1908年のメジャーリーグベースボール

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以下は、メジャーリーグベースボール(MLB)における1908年のできごとを記す。1908年4月14日に開幕し10月14日に全日程を終え、ナショナルリーグシカゴ・カブスが3年連続優勝し、アメリカンリーグデトロイト・タイガースが2年連続優勝した。

ワールドシリーズは前年覇者のシカゴ・カブスがデトロイト・タイガースを4勝1敗で破り、シリーズを2連覇した。

できごと[編集]

マークル事件[編集]

この年9月23日、ペナントレース最終盤で首位のジャイアンツは本拠地ポロ・グラウンズでシカゴ・カブスを迎えた。この時点で残り4試合でジャイアンツが2位カブスに勝てば残り3試合はBクラスに低迷するボストン・ドゥーブス(後のブレーブス)で、ほぼジャイアンツが優勝を確実にできる大事な試合で、メジャーリーグ史上に残る事件が起こった。1対1で9回裏にジャイアンツは二死一・三塁のチャンスを迎え、一塁走者はフレッド・マークルで、この時にアル・ブリドウェルがセンター前にヒットを打ち、歓喜の中で三塁走者のムース・マコーミックがホームインして2対1でジャイアンツがサヨナラ勝ちした。しかし、一塁走者のフレッド・マークルは二塁に進塁するはずが二塁を踏むのを忘れたまま戻り、それを目ざとく見つけたシカゴ・カブスのジョニー・エバース二塁手が球を持って二塁を踏み、審判はフォースアウトを宣告して、三塁走者のホームインは取り消された。この時に歓喜したファンがグラウンドに流れ込んでいたため、収拾がつかず、審判員たちは日没引き分けとしたが、ナショナル・リーグはこの9月23日の試合を無効として改めて10月8日の最終日に再試合を行うこととなった。

そして予定していた残り試合が終わって、ジャイアンツとカブスは98勝55敗で共に並び、この再試合の最終戦が優勝決定戦になって、ポロ・グラウンズにそれまでで最も多い約3万人の観衆を集めたこの最終戦にジャイアンツは敗れ、シカゴ・カブスの優勝が決まりナショナル・リーグ3連覇となった。この試合は後に「マークルの超ボーンヘッド」として球史で語られることになったが、ジョン・マグロー監督はまだ若かったマークルを擁護し、マークルを使い続けた。そしてマークルは1910年以降、ジャイアンツのレギュラー一塁手として活躍するようになった。

  • シカゴ・カブスはリーグを3年連続優勝し、デトロイト・タイガースとのワールドシリーズも4勝1敗で破り、2年連続制覇となった。しかしその後リーグ優勝はあるが、再びワールドシリーズを制覇したのは、この年から108年後の2016年である。
  • デトロイト・タイガースもクリーブランド・ナップスとのデッドヒートの末、最終戦で優勝を決め、アメリカン・リーグ連覇となった。タイ・カッブは打率.324で打点108、最多安打188で、前年最多得点だったサム・クロフォードはこの年本塁打7本で最多本塁打数であった。
  • ニューヨーク・ジャイアンツのロジャー・ブレスナハン捕手が、この年メジャーリーグで初めてレガーズ(脛当て)を着用した。1875年にグラブが考案されて以降、1885年にチェストプロテクターが考案されて、捕手の腹部と胸部が保護されてきたが、やがてキャッチャーミットが考案されて次第に広がり、1891年に正式に使用が許可され、そしてこの年に捕手の脛を守るための脛当てが考案された。

規則の改訂[編集]

  • 投手や捕手及び野手が新しいボールに故意に傷をつけたり、汚したりして、打者を不利な状態にする行為が厳重に禁止された。ただしこの行為は通常言われる(スピットボール)ではなく、これとは別に投手が指やボールにツバやクリームなどをつけたりして投げることがスピットボールで、こちらの行為は1920年に禁止されるまで不正行為とは見なされていない。
  • 犠牲フライのルールが導入される。打者の打ったフライで走者が得点した場合、その打席は打数から外されるようになった。
  • ワールドシリーズを4名の審判員で運用するようになった。当時は2名ずつの時間交代制であった。

最終成績[編集]

レギュラーシーズン[編集]

アメリカンリーグ[編集]

チーム 勝利 敗戦 勝率 G差
1 デトロイト・タイガース 90 63 .588 --
2 クリーブランド・ナップス 90 64 .584 0.5
3 シカゴ・ホワイトソックス 88 64 .579 1.5
4 セントルイス・ブラウンズ 83 69 .546 6.5
5 ボストン・レッドソックス 75 79 .487 15.5
6 フィラデルフィア・アスレチックス 68 85 .444 22.0
7 ワシントン・セネタース 67 85 .441 22.5
8 ニューヨーク・ハイランダース 51 103 .331 39.5

ナショナルリーグ[編集]

チーム 勝利 敗戦 勝率 G差
1 シカゴ・カブス 99 55 .643 --
2 ニューヨーク・ジャイアンツ 98 56 .636 1.0
3 ピッツバーグ・パイレーツ 98 56 .636 1.0
4 フィラデルフィア・フィリーズ 83 71 .539 16.0
5 シンシナティ・レッズ 73 81 .474 26.0
6 ボストン・ドゥーブス 63 91 .409 36.0
7 ブルックリン・スーパーバス 53 101 .344 46.0
8 セントルイス・カージナルス 49 105 .318 50.0

ワールドシリーズ[編集]

  • カブス 4 - 1 タイガース
10/10 – カブス 10 - 6 タイガース
10/11 – タイガース 1 - 6 カブス
10/12 – タイガース 8 - 3 カブス
10/13 – カブス 3 - 0 タイガース
10/14 – カブス 2 - 0 タイガース

個人タイトル[編集]

アメリカンリーグ[編集]

打者成績[編集]

項目 選手 記録
打率 タイ・カッブ (DET) .324
本塁打 サム・クロフォード (DET) 7
打点 タイ・カッブ (DET) 108
得点 マーティ・マッキンタイル (DET) 105
安打 タイ・カッブ (DET) 188
盗塁 パッシー・ドーガーティ (CWS) 47

投手成績[編集]

項目 選手 記録
勝利 エド・ウォルシュ (CWS) 40
敗戦 ジョー・レイク (NYY) 22
防御率 アディ・ジョス (CLE) 1.16
奪三振 エド・ウォルシュ (CWS) 269
投球回 エド・ウォルシュ (CWS) 464
セーブ エド・ウォルシュ (CWS) 6

ナショナルリーグ[編集]

打者成績[編集]

項目 選手 記録
打率 ホーナス・ワグナー (PIT) .354
本塁打 ティム・ジョーダン (BRO) 12
打点 ホーナス・ワグナー (PIT) 109
得点 フレッド・テニー (NYG) 101
安打 ホーナス・ワグナー (PIT) 201
盗塁 ホーナス・ワグナー (PIT) 53

投手成績[編集]

項目 選手 記録
勝利 クリスティ・マシューソン (NYG) 37
敗戦 バグス・レイモンド (STL) 25
防御率 クリスティ・マシューソン (NYG) 1.43
奪三振 クリスティ・マシューソン (NYG) 259
投球回 クリスティ・マシューソン (NYG) 390⅔
セーブ モーデカイ・ブラウン (CHC) 5
クリスティ・マシューソン (NYG)
ジョー・マクギニティ (NYG)

出典[編集]

  • 『アメリカ・プロ野球史』 72-73P参照  鈴木武樹 著  1971年9月発行  三一新書
  • 『米大リーグ 輝ける1世紀 ~その歴史とスター選手~』 48-49P参照 週刊ベースボール 1978年6月25日増刊号 ベースボールマガジン社
  • 『メジャーリーグ ワールドシリーズ伝説』 1905-2000  上田龍 著 87P参照 2001年10月発行 ベースボールマガジン社


外部リンク[編集]