南海9000系電車

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南海9000系電車
Nankai9000 9513F.jpg
南海9000系 6両編成
2018年9月、貝塚 - 二色浜駅間)
基本情報
製造所 東急車輛製造
製造年 1985年 - 1988年
製造数 32両
主要諸元
編成 4・6両編成
軌間 1067 mm
最高運転速度 110 km/h
設計最高速度 115 km/h
起動加速度 2.5 km/h/s
減速度(常用) 3.7 km/h/s
減速度(非常) 4.0 km/h/s
全幅 2744 mm
車体 ステンレス
主電動機 複巻整流子電動機
かご形三相誘導電動機(リニューアル更新車)
主電動機出力 160kW
駆動方式 WNドライブ
歯車比 5.31
制御装置 バーニア抵抗制御界磁チョッパ制御(登場当初)
IGBT素子VVVFインバータ制御(リニューアル更新車)
制動装置 回生制動併用電気指令式ブレーキ
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南海9000系電車(なんかい9000けいでんしゃ)は、南海電気鉄道の一般車両[1]通勤形電車)の一系列である。

概要[編集]

本系列は、南海本線系統向けとしては初の採用例となる、オールステンレス製車体を備える20m級両開き4扉通勤車である。

長年に渡る特急・急行を中心とする優等列車の運用で車体の老朽化が目立ち始めていた旧1000系の置き換えを名目として[2]1985年から1988年にかけて高野線8200系を基本として6両編成2本、4両編成5本の計32両が東急車輛製造で製造された。

車種構成[編集]

モハ9001形(奇数)
モハ9001形(偶数)
クハ9501形

本系列は以下の2形式3種[3]で構成される。

  • モハ9001形(奇数) 中間電動車 (M)
  • モハ9001形(偶数) 中間電動車 (M')
  • クハ9501形 制御付随車 (Tc)

9501-9001-9002-9502(1985年3月29日竣工)

9503-9003-9004-9504(1985年4月3日竣工)

9505-9005-9006-9506(1985年4月3日竣工)

9507-9007-9008-9009-9010-9508(1986年10月21日竣工)

9509-9510(1987年5月26日竣工)

9511-9011-9012-9512(1987年5月26日竣工)

9013-9014(1988年3月8日竣工)

9513-9015-9016-9017-9018-9514(1988年3月8日竣工)

1986年10月竣工の9507Fは暫定的に6両編成で落成したが、翌年5月に9509-9510の先頭車が落成したため、9009-9010の2両が9509Fへ編入された。1988年3月竣工の9013-9014は当初は9501Fに組み込まれていたが、1991年に9511Fへ編入され、現在の組成となった。

←難波         関西空港・和歌山市→
形式 クハ9501形

(Tc)

モハ9001形

(M)

モハ9001形

(M)

クハ9501形

(Tc)

車両番号 9501 9001 9002 9502
9503 9003 9004 9504
9505 9005 9006 9506
9507 9007 9008 9508
9509 9009 9010 9510


←難波                     関西空港・和歌山市→
形式 クハ9501形

(Tc)

モハ9001形

(M)

モハ9001形

(M)

モハ9001形

(M)

モハ9001形

(M)

クハ9501形

(Tc)

9511 9011 9012 9013 9014 9512
9513 9015 9016 9017 9018 9514

車体[編集]

旧塗装

8200系で初採用された有限要素法による軽量ステンレス構造車体を備える。ただし、同系列と同様に一般的な軽量ステンレス構造車体を備える車両とは異なり、従来通り側板にコルゲーションが施されている。窓配置も従来通りクハがd1D2D2D2D1、モハが2D2D2D2D1(d:乗務員扉、D:客用扉)で、モハは車端部の窓が1枚の方が難波方となる。

前面デザインについては、同系列と同様外周部にFRP製の縁飾りが設けられたが、同時期に設計された10000系のデザインに呼応して左右の妻窓の高さが屋根近くまで拡大され、いわゆる額縁スタイルとなっている。車両番号は運転台上部の窓内部にバックがダークグリーンに塗装された上で表記された。もっとも、左右の腰板部に配されたシールドビームによる前照灯や尾灯、それに貫通路上部に設置された行先表示幕などの形状・配置は8200系から何ら変更されていない。また、踏切事故対策としてスカートが装着された。

高野線用ステンレス車が無塗装であったのに対し、本系列は南海本線用であり、誤乗防止の観点から一般車の腰板部に塗られていたのと同じグリーンの着色フィルムによる識別帯が前面と側面の窓下に貼付された。これは1993年関西国際空港開港に伴う新CI戦略による塗装変更でオレンジとブルーの色帯を貼付するように改められ、比較的短期間に終わっている。側面では帯が入る位置が下がったことにより旧帯の剥離跡が目立つ。この際に「NANKAI」のロゴ文字のフォントが変更され、前面窓内の緑色も黒色に変更された。

側面の車両番号のプレートは高野線用のステンレス車両とは異なり、銀色の地にブルーの文字である。

クハ9501形の車内

接客設備[編集]

8200系の設計を踏襲する一般的なロングシート車であるが、全体のカラースキームが暖色系に変更され、座席のモケットは当時南海標準の臙脂色でカーテンは青色だった。座席の仕切りがパイプ製から木目模様の入った仕切り板に変更されている。車椅子スペースは設置されていない。 座席モケット,カーテンはCI戦略で座席は灰色にカーテンはベージュ色に交換された。(一部、カーテンは青色の存置された車両もある。)

冷房装置は冷凍能力10500kcal/hの三菱電機CU-191を各車4基ずつ搭載し、同系列と同様天井に横流ファンが設置されている。

主要機器[編集]

主電動機[編集]

8200系用MB-3280-ACの実績を基に改良が施された三菱電機MB-3280-BC[4]直流複巻式電動機をモハに各4基ずつ装架する。駆動システムは南海本線系通勤車標準のWNドライブ、歯数比は85:16 (5.31) である。

主制御器[編集]

日立製作所VMC-HTR-20B界磁チョッパ制御器を、モハの奇数車に2基の東洋電機製造PT-4803-A下枠交差式パンタグラフとともに搭載する。

この制御器は、型番のVMCが示す通り日立製作所特有のバーニア制御器をベースに界磁制御器をチョッパ制御器で置き換えたものであり、使用線区の線形の相違などもあって、同じ界磁チョッパ制御ながら三菱電機製の制御器を搭載した8200系とは機能や特性がやや異なっている。

旧7000系等と同様に二組のバーニアを持ち、スムーズな加速を実現している。(並列最終段まで、9000系:44段、旧7000系8M:47段、6200系MMC:25段)

1986年10月竣工の9507Fからは制御装置に故障記憶モニタが付加され、故障内容のみならず、発生時刻まで記憶できる様にした(1次車も後に付加)。

台車[編集]

従来通り2枚の板ばねで軸箱を支持する平行支持板式(SU式)のダイレクトマウント空気ばね台車である、住友金属工業FS-392B(モハ)・092(クハ)を装着する。

ブレーキ[編集]

8200系までのHSC系電磁直通空気ブレーキに代えて、本系列では三菱電機MBS-R回生制動併用電気指令式ブレーキ[5]に変更された。これにより直通管とブレーキ管の2本の空気管引き通しが不要となり、元空気溜管1本で済むようになったため、空制系の保守作業が大幅に簡素化されている。それに伴い、先頭連結器はブレーキ指令用の空気管の穴は有るが、配管されていない為機能は殺されている。また、南海線の車両としては初の回生ブレーキ付きの車両であった[6]

また、この変更に伴い運転台のレイアウトも大幅に変更され、マスコンとブレーキを分けた横軸2ハンドル形とされ、デスク上に速度計などの計器を埋め込んだ洗練されたデザインとなった。

もっとも、ブレーキ指令の読替装置を搭載しておらず連結器も異なっているため、従来のHSC系電磁直通ブレーキを搭載する3000系・7000系・7100系や10000系との併結は不可能となっている。

運用[編集]

2編成を併結した8両で空港急行に充当される9000系
(2015年8月、新今宮駅
9000系4両編成と12000系による特急「サザン」
(2016年12月、新今宮駅)
  • 4両組成は新造直後は普通運用を中心に充当されていたが[7]、7000系と同様に編成に補助電源装置が1基しか搭載されていないため、故障時のシステムの冗長性確保を考慮して2編成を併結した8両で主にラッシュ時急行空港急行・羽倉崎以北の区間急行運用に充当されている。後述のVVVFインバータ制御に更新されたリニューアル車は4連単独の普通運用にも使用されている(下記写真参照)。
    • 9000系の1000系併結対応改造工事実施後、その後に落成したブレーキ方式がほぼ共通の12000系とも連結が可能となったことから、2015年12月10日に12000系と併結して運用されて以降、「サザン(サザン・プレミアム)」の自由席車運用にも充当されている[8]。なお、2代目8000系や8300系とも連結は可能であるが、両系列との併結運転は試運転を含めて実施されていない。
    • 車両のやりくりがつかない場合はごく稀に単独で普通運用に入ることがある。そのためサザン運用を開始する前までは、都合上1編成が予備となっており、羽倉崎検車区に留置されていたが、現在は予備の1編成を一部指定席「サザン」運用に回すことで1編成予備体制は解消されている。平日朝ラッシュ上り(難波行き)の8両編成の急行・空港急行の難波方から4両目(4号車)は「女性専用車」のため、4号車となることのある和歌山市・関空方先頭車(クハ9501形偶数番号車)には「女性専用車」ステッカーが貼られている。
    • 2018年8月21日から9月22日までは、特別企画として「泉北ライナー」専用車両の泉北高速鉄道12000系と併結してサザンの自由席車運用に充当した[9]
    • リニューアルは2019年4月に9501F、2019年10月に9505Fがそれぞれ完了している。また、リニューアル編成は4両単独運用にも入るほか、従来通り4両2編成と併結し8両でも運転が可能。また、12000系との併結運用に入った実績もある。これは、特急サザンの自由席車で初のLCD付きの車両となった。
  • 6両組成は、南海線では旧1000系以来[10]の貫通固定編成で、運用上の制限はないため、6両編成車が充当されるすべての種別の運用に区別なく充当される。なお、この6両組成は6両編成単独でしか運用しないため難波方に貫通幌を装備しておらず、女性専用車の設定対象外である。

その他[編集]

  • 12000系の他にもブレーキ方式が共通の2代目1000系とは物理的には併結可能であり、実際に併結対応改造が行われたほか[11]、併結試運転が行われたことがある。しかし、方向幕の動作に難があったことや、本系列はこれらと搭載冷房機のメーカーおよび空調制御方式も異なるため、併結して営業運転を行うには温度調節に不都合があることから、他形式との併結しての営業運転は前述の通り12000系に限られる。

リニューアル工事[編集]

リニューアル工事施工車
(『NANKAI マイトレイン』特別塗装)

本系列は2019年時点で登場から30年以上が経過しており、設備の老朽化が進んでいること、近年増加する空港線の需要に対応する接客設備の整備が必要となったこと、万一の車両故障時の冗長性確保が出来ず4両単独運転が困難であること、VVVFインバータ制御が主流となり、界磁チョッパ制御の更新部品が徐々に製造されなくなり部品調達困難な状況であることなどといった問題があった。これらに対処するため、2018年度よりリニューアル工事が始まり、2019年度に4両編成2本(9501F、9505F)、2020年度(5月現在)に4両編成1本(9503F)が更新された。

更新対象設備は8300系に準じたものへ交換されており、更新内容は以下の通りである。

  • 制御器装置を界磁チョッパ制御からIGBT-VVVFインバータ制御へ変更[12]
  • 主電動機を直流複巻電動機から三相かご型誘導電動機へ変更。
  • 前照灯を1灯式のシールドビームからLEDへ交換
  • 無線アンテナの形状変更
  • 前面および側面の種別・行先表示器フルカラーLEDに換装(漢字・ひらがなの他、英語中国語韓国語による表示も可能)
  • 乗降扉の交換
  • ドアチャイムおよびドアランプの設置
  • 8300系と同型の4ヶ国語対応のLCDディスプレイ(三菱電機製のセサミクロ)式の車内案内表示器を設置
  • 8300系と同等の自動放送装置の設置
  • 車外スピーカー(8300系のクーラー横に設置しているものと同型)を4両中3両の車端部に新設
  • 座席端の仕切りに手すりパイプを追加
  • 座席モケット、床材、化粧板の交換(デザインは後述の『マイトレイン』に準ずる)
  • 吊革を白色から青色(優先座席付近は黄色)に変更し、枕木方向にも吊革を増設
  • 車いすスペースの設置(各号車の和歌山市寄り扉付近)

特別企画「マイトレイン」[編集]

更新された9000系のうち最初の1編成(9501F)については、車内の快適性を高めるとともにブランドイメージの向上を図る目的とした「NANKAI マイトレイン」という名称で、南海社員と和歌山大学空間デザイン研究室の講師、川角典弘氏監修の下で作成した4種類の内装案をなんばCITYに展示し、利用者のアンケートによって更新内容が決定された[13][14]。アンケート結果を基に改装されたリニューアル車は、約1年間の期間限定でプロジェクトイメージカラーのオレンジ色を基調としたカラーリングを施し、2019年4月25日に営業運転を開始した[15][16]。4両編成の普通車運用の他、12000系と併結した特急サザンの運用にも充当されている。

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ 現在の車両 - 鉄道博物館 - 南海電気鉄道
  2. ^ 旧1000系の淘汰に当たっては、座席指定車を旧1000系からの機器流用車である10000系で置き換え、一般車を旧1000系とシステムを同じくする7000系・7100系で置き換える措置がとられた。これは次世代通勤車として新技術を盛り込んだ本系列は、システムの相違から10000系と併結運転できず、単独運用とする必要があるためである。
  3. ^ モハ9001形は奇数車と偶数車でペアを組む1C8M制御車で、難波方の奇数車にパンタグラフと主制御器を、和歌山市方の偶数車に140kVA級静止形インバータ電源と空気圧縮機、それにバッテリーをそれぞれ搭載する。
  4. ^ 端子電圧375V時定格出力160kW。
  5. ^ 制御器の回路簡略化のため、回生失効時にはそのまま空制が動作するように構成されている。
  6. ^ 南海電気鉄道車両部、諸河久、岩堀春夫『日本の私鉄 南海』11、保育社〈カラーブックス〉、1991年6月、53頁。ISBN 978-4586508112
  7. ^ 本系列は新造当時は普通運用が中心であるが、かつて早朝のみ運用されていた4連の急行・準急にも本系列が使用された実績がある。また、暫定期間ではあるが、7000系の車体更新兼冷房化改造工事や7100系の局部更新工事による車両不足を補うため、通常の6連ユニット編成の他、4連ユニットに中間車2連を増結して6連に組み替えた編成を急行・準急運用に使用していた。
  8. ^ 南海9000系と12000系が併結運転される - 交友社『鉄道ファン』railf.jp鉄道ニュース 2015年12月11日
  9. ^ 泉北12000系が特急“サザン”として運転開始 - 交友社『鉄道ファン』railf.jp鉄道ニュース 2018年8月20日
  10. ^ 旧1000系は2扉クロスシート車であり、4扉ロングシート車では初となる。
  11. ^ 「私鉄車両めぐり」『鉄道ピクトリアル』1995年12月臨時増刊号、電気車研究会、1995年、 240頁。
  12. ^ 「9000系電車」と名乗る形式は多くが平成以降に製造されたためVVVFインバータ制御が多く、本形式のVVVFインバータ制御改造完了後は関西私鉄で「9000系」でVVVFインバータ制御以外は近鉄9000系のみになり、大手私鉄全体でも近鉄9000系と東武9000系の2形式となる
  13. ^ 南海電鉄9000系更新、内装デザイン投票実施 - 座席体験イベントも マイナビニュース 2018年1月27日
  14. ^ お客さまと車両作りを一緒に考えるプロジェクト「NANKAI マイトレイン」を実施します 南海電気鉄道ニュースリリース 2018年1月25日
  15. ^ 南海,4月25日から9000系リニューアル車両の営業運転を開始 - 交友社『鉄道ファン』railf.jp鉄道ニュース 2019年4月18日
  16. ^ 南海9000系リニューアル車両が報道陣に公開される - 交友社『鉄道ファン』railf.jp鉄道ニュース 2019年4月25日

関連項目[編集]