OpenDocument

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OpenDocument Text
X-office-document.svg
拡張子 .odt
MIMEタイプ application/vnd.oasis.
opendocument.text
開発者 OASIS
種別 ワープロソフトフォーマット
国際標準 ISO/IEC 26300
OpenDocument Spreadsheet
X-office-spreadsheet.svg
拡張子 .ods
MIMEタイプ application/vnd.oasis.
opendocument.spreadsheet
開発者 OASIS
種別 表計算ソフトフォーマット
国際標準 ISO/IEC 26300
OpenDocument Presentation
X-office-presentation.svg
拡張子 .odp
MIMEタイプ application/vnd.oasis.
opendocument.presentation
開発者 OASIS
種別 プレゼンテーションソフトウェアフォーマット
国際標準 ISO/IEC 26300
OpenDocument Database
拡張子 .odb
MIMEタイプ application/vnd.oasis.
opendocument.database
開発者 OASIS
種別 データベースフォーマット
国際標準 ISO/IEC 26300
OpenDocument Graphics
X-office-drawing.svg
拡張子 .odg
MIMEタイプ application/vnd.oasis.
opendocument.graphics
開発者 OASIS
国際標準 ISO/IEC 26300
OpenDocument Formula
拡張子 .odf
MIMEタイプ application/vnd.oasis.
opendocument.formula
開発者 OASIS
種別 数式処理システムフォーマット
国際標準 ISO/IEC 26300

OpenDocument Format(オープンドキュメント・フォーマット)とは、XMLをベースとしたオフィススイート用のファイルフォーマットである。

構造化情報標準促進協会 (OASIS)[1]国際標準化機構 (ISO) / 国際電気標準会議 (IEC)[2]および日本工業規格 (JIS) [3](JIS X 4401)[4]韓国工業規格[5]ブラジル[6]南アフリカ[7]の標準規格に認定されている。 競合国際規格として、「ISO/IEC 29500:Office Open XML(OpenXML, OOXML) 」がある。

仕様[編集]

ODFは、複数のXMLファイルをZIP形式でデータ圧縮したファイルである。一つの規格でありながら、テキスト表計算(スプレッドシート)、プレゼンテーションの他、数式グラフィックドキュメント、データベースの各形式をサポートしている。

多言語対応となっており、仕様上は、文章・段落・文字列について、各々「言語」及び「又は地域」を指定できるようになっている。

データの記述方法とその(画面上および紙上での)表現方法については一定の規格があるが、詳細な表現方法については各アプリケーションに依存している。そのため、閲覧するオペレーティングシステムやアプリケーションによって、表示される結果が異なることがある。しかし最近ではソフト間の対応によって、これらの問題は改善されつつある。

ODFファイルの中身となっているXMLファイルはそれぞれ次のような内容となっている。

content.xml
テキストコンテンツ
meta.xml
メタ情報。
settings.xml
設定情報
styles.xml
テキストのスタイル情報
meta-inf/manifest.xml
XMLファイルの構造
Thumbnails/thumbnail.png
サムネイル画像(必須ではない)

拡張子[編集]

ファイルの種類 拡張形式 MIMEタイプ ODF仕様
ワープロ .odt application/vnd.oasis.opendocument.text 1.0-
表計算 .ods application/vnd.oasis.opendocument.spreadsheet 1.0-
プレゼンテーション .odp application/vnd.oasis.opendocument.presentation 1.0-
図形 .odg application/vnd.oasis.opendocument.graphics 1.0-
グラフ .odc application/vnd.oasis.opendocument.chart 1.0-
数式 .odf application/vnd.oasis.opendocument.formula 1.0-
イメージ .odi application/vnd.oasis.opendocument.image 1.0-
マスタードキュメント .odm application/vnd.oasis.opendocument.text-master 1.0-
データーベース .odb application/vnd.oasis.opendocument.base 1.2-[8]

バージョン[編集]

  • OpenDocument 1.0
    OpenDocument 1.0 は2005年5月1日にOASIS標準規格として承認された規格である。
  • OpenDocument 1.0 (second edition)
    OpenDocument 1.0 (Second edition)は、2006年5月1日にISO/IEC 26300:2006 として公開された規格である。これはOASISによる Committee Specification を含み、JTC1 ballot のコメントを検討した上で、編集上の修正がなされたものである。国際規格化されたことに伴い、2007年に韓国工業規格 KS X ISO IEC 26300、2008年にブラジルABNT NBR ISO/IEC 26300、南アフリカSANS 26300 の各国で相次いで規格化された。日本に於いては、2010年にJIS X 4401:2010として規格化された。
  • OpenDocument 1.1
    OpenDocument 1.1 は2006年10月19日にOASISにより策定された規格である。アクセシビリティの観点から諸機能が追加された[9]。また、"The Open Document Format for Office Applications (OpenDocument) Specification"の バージョン1.1が、2007年1月16日に行われた投票の結果、OASIS標準規格として2月1日に承認された[10][11]。このことは2007年2月13日に公式に発表された[12]。この規格は、2012年3月8日に ISO/IEC 26300:2006/Amd 1:2012 - Open Document Format for Office Applications (OpenDocument) v1.1として公開された。[13][14]
  • OpenDocument 1.2
    OpenDocument 1.2 は2011年10月5日にOASIS標準規格として承認された規格である。RDFベースのメタデータOpenFormulaに基づくスプレッドシートの計算式等の標準化などが行われた[15]。この規格は2015年6月17日に ISO/IEC 26300:2015として公開された。[16][17][18]

経緯[編集]

LaTeXを除くワードプロセッサのデータは個々のベンダーがそれぞれ独自に開発したデータ形式を使われるが、これには次のような問題がある。

互換性が無い
複数のデータ形式は互換性がない。特定の製品で作成したデータは、基本的に他社の製品では使用することができない。
仕様が非公開
データ形式は公開されていないため、第三者が相互変換のためのツールを作成するなどの対策を行うことや対応するシステムを開発することは困難である。

このことは、既に広く使われている製品を選択せざるを得ない状況を生み、特定製品に依存するシステムを生むため、営業戦略において効果的であった。実際、MS-DOS全盛時代において表計算ソフトLotus 1-2-3、日本国内でワープロソフト一太郎を普及させ、Windows全盛期においてはオフィススイート製品の分野においてMicrosoft Officeの独占に近い状態をもたらした一因ともなっている。

このように、特定ベンダによって独占されたファイル形式に依存すること(ベンダロックイン)は、コンピュータの環境が変わると過去のドキュメントの参照や編集ができなくなるなど、知的資産としてのドキュメントの存在意義を低下させる上に、電子文書の活用を妨げるものでもあった。そのため、特定ベンダに独占されないオープンなファイル形式(オープンフォーマット)の要求がおきた。

また、Microsoft Officeが提供されていないオペレーティングシステムLinuxなど)の普及に伴い、Microsoft Officeとデータを交換できるオフィススイート向けファイル形式も必要とされていた。

これらの影響をうけて、オフィススイート共通のドキュメントファイル形式を策定する動きが起こり、特定のベンダーに依存しないオフィススイートのためのファイル形式として、OASISのオフィス文書のためのオープン文書形式技術委員会によって策定された。なお、策定開始時の仕様は、サン・マイクロシステムズが「OpenOffice.org」のファイル形式をもとに作成したものである。

反応[編集]

支持団体[編集]

OpenDocumentは、一部の公共団体、企業とソフトウェア製品から支持されている。

[20][21]

採用[編集]

組織 採用時期 備考
国土交通省(日本) 2007年 2007年頃から申請書などでODF形式を採用[22]
マサチューセッツ州政府(アメリカ) 2007年01月01日 2005年9月2日に米国マサチューセッツ州が2007年1月1日以降の同州の公文書のフォーマットをODFとする方針を発表した。その後、担当者の辞任等が相次ぎ、2007年8月1日、マサチューセッツ州は、ODFに加えOOXMLを同州の公文書フォーマットの一つとして追加採用する方針を発表している。
マレーシア政府 2007年08月 2007年8月、ODF形式をマレーシアの公共機関で採用する計画を発表[23]
ベルギー政府 2007年09月 ベルギー政府は、2007年9月から連邦政府全省庁でODFの可読を義務化、2008 年9 月からODF を文書交換用ファイル形式として採用した[24]
会津若松市役所(日本) 2008年08月 2008年8月よりOpenOffice.orgを標準ソフトとして840台に導入し、ODF形式を標準フォーマットとして採用した[25]
交野市役所(日本) 2010年07月 Microsoft Office 2007ならびに2010年7月からOpenOffice.orgを標準ソフトとして導入し、ODF形式を標準フォーマットとして採用した[26]
経済産業省(日本) 2011年 2011年ごろから一部調達仕様により、ISO 26300(ODF)形式により保存したファイルの納品を要求[27]
徳島県庁(日本) 2011年07月01日 2011年7月1日からOpenOffice.orgを標準ソフトと位置付け約4,000台に導入し、ODF形式を標準フォーマットとして採用した[28]
JA福岡 2011年12月06日 2011年12月6日からLibreOfficeを標準ソフトとして約400台に導入、ODFを標準フォーマットとして採用した[29]
甲賀市役所(日本) 2012年04月 2012年4月ごろよりLibreOfficeを導入。ODFを標準フォーマットとして採用 [30]
ポルトガル政府 2012年11月 ポルトガル政府は、2012年11月、ODF形式を採用[31]
イギリス政府 2014年06月 イギリス政府は、2014年6月、政府が利用する外部交換用文書形式としてODF採用を発表 [32]
フランス政府 2015年07月 2015年7月、フランス政府は政府内で利用する文書形式としてODFの利用を確認。OOXMLの利用は却下された。[33]
北大西洋条約機構 義務的な利用[34]

アプリケーションソフトウェアの対応[編集]

批判[編集]

ODF1.0、1.1は、規格の完成度が低いという批判が構造化文書の専門家から為されてきた[37]

  • OASIS ODF 1.0、1.1、ISO/IEC 26300:2006 では、表計算の数式言語、構文、関数が明確に定義されていない[38][39]
  • OASIS ODF 1.0、1.1、ISO/IEC 26300:2006 では、電子署名が定義されていない[40]

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ OpenDocument Format for Office Applications (OpenDocument) v1.0
  2. ^ ISO/IEC 26300:2006 Information technology -- Open Document Format for Office Applications (OpenDocument) v1.0
  3. ^ JIS X 4401:2010 オフィス文書のためのオープン文書形式 (OpenDocument) v1.0
  4. ^ https://www.jisc.go.jp/app/pager?id=980315
  5. ^ http://www.standard.go.kr/CODE02/USER/0B/03/SerKS_View.asp?ks_no=KSXISOIEC26300&OlapCode=STAU020201 KSXISOIEC26300:Information technology - Open Document Format for Office Applications:(OpenDocument) v1.0
  6. ^ http://www.abntcatalogo.com.br/norma.aspx?ID=1549 ABNT NBR ISO/IEC 26300:2008:Information technology - Open document format for office aplications (OpenDocument) v1.0
  7. ^ https://www.sabs.co.za/content/uploads/files/SANS26300%28colour%29.pdf SANS 26300 Information technology - Open technology - Open Document Format for Office Applications (OpenDocument) v1.0
  8. ^ Open Document Format for Office Applications (OpenDocument) Version 1.2, Part 1: Introduction and OpenDocument Schema, Committee Draft 04, 15 December 2009, http://docs.oasis-open.org/office/v1.2/part1/cd04/OpenDocument-v1.2-part1-cd04.html 2010年6月6日閲覧。 
  9. ^ OpenDocument 1.1 Specifications”. OASIS (2006年). 2006年10月31日閲覧。
  10. ^ Approval of OpenDocument v1.1 as OASIS Standard”. OASIS. 2007年2月6日閲覧。
  11. ^ Approval of OpenDocument v1.1 as OASIS Standard”. OASIS. 2007年2月6日閲覧。
  12. ^ Members Approve OpenDocument Version 1.1 as OASIS Standard”. OASIS. 2007年2月15日閲覧。
  13. ^ ISO/IEC 26300:2006/Amd 1:2012 - Open Document Format for Office Applications (OpenDocument) v1.1, (8 March 2012), http://www.iso.org/iso/iso_catalogue/catalogue_tc/catalogue_detail.htm?csnumber=59302 2012年4月12日閲覧。 
  14. ^ ISO/IEC 26300:2006/DAM 1 - OpenDocument v1.1”. 2011年3月29日閲覧。
  15. ^ Geyer, Carol (2011年10月5日). “Members Approve OpenDocument Format (ODF) Version 1.2 as OASIS Standard 2008-02-11”. Oasis`s News. OASIS. 2011年11月26日閲覧。
  16. ^ ISO/IEC 26300-1:2015 - Information technology - Open Document Format for Office Applications (OpenDocument) v1.2 - Part 1: OpenDocument Schema” (2015年5月13日). 2015年6月2日閲覧。
  17. ^ ISO/IEC 26300-2:2015 - Information technology - Open Document Format for Office Applications (OpenDocument) v1.2 - Part 2: Recalculated Formula (OpenFormula) Format” (2015年5月13日). 2015年6月2日閲覧。
  18. ^ ISO/IEC 26300-3:2015 - Information technology - Open Document Format for Office Applications (OpenDocument) v1.2 - Part 3: Packages” (2015年5月13日). 2015年6月2日閲覧。
  19. ^ ODF Alliance members”. ODF Alliance. 2009年5月24日閲覧。
  20. ^ http://odpg.org/ 2014年4月1日閲覧。
  21. ^ http://prtimes.jp/data/corp/666/c71210710583b702b0a4c4e8d49fe578.pdf
  22. ^ http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000233.html
  23. ^ http://www.zdnetasia.com/malaysia-formally-embraces-open-document-format-62030781.htm
  24. ^ http://news.techworld.com/applications/6335/belgium-adopts-opendocument/
  25. ^ http://www.e-aizu.jp/ja/shisei/torikumi/ooo/
  26. ^ http://www.city.katano.osaka.jp/docs/2011082200248/
  27. ^ http://www.meti.go.jp/information_2/downloadfiles/2012032113420107.pdf
  28. ^ http://www.pref.tokushima.jp/docs/2011080900034/files/siryou1.pdf
  29. ^ 高橋信頼 (2011年12月7日). “JA福岡市がLibreOffice導入、MS Officeから移行で約840万円削減見込む”. ITpro. 2011年12月7日閲覧。
  30. ^ http://www.city.koka.lg.jp/item/10035.htm
  31. ^ http://dre.pt/pdf1sdip/2012/11/21600/0646006465.pdf
  32. ^ https://www.gov.uk/government/news/open-document-formats-selected-to-meet-user-needs
  33. ^ https://www.april.org/en/french-government-it-directorate-stands-its-ground-odf-supported-ooxml-rejected
  34. ^ http://nhqc3s.nato.int/architecture/_docs/NISPv2/volume2/ch03s04.html
  35. ^ 2007 Microsoft Office system Service Pack 2”. マイクロソフト (2009年4月30日). 2010年4月18日閲覧。
  36. ^ http://windows.microsoft.com/ja-JP/windows7/Using-WordPad
  37. ^ 村田真. “村田真のXMLブログ - OOXMLとODF アーカイブ”. 2012年2月2日閲覧。
  38. ^ Morten Welinder (Gnome) (2005年6月15日). “OpenDocument for Spreadsheets”. 2011年12月11日閲覧。 “"So there. As far as spreadsheets are concerned, the OpenDocument Standard v1.0 is the equivalent of giving precise punctuation rules for sentences without telling if it is for English, German, French, or something else."”
  39. ^ Marco Fioretti. “OpenDocument office suites lack formula compatibility”. 2008年5月11日閲覧。
  40. ^ Jirka Kosek (DocBook specialist, participating member in OASIS, W3C and ISO/IEC). “From the Office Document Format Battlefield”. 2011年12月11日閲覧。 “"the opendocument format lacks various “enterprise” features, including standardized support for spreadsheet formulas and digital signatures"”

関連項目[編集]

外部リンク[編集]