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ISINコード

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ISINコード(アイシンコード)または国際証券識別番号[1](こくさいしょうけんしきべつばんごう、英語: International Securities Identification NumberISIN)は、ISO 6166によって規定されている、国際的に統一された12桁の証券識別コードである[2]。コードはラテン文字数字によって構成され、例えば「US0378331005」のようになる。

歴史

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ISINコードは1981年に誕生したが、当初はほとんど使用されなかった[3]1989年グループ・オブ・サーティー英語版が国際標準としてISINコードの使用を勧告したことで、使用されるようになった[3]

1990年、ISINの運用における様々な調整を行う機関として、証券コード付番機関協会英語: Association of National Numbering Agencies、ANNA)が設立された[3]

2019年4月、ISINと取引主体識別子(LEI)がリンクされた[4]GLEIF(英: Global Legal Entity Identifier Foundation)から、毎日ISINとLEIの関係性を示すファイルが公開される[4]

規格

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ISINコードは、以下の12桁から構成される[5]

  1. 国名コード - 2桁のラテン文字。
  2. 基本コード - 9桁のラテン文字または数字。国内証券識別番号[6](こくないしょうけんしきべつばんごう、英語: National Securities Identifying NumberNSIN)とも呼ばれる[7]
  3. チェック・ディジット - 1桁の数字。

国名コード

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国名コードは、ISO 3166で規定されているラテン文字2文字が使用される[5]。基本的に企業の本社所在地に基づいて割り当てられるが、一部の国際的に決済される証券の場合は「XS」という特別なコードになる[5][7]

例えばアメリカ合衆国は「US」、中華人民共和国は「CN」、ドイツは「DE」である[8]

基本コード

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基本コードは、9桁の文字または数字からなる[5]。それぞれの国の中で使用されているコードが使われる[5]。もし国内で使用されているコードが9桁より短い場合、前に0をいくつか挿入して9桁になるようにする(ゼロパディング[5]

以下に、いくつかの国で基本コードがどのようになっているか示す。

アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
CUSIP英語版コードをそのまま用いる[9]
イギリスの旗 イギリス
SEDOL英語版コードをそのまま用いる[10]
日本の旗 日本
新証券コードをそのまま用いる[11]。新証券コードは、1桁の発行体属性コード、5桁の発行体固有名コード、3桁の証券種類コードからなるコードである[11]

チェック・ディジット

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チェック・ディジットは、1桁の数字で、そのコードの信頼性を確かめるために使用される[12]。モジュラス10(英語: Modulus 10)のダブル-アッド-ダブル(英: Double-Add-Double)方式を用いて、以下のように計算される[3][12]

  1. コードに含まれる全てのアルファベットを、その文字のASCIIコードから55を引いた数値に変換する。例えばAは10、Bは11になる。
  2. 変換後の数値を1文字ずつ分割し、後ろから数えて奇数番目にある数値を2倍する。
  3. 各桁を全て足し合わせる。このとき、前の手順で2桁になったものは1桁ずつに分割して足す。これをAとする。
  4. Aより大きい10の倍数の中で、最小のものをBとする。BからAを引くと、チェック・ディジットが求まる[注釈 1]

例として、AppleのISINコード「US0378331005」のチェック・ディジットの求め方を示す[12]。このコードの最後の桁「5」はチェック・ディジットなので、それを抜いた「US037833100」について考える。

  1. まずアルファベットを数値に変換する。Uは30、Sは28なので、これは「3028037833100」になる。
  2. これを1文字ずつ分割し、後ろから数えて奇数番目にある数値を2倍する。すると「60480314863200」となる。
  3. この数字の各桁を全て足し合わせると、45になる。これがAとなる。
  4. 45より大きい10の倍数の中で最小のものは50なので、これがBとなる。BからAを引く、つまり50から45を引くと、チェック・ディジットの「5」になる。

付番

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ISINコードの付番は、証券コード付番機関[4](しょうけんコードふばんきかん、英語: national numbering agencyNNA)によって行われる[13]。NNAは各国に存在し、それぞれの管轄区域内においては、特定の一機関しかISINコードを割り当てることができない仕組みになっている[13]。それぞれのNNAは、証券コード付番機関協会(後述)に会員として加盟している[14]

NNAが存在しない地域では、アメリカ合衆国CUSIPグローバル・サービス英語版ドイツのWM Datenservice、およびSIXファイナンシャル インフォメーション英語版の3つの代替機関が付番する[8]。もし新しくNNAが誕生すれば、代替機関からNNAに、円滑に役割を移行することになっている[8]。これにより、世界全体でISINコードを発行する体制が整っている[8]

証券コード付番機関協会

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証券コード付番機関協会[4](しょうけんコードふばんきかんきょうかい、英語: Association of National Numbering AgenciesANNA)は、国際標準化機構の示す規則を守り、ISINコード・FISNコード[注釈 2]・CFIコード[注釈 3]の普及を目指し、金融業界における標準化の促進を目指す組織である[14]国際コード機関協会(こくさいコードきかんきょうかい)と訳されることもある[16]

NNAは、ANNAの持つ Global ISIN Access Mechanism(GIAM)というネットワークと繋がっているため、世界中のISINコードを持つあらゆる証券の情報を照会することができる[3]

脚注

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注釈

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  1. ^ 言い換えると、その値に何を足せば10の倍数になるか考えるということ。数学的に言うと、10をとする10の補数を求めるということ。
  2. ^ FISNコードは「金融商品短縮名称・略称コード」のことで、英語の「Financial Instrument Short Name」の略[15]
  3. ^ CFIコードは「金融商品分類コード」のことで、英語の「Classification of Financial Instruments」の略[15]

出典

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  1. ^ ISIN”. ISIN Organization. 2025年11月25日閲覧。
  2. ^ ISINコード”. 証券用語解説集. 野村證券. 2025年11月29日閲覧。
  3. ^ a b c d e IMF 2002, p. 161.
  4. ^ a b c d ISINとLEIの関係性ファイルをダウンロードする”. GLEIF. 2025年11月28日閲覧。
  5. ^ a b c d e f 国際証券コード体系(ISIN)” (pdf). 日本取引所グループ. 2025年11月26日閲覧。
  6. ^ 石川晶一「エチオピアが政府債券の電子化指針、証券市場のデジタル化を推進」『ビジネス短信』日本貿易振興機構アディスアベバ、2025年7月7日。2025年11月26日閲覧。
  7. ^ a b ISIN” (英語). ISIN Organization. 2025年11月26日閲覧。
  8. ^ a b c d About ANNA Members” (英語). Association of National Numbering Agencies. 2025年11月28日閲覧。
  9. ^ Hayes, Adam (2025年5月27日). “What Is a CUSIP Number, and How Do I Find a Stock or Bond CUSIP?” (英語). Investopedia. 2025年11月29日閲覧。
  10. ^ SEDOL” (英語). Cbonds. 2025年11月29日閲覧。
  11. ^ a b 用語集”. 日本取引所グループ. 2025年11月25日閲覧。
  12. ^ a b c ISIN Format” (英語). ISIN Organization. 2025年11月25日閲覧。
  13. ^ a b IMF 2002, p. 22.
  14. ^ a b About ANNA” (英語). Association of National Numbering Agencies. 2025年11月28日閲覧。
  15. ^ a b ISO/TC 68 国内委員会事務局 (2023年5月18日). “ISO/TC 68 が担当している国際標準規格等について” (pdf). 日本銀行. p. 6. 2025年11月28日閲覧。
  16. ^ 新着情報・お知らせ”. 日本取引所グループ. 2025年2月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年11月28日閲覧。

参考文献

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外部リンク

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