ISO 80000-2

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ISO 80000-2:2009 は、数学記号について定義している国際規格である。国際標準化機構 (ISO) と国際電気標準会議 (IEC) が共同で発行している ISO/IEC 80000 の一部として、ISO によって2009年に発行された[1]

ISO 80000-2 は、それまでの数学記号についての規格であった ISO 31-11 を置き替えるものである。

日本工業規格 (JIS) では、 JIS Z 8201 が相当するが、数理論理学や集合の記号が記載されてないなど、内容は一部異なる。ISO/IEC 80000 の他の部は JIS Z 8000 が相当するが、ISO 80000-2 に相当する部分は JIS Z 8201 を参照することとなっているため、JIS Z 8000 は第2部が欠番になっている。JIS Z 8201 は1953年に制定され、 ISO 31-11:1978 を元に1981年に改定されたものであるが、ISO 80000-2 が発行されても、2016年現在、JIS Z 8201 は改訂されていない[2]

内容[編集]

ISO 80000-2は以下の章からなる。3章は記号の使い方の説明で、4章から19章に数学記号を列挙している。

  • 序文 (Foreword)
  • 0 導入 (Introduction)
  • 1 適用範囲 (Scope)
  • 2 引用規格 (Normative references)
  • 3 変数・関数・演算子 (Variables, functions, and operators)
  • 4 数理論理学 (Mathematical logic)
  • 5 集合 (Sets)
  • 6 標準的な数の集合と区間 (Standard number sets and intervals)
  • 7 その他の符号・記号 (Miscellaneous signs and symbols)
  • 8 初等幾何学 (Elementary geometry)
  • 9 演算子 (Operations)
  • 10 組合せ (Combinatorics)
  • 11 関数 (Functions)
  • 12 指数関数・対数関数 (Exponential and logarithmic functions)
  • 13 円関数・双曲線関数 (Circular and hyperbolic functions)
  • 14 複素数 (Complex numbers)
  • 15 行列 (Matrices)
  • 16 座標系 (Coordinate systems)
  • 17 スカラー・ベクトル・テンソル (Scalars, vectors, and tensors)
  • 18 写像 (Transforms)
  • 19 特殊関数 (Special functions)
  • 附属書 A(規定)記号使用の明確化 (Clarification of the symbols used)

適用範囲[編集]

ISO 80000-2 は、数学記号についての一般的な情報と、その意味(通常の言葉による等価な文)を提示している。自然科学や技術において使用されることを想定しているが、数学が用いられるそれ以外の分野にも適用できる。

変数・関数・演算子[編集]

数理論理学[編集]

番号 記号 意味 備考
2-4.1 pq pq論理積, p かつ q
2-4.2 pq pq論理和, p または q この「または」は包括である。p または qまたはその両方が真のとき、pqは真である。
2-4.3 ¬ p p否定, pではない
2-4.4 pq pq包含する, もしpならばq qppq と同じ意味である。
⇒は包含記号である。
2-4.5 pq pq同値 (pq)∧(qo) は pq と同じ意味である。
⇔は同値記号である。
2-4.6 xA p(x) Aに属する全てのxについて、命題p(x)が真 文脈から集合 A が自明である場合は、∀x p(x)と表記することができる。
∀は全称限量子である。
2-4.7 xA p(x) Aの中に命題p(x)が真となるxが存在する 文脈から集合Aが自明である場合は、∃x p(x)と表記することができる。
∃は存在限量子である。
1は、ただ1つのxだけがp(x)を満たすことを示す。∃1は∃!とも表記する。

集合[編集]

番号 記号 意味 備考
2-5.1 xA Aに属するxxは集合Aの要素である AxxA と同じ意味である。
2-5.2 xA Aに属さないxxは集合Aの要素ではない AxxA と同じ意味である。
否定記号は垂直に書いても良い[3]
2-5.3 {x1, x2, ..., xn} x1, x2, ..., xn を要素とする集合 I が添字の集合を表すとき、 {xiiI } とも表記できる。
2-5.4 {xAp(x)} A の要素のうち、命題 p(x) が真となるものからなる集合 例: {x ∈ ℝ ∣ x ≦ 5}
文脈から集合Aが自明である場合は、{xp(x)} と表記することができる(例えば、上記の例でxが実数の変数であることが自明な場合は、 {xx ≦ 5} となる)。
2-5.5 A A の要素の数、A の濃度(cardinality)
2-5.6 空集合
2-5.7 BA BA に含まれる、BA部分集合 全ての B の要素が A に属する。
⊂ も使用されるが、2-5.8の備考も参照のこと。
ABBA と同じ意味である。
2-5.8 BA BA に完全に含まれる、 BA真部分集合 全ての B の要素が A に属するが、少くとも1つの A の要素が B に属さない。
⊂ を2-5.7の記号として使用した場合は、2-5.8には ⊊ を使用する。
2-5.9 AB AB和集合 A または B または AB 両方に属する要素の集合
AB = { xxAxB }
2-5.10 AB AB共通部分 AB 両方に属する要素の集合
AB = { xxAxB }
2-5.11 A1, A2, ..., An の和集合 A1, A2, ..., Anの少くとも1つに属する要素の集合
Iが添字の集合を示すとき、 とも表記できる。
2-5.12 A1, A2, ..., An の共通部分 A1, A2, ..., Anの全てに属する要素の集合
Iが添字の集合を示すとき、 とも表記できる。
2-5.13 AB AB との違いA 引く B A に属するが B に属さない要素の集合
AB = { xxAxB }
AB とも表記できる。
AB も使用される。 ∁AB は主に BA の部分集合である場合に使用され、文脈から集合Aが自明である場合は、記号Aを省略することができる。
2-5.14 (a, b) a, bの、 a, b の対 )を区切りに使用することができる。
2-5.15 (a1a2, …, an) 順序n-タプル 2-5.14の備考も参照。
2-5.16 A × B AB直積集合 aA かつ bB である順序対 (a, b) の集合
A × B = { (x, y) ∣ xAyB }
2-5.17 A1, A2, ..., An の直積集合 x1A1, x2A2, ..., xnAn である n-タプル (x1, x2, ..., xn) の集合
n が直積の要素の数であるとき、A × A × ⋯ × AAn と表記できる。
2-5.18 idA A恒等関係Aの対角 idAは、xA である全ての順序対 (x, x) の集合
文脈から集合Aが自明である場合は、記号Aを省略することができる。


標準的な数の集合と区間[編集]

番号 記号 意味 備考
2-6.1 N 自然数の集合、正の整数と0の集合 N = {0, 1, 2, 3, ...}
N* = {1, 2, 3, ...}
以下のように、他の制限をわかりやすく表示することができる。
N<5 = {nN | n < 5}
記号ℕも使用される。
2-6.2 Z 整数の集合 Z = {..., −3, −2, −1, 0, 1, 2, 3, ...}
Z* = {..., −3, −2, −1, 1, 2, 3, ...}
以下のように、他の制限をわかりやすく表示することができる。
Z≥ −3 = {nZ | n ≥ −3}
記号ℤも使用される。
2-6.3 Q 有理数の集合 Q* = {nQ | n ≠ 0}
以下のように、他の制限をわかりやすく表示することができる。
Q<0 = {nQ | n < 0}
記号ℚも使用される。
2.6-4 R 実数の集合 R* = {nR| n ≠ 0}
以下のように、他の制限をわかりやすく表示することができる。
R≥0 = {nR | n ≥ 0}
記号ℝも使用される。
2-6.5 C 複素数の集合 C* = {nC| n ≠ 0}
記号ℂも使用される。
2-6.6 P 素数の集合 P = {2, 3, 7, 11, 13, 17, ...}
記号ℙも使用される。
2-6.7 [a, b] a(含む)からb(含む)までの閉区間 [a, b] = {xR | axb}
2-6.8 (a, b] a(含まない)からb(含む)までの半開区間 (a, b] = {xR | a < xb}
]a, b] とも表記される。
2-6.9 [a, b) a(含む)からb(含まない)までの半開区間 [a, b) = {xR | ax < b}
[a, b[ とも表記される。
2-6.10 (a, b) a(含まない)からb(含まない)までの開区間 (a, b) = {xR | a < x < b}
]a, b[ とも表記される。
2-6.11 (−∞, b] b(含む)までの閉区間 (−∞, b] = {xR | xb}
]−∞, b] とも表記される。
2-6.12 (−∞, b) b(含まない)までの開区間 (−∞, b) = {xR | x < b}
]−∞, b[ とも表記される。
2-6.13 [a, +∞) a(含む)からの閉区間 [a, +∞) = {xR | ax}
[a, +∞[ とも表記される。
2-6.14 (a, +∞) a(含まない)からの開区間 (a, +∞) = {xR | a < x}
]a, +∞[ とも表記される。

その他の符号及び記号[編集]

番号 記号 意味 備考
2-7.1 a = b ab等しい その等式が恒等関係であることを強調する場合は記号 ≡ が使用される。
2-7.2 ab ab と等しくない 否定記号は垂直に書くことができる。
2-7.3 a := b ab と等しいと定義されている 例: p := mvp は運動量、m は質量、v は速度)
記号 =defや ≝ も使用される。
2-7.4 ab ab に相当する (corresponds to) 例: E = kT のとき、 1 eV ≙ 11 604.5 K
地図上の1 cmが10 kmに相当するとき、1 cm ≙ 10 km
相当は対称的ではない。
2-7.5 ab ab と近似的に等しい (approximately equal to) 近似においてどのくらい違いを容認するかは文脈による。等しい場合も除外されない。
2-7.6 ab ab と漸近的に等しい (asymptotically equal to)
2-7.7 ab ab に比例している (proportional to) 記号 ∼ は同値関係にも使われる。
ab の表記も使われる。
2-7.8 MN MN合同である (congruent to)、MN同型である(isomorphic) MN は点集合。
この記号は数学的構造同型にも使われる。
2.7-9 a < b ab より小さい
2.7-10 a > b ab より大きい
2.7-11 ab ab より小さいか等しい(以下) 記号 ≦ も使われる。
2.7-12 ab ab より大きいか等しい(以上) 記号 ≧ も使われる。
2.7-13 ab ab よりとても小さい どれくらい小さいかは文脈による。
2.7-14 ab ab よりとても大きい どれくらい大きいかは文脈による。
2.7-15 無限 この記号は数を表してはいないが、極限を扱う種々の表現の一部としてよく使われる。
2.7-16 xa xa に近づく (tends to) この記号は極限を扱う種々の表現の一部としてよく使われる。
a は ∞, +∞, −∞ の場合もある。
2.7-17 m | n mn を割り切る m, nが整数のとき、∃kZ m·k = n
2.7-18 nk mod m nkm を法として合同である n, k, m が整数のとき、m | (nk)
2-7.19 (a + b)
[a + b]
{a + b}
a + b
丸括弧 (parentheses)
角括弧 (square brackets)
波括弧 (braces)
山括弧 (angle brackets)
角括弧・波括弧・山括弧が特定の分野では特別の意味を持つため、その分野では丸括弧だけを使用することが勧奨される。曖昧さのない限り、括弧は入れ子にすることができる。

初等幾何学[編集]

番号 記号 意味 備考
2-8.1 AB‖CD 直線ABは直線CDに対して平行である AB∥CD も用いられる。
2-8.2 ABCD 直線ABは直線CDに対して垂直である
2-8.3 ABC 三角形ABCの頂点Bの角
2-8.4 AからBへの線分
2-8.5 AからBへのベクトル
2-8.6 d(A, B) 点Aと点Bの間の距離

演算子[編集]

番号 記号 意味 備考
2-9.1 a + b a 足す b
2-9.2 ab a 引く b
2-9.3 a ± b a プラスマイナス b
2-9.4 ab a マイナスプラス b −(a ± b) = −ab
2-9.5 a · b
a × b
a b
ab
a 掛ける b
2-9.6
a / b
a 割る b 記号 ÷ は使うべきではない。
2-9.7 a1, a2, ... , an総和 とも表記される。
2-9.8 a1, a2, ... , an総乗 とも表記される。
2-9.9 ap ap a2a の平方 (square)、a3a の立方 (cubic) と言う。
2-9.10 a1/2
a の(1/2)乗、a平方根 aという書き方は避けるべきである。
2-9.11 a1/n
a の (1/n) 乗、an 乗根 na という書き方は避けるべきである。
2-9.12
x
x平均値
x算術平均
2-9.13 sgn a a符号関数 実数 a に対して
2-9.14 inf M M下限
2-9.15 sup M M上限
2-9.16 a絶対値 abs a も用いられる。
2-9.17 a(floor) ent a も用いられる。
2-9.18 a天井(ceil)
2-9.19 int a 実数 a の整数部
2-9.20 frac a 実数 a の小数部
2-9.21 min(a, b) ab の小さい方
2-9.22 max(a, b) ab の大きい方

組合せ[編集]

番号 記号 意味 備考
2-10.1 n! n階乗
2-10.2
[a]k
下降階乗冪
2-10.3
(a)k
上昇階乗冪
2-10.4 二項係数
2-10.5 Bn ベルヌーイ数
2-10.6 繰り返しを許さない組合せ
2-10.7 繰り返しを許した組合せ
2-10.8 繰り返しを許さない順列
2-10.9 繰り返しを許した順列

関数[編集]

番号 記号 意味 備考
2-11.1 f, g, h 関数
2-11.2 f(x)
f(x1, ... , xn)
引数 x または引数 (x1, ... , xn) を伴った関数 f
2-11.3 fAB の中に写す(写像 関数 f は、定義域 A終域 B を持つ。
2-11.4 fA に含まれる全ての xT(x) に写す関数
2-11.5 f(x) = y
fxy に写す
例:
2-11.6

2-11.7 fg合成関数
2-11.8
xa に近付けたときの f(x) の極限
2-11.9 f(x)は漸近的に g(x) によって上からおさえられる(漸近記法
2-11.10 f(x)は漸近的に g(x) によって支配される
2-11.11 デルタ f
f の微小な増分
文脈によっては2つの関数の値の差を意味する。
例:

2-11.12

fx による導関数 とも書く。
独立変数が時間tの場合、 とも書く。
2-11.13

x = a における f の導関数の値
2-11.14

fx によるn階導関数 とも書く。
とも書く。
独立変数が時間tの場合、 とも書く。
2-11.15

fx による偏導関数 とも書く。
他の独立変数は添字で表される。例:
この偏微分の表記は高階偏微分に拡張できる。例:


とも書く。
2-11.16 df f全微分
2-11.17 f の微小変動
2-11.18 f不定積分
2-11.19 faからbまでの定積分 C、面S、三次元領域V、閉じた線・面に沿った積分(線積分面積分)をと書く。
重積分などと書く。
2-11.20 コーシーの主値 of the integral of f with f singular at c
2-11.21 コーシーの主値 of the integral of f

指数・対数関数[編集]

番号 記号 意味 備考
2-12.1 e 自然対数の底(ネイピア数
2-12.2 ax ax
a を底、x を引数とする指数関数
2-9.9も参照
2-12.3 ex
exp x
e の x
e を底、x を引数とする指数関数
2-14.5も参照
2-12.4 loga x a を底とする x対数 底を特定する必要がない場合は log x とも書く。
2-12.5 ln x x自然対数(e を底とする) ln x = logex
2-12.6 lg x x常用対数(10 を底とする) lg x = log10x
2-12.7 lb x x二進対数(2 を底とする) lb x = log2x

円・双曲線関数[編集]

番号 記号 意味 備考
2-13.1 π 円周率円周直径の比) π = 3.1415926...
2-13.2 sin x x正弦 (sin x)n, (cos x)n等はsinn x, cosn x等とも書く。
2-13.3 cos x x余弦
2-13.4 tan x x正接 tg は使うべきではない
2-13.5 cot x x余接 ctg は使うべきではない
2-13.6 sec x x正割
2-13.7 csc x x余割 cosec も用いられる
2-13.8 arcsin x x逆正弦
2-13.9 arccos x x逆余弦
2-13.10 arctan x x逆正接 arctg は使うべきではない
2-13.11 arccot x x逆余接 arcctg は使うべきではない
2-13.12 arcsec x x逆正割
2-13.13 arccsc x x逆余割 arccosec は避けるべきである
2-13.14 sinh x x双曲線正弦 sh は避けるべきである
2-13.15 cosh x x双曲線余弦 ch は避けるべきである
2-13.16 tanh x x双曲線正接 th は避けるべきである
2-13.17 coth x x双曲線余接
2-13.18 sech x x双曲線正割
2-13.19 csch x x双曲線余割 cosech は避けるべきである
2-13.20 arsinh x x逆双曲線正弦 arsh は避けるべきである
2-13.21 arcosh x x逆双曲線余弦 arch は避けるべきである
2-13.22 artanh x x逆双曲線正接 arth は避けるべきである
2-13.23 arcoth x x逆双曲線余接
2-13.24 arsech x x逆双曲線正割
2-13.25 arcsch x x逆双曲線余割 arcosech は避けるべきである

複素数[編集]

番号 記号 意味 備考
2-14.1 i
j
虚数単位 i2 = j2 = −1
数学物理学では i が使われる。
電子工学では j が使われる。
2-14.2 Re z z実数部 z = x + iy のとき、 x = Re z, y = Im z
2-14.3 Im z z虚数部 2-14.2を参照
2-14.4 z z絶対値
2-14.5 arg z z偏角 z = reiφ(ここで、 r = ∣z∣, φ = arg z
例: Re z = r cos φ and Im z = r sin φ
2-14.6
z*
z複素共役 は主に数学で使われる。
z*は主に物理学や工学で使われる。
2-14.7 sgn z 符号関数 z sgn z = z / ∣z∣ = exp(i arg z) (z ≠ 0)
sgn 0 = 0 (z=0)

行列[編集]

番号 記号 意味 備考
2-15.1 A
mn 列の行列 A A は要素 aij = (A)ij よりなる行列である。
mを行数、 n を列数という。
A = (aij) とも書かれる。
丸括孤は角括孤にすることもある。
2-15.2 A + B 行列 AB の和
2-15.3 x A スカラー x と行列 A の積
2-15.4 AB 行列 AB の積
2-15.5 E
I
単位行列
2-15.6 A-1 行列 A逆行列
2-15.7 AT 行列 A転置行列
2-15.8
A*
行列 A複素共役
2-15.9 AH 行列 Aエルミート共軛 A, A も使われる。
2-15.10 det A
行列 A行列式
2-15.11 rank A 行列 A階数
2-15.12 tr A 行列 A
2-15.13 A 行列 Aノルム

座標系[編集]

番号 座標 位置ベクトルとその微分 座標系の名称 備考
2-16.1 x, y, z r = x ex + y ey + z ez
dr = dx ex + dy ey + dz ez
直交座標系 座標に x1, x2, x3 、基底ベクトルに e1, e2, e3 も使われる。この記法ならば、n次元空間にも簡単に拡張できる。
ex, ey, ez正規直交右手系を形成する。
基底ベクトルには i, j, k も使われる。
2-16.2 ρ, φ, z r = ρ eρ + z ez
dr = dρ eρ + ρdφ eφ + dz ez
円柱座標系 eρ(φ), eφ(φ), ez正規直交右手系を形成する。
z = 0 のとき、ρφ極座標系となる。
2-16.3 r, θ, φ r = r er
dr = dr er + rdθ eθ + r sin θdφ eφ
球面座標系 er(θ, φ), eθ(θ, φ), eφ(φ) は正規直交右手系を形成する。

スカラー・ベクトル・テンソル[編集]

番号 記号 意味 備考
2-17.1 a
ベクトル a イタリック体の太字の代わりに、文字の上に矢印を書くことでもベクトルを示すことができる。
2-17.2 a + b ベクトル ab の和
2-17.3 x a 数・スカラーまたは成分x とベクトル a の積
2-17.4 a
a
ベクトル a の大きさ、ベクトル aノルム
2-17.5 0
零ベクトル
2-17.6 ea a の方向の単位ベクトル ea = a/∣a∣, a≠0
2-17.7 ex, ey, ez
e1, e2, e3
直交座標系の軸の方向の単位ベクトル i, j, k も使われる。
2-17.8 ax, ay, az
ai
ベクトル a直交座標
ベクトル a の直交成分
2-17.9 クロネッカーのデルタ記号
2-17.10 レヴィ=チヴィタ記号
2-17.11 ab abスカラー積
2-17.12 a×b abベクトル積
2-17.13
ナブラ
2-17.14 φ
grad φ
φ勾配 gradを細字で書くのは避けるべきである。
2-17.15 ∇・a
div a
a発散
2-17.16 ∇×a
rot a
a回転 rotを細字で書くのと curl は避けるべきである。
2-17.17 2, ∆ ラプラシアン
2-17.18 ダランベルシアン
2-17.19 T
二階テンソル
2-17.20 Txx, Txy, ..., Tzz
T11, T12, ..., T33
テンソル T直交座標
2-17.21 ab
ab
二項積
ベクトル ab のテンソル積
2-17.22 TS 二階テンソル TS のテンソル積
2-17.23 TS 二階テンソル TS の内積
2-17.24 Ta 二階テンソル T と ベクトル a の内積
2-17.25 T:S 二階テンソル TS のスカラー積

写像[編集]

番号 記号 意味 備考
2-18.1 fフーリエ変換
2-18.2 fラプラス変換
2-18.3 (an)のZ変換
2-18.4 H(x)
ε(x)
ヘヴィサイドの階段関数
2-18.5 δ(x) ディラックのデルタ関数
2-18.6 f*g fg畳み込み

特殊関数[編集]

番号 記号 意味 備考
2-19.1 γ
C
オイラーの定数 = 0.577 215 6...
2-19.2 Γ(z) ガンマ関数 Γ(z)は 0, −1, −2, ... にを持つ有理型関数である。
(Re z > 0)
(nN)
2-19.3 ζ(z) リーマンゼータ関数 ζ(z)はz = 1 にを持つ有理型関数である。
2-19.4 Β(z, w) ベータ関数 (Re z > 0, Re w > 0)
2-19.5 Ei x 指数積分
2-19.6 li x 対数積分 (0 < x <1)
(x > 1)
2-19.7 Si z 正弦積分
を相補正弦積分という。
2-19.8 S(z)
C(z)
フレネル積分
2-19.9 erf x 誤差関数
erfc(x) = 1 − erf(x) を相補誤差関数という。
統計学では、派生した関数 が使われる。
2-19.10 F(ψ, k) 第一種(不完全)楕円積分
K(k) = F(π/2, k) (0 < k < 1, kR)を第一種完全楕円積分という。
2-19.11 E(ψ, k) 第二種(不完全)楕円積分
E(k) = E(π/2, k) (0 < k < 1, kR)を第二種完全楕円積分という。
2-19.12 Π(n, ψ, k) 第三種(不完全)楕円積分
Π(n, k) = Π(n, π/2, k) (0 < k < 1, kR) を第三種完全楕円積分という。
2-19.13 F(a, b, c; z) 超幾何関数
2-19.14 F(a; c; z) 合流型超幾何関数英語版
2-19.15 Pn(z) ルジャンドル多項式
2-19.16 随伴ルジャンドル多項式英語版 (m, nN, mn)
2-19.17 球面調和関数
2-19.18 Hn(z) エルミート多項式
2-19.19 Ln(z) ラゲール多項式 (nN)
2-19.20 ラゲール陪多項式 (mN, mn)
2-19.21 Tn(z) 第一種チェビシェフ多項式 Tn(z) = cos(n arccos z) (nN)
2-19.22 Un(z) 第二種チェビシェフ多項式 (nN)
2-19.23 Jv(z) 第一種円柱ベッセル関数 (vC)
2-19.24 Nv(z) 第二種円柱ノイマン関数 (vC)
2-19.25
第三種円柱ハンケル関数

(vC)
2-19.26 Iv(z)
Kv(z)
変形ベッセル関数
2-19.27 jl(z) 球ベッセル関数 (lN)
2-19.28 nl(z) 球ノイマン関数 (lN)
yl(z) も使われる。
2-19.29
球ハンケル関数
2-19.29 Ai(z)
Bi(z)
エアリー関数

(ここで、

附属書 A 記号使用の明確化[編集]

本規格に掲載された数学記号のISO/IEC 10646Unicodeと概ね互換)における文字コードおよび記号名称が列挙されている。本附属書は規格の一部である。

関連項目[編集]

脚注と出典[編集]

  1. ^ 規格詳細情報 - ISO 80000-2:2009”. 日本規格協会. 2016年2月3日閲覧。
  2. ^ 規格詳細情報 - JIS Z 8201:1981”. 日本規格協会. 2016年2月6日閲覧。
  3. ^ ISO 80000-2の規格票では"∉"や"∌"の否定記号は斜めになっている。フォントによっては否定記号が垂直になっている場合もある。

外部リンク[編集]