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CVX (大韓民国海軍)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
CVX計画艦
MADEX 2021でDSMEが展示した模型
MADEX 2021でDSMEが展示した模型
基本情報
艦種 航空母艦 (軽空母)
運用者  大韓民国海軍
就役期間 2033年 - (予定)[1]
計画数 1隻
前級 独島級 (LPH)
要目 (DSMEの試案[2]
満載排水量 約45,000 トン
全長 263 m
最大幅 46.6 m
速力 27ノット
搭載機 F-35B戦闘機×約20機
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CVX英語: CV eXperimental)は、大韓民国海軍航空母艦軽空母)建造計画。当初は独島級の後継となる強襲揚陸艦の建造計画として、LPX-IIと称されていたが、2021年2月に現在の計画名に変更された[1]

計画

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1995年4月1日、安炳泰大将が第24代大韓民国海軍参謀総長に就任するにあたって要望事項としたのが「外洋海軍建設準備」だったが、このためには機動部隊指揮統制3次元的な水陸両用作戦、海上航空作戦の支援能力を備えた艦船が必要と考えられた[3]。このための「大型輸送艦」(대형수송함, LPX)として建造されたのが独島級揚陸艦であり、2005年7月に1番艦、また2018年5月には改良を加えた2番艦英語版が進水した[3]

2番艦の建造と並行して、更に航空運用能力を強化した艦の建造も模索されており、2019年7月、国防部2026年以降の戦力導入計画として発表した「長期戦力所要」において、軽空母建造事業が盛り込まれた[4]。その後計画は前倒しされ、同年8月14日に発表された「2020-2024年国防中期計画」において、この期間内に行う新規事業として「大型輸送艦-II」(LPX-II)が盛り込まれた[5][6][注 1]。これは排水量約40,000トンS-70級の艦載ヘリコプターであれば28機を搭載するほか[7]F-35B戦闘機を最大16機搭載して、揚陸艦としての作戦だけでなく軽空母としての作戦も可能なように計画されていた[8]。また同年10月16日には、現代重工業(HHI)が韓国海軍から「STOVL(短距離離陸・垂直着陸)タイプの戦闘機を運用可能な大型輸送艦の実現に向けた概念設計技術の研究事業」を受注したことを発表した。納期は2020年後半であり、同社は「今月中にも概念設計に着手する」と発表した[9]。2022年に基本設計を始め、2026年起工、2033年就役を予定していた[7]

2021年2月には計画名が正式にCVXに変更され、バブコック・マリーンBAEシステムズタレス社の支援を受けて、韓国企業が開発を進めていると報じられた[1]。CVX計画艦は、イギリス海軍クイーン・エリザベス級などと同様にアイランド(艦橋構造物)を2つに分割し、ここには次期駆逐艦(KDDX)英語版と同型のSバンドフェーズドアレイレーダーを設置する計画である[1]。同年6月にBEXCO釜山)で開催された国際海洋防衛産業展(MADEX)では、海軍当局のほか、HHIおよび大宇造船海洋(DSME)もそれぞれの案による模型を展示した[10]。HHIの案はバブコック社が設計の半分以上を担当しており[11]、満載排水量45,000トン・全長270メートル、飛行甲板前端部にスキージャンプ勾配を備え、F-35戦闘機の搭載数は格納庫内に8機、飛行甲板上に16機とされた[2]。一方、DSMEの案は排水量45,000トン・全長263メートルで、スキージャンプ勾配は省かれており、F-35戦闘機の搭載数は格納庫内に12機、飛行甲板上に16機とされた[2]。またDSMEの案についても、イタリア海軍の「トリエステ」の建造経験を踏まえて、フィンカンティエリ社がコンセプト開発に参加することになった[12]

2022年、文在寅が下野すると同政権が推進してきた軽空母建造計画も見直しが始まった[13]。8月30日に発表された2023年度の国防予算要求には、CVXの関連予算が盛り込まれなかった[14]

脚注

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注釈

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  1. ^ このような計画の前倒しは異例のことであり、関係者は「青瓦台の意志が反映されたものと把握される」「今の政府の内に後戻りできない水準まで事業を進めようという意味」だと述べている[4]。また、韓国海軍の軽空母導入は、中国日本が空母の戦力確保に乗り出したことへの対応策だとされる[4]

出典

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  1. ^ a b c d Lee 2021.
  2. ^ a b c Dominguez & Kim 2021.
  3. ^ a b 윤 2019.
  4. ^ a b c “韓国政府、ステルスF-35搭載軽空母 来年着手”. 中央日報. (2019年8月15日). https://japanese.joins.com/article/586/256586.html?servcode=200&sectcode=200&cloc=jp 2020年4月3日閲覧。 
  5. ^ “北朝鮮ミサイルの迎撃能力向上へ 国防中期計画=韓国軍”. 聯合ニュース. (2019年8月14日). https://jp.yna.co.kr/view/AJP20190814002100882 2020年4月3日閲覧。 
  6. ^ ヤン・スンシク (2019年8月15日). “戦略兵器などに290兆ウォン投入、2022年の戦時作戦統制権移管を念頭に置いた布石”. 朝鮮日報. オリジナルの2019年8月15日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20190815063539/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/08/15/2019081580004.html 2019年8月15日閲覧。 
  7. ^ a b 海人社 2021.
  8. ^ “F35Bを10機搭載可能な軽空母を建造へ”. 朝鮮日報. (2019年8月15日). http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/08/15/2019081580003.html?ent_rank_news 2019年8月15日閲覧。 
  9. ^ “現代重工、大型輸送艦の設計事業受注。戦闘機搭載へ研究”. 日本海事新聞. (2019年10月18日). https://www.jmd.co.jp/article.php?no=251007 2020年4月3日閲覧。 
  10. ^ “‘국제해양방위산업전(MADEX) 2021’ 부산 벡스코에서 개막”. DefenseTimes. (2021年6月9日). http://defensetimes.kr/article/print.php?&bbs_id=DefenceTimes_news&page=&doc_num=2156 2021年6月12日閲覧。 
  11. ^ チョン・ミンハ (2021年6月14日). “現代重工業と大宇造船、韓国型空母巡りライバル激突”. 朝鮮日報. http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2021/06/14/2021061480057.html 2021年6月15日閲覧。 
  12. ^ “Italy and South Korea to work together for CVX future aircraft carrier for South Korean Navy”. NavyRecognition. (2021年6月11日). https://www.navyrecognition.com/index.php/naval-news/naval-news-archive/2021/june/10285-italy-and-south-korea-to-work-together-for-cvx-future-aircraft-carrier-for-south-korean-navy.html 2021年6月12日閲覧。 
  13. ^ 文在寅政権の肝いり事業だった「軽空母」、尹政権が全面再検討か”. 朝鮮日報 (2022年8月27日). 2022年8月29日閲覧。
  14. ^ 「海外艦艇ニュース 韓国政府はCVX計画の予算認めず」『世界の艦船』第983号、海人社、2022年11月、167頁。 

参考文献

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