「JR北海道735系電車」の版間の差分
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同社が[[1997年]]から使用しているステンレス車体の通勤形[[JR北海道731系電車|731系電車]]の各部仕様を基本として設計された<ref name="press"/>。今後予定される車両取替や[[鉄道の電化|電化]]区間拡大<ref group="注釈">[[札沼線]]の一部区間([[桑園駅]] - [[北海道医療大学駅]])が[[2012年]]春に電化開業予定である。</ref>も考慮した広汎な運用体系の構築を企図し、従来系列の[[JR北海道721系電車|721系電車]]や731系との[[増解結|併結]]運用を可能として汎用性を確保しつつ、[[バリアフリー]]対応のための低床構造・氷雪対策の強化・[[純電気ブレーキ|全電気ブレーキ]]など、設計時点で標準化しつつある仕様を各部に採用している。 |
同社が[[1997年]]から使用しているステンレス車体の通勤形[[JR北海道731系電車|731系電車]]の各部仕様を基本として設計された<ref name="press"/>。今後予定される車両取替や[[鉄道の電化|電化]]区間拡大<ref group="注釈">[[札沼線]]の一部区間([[桑園駅]] - [[北海道医療大学駅]])が[[2012年]]春に電化開業予定である。</ref>も考慮した広汎な運用体系の構築を企図し、従来系列の[[JR北海道721系電車|721系電車]]や731系との[[増解結|併結]]運用を可能として汎用性を確保しつつ、[[バリアフリー]]対応のための低床構造・氷雪対策の強化・[[純電気ブレーキ|全電気ブレーキ]]など、設計時点で標準化しつつある仕様を各部に採用している。 |
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2010年に3両編成2本(6両)が製作され、[[2011年]]度冬季まで各種試験を主に運用される<ref name="press"/>。 |
2010年に3両編成2本(6両)が製作され、[[2011年]]度冬季まで各種試験を主に運用される<ref name="press"/>。2012年2月、本系をベースとした[[JR北海道733系電車|733系電車]]が川崎重工から出場された<ref>[http://railf.jp/news/2012/02/09/215900.html 733系が甲種回送される。] - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp鉄道ニュース 2012年2月8日</ref>。 |
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== 仕様・構造 == |
== 仕様・構造 == |
2012年2月10日 (金) 19:42時点における版
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JR北海道735系電車 | |
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札幌運転所にて公開中の735系電車 (2010年8月6日 / 札幌運転所) | |
基本情報 | |
製造所 | 日立製作所 |
主要諸元 | |
編成 | 3両編成 (1M2T) |
軌間 | 1,067 |
電気方式 |
交流単相20,000V 50Hz (架空電車線方式) |
最高運転速度 | 120 |
設計最高速度 | 130 |
起動加速度 | 2.2 |
編成重量 | 105.2t |
台車 |
軸梁式ボルスタレス台車(ヨーダンパ付) N-DT735(電動車) N-TR735(付随車) |
主電動機 |
かご形三相誘導電動機 N-MT735 (230kW) |
駆動方式 | TD平行カルダン駆動方式 |
歯車比 | 1:4.89 |
制御装置 |
VVVFインバータ制御(IGBT素子) N-CI735 |
制動装置 | 回生ブレーキ(全電気式)併用電気指令式空気ブレーキ |
735系電車(735けいでんしゃ)は、北海道旅客鉄道(JR北海道)が2010年(平成22年)に製作した交流通勤形電車[1]である。
概要
軽量化・運用コスト低廉化を利点として採用事例が増加しているアルミニウム合金製車両をJR北海道で導入検討するに際し、使用事例のない酷寒冷地での各種適性を確認するため試作された車両である。
同社が1997年から使用しているステンレス車体の通勤形731系電車の各部仕様を基本として設計された[1]。今後予定される車両取替や電化区間拡大[注釈 1]も考慮した広汎な運用体系の構築を企図し、従来系列の721系電車や731系との併結運用を可能として汎用性を確保しつつ、バリアフリー対応のための低床構造・氷雪対策の強化・全電気ブレーキなど、設計時点で標準化しつつある仕様を各部に採用している。
2010年に3両編成2本(6両)が製作され、2011年度冬季まで各種試験を主に運用される[1]。2012年2月、本系をベースとした733系電車が川崎重工から出場された[2]。
仕様・構造
車体
アルミニウム合金押出型材を用いたダブルスキン構造の構体を用い、制御車クハ735形の前頭部のみ鋼製である[1]。 客用扉は開口幅 1,150 mm のステンレス製片開き扉を側面3か所に設け、客室窓は扉間に2枚の大型窓を設ける。前頭部は乗務員保護対策として衝撃吸収構造を採用し、正面中央部が突出した形状をもつ。構体素材を除き、これらは731系と同一の基本構成であるが、本系列では構体素材の関係から車体断面形状が変更[3]され、腰板上縁 - 客室窓下端部から幕板部にかけての「上窄まり台形」形状を廃して側面上部を垂直配置としている。車体傾斜装置の搭載は考慮されていない。
氷雪対策として、床下機器を防護する機器カバーを各車床下に設け[1]、車端部直下には防雪カバーを設ける。電動車モハ735形では車内端部に「雪切室」を設け、機器類を冷却する外気を雪切室経由で導入し氷雪の侵入を防止する。
プラットホームとの段差を縮小するため、床面高さは731系の 1,150 mm から 100 mm 低い 1,050 mm まで下げられ[3]、出入口はステップを廃した全面平床とされた。
正面窓・側面窓は冬季の氷雪落下による破損対策として、ポリカーボネート (PC) 板を多用する。客室窓は 8 mm 厚の PC 板(室外側)4 mm 厚の強化ガラス板(室内側)を空気層を挟んで設置する複層構造で、客用扉窓は 8 mm 厚の PC 単板、正面の助士席窓と貫通扉窓には表面に導電発熱体層を付加した発熱 PC 板を用いている[3]。
前面上部の種別表示器・側面の行先表示器は731系の幕式からLED式に変更されている[1]。
車体の外部塗色は、正面中央左右に萌黄色の横帯を、正面窓周囲・側窓間の窓柱に黒色を配する。鋼製の前頭部はシルバーメタリック塗装がなされ、他の車体外部は無塗装である。
室内設備
座席配置は全車ともロングシートで、出入口と客室とを仕切る仕切扉は設けず、座席端部に大型の袖仕切を装備する。これは731系と同様の室内配置であるが、本系列では出入口隣接部の跳上げ式収納座席を廃止して固定座席を増設し、大型袖仕切の設置位置も変更している[3]。室内寒冷対策として、大型袖仕切のほか、出入口の上と横から温風を送り込み冷気を遮断するエアカーテン、ボタン開閉式の半自動ドアを装備する。
バリアフリー対応として、車椅子対応の大型トイレ・車椅子スペースを設置する[1]。段差をなくした出入口は扉内張と周辺部を黄色として注意喚起を図り、付帯設備としてドアチャイム・車内案内表示装置・ドアチャイム連動式のドア開閉表示灯を出入口上部に装備する。
制御装置
主変換装置はスイッチング素子に IGBT を用い、3レベル変調単相電圧形 PWM コンバータと2レベル変調三相電圧形 PWM インバータとの構成で VVVF インバータ制御を行う N-CI735 形である。1群の主変換装置で2基の主電動機(=1台車)を制御する 1C2M 方式で、台車単位で個別に制御が可能な独立2群構成である。スナバ回路の廃止・フィルタコンデンサの乾式化など、小型化・軽量化が図られた。
主変圧器は自然通気で冷却する走行風自冷式の N-TM735-AN 形で、冷却用の送風機を省略して静粛性と保守性とを向上している。
これら主回路を構成する装置群は電動車モハ735形に集中装備され、各機器は低床化に伴う床下艤装空間の狭小化に対応し、筐体高さを縮小するなど小型化がなされている。
ブレーキ装置の制御方式は一般的な電気指令式で、遅れ込め制御機能をもつ。主回路に付加される回生ブレーキは列車停止までの全速度域で有効な全電気ブレーキを搭載する[1][注釈 2]。
台車・駆動装置
台車は低床車体に対応した新形式の軽量ボルスタレス台車 N-DT735 形・ N-TR735 形で、軸ダンパを併設した軸梁式の軸箱支持機構・ヨーダンパの設置・鋳鉄制輪子を実装した両抱き式の基礎ブレーキ装置など、731系以降のJR北海道旅客車両が広汎に装備する台車形式群と同一の基本構造を有する。本系列の台車は車体を低い位置で支持するため、台車側梁中央部の高さを下げて枕バネ(空気バネ)の実装空間を確保し、810 mm 径の小径車輪も併用して低床化を図っている。
電動車モハ735形が装備する動力台車 N-DT735 形は、主電動機 N-MT735 形 (230 kW) を1台車に2基搭載する。731系以降のJR北海道電車に汎用的に用いられる かご形三相誘導電動機 N-MT731 形 (230 kW) と基本仕様を同じくするもので、床下空間の狭小化に対応し配線取出位置を変更している。主電動機から輪軸への動力伝達は、保守性と静粛性を利点とするTD平行カルダン駆動方式を採用する。
その他仕様
721系・731系電車と併結運転が可能な仕様で、2編成6両まで制御可能である。キハ201系気動車との総括制御には対応せず、同系列との併結はできない。
形式別詳説
- モハ735形
- 編成の中間に組成される電動車 (M) で、主変換装置・主変圧器などの主回路を構成する機器はすべて本形式に搭載する。車体側面向かって左側に「雪切室」に通じる外気導入口を設ける。集電装置はシングルアーム式パンタグラフの N-PS785 形で、関節部を車体中央側に向け小樽方の屋根上に搭載する。
- 定員は150名(うち座席52名)である。車両番号は編成番号に合わせ、101 - を付番する。
- クハ735形
- 編成の両端に組成される制御車で、編成中の組成方向・諸設備が異なる2種の区分があり、車両番号帯を分けて区分する。
- クハ735形100番台 (Tc1) は室内後位に車椅子スペースとバリアフリー対応洗面所を設置する。このため後位の客用扉は他車より車体中央側に 825 mm 寄った位置にある。定員は137名(うち座席46名)である。奇数向き(旭川方)に組成される。
- クハ735形200番台 (Tc2) は室内後位に機器室を設置し、床下に補助電源装置・空気圧縮機を装備する。定員は141名(うち座席46名)である。偶数向き(小樽方)に組成される。
編成・運用
2010年3月に2編成6両(編成番号:A-101, A-102)が札幌運転所に配置された。以下の組成で使用される。
← 小樽
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形式 | クハ735-200 (Tc2) |
モハ735-100 (M) |
クハ735-100 (Tc1) |
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設備配置 | 車椅子対応トイレ 車椅子スペース |
2010年夏季以降、函館本線・千歳線など札幌都市圏を中心に試験運用に供される。同年冬季から、寒冷環境下での車両への諸影響を調査分析する各種走行試験を実施する。走行試験は2010年度・2011年度の2期が予定されている[1]。
参考文献
- 交友社 『鉄道ファン』 2010年6月号 No.590 P.62 - 65
- 鉄道ジャーナル社 『鉄道ジャーナル』 2010年6月号 No.524 P.144
- ネコ・パブリッシング 『Rail Magazine』 (出典中では『RM』と略記)