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韓国の地下鉄

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韓国の地下鉄
各種表記
ハングル 지하철
漢字 地下鐵
発音 チハチョル
ローマ字転写 Jihacheol
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韓国の地下鉄(かんこくのちかてつ)では大韓民国で運用されている地下鉄に関して詳述する。2011年現在、韓国ではソウル特別市と5つの広域市(仁川広域市釜山広域市大邱広域市光州広域市大田広域市)、2つの道(京畿道[1]慶尚南道[2])で地下鉄が運行されている。

概要

いずれの都市の路線も標準軌で建設されている。このため比較的車両幅が広く定員が大きいが、ラッシュ時には過度な車内混雑や過密輸送が見られる。

ソウル特別市京畿道などでは公共バスと共通の非接触型ICカード方式の乗車カードであるTマネーが導入されており、クレジットカード型のほか、キーホルダー型のものや携帯電話と一体型の乗車券も用いられている。

韓国では自動車右側通行であるため地下鉄も基本的に右側通行となっているが、ソウルメトロ1号線だけは、日本統治時代下に作られた韓国鉄道公社線の規格をそのまま使用しているため、左側通行となっている。4号線果川線安山線に乗り入れるが、南泰嶺駅と果川線ソンバウィ駅の間(トンネル内)で通行方向が入れ替わる。

電化方式はいずれの都市の路線も直流電化(1,500 V)であるが、広域電鉄の路線は一山線を除いてすべて交流電化(25,000V)となっており、地下鉄との境界にデッドセクション(無電流区間)が設けられている。

番号を使って「○号線」という呼び名を使っている路線が多い。

ソウル特別市の地下鉄

韓国では、朴正煕軍事クーデターによって大統領に就任してから軍事独裁政権となっていた。その反面、1960年代から漢江の奇跡と呼ばれる高度経済成長を遂げ、ソウル首都圏を中心に人口が集中するようになった。そこで、大量に通勤輸送できる公共交通機関が重要となり、韓国国外の鉄道技術の導入を検討していた。よど号ハイジャック事件の余波によって日本の技術を韓国側に提供する事が政治的に決定し、1974年8月15日にソウルメトロ1号線が開業した。ちなみに、北朝鮮平壌地下鉄は前年の1973年に開業している。

その後30年間で地方都市にも地下鉄が整備され、世界有数の地下鉄保有国となった。ソウル特別市と釜山広域市にあった路面電車はそれに先だってモータリゼーションの進展のため、1968年に双方とも全廃されており、2007年現在、韓国で商用に運用される路面電車は存在しない。

ソウル特別市の地下鉄路線一覧

首都圏電鉄ソウル地下鉄

上記4事業体によって運営されており、事業者をまたいでの乗り換えで新たに改札を要求されたり、割増運賃を要求されることは一部を除いてない。また、共通してICカード方式のTマネーが用いられるほか、1985年から駅のナンバリングを実施しており非常に利用しやすくなっている。

事業体による主な違いとしては、ソウルメトロは自動改札ターンバー式を用いているのに対し、ソウル特別市都市鉄道公社はバーレス式、韓国鉄道公社はバーレス式とターンバー式を混用している、などが挙げられる。ただし、現在は機器の更新等により、必ずしも当てはまらなくなっている。

その他の事業者

ソウル特別市を中心とした首都圏では、上記3事業体のほか、以下の民営・半民営鉄道(日本で言う第3セクター)によって地下鉄・都市鉄道が運営されている。

ソウルと仁川国際空港を結ぶ鉄道。料金体制は首都圏電鉄料金が適用される一部区間(ソウル駅~黔岩間)を除いて3(仁川メトロを含めれば4)事業体とは別に設定されており、各駅停車と直通(優等列車・途中停車駅なし)もそれぞれ別料金である。
ソウル江南地区を経由して龍山駅と南西郊外の城南市を結ぶ鉄道。韓国で初めての100パーセント民営鉄道として計画された。

そのほか、地下鉄ではないが、「軽電鉄」(日本の新交通システムLRTモノレールなどを韓国では全てこう呼ぶ)が北西部の議政府市と南西部の龍仁市龍仁軽電鉄)でそれぞれ建設されている。

仁川広域市の地下鉄

仁川交通公社(旧仁川メトロ)によって運営されている。

ソウル特別市の地下鉄と広域電鉄を形成しているため、運賃体系などはすべてソウルのものと一体化されている。その関係でソウルと仁川の地下鉄をまとめて「広域電鉄」または「電鉄」と呼ぶのが一般的である。

釜山広域市の地下鉄

釜山交通公社によって運営されている。2号線は慶尚南道梁山市へ乗り入れている。

大邱広域市の地下鉄

大邱都市鉄道公社によって運営されている。

このほか、大邱都市鉄道3号線がモノレール方式で建設される予定である(2014年開業目標)。延長23.95kmで30駅が設置される。

光州広域市の地下鉄

光州広域市都市鉄道公社によって運営されている。

大田広域市の地下鉄

大田広域市都市鉄道公社によって運営されている。

その他

韓国の地下鉄は有事の際、防空壕に転用できるようにできている。このため、駅構内の無断撮影は原則禁止されている。鉄道車両を地下で撮影する場合は、駅員に断りを入れてから撮影する必要がある。しかし、観光客や一般市民がデジタルカメラ携帯電話に装備されているカメラなどで地下鉄構内で写真を撮影していることが多くあり、また地下鉄構内にも撮影禁止の表示はない。よほど地下鉄構内の施設物のみを撮らない以外、問題はなくなっている。

なお、ソウルをはじめ主要都市に地下街が発達しているのも同じ理由である。

関連項目

脚注

  1. ^ 光明市ソウル特別市都市鉄道公社7号線)、高陽市ソウルメトロ3号線一山線)、議政府市(ソウル特別市都市鉄道公社7号線)、城南市ソウル特別市都市鉄道公社8号線盆唐線)、果川市安養市果川線
  2. ^ 梁山市釜山地下鉄2号線

外部リンク