦名もまた「'''D'''」作戦だったのは、まさに皮肉としか言いようがない。
: TERRA臨時司令の任を解かれ、唯一、心を開いていた樹には裏切られ(と真は解釈している)、財団からも見捨てられたことから、遂に精神の均衡を崩す。艦艇に監禁されていたが、25話で連行しに来た兵士達を殺害し脱走、更にシュバルツァーのパイロットの生き残り三名と執事及びバーベム卿を射殺(この時既にバーベム卿の魂はヘレナの体に移っていたため、肉体のみで実際には殺せていないが)するも、直後に侍女のライラと相討ちとなり、凄惨な最期を迎えた。
: TERRA臨時司令の任を解かれ、唯一、心を開いていた樹には裏切られ(と真は解釈している)、財団からも見捨てられたことから、遂に精神の均衡を崩す。艦艇に監禁されていたが、25話で連行しに来た兵士達を殺害し脱走、更にシュバルツァーのパイロットの生き残り三名と執事及びバーベム卿を射殺(この時既にバーベム卿の魂はヘレナの体に移っていたため、肉体のみで実際には殺せていないが)するも、直後に侍女のライラと相討ちとなり、凄惨な最期を迎えた。
; 朝比奈 浩子(あさひな ひろこ)
; 朝比奈 浩子(あさひな ひろこ)

2009年6月26日 (金) 20:02時点における版

ラーゼフォン
ジャンル ロボットSFラブストーリー
アニメ
原作 BONES出渕裕
監督 出渕裕
キャラクターデザイン 山田章博
メカニックデザイン 佐藤道明、佐山善則
音楽 橋本一子
アニメーション制作 ボンズ
製作 ラーゼフォン製作委員会・フジテレビジョン
放送局 フジテレビ
放送期間 2002年1月21日 - 2002年9月10日
話数 全26楽章
映画:ラーゼフォン 多元変奏曲
監督 監督:京田知己、総監督:出渕裕
制作 ボンズ
封切日 2003年4月19日
上映時間 116分
テンプレート - ノート

ラーゼフォンRahxephon)は、2002年1月21日~2002年9月10日までフジテレビで放映されたロボットSFラブストーリーテレビアニメ。全26話。

概要

原作・監督はアニメのメカニックデザインを長年担当してきた出渕裕。キャラクターデザインは山田章博。製作は後に『鋼の錬金術師』や『交響詩篇エウレカセブン』を手がけるボンズ

本作品は、近未来の日本で少年少女が戦争に巻き込まれていく中で、未熟な心に渦巻く苦悩と葛藤を描いた作品である。

単なるロボット活劇ではなく、独特の神秘的な雰囲気を持つSFアニメとして評価され、とくに緻密に描き込まれた映像は高い評価を受けた。反面、視聴率では伸び悩み、後述のようにキー局のフジテレビでは途中から放送時間が夕方から深夜へ移動するなどした。これは、フジテレビが夕方帯放送時にバレーボール番組への差し替えをし不定期放送になったのも一因である。

なお放送前の雑誌「Newtype」インタビューで、出渕はこの作品が『勇者ライディーン』のオマージュである事を語っている[1]

各話は「楽章」と呼ばれ、「歌」に感応する主役ロボット、そのパイロットは「奏者」であり、最終目的は世界の「調律」にある。他作品に例がない音声を活用した演出が目立ち、敵巨大兵器の名も音楽用語が冠され、そして、如月久遠役・桑島法子による次回予告のナレーションでの決め台詞が「世は音に満ちて…」等々、本作の作品世界全体を通じて「音楽」にまつわる事物がモチーフとなっている点は、他の作品にない大きな特色のひとつである。随所に登場するボロディンの『だったん人の踊り』もプロモーション映像の段階で既に使われており、作品世界のイメージ構築における大きなファクターとなっていた。

2003年には『ラーゼフォン 多元変奏曲』として劇場映画化され、DVD化もされている。

ちなみにタイトルの由来は漫画版の出渕のコメントによると、Rah(ラー)が太陽神から来た“神”という意味で、Phon(フォン)がphoneから来た“声”もしくは“音”という意味。そしてその間にあるXeは、『Xファイル』などのxから来ていて“未知”を表し、“神の未知なる声”という意味になる。

旧・琉球王国における民間信仰やマヤ文明に一次的な造形のコンセプトを多く求めており、マヤ・アステカ神話に語られる、文明社会に終焉を告げる為に現われる最高神ククルカン(羽蛇ケツァルコァトル)の化身「頭に翼を持つ、金や宝石で装飾された白い顔の男性」の偶像は、そのままラーゼフォンの外見上の大きな特徴と一致する。尚、マヤ・アステカ神話において、ククルカンは太陽神である。また、世界の終末を予言するとして劇中で語られた「マヤ・カレンダー」についても、マヤ文明が自らの終焉を予告した同名の暦が実際に存在しており、その最終年は西暦にして2012年で、作中でMUがTOKYO JUPITERを形成したのも2012年末であった。

キャッチフレーズは「美と神秘に彩られた究極のSFロボットアニメ」。

放映形態

近畿広域圏ではFNS準キー局関西テレビではなく、サンテレビKBS京都びわ湖放送奈良テレビテレビ和歌山といった独立UHF局各局で放送されていた(UHFアニメにおいては関西・中京圏広域局および関東圏独立U局の組み合わせがよく見られるが、その逆である)[2]

ちなみに、関西地区以外のネット局は、北海道文化放送さくらんぼテレビ石川テレビ東海テレビ高知さんさんテレビテレビ西日本と、すべてFNS系列局である。

先述のように視聴率低迷からキー局のフジテレビでは放映当初の夕刻帯から深夜帯に移動したが(第10楽章より)、東海テレビでは逆に深夜帯から夕刻帯に移動した。この為、当作品はテレビアニメでも異例の同じ作品で全日帯アニメ深夜アニメの両方に分類[3]される事になる[4]

ストーリー

21世紀の初め、日本の首都・東京は外部侵入者の『MU(ムウ)』により、その全体を半球状の物(東京ジュピター)によって外部から隔離されてしまった。それから数年後、東京に暮らす神名綾人は模試会場へ向かう途中、電車事故に遭う。助けを呼ぼうとした綾人はその途中で神秘的な少女・美嶋玲香と出会い、彼女に導かれるまま、東京の地下神殿にたどり着く。

その時、突如東京上空に現れた巨大な「何か」が放つ「歌」に共鳴した綾人は神殿内で倒れてしまう。混濁した意識の中、綾人が囁いた言葉、「ラーゼフォン」。その時、何者かが覚醒した…!


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


キャラクター

神名 綾人(かみな あやと)
声優下野紘
本作の主人公であり、ラーゼフォンのパイロット・奏者(オリン)である。17歳の高校生。“東京”で平穏な日々を送っていたが、玲香との出会いを機にラーゼフォンへと導かれる。遙によれば「服のセンスはイマイチ」らしい。絵画が趣味で、よくスケッチブックを持ち歩いている。腹部に赤いアザがあり、これは認識を表す。
神名麻耶の子として育てられていたが、実際の親(遺伝子上)は亘理士郎と如月久遠であり、如月樹の双子の兄。神名麻耶が早期に目を覚まし、17歳の奏者の資格を失ったため、代わりの奏者として生み出された。中学時代、叔父である六道翔吾と根来島を訪れた際に遥と出会い、彼女と東京で再会した後に付き合い始めるが、東京ジュピターの形成と共に離れ離れとなり彼女に関する記憶は次第に薄れていった。
当初は、少し内向的で、他人と距離を置くようにしていたが、数々の苦難や悲劇を乗り越えた末に大きく成長する。最後はイシュトリと一体化、真聖ラーゼフォンへと至り、久遠と世界の調律を果たした。尚、調律後の世界では遥と結婚しており、その外見は綾人と樹の両方を受け継いだもので(声は樹)、二人の間に出来た赤ん坊は久遠と名付けられている。
美嶋 玲香(みしま れいか)
声優:坂本真綾
陽炎のようにうつろう幻の少女。17歳で、綾人の同級生として現れる。全てを見通したかのように、綾人に手を貸し導く存在。死んだと見えたのも錯覚か、その後何度も綾人と久遠の前に出現している。物語全体の神秘性を背負った謎の少女。
正体は、イシュトリ(ラーゼンフォンの心の具現化した存在)。彼らは奏者の望む姿で現れるため、綾人が心の奥底で思い続けていた遥の姿を取っていた。奏者とイシュトリが一体化することで、ラーゼフォンはヨロテオトル(神の心臓)へと至る。一度は綾人に拒絶され人としての不安を露にしたが、功刀の死を経て「大切な人を守る」と決意した綾人に受け入れられ、ヨロテオトルへと至った。
劇場版では、綾人と遥の孫である『神名玲香(かみな れいか)』として、エピローグに登場。性格も明るくなっている。
如月 久遠(きさらぎ くおん)
声優:桑島法子
樹の義妹で初めて発見されたムーリアン。綾人のことをオリンと呼び、慕っている。玲香と同じように謎めいた言葉を発する。口癖は「らら」。腹部に綾人のものとは違う青いアザがある。これは生命を表す。指令センターに自由に出入り出来る。胸にライフモジュールをつけている。
綾人(本来は麻耶)と対になるもう一人の奏者で、麻耶の姉。逆神隠しによって現れた二人の少女のうちの一人(もう一人は麻弥)だが、発見後、綾人が17歳になるのに合わせて17歳となるように、バーベム財団によって眠らされ続けていた。遺伝子上、綾人と樹の母にあたる。また、そのためか最終話では綾人に対して母性をのぞかせる描写がある。最後は久遠もまた、自身のイシュトリと一体化してもう一つの真聖ラーゼフォンへと至り、綾人と世界の調律を果たした。
ちなみに、MUでの名前は「クオン・アル・パディス」。
紫東 遙(しとう はるか)
声優:久川綾
TERRA情報部第二諜報課所属の特務大尉。29歳。恵の姉。綾人を東京ジュピターから外の世界へと連れ出した。何かと綾人を気にしており、時折彼に対して思春期の少女のような表情を見せる。エルフィとは良い飲み友達のようである。
東京が健在だった頃の綾人の彼女(その頃の名前は美嶋遙(みしま はるか))。元々は東京に住んでいたがTOKYO JUPITERの事件の際には東京を離れ奈良県の親戚の家にいたため巻き込まれなかった。奈良県内の大学に通う頃から樹と知り合い、交際するが、綾人への思いを断てず別れることに。卒業後、離れ離れとなった綾人との再会を目的にTERRAへ入る。
綾人とは明らかに年格好が違うが、それはTOKYO JUPITER内の時間が外のおよそ6分の1しか流れていないことによる。ちなみに玲香の姿は若い頃の遙の姿である。
紫東 恵(しとう めぐみ)
声優:川澄綾子
遙の歳の離れた妹(劇場版では異父妹)。明るく活発だが、遙に対してコンプレックスを抱いている。ストーリー序盤ではTERRA副司令の八雲が好きだったが、友人であるキムと恋仲という事を知り失恋。その後、綾人に惹かれるが、彼と遙が恋人同士だったことを知り身を引く。キムや六道からは「メグ」と呼ばれる。TERRAにはオペレーター見習いとして配属されており、後に正規オペレーターになる。
企画段階では、遙の娘という設定もあった。『ラーゼフォン 蒼穹幻想曲』において、EDによっては鳥飼の彼女だったり樹の彼女だったりする。ある意味可哀想な子である(ただしルートによってはきっちり綾人とも結ばれる)。
キム・ホタル(金 湖月)
声優:折笠富美子
恵の親友で、TERRAの正規オペレーター。オーストラリア国籍の韓国人。幼い頃に両親をMUのドーレムに殺されており、かなり強い恨みを抱いている。そのため、ラーゼフォンに乗ることを拒んだ綾人を思い切り怒鳴りつけたりするシーンも。八雲と付き合っており、二人きりのときは「総ちゃん」と呼ぶほど甘い関係であったが、覚醒した綾人の無差別攻撃により彼を失い、その後、人ではなくなった綾人に向けて銃を乱射し、泣き崩れる。
八雲 総一(やくも そういち)
声優:宮田幸季
TERRA副司令。階級は少佐。物腰が柔らく甘いマスクの好青年。一見頼りなさそうにも見えるが、功刀の信頼は絶大であり、外見に似合わぬ大胆な作戦行動で功刀の不在時にも遜色なくTERRAを指揮する。
功刀の戦死後はTERRAの長官に就任するが、リーリャリトヴァクでの作戦指揮中に、覚醒した綾人の攻撃の巻き添えになってしまう。その昔、四方田も憧れていた伝説的なハッカーであったことを知る者は少ない。
五味 勝(ごみ まさる)
声優:田坂秀樹
TERRAのオペレーター。堅物な性格で、常に本を読んでいる。四方田の事を煙たがっているが、共に行動する事が多い。久遠に好意を抱いている。四方田とのコンビは「ゴミヨモ」と呼ばれる事がある。
四方田 洋平(よもだ ようへい)
声優:原沢勝広
TERRAのオペレーター。陽気な性格で眼鏡にドレッドヘアーという風貌であるが、オペレートの時は的確な指示を見せる。五味同様久遠に好意を抱いている。
如月 樹(きさらぎ いつき)
声優:宮本充、少年時代:平松晶子
TERRAに所属する科学者。博士号を持ち、専門はネリヤ遺跡やオーパーツの研究。如月久遠の兄であり、ラーゼフォンの研究や、久遠の体調管理を行っている。普段は柔和な態度を崩さないが、時折その表情には深い絶望や嫉妬が浮かぶ。それを見抜いているのは、唯一、一色真のみである。
ランクBの奏者(ラーゼフォンのパイロット)候補の一人として、真やヘレナと共に育てられた。久遠を遺伝子上の母に持つ、綾人の双子の弟。腹には綾人と全く同じアザがある。「兄の代用品」としての自分に深くコンプレックスを抱いている。同じく「代用品」である立場にあった真とは、苦悩と秘密を共有していた仲。
遙と同じ奈良県内の大学を卒業している。2人は学生時代には付き合っていたが、現在は別れている。ただし、樹の方は今でも未練を残しており、助手の小夜子から、好意を寄せられていても、それに答える気は全くない程(その気持ちを知りつつ、いい様に利用するという、ズルい側面も見られた)。
表向きは、TERRA所属の科学者となっているが、実は真と同様に、バーベム財団から送り込まれた人間である。ただし、綾人や久遠の扱いについては、財団の方針に否定的だった。財団とTERRA内での、立場の微妙な狭間から、結果的に真を見捨てる形となってしまい、密かに苦悩していた。ギリギリまで周囲に、自分の感情を抑制し続けたが、真の死を目の当たりにして、遂に爆発させる。その死さえも「できそこない」の一言で切り捨てるヘレナ(=バーベム)の冷酷さに激怒し、彼女を殺そうとするが、思いつめた小夜子によって、刺殺されてしまう。
七森 小夜子(ななもり さよこ)
声優:田中敦子
樹の助手で研究員。遙の友人。樹に好意を寄せており、樹に近づく女性を排除にかかる。そのため、元恋人・遙に対しても複雑な感情を持っている。樹にとって有利になると判断すれば、打算的な行動も厭わない。それ故に、一時期、一色真と関係を持っていたこともある。打算と頭では割り切りつつも、彼女自身、密かにその逢瀬を愉しんでいたフシ(12話)が見られるなど、感情面では、かなり引きずられており、樹への満たされない想いを、一色で代用していたようだ。この屈折して不安定な情緒は、家族からの愛情を受けられなかった過去(あるいはその被害妄想)に起因し、その隙をMUにも突かれることになった(8話)。
実は、彼女もまたバーベムによって作られた「久遠の代用品」(バージョン7.34)であり、万が一の事態に備えて、次世代の奏者を宿す母体として、用意されていた存在だった。樹への執着や自身の過去は、全てその目的の為にのみ、バーベムによって予めプログラムされていたもの(一時期とはいえ、一色に惹かれたのも、結局、彼が、奏者の遺伝子を持つ者であったためである)で、愛憎の末に樹を刺殺した後、その事実をヘレナ(バーベム)によって知らされ、絶望の中で自害する。
功刀 仁(くぬぎ じん)
声優:中田譲治
TERRAの司令官。綾人に対しては何かときつくあたるシーンが多く見受けられるが、全て彼のことを思っての行動である。冷静沈着な性格。冷徹な印象を感じさせる容姿だが、人望は厚い。青い小鳥にミチルと名付け飼っているが、これは娘の名でもある。小説「ラーゼフォン 夢見る卵 」では八雲との出会いが描かれており、現在の八雲の人格形成におけるキーパーソンであることが分かる。
第一次MU大戦時には九鬼正義の部下であったが、その時に知らずとはいえ娘・美智瑠のいる仙台に戦術融合弾を使用。結果、娘を殺めてしまったことへの罪の意識を引きずっている。障壁消失後の戦闘で出現した九鬼のドーレムを迎撃するため、総員退避後のニライカナイに一人残り、基地もろとも九鬼と刺し違える形でこれを消滅させた。
劇場版では最後まで生き残り、原作での弐神の最後の役割を担当。予想外の調律を迎えた事に動揺したヘレナ(バーベム)を射殺した。
六道 翔吾(りくどう しょうご)
声優:大塚周夫
遙と恵の叔父。奈良で2人を養っていた。ニライカナイでの綾人の寄宿先の主。考古学者で、数十年前にニライカナイのネリヤ神殿で逆神隠しによって現れた少女を発見した。現在は一線を退き半ば隠居状態。恵に対しては父親代わりを意識して振舞うことが多い。功刀らの相談相手としての顔も持つ人格者。
エルフィ・ハディヤット
声優:杉本ゆう
α小隊の隊長。地球連合のパイロット。インドネシア出身。コールサインは「ブンガ・マワール」(Bunga Mawarインドネシア語で薔薇の花びらの意)。オーバーロード作戦に参加した戦闘機パイロットで同作戦で唯一の生き残り。遙とはオーバーロード作戦以来親しくしているが、小夜子とはあまり親しくないようである。普段は任務遂行のみに徹する軍人らしい性格だが、酒癖が悪く酔うと「お姉さんにロックオン」を迫る等一変して暴走する。一方で綾人が戦うことをあまり良く思っておらず、何とかやめさせようとする優しい一面も。物語の途中でTERRAに配属され、「ヴァーミリオン」に乗り換える。
障壁消失後の戦闘でヴァーミリオンは大破するもののドーレム「オブリガード」を撃破するため引き続き晨星II型で出撃。しかし、覚醒した綾人の巻き添えを喰らい戦死してしまう。
キャシー・マクマホン
声優:荒木香恵
α小隊の隊員。コールサインは「じゃじゃホース」。階級は少尉。すぐにムキになり易い感情的な性格。エルフィの呼びかけでTERRAに参加。ロックンロールを好む。
障壁消失後ドーレム「アレグレット」に敗れ、戦死する。
ドニー・ウォン
声優:松本大
α小隊の隊員。コールサインは「東風」。階級は少尉。風水に通じている。エルフィの呼びかけでTERRAに参加。エルフィに好意を抱いている。
エルフィと食事の約束をするが、その直後のドーレム「オブリガート」との戦闘で身体をコクピットごと両断され、α小隊最初の戦死者となった。
ジャン・パトリック・シャプラン
声優:ふみおき
α小隊の隊員。コールサインは「マエストロ」。階級は大尉。ベテランの黒人。エルフィの呼びかけでTERRAに参加。過去エルフィの教官だった。
障壁消失後の戦闘で被弾したエルフィを助けるために、機体を盾にし大破させる。その後脱出するが、メゾフォルテに捕まり脱出ポッドごと潰された。
一色 真(いっしき まこと)
声優:関俊彦、少年時代:朴璐美
地球連合監察官で20話以降はTERRA臨時司令。バーベム財団から送り込まれた人間で、エリート意識が強く高慢な物言いをする。そのため、周囲からは「白ヘビ」と揶揄されていた。現在では性格は歪んでいるが、本来はとても優しい性格をしており、少年時代や『ラーゼフォン 蒼穹幻想曲』ではそうした一面を見る事ができる。ちなみにCDドラマでは、TERRA全女子職員のアンケートで「口先だけっぽい男」「爬虫類っぽい人」「変態っぽいHをしそうな人」「恨み日記をつけていそうな人」の各部門でNo.1に輝き(?)、バレンタインデーに誰からもチョコレートを貰えず、バレンタインデーをよく理解していない久遠から貰ったチョコを号泣しながら食べる等、悲惨な扱いを受けている。
樹、ヘレナと共に奏者候補として育てられたが、2人よりもランク(ランクD)が低い奏者であることがトラウマになっており、特に「D」という言葉に強い拒絶反応を示す。尚、ランクDは量産型の意であり、15話「子供たちの夜」で登場した『先生』やシュバルツァーのパイロットは、全て彼と同じ顔をしている。その中でも、彼は寿命が延びた最新型のバージョン『3.20』で、幼少の頃に知らぬまま実験用ドーレム(15話)と同調し、奏者としての資質の片鱗を見せる。自分の素顔を晒すことも許されていない、その他大勢のDシリーズ達の中で唯一、固有名を与えられ、英才教育を受けた彼は、確かに『選ばれた種』(15話より)であったはずだった。
結局、奏者にはなり得ず、それ以降は、常に自分の存在価値と意味を模索して生きてきた。事あるごとに神名綾人に対して苛立ち威圧高に詰るのは、つまるところ奏者としての、価値を無くした者の、劣等感の裏返しに過ぎない。また、樹の幼馴染として、彼の苦悩も充分熟知している為、なおさら、その存在が許せず、嫌悪感に拍車をかけたようだ。
その後、神名綾人逃亡の責任追求から功刀仁を更迭し、TERRA臨時司令となるが、全精力を賭けたダウンフォール作戦が失敗し、TOKYO JUPITER自体は消滅したが、結果的にMUの戦力を世界に拡散させてしまった。ただし、この作戦は、敢えてそうなる様、周囲(イシュトリの精神操作、及び八雲達の情報隠蔽、そして障壁消滅の為の、捨石にするというバーベムの目論見)によってあらかじめ仕組まれていたものだった。最初で最後の作戦名もまた「D」作戦だったのは、まさに皮肉としか言いようがない。
TERRA臨時司令の任を解かれ、唯一、心を開いていた樹には裏切られ(と真は解釈している)、財団からも見捨てられたことから、遂に精神の均衡を崩す。艦艇に監禁されていたが、25話で連行しに来た兵士達を殺害し脱走、更にシュバルツァーのパイロットの生き残り三名と執事及びバーベム卿を射殺(この時既にバーベム卿の魂はヘレナの体に移っていたため、肉体のみで実際には殺せていないが)するも、直後に侍女のライラと相討ちとなり、凄惨な最期を迎えた。
朝比奈 浩子(あさひな ひろこ)
声優:かかずゆみ
綾人がTOKYO JUPITERにいた時のクラスメイト。鳥飼とは恋人同士であるが、本当は綾人のことを想っている。首都侵攻作戦時に怪我を負う。
MUの記憶操作を知らないうちに受けており、鳥飼と綾人どちらと先に出会ったか忘れている。しかし、わざと他の者より洗脳が弱くされており、周りの人間の異変に気づきTOKYO JUPITER内の人間には見えないようになっているドーレム「メトロノーム」が見えている。
劇場版では準ヒロインに昇格しており、綾人が遙と結ばれた際にはショックのあまりに涙を流し、その悲しみを忘れたいが為に鳥飼と付き合っていたようである。また、彼女の最期を描く「ブルーフレンド」は本編の中でも屈指の名シーンとしてファンからの評価は高い。
鳥飼 守(とりがい まもる)
声優:野島裕史
綾人がTOKYO JUPITERにいた時の同級生。よく軽口を叩き、浩子に突っ込まれている為、軽薄な印象を受ける。
綾人とは気軽に話せる友人関係を築いていたが、その正体はムーリアン「シノン・ベル・バラム」。綾人の監視者(ウォッチャー)として、彼の近くにいるために浩子と付き合うが、付き合ううちに本当に彼女を愛するようになった様子。浩子の死をきっかけに綾人に嫉妬を含めた逆恨み的感情を抱き、ドーレム「オブリガート」でラーゼフォンに挑むも覚醒した真聖ラーゼフォンによって一撃で落とされ死亡する。死の間際、彼の脳裏を掠めたのは浩子の笑顔だった。
神名 麻弥(かみな まや)
声優:橋本一子
綾人の母(TV版では義母、劇場版では実母)。研究熱心な為に、家を空けがちな事に内心詫びている。MUでは実力者であり、コンダクターとしての使命を担う。実は、逆神隠しによって現れた少女の一人で、かつて六道の養女として育てられていた。奏者の資格をもっていたが、成長してしまったため資格を失う(映画版では綾人を出産したため資格が綾人に移る)。綾人を奏者とすることに執着し、TOKYO JUPITER事件を引き起こした。本名「マヤウェル・アル・パディス」。
ヘレナ・バーベム
声優:兵藤まこ
エルンスト・フォン・バーベムの秘書的な存在でよく彼のそばにいる。
かつて樹や真とともにランクBの奏者候補として育てられていた。バーベム卿に狂信的な愛情に近い忠誠心を持っており、最後は彼に自身の肉体を精神の器として差し出すことになる。
九鬼 正義(くき まさよし)
声優:大塚芳忠
TOKYO JUPITER内のMU総督府の防衛指揮を執る責任者で、階級は一佐。TERRAの司令官である功刀仁とは浅からぬ因縁がある。麻弥には絶対服従の様子。最大級のドーレム「ラルゴ」で出撃し、ニライカナイを襲撃するも、功刀の策にはまり死亡。
三輪 忍(みわ しのぶ)
声優:浅川悠
TOKYO JUPITER内のMU総督府の副司令官で階級は一尉。状況や戦場に応じてドーレムに指示を出すことが出来る存在。障壁消失後はドーレム「アレグレット」と同調し連合と戦うが、エルフィに倒される。
ブチ
遙がTOKYO JUPITERを脱出した際、拾った二毛猫。ニライカナイに一緒に行き、六道家のペットとなる。
名前の由来は監督・出渕裕の姓(いづぶち)に因むものとされている。
亘理 士郎(わたり しろう)
声優:内海賢二
TERRAの長官。前線は功刀以下の現場の指揮官にまかせ、連合との調整役に徹する。そのため海外との往復が多く、旅先の土産を配るのが半ば趣味となっている(CDドラマでは、それが原因で大騒動となる)。映画版ではキャラクターが整理・統合された結果、登場しない。
なお、元の苗字は「神名」で大学教授をやっており、六道翔吾と共にニライカナイのネリヤ神殿で逆神隠しによって現れた少女を発見した。遺伝子上綾人と樹の父親であるが、最後までそれを明かすことはなかった。尚、TOKYO JUPITER形成前の一時期は、東京に神名麻耶と共に住んでいたようである。
弐神 譲二(ふたがみ じょうじ)
声優:堀勝之祐
天戸通信社の記者としてTERRAを取材するためニライカナイに来島。作品の狂言廻しの役割を担う。映画版には登場しない。
本名は十文字猛で、連合統括部六課の中佐。ラーゼフォンシステムが世界を調律する光に歓喜するバーベム卿に、引導を渡した。
エルンスト・フォン・バーベム
声優:家弓家正
TERRAを財政面、技術面で支援するバーベム財団の当主で、世界を裏から牛耳っている。何代も前から外見が変わらず、メトセラやノスフェラトゥ(吸血鬼の総称で、ここでは「不死」の意)などの呼び名を持つ。
ラーゼフォンシステムの開発者であり、麻耶や久遠からは「ナーカルの兄弟」と呼ばれるMU世界を追放された生粋のムーリアン。自らを「創造主」と称す。何万年も前から自分の意識をクローンに移し変えて生きてきた。ラーゼフォンの覚醒、そしてラーゼフォンによる世界の調律にのみ興味があり、奏者候補を生み出すなど長年にわたって準備を整えてきた。
物語後半でヘレナの肉体に精神を移す。彼の計画が最終段階を迎え、ラーゼフォンシステムの輝きへの歓喜の中で、十文字猛によって引導を渡された。
劇場版では、予想外の展開に動揺していた所を功刀によって引導を渡される。

登場ロボット・兵器・組織等

MU
突如東京に出現した謎の存在。強力な破壊力を持つ巨大兵器「ドーレム」を操る。地球に攻撃を仕掛けてきたというより、まずアメリカが先制攻撃を仕掛けて惨敗、ついで日本がひそかに保有していた核兵器を使用、東京ごと消滅させようとした(これらの事実はすべて隠蔽されている)。
TOKYO JUPITER(東京ジュピター)
核攻撃を受けたMUが東京を覆い隠すために作り出した超巨大ドーム。絶対障壁と呼ばれる破壊不可能な壁で覆われ、東京に住む約2千万人もの人々を中に閉じ込めた。障壁が木星の表面に似た模様を持っている事からこう呼ばれる。TOKYO JUPITER内では時間が6分の1ほどの早さで進むため、ドームの外部とは約12年分の時間差(遅れ)が生じている。内部の住人はMUによる洗脳を受けており、自分たちがドームの内側に幽閉されていることも意識になく、ドーレムが暴れ回っても全く気にしない(なおラーゼフォン出現時はドーレムが関係したためか、幽閉された人間は同じように気にしていない)。
また、中の人間は次第にムーリアンに変化していき、奏者となるものもいる。
TERRA
MUおよびTOKYO JUPITERを攻略するために日本で組織された、地球連合傘下の研究機関。エンブレムの外郭に刻まれた『TERENO EMPIREO RAPIDMOVA REAKCII ARMEO(最高天特区機動軍)』の総称から判るとおり、れっきとした軍事組織である。功刀の言ではD1(ドーレム)の殲滅が最優先目的で、人命救助の為の機関ではないとのこと。当事国である日本人が構成員の大半を占める関係から、TERRA内部では基本的に日本語が使われるが、地球連合内では公用語としてエスペラント語を使用する(TERRAのネーミングもこれを反映させたことによる)。
ニライカナイ
九州沖にある根来島と、人工の島である神至市を総称した呼び方。根来島には祠や六道家がある。神至市にはネリヤ神殿やTERRA本部がある。
ラーゼフォン
TOKYO JUPITERの地下から出てきた謎の巨大ロボット兵器。通称5A。TOKYO JUPITERから脱出した後はTERRAの兵器として使用される。非戦闘状態では頭部脇についている羽が顔を隠しており、綾人が乗ると同時に目を覆うバイザーが収納され、赤い目が開眼される。さまざまな正体不明の武器を使い(ゲーム版である『蒼穹幻想曲』や『スーパーロボット大戦MX』では武器の名前は明記されていた)、その圧倒的な力と生物的なデザインは、ロボットというより巨神に近い。劇中では使用法がわからずTERRA内で綾人を乗せて実験なども行われた。綾人の意識に呼応して赤い目が額に隠れ“真実の目”が現れる。
ベルゼフォン
最終楽章で覚醒した久遠が呼び出したもう一つのラーゼフォン。女性形のデザインをしている。
「男神」ラーゼフォンと「女神」ベルゼフォンが顔を合わせたとき、物語と世界は終局に向かう。
ヴァーミリオン
バーベム財団から供与された巨大ロボット兵器。
携行火器のバウスガザルはレールガンと波動光弾の発振機を備え、光弾は岩礁ひとつを軽く消し飛ばし、レールガンはドーレムを一撃で消滅させる力を持っている。しかし、防御は著しく脆弱で意外に弱い。
コクピットはTERRAや地球連合軍の戦闘機、晨星II型に酷似しており訓練さえ積めば特殊な力が無くても操縦することが可能。
第20楽章では量産されており、α小隊によって運用されていた。
その実態は第15楽章に登場した泥人形であり、外装内にバーベムの屋敷と同じ力場を発生させることで、その形状を維持している。ドーレムを模して作られた地球製ドーレムとも言うべき存在。何らかの理由でラーゼフォンが調律に使用できなくなった際に使う「保険」であったようだが、久遠からは「穢れた鏡」と評されている。エルフィ機を除いて全滅し、かろうじて生還したエルフィ機も、装甲から素体が覗ける程に損傷がひどく、最終的に乗り捨てられる。
シュバルツァー
ヴァーミリオンの発展型。その名称の通り、頭部を除けば、まさに「黒いヴァーミリオン」という外観をしている。MUとの最終決戦において六機が投入された。すべて一色真と全く同じ姿をしたクローンが操縦している。強化型バウスガザルで海域丸ごとドーレムを蒸発させる等、ヴァーミリオン以上の活躍を見せたが、そのうち二機はアレグレットとメゾフォルテの挟撃で撃墜され、一機はオブリガートの一撃で撃破される。残りのパイロットとともに撤退した三体がまだ残存しているはずなのだが、二度と出番は訪れなかった。
ドーレム
MUが操る巨大兵器。破壊音波やビーム砲などの強力な武装を持ち、通常兵器では歯が立たない。その尖兵とも言える小型兵器はドーテムと称される。いずれもMU側の呼称であり、TERRAではそれぞれD1D2と呼ぶ。出現時に「D1アリア」と呼ばれる固有の音紋を持つ歌のようなものを発生させ、これを検知することでTERRAはD1の襲来を確認する。
奏者(パイロット)による思考制御で動き、ドーレムが損傷すると奏者も傷つく。そしてドーレムが破壊されると奏者も死亡する。
メトロノーム
TOKYO JUPITER内の空中を浮遊し複数存在するドーレム。侵入者があると攻撃してくる。全長90メートル。
メゾフォルテ
ダウンフォール作戦後に出現したドーレム。音叉に似た形状をしており、ビームを発射する。なお音叉の開口部は任意で閉じれる模様。全長78メートル。
アレグレット
劇中一番多く登場するドーレム。巨大な羽をもつフォルム。額部分からプラズマ破光を発射する。最終的には三輪と同調、エルフィに倒される。全長58メートル。
フォルテシモ
左右非対称のフォルムをもつ。口の部分から高周波を発する。全長56メートル。
グラーベ
弦楽器のような形状をしている。触手を伸ばして金属を侵食する攻撃を行う。全長110メートル。
リタルダンド
オーロラと共に出現する。物体を地面の下に沈下させる能力がある。かつて8つの都市と600万の人々を消滅させた。全長120メートル。
フォルツァンド
雲の中に潜み、体内からドーテムを発進させる。移動要塞のような役割を果たしている。全長4700メートル。
スフォルツァンド
氷のようなドーレム。破壊されたフォルツァンドの核が、小夜子を取りこんで成長したもの。気候を操り寒波を起こした。全長290メートル。
ラルゲット
太平洋上でα小隊とラーゼフォンと交戦した。光線を発射して攻撃する。全長100メートル。
ビバーチェ
流線型の形状をしたドーレム。ラーゼフォンの口からドーレム結石を送り綾人の精神を操ろうとした。全長115メートル。
ファルセット
キノコ状のドーレム。胴体が分かれると中にもう一体潜んでおり、ラーゼフォンを飲みこもうとした。全長120メートル。
アルペジオ
衛星軌道上に出現したドーレム。久遠と綾人に麻弥からのメッセージを伝えた。全長は計測不能。
オルタネート
2体に分離して攻撃をしかけてくるドーレム。全長49メートル。
ヴィブラート
すでにムーリアンと化していた浩子と同調したドーレム。フードをかぶったような姿をし、足に当たる部分の突起で攻撃する。何も気づかぬ綾人のラーゼフォンと戦闘、というよりほぼ一方的に破壊されながら、電光掲示板やテレビ等に隠していた本心を流し続ける。綾人がそれに気づいたのはヴィブラートを破壊した後であり、当然浩子はすでに死亡していた。全長37メートル。
スタッカート
麻弥に付き添う小型ドーレム。全長2.35メートル。
ラルゴ
東京を売ってムーリアンとなった九鬼が操るドーレム。ドーレム中最大級の都市並みの大きさを誇り、下部に無数のプラズマビーム発射口を備える。その強大な力で各都市を壊滅させ、ニライカナイに迫るが、功刀のジュピター自爆攻撃を受け消滅した。全長2600メートル。
オブリガート
守が操るドーレム。ドーレムの中でも最強クラスの戦闘能力を誇る。戦闘の際にはブリランテに乗る。ドーレムで唯一男性的なデザイン。全長54メートル。
綾人個人を浩子の仇と付け狙うが、覚醒した綾人(ラーゼフォン)によって撃破された。
ブリランテ
台座のような形をしたドーレム。オブリガートを乗せて飛行する。高速移動により衝撃波を発する。全長65メートル。
ムーリアン
TOKYO JUPITERを支配する青い血の異界の人間。麻弥を女王とする女系支配を敷いている。体のどこかに特殊な形のアザがある。ほとんどの奏者はムーリアン。
リーリャ・リトヴァク
TERRA所属の特務航空母艦で全長465m。2隻の空母を双胴船のように接合させた形状をしており、艦首中央に電磁カタパルトを有する。オーバーロード作戦ではTOKYO JUPITERを脱した遙と綾人を収容し、ニライカナイへ搬送する。ドーレム部隊との交戦で中破し、行動不能のところを覚醒した綾人が放った波動に巻き込まれ消滅した。α小隊の乗機、晨星II型も本艦の艦載機である。艦名は第二次世界大戦当時のソ連の女性パイロット、リディア・リトヴァクとその愛称「リーリャ(百合)」にちなんだもの。
F-2改
MU総督府の監理する首都防衛軍が保有する戦闘機。大きなウイングレットを備えたデルタ翼が特徴。時間の経過が遅れている東京では最新鋭機であったが、対ドーレム戦を想定して開発された国連の最新鋭機には歯が立たず、次々と撃ち落されていった。劇場版ではTOKYO JUPITER出現時にも登場し、こちらは航空自衛隊所属であったが、やはりMUのドーテムやドーレムに多数が被撃墜されており、不遇のキャラクターである。航空自衛隊の装備として実在するF-2(日米共同開発)とは異なる架空戦闘機ではあるものの、FS-X開発計画検討当時における国内主要重工メーカー5社による提案(所謂『五社案』)の姿に極めて近く、これを以って外見的特徴を2000年代の戦闘機らしくリファインした、存在したかもしれない『幻の国産戦闘機』がF-2改の発想の原点であると考えられる。

以上で物語・作品・登場人物に関する核心部分の記述は終わりです。


スタッフ

主題歌・挿入歌

オープニングテーマ「ヘミソフィア
作詞岩里祐穂作曲編曲: 菅野よう子/歌:坂本真綾
エンディングテーマ「夢の卵」「yume no tamago」(English Version)
作詞・作曲・編曲:橋本一子/歌:橋本一子・橋本まゆみ
挿入歌「カトゥンのさだめ」
作詞・作曲・編曲・歌:橋本一子

各話リスト

話数 サブタイトル 脚本 絵コンテ 演出 キャラ作画監督
第1楽章 首都侵攻
- OVER LORD -
出渕裕 京田知己 菅野宏紀
第2楽章 神人(しんじん)目覚める
- AWAKENING -
高山文彦 安藤真裕 伊藤嘉之
第3楽章 二人の街
- Welcome to our town -
桐生祐狩 岡村天斎 横山彰利 富岡隆司
第4楽章 自分の時計
- Watch the year hand -
榎戸洋司 村木靖 斎藤恒徳
第5楽章 ニライカナイ
- On Earth As It Is In Heaven -
京田知己
坂本郷
佐藤育郎 菅野宏紀
長谷部敦史
第6楽章 消滅都市
- Lost Songs Forgotten Melodies -
大河内一楼 横山彰利 水畑健二
第7楽章 集まる日
- Phantom In The Cloud -
村木靖 伊藤嘉之
第8楽章 凍る聖夜
- The Dreaming Stone -
榎戸洋司 岡村天斎 京田知己 富岡隆司
第9楽章 時の祠
- SANCTUARY -
會川昇 河森正治 佐藤育郎 逢坂浩司
小森高博
堀川耕一
特別編集版 翼の記憶
- Memory -
-
第10楽章 追憶のソナタ
- War In The rememberance -
桐生祐狩 安藤真裕 斎藤恒徳
第11楽章 虚邪回路
- NightMare -
小中千昭 京田知己 水畑健二
第12楽章 黒い卵
- Resonance -
横山彰利 伊藤嘉之
第13楽章 人間標本第1号
- Sleeping Beauty -
大河内一楼 岡村天斎 佐藤育郎 入江泰浩
第14楽章 鏡の中の少年
- Time After Time -
大野木寛 安藤真裕 逢坂浩司
小森高博
堀川耕一
第15楽章 子供たちの夜
- Child Hood's End -
磯光雄 菅野宏紀
第16楽章 他人の島
- The Moon Princess -
大野木寛 京田知己 斎藤恒徳
第17楽章 迷宮への帰還
- Ground Zero -
小中千昭 増井壮一 水畑健二
第18楽章 蒼き血の絆
- The Memory Of A Lost City -
横山彰利 小平佳幸
第19楽章 ブルーフレンド
- Ticket to Nowhere -
高山文彦 京田知己 入江泰浩
第20楽章 綾なす人の戦い
- Interested Parties -
榎戸洋司 安藤真裕 工藤進 桑名郁郎
第21楽章 ゼフォンの刻印
- Good Bye My Friend -
大野木寛 増井壮一 佐藤育郎 菅野宏紀
第22楽章 木星消滅作戦
- Down Fall -
京田知己
仕舞屋鉄
京田知己 伊藤嘉之
第23楽章 ここより永遠(とわ)
- Where The Sweet Bird Song -
大河内一楼 安藤真裕 富岡隆司
第24楽章 調律への扉
- Twin Music -
小中千昭 横山彰利 水畑健二
第25楽章 神の不確かな音
- Deus Ex Machina -
増井壮一 斎藤恒徳
最終楽章 遙か久遠の彼方
- Time Enough For Love -
大野木寛 京田知己 菅野宏紀

放送局

開始開始当時

劇場版

ラーゼフォン 多元変奏曲
2003年4月19日に松竹系で公開。テレビアニメ版の総集編に当たるが、ストーリー及び設定の変更が行われており、一種のリメイクでもある。
  • 監督:京田知己
  • 総監督:出渕裕
  • 音楽:橋本一子
エンディングテーマ「tune the rainbow
作詞:岩里祐穂/作曲・編曲:菅野よう子/歌:坂本真綾

ゲーム

ラーゼフォン 蒼穹幻想曲
2003年8月7日バンダイより発売。プレイステーション2用ソフト。開発は株式会社シェード。
限定版にはOVA(オリジナルビデオアニメーション)『彼女と彼女自身と』を始めとした、特典映像DVDが付属。
綾人を操作するアドベンチャーパートと、ラーゼフォンを操作する戦闘パートで構成されている。
選択肢によって綾人がMUに味方したりと、原作とは異なるストーリーを楽しむことが出来る。
スーパーロボット大戦MX
2004年5月27日バンプレストより発売。プレイステーション2用ソフト。2005年12月29日には『スーパーロボット大戦MX ポータブル』としてPSPに移植されている。
原作アニメでは説明不足であった「調律」の具体的内容等がシナリオ上で補足されている。又、概要に記載されている様に、オマージュとされている勇者ライディーンとの共演や、原作のストーリーを基にしているが、原作とは若干違う展開がなされている。
スーパーロボット大戦Scramble Commander the 2nd
2007年11月1日バンプレストより発売。プレイステーション2用ソフト。
上記「MX」同様ストーリーの中核を担っている。本作でも勇者ライディーンとの共演を果たしているが、同作との絡みはやや少なめになっている。
その分ゲームオリジナルのキャラクターと絡む事が多く、主人公・ケイジやヒロイン・バレンティナに大きな影響を与えている。

書籍

マンガ

ラーゼフォン(全3巻)
原作 BONES・出渕裕/作画 百瀬武昭/発行 サンデーGXコミックス 小学館
世界観の設定等はアニメ版と共通するが、ほとんどの登場人物の性格や設定が大きく異なり、アニメ版とは異なる作品と見られることが多い。

小説

ラーゼフォン(全5巻)
(原作 BONES・出渕裕/著 大野木寛/出版社 メディアファクトリー)
テレビアニメ版のノベライズ。ただし、綾人が遥より一年先輩だったり等、
ヴァーミリオンの能力や、シュヴァルツァーの扱い等、
テレビ本編とは設定や展開が若干変更されている。
ラーゼフォン 夢見る卵
(原作 BONES・出渕裕/著 大野木寛/出版社 メディアファクトリー)
テレビアニメ版の番外編的なサイド・ストーリーを収録した短編集。
ラーゼフォン 時間調律師
(原作 BONES・出渕裕/著 神林長平/出版社 徳間デュアル文庫
原作の設定を基にしたシェアワールド・ノベル。

画集

山田章博の世界~ラーゼフォン アートワークス~
(2003年7月7日/発行 ソフトバンクパブリッシング) ISBN 4797323167
キャラクターデザインの山田章博による人物設定画集。
画集ラーゼフォン
(2003年4月18日/発行 メディアファクトリー) ISBN 4840107440

CD

全てビクターエンタテインメントより発売。

サウンドトラック

全て音楽の橋本一子によるもの。

  • 『ラーゼフォン O.S.T.1』 (2002年5月2日)
  • 『ラーゼフォン O.S.T.2』 (2002年6月21日)
  • 『ラーゼフォン O.S.T.3』 (2002年8月21日)
  • 『ラーゼフォン 多元変奏曲 O.S.T.』 (2003年4月23日)
  • 『ラーゼフォン CD-BOX』 (2007年)

CDドラマ

  • 『ラーゼフォン サウンド・ドラマ』 (2002年9月4日)

その他

  • 「東京ジュピター」の名称・設定は小松左京原作の映画『さよならジュピター』『首都消失』に因んでおり、劇中に両作のポスターが映るシーンがある。ドーレムの呼称である「D1」「D2」も小松の小説・映画『日本沈没』に登場するプロジェクト名「D1/D2計画」に因んだものとみられる。
  • また各話のサブタイトルも、日本語、英語いずれの表記とも、SF小説特撮作品に因むものがいくつか見られる。
  • 本作の後、ボンズが2006年に制作した『桜蘭高校ホスト部』で登場人物の一人が如月久遠のコスプレ(腹部のアザと紫の傘)姿で登場し、作中の台詞を引用するシーンがある。ここでは背景として久遠本人や東京ジュピターも書かれている。なおそれを見た主人公・藤岡ハルヒなどの反応は「わからない」といったものだった。ハルヒ役が本作のヒロイン・美嶋玲香役の坂本真綾である[5]事、久遠の口癖が「ホスト部」の掲載誌と同じ語呂である事から、本作に参加した脚本家であり『ホスト部』ではシリーズ構成を務めた榎戸洋司のお遊びと思われる。

脚注

  1. ^ ゲーム『スーパーロボット大戦MX』においては、同時に参戦したライディーンとの共闘も見られた。
  2. ^ フジテレビの深夜アニメではそれ以前に「HELLSING」(サンテレビにネット)、「頭文字D」(KBS京都にネット、後に毎日放送でも放映)で同様のケースがあった。ほぼ同時期のテレビ朝日で放映の深夜アニメの一部でも見られた現象であるが、近年ではTBSCBC制作作品でも同様の例が生じている。
  3. ^ 『同一シリーズ作品』で各シリーズによって全日帯と深夜帯に放映時間帯が分かれる例とは異なる事を断っておく。
  4. ^ 一部の全日帯アニメ作品でも同様の理由で枠降格となる例があるが、殆どは同じ全日帯の時間帯内である。
  5. ^ ちなみに、アニメ化以前に掲載誌の企画でリリースされたCDドラマ版では、偶然にもハルヒ役を本作では(玲香のオリジナルともいえる)メインヒロイン・紫東遙役の久川綾が声を担当していた。

関連項目

外部リンク

フジテレビ 平日夕方アニメ枠
前番組 番組名 次番組
パラッパラッパー
※金曜16:55~17:25
ラーゼフォン
※月曜16:25~16:55
枠消滅
フジテレビ 火曜深夜アニメ枠
-
ラーゼフォン

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