阿部正寿

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あべ まさとし
阿部 正寿
生誕 (1937-05-02) 1937年5月2日(86歳)
福岡県京都郡犀川町(現・みやこ町
国籍 日本の旗 日本
出身校 九州大学文学部社会学専攻
職業 世界戦略総合研究所会長
宗教 世界平和統一家庭連合[1]
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阿部 正寿(あべ まさとし、1937年昭和12年〉5月2日[2] - )は、日本政治活動家著述家世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の反共活動を1960年代から支えた[3][4]。「12双」の一人でもある[1]

世界戦略総合研究所会長。教団の広報委員長、国際勝共連合事務総長などを歴任した[5][4]

経歴[編集]

福岡県京都郡犀川町(現・みやこ町)に生まれる[2]。1960年3月、九州大学文学部社会学専攻卒業[6]

1967年11月頃、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の日本会長の久保木修己は、東京都渋谷区の統一教会本部に沢浦秀夫、野村健二、阿部らを招き、「勝共啓蒙団」を結成した[3]。「勝共啓蒙団」は李相憲が書いた『新しい共産主義批判』の原稿を韓国から入手し、野村と阿部が中心となって日本語に訳し、出版した[7][8]

1969年4月18日、統一教会の創始者の文鮮明が来日。同年5月1日、渋谷区松濤の統一教会本部で22組の男女が文鮮明夫妻から祝福を受けて合同結婚した[9][10]。阿部もこの合同結婚式に参加[11]。このうち、阿部、神山威(第2代会長)、小山田秀生(第4代・9代会長)[12]、桜井設雄(第5代会長)、石井光治(第6代会長)、梶栗玄太郎(第12代会長)ら12組の夫婦は「12双」と呼ばれ、教団内で別格の存在とみなされている[1][12]

1970年9月20日、第4回「世界反共連盟(現・世界自由民主連盟)世界大会」が武道館で開催。岸信介が大会推進委員長を務め、大会責任者を当時国際勝共連合の事務総長だった阿部が務めた[13][14][4][15]

1995年、統一教会系の出版社、光言社から『新堕落性の構造―こう解ける!人生問題』を上梓。「『統一原理』が人生の根本問題を解決する真理であることをわかりやすく説いていく」ことを活動の中心に据える[16]。統一教会の広報委員長、国際勝共連合の事務総長などの要職を担った[17][5]

2000年、阿部は小林幸司とともに日本国家戦略研究所を設立[18]。 2008年、日本国家戦略研究所を「世界戦略総合研究所」に改称。同団体の会長を務める。

2009年8月の衆院選で民主党が大勝し、自由民主党が下野。自民党の野党時代に安倍晋三との関係が深まる。2010年2月6日、世界戦略総合研究所は、都内で開いたシンポジウムに安倍を講師として招き、安倍は「保守再生」をテーマに講演を行った[5][1]

2012年4月30日、世界戦略総合研究所は、同年9月の自民党総裁選を見据えイベントを企画。安倍、妻の安倍昭恵今井尚哉長谷川榮一、世界戦略総合研究所長の阿部、同事務局次長の小林幸司、同筆頭理事の加藤幸彦らは高尾山に登り、安倍の捲土重来を祈願した[5][1][19][20][注 1]

同年12月の衆院選を経て安倍が首相に就任すると、阿部は翌2013年2月、エマヌエル阿部有國の筆名で『安倍政権の強みがわかる―日本 [精神] の力』(平成出版)を出版。同書においてこう記した。

何とか保守政権を樹立すべく私なりに努力してきた。そしてその中心人物は安倍晋三氏でなければならないと決めてきた。これは単に相応しい人物というより、天の摂理から見て安倍晋三氏であるべきだと感じたからである[24]

2014年12月の衆院選に際し、阿部と小林は、世界日報社社長の木下義昭、同政治部長の早川一郎、世界平和女性連合の東京第六連合会の事務局長らとともに文部科学大臣の下村博文を支援した[25]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 2007年12月初め、体調が回復した安倍晋三は、第1次安倍内閣の内閣広報官だった長谷川榮一、SP2人とともに高尾山を登った。以後、長谷川との高尾山登山は春秋の恒例行事となった[21][22][23]。それを踏まえた上でのイベント企画であった。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e 文藝春秋編 2022, pp. 56–57.
  2. ^ a b 日本「精神」の力 / エマヌエル阿部 有國【著】”. 紀伊國屋書店. 2022年8月22日閲覧。
  3. ^ a b 『朝日新聞』1987年1月13日、4頁。
  4. ^ a b c 一連の報道への当研究所の見解”. 世界戦略総合研究所 (2022年7月30日). 2022年11月22日閲覧。
  5. ^ a b c d 『週刊文春』2022年8月18日・25日号、「安倍晋三元首相と統一教会 全内幕」、22-26頁。
  6. ^ ペンタビレス / 阿部 正寿【著】”. 紀伊國屋書店. 2022年8月22日閲覧。
  7. ^ 『世界思想』1976年新春号、「国際勝共連合の歴史―燃え上れ 勝共の炎」
  8. ^ 『原理運動と勝共連合 「教義」と実態』 1978, pp. 20–22.
  9. ^ 【文鮮明総裁聖和節記念】日本を愛した文先生の足跡 15 南平台から松涛へ(最終回)”. 光言社 (2021年10月13日). 2022年11月8日閲覧。
  10. ^ 真の父母様と統一運動の歴史 1920-1969”. 光言社. 2022年10月12日閲覧。
  11. ^ 鈴木エイト、小泉耕平「安倍首相側近らが続々と統一教会詣での“怪” 12・14総選挙!」 『週刊朝日』2014年12月5日号。
  12. ^ a b 統一教会・先輩家庭の苦労を称え、伝統の相続を誓う”. 中和新聞 (2012年8月21日). 2022年8月22日閲覧。
  13. ^ 藤田庄市. “日本における統一教会の活動とその問題点―活字メディアで報道された批判を中心に―”. 国際宗教研究所 宗教情報リサーチセンター. 2022年11月22日閲覧。
  14. ^ 統一協会 危険な二つの顔 反社会的カルト集団 勝共連合 反共・反動の先兵”. しんぶん赤旗 (2022年8月28日). 2022年11月22日閲覧。
  15. ^ 「日本はとんでもない間違いをした」岸信介、安倍晋太郎、安倍晋三…3代続く関係性から見える旧統一教会が目指した“国家宗教”【報道特集】”. TBS NEWS DIG. TBSテレビ (2022年9月24日). 2022年11月22日閲覧。
  16. ^ 阿部正寿『新堕落性の構造―こう解ける!人生問題』光言社、1996年3月。ISBN 978-4876564194 
  17. ^ 札幌地裁 2001年6月29日 判決抜すい (3/41ページ)”. 弁護士 郷路征記. 2023年2月20日閲覧。
  18. ^ 組織概要”. 世界戦略総合研究所. 2022年8月22日閲覧。
  19. ^ 統一教会最古参元幹部が安倍晋三と教団の深い関係をテレビで激白! 総理復帰を決意させた「高尾山登山」にも深く関与”. LITERA (2022年12月29日). 2023年1月24日閲覧。
  20. ^ 安倍晋三ファンページ (2012年4月30日). “そうだ、高尾山に行こう!~安倍先生と一緒に登りませんか?”. Facebook. 2023年1月24日閲覧。
  21. ^ 創発チャンネル (2022年5月18日). “【平井文夫の時事チャンネル】安倍長期政権を支えた官邸広報」長谷川榮一氏 Part3”. YouTube. 2023年1月23日閲覧。
  22. ^ 戦後保守政治の裏側9 安倍長期政権の謎 「まさか」を繰り返したリーダーの言葉”. 時事ドットコムニュース. 2023年1月23日閲覧。
  23. ^ 森功 (2019年12月10日). “安倍晋三を高尾山に誘った男 森功「新・現代官僚論」”. 文藝春秋. 2023年1月23日閲覧。
  24. ^ エマヌエル阿部有國『安倍政権の強みがわかる―日本 [精神] の力』平成出版、2013年2月。ISBN 978-4434175527 
  25. ^ 「週刊文春」編集部 (2022年7月27日). “《“支援者名簿”入手》統一教会“名称変更”時の文科大臣・下村博文氏を関連団体幹部5名が支援”. 文春オンライン. 2022年7月27日閲覧。

参考文献[編集]

  • 日本共産党中央委員会出版局 編『原理運動と勝共連合 「教義」と実態』日本共産党中央委員会出版局、1978年3月15日。 
  • 石井謙一郎、森健鈴木エイト、甚野博則、伊藤達美ほか 著、文藝春秋 編『統一教会 何が問題なのか』文藝春秋〈文春新書〉、2022年11月18日。ISBN 978-4166613946 

関連項目[編集]