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雷電 (メタルギアシリーズ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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雷電(らいでん)はコナミ(現、コナミデジタルエンタテインメント)のゲーム、『メタルギアソリッド2』『メタルギアソリッド4』『メタルギアソリッド ポータブル OPS+』『メタルギア ライジング リベンジェンス』に登場する架空の人物である。『メタルギアソリッド2』と『メタルギア ライジング リベンジェンス』では主人公を務める。声優は堀内賢雄。英語版の声優はQuinton Flynn(クイントン・フライン)だが、『MGS3サブシスタンス』に収録された「メタルギアライデン」ではチャーリー・シュラッターが担当していた。


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


概要

本名はジャック[1]。銀色の髪に中性的な風貌をしており、女性に間違えられた事もある。

冷静な性格だが、生真面目で単純な一面から、ソリッド・スネークに「単純軟弱石頭」と評されている。自分の過去を避けるあまり、恋人であっても自分の心に入ってくる事を嫌い、普段はベッドや机といった必要最低限の物しかない、「刑務所のよう」と評された部屋で生活している。

ビッグ・シェル潜入までのコードネームは「スネーク」だったが、サンズ・オブ・リバティのリーダーが「ソリッド・スネーク」と名乗っていたため「雷電」に変更された。コードネームの由来は第二次世界大戦中の大日本帝国海軍局地戦闘機「雷電」で、彼が唯の兵器に過ぎないという意図が込められていた。戦闘機の雷電の連合国側のコードネームはJackで、本名と逆の関係になっている。

キングコングが破壊したビルはエンパイアステートビルクライスラービルか」という口論がきっかけで恋人であるローズと出会う[2]。少年兵時代には暗示をかける為として「マッチョな男が銃を持って戦う映画」[3]を観させられていた。

『MGS2』では、シリーズの中心人物であるソリッド・スネークに代わる主人公となったことで、批判的な反響もあった。以後、頭髪がカツラであることを疑われ続ける[4]、全裸のまま敵から逃げるゲームに登場させられるといった役回りを与えられ、『MGS3 サブシスタンス』では『MGS4』の主役の座をスネークから奪い取ろうと目論んだ雷電が過去にタイムトラベルする「メタルギアライデン(METAL GEAR RAIDEN)」というシークレットシアターが収録されるなど、派生作品やプロモーション映像ではコメディ要素にも使われる。

プレイステーション3Xbox 360、PC向けに製作が発表された最新作『メタルギア ライジング リベンジェンス』の画像には、強化骨格を装着した彼が写っている。

メタルギアオンラインでも使用可能キャラクターとして登場している。

劇中での活躍

メタルギアソリッド2以前

リベリア出身で、数少ない白人の家に生まれた。1980年代の少年時にソリダス・スネークにより両親を殺害されている。その後、ソリダスの元で兵士として育てられ、反政府軍(リベリア国民愛国戦線)の少年兵としてリベリア内戦に参加。6歳で銃を持ち、10歳でスモール・ボーイ・ユニットの小隊長となり、誰よりも多く人を殺した。その戦果から「ジャック・ザ・リッパー」、「白い悪魔」の通称があった。内戦終結後は人権団体に保護されたのち、アメリカに渡る。

バンドデシネ版では少年兵だった過去が詳細に描写されている。また、両親が殺害された理由は「両親が雷電を連れてリベリアから国外逃亡を図る為に国境を渡ろうとした際に、当時そこで作戦を展開していたソリダスによって集中砲火を浴び、"取り除かれた"」とされている。(ソリダス本人はタイミングが悪かった為としている)そこで運よく生き延びた雷電をソリダスが息子同然に育て上げたが、あまりに才能がありすぎた為に、その戦功に目をつけた本国にいるソリダスのかつての雇い主(愛国者達)のエージェントに拉致された、とされている。

アメリカ陸軍に入隊した彼は、ナノマシンによる記憶操作と、VR訓練を施される。

メタルギアソリッド2

2009年に海上除染施設「ビッグ・シェル」がサンズ・オブ・リバティと名乗る武装集団(テロリスト)に占拠された際に、大統領を救出すべく新生FOXHOUND隊員として単独潜入する。

この時に埋め込まれたナノマシンにより記憶を操作され、自身はFORCE21時代のVR訓練の経験しかなく、実戦は初めてで人を殺害したことがない新兵であるという記憶を植え付けられていた。少年時代の記憶を「自分が傷付きたくないから」という理由で、意図的に忘れようとしており、この過去と向き合わない姿勢がAIシステム「G.W」に利用された。

本人は大佐やローズ、米海軍特殊部隊Navy SEALs隊員のイロコィ・プリスキン中尉爆発物処理班のスティルマン、ミスターXなどの助言に従い、人質救出や、仕掛けられた爆弾の凍結作業を行っている。

テロリストの人質となっていたジェームズ・ジョンソン大統領と接触し、ビッグ・シェルが「愛国者達」の建造した巨大兵器「アーセナルギア」であることを知った後は、中枢AI「G.W」の破壊を目指した。有効なコンピューターウイルスの所持者であるエマ・エメリッヒの救助に向かったが、テロリストのメンバー、ヴァンプの襲撃でエマを失い、ウィルス注入にも失敗してアーセナルギアは起動、サイボーグ忍者に気絶させられ、アーセナルギア内に捕えられた。

再会したソリダスによる拷問と会話で過去の記憶を徐々に取り戻したが、これにより現在の自分と周囲の状況を疑い始める。愛国者達のスパイ、オルガの協力で脱出した後に、雷電を囮にアーセナルギアへ潜入していたスネークと合流し、それまで「大佐」や「ローズ」として自分に指示を出していたのが、AIであるG.Wの造った幻だったことが判明したことで自身に対する疑念をさらに強めたが(特にローズとの関わりに関しては愕然とする)、多数のメタルギアRAYとの戦闘も切り抜けた。

ウィルスの影響で機能不全となったアーセナルギアがニューヨークフェデラルホールに突入して停止するまでの間に、一連の自分の体験は「情報管理の中での無意識的な人間の支配」のための演習だったことも知り、演習の完結となることを自覚しながらも、ソリダスとは一騎打ちにて決着をつけている。その後、スネークの意思を聞き、本物のローズと連れ添って、崩壊したニューヨークの街へと消えていった。

偽りの記憶が彼の中にあったが、ローズとの思い出に関しては真偽入り交じっていた模様。

メタルギアソリッド4

全身に強化外骨格を纏った姿で登場。高周波ブレードと投げナイフを駆使した接近戦を得意とし、月光複数体を相手に圧倒するほどの高い戦闘能力を発揮する。その容姿と身体能力による働きはかつてシャドーモセス島で暗躍したサイボーグ忍者ことグレイ・フォックスを彷彿とさせる。 デモシーンのみの登場で、プレイヤーが操作することはできない。

ローズとともに生活していたが、ソリダス・スネークとの接触からリベリア内戦当時の記憶を思い出したことで生活が荒み、最後にはローズのもとを去ってしまう。しかし、後述のアウターヘイブンによる危機の際に彼女の名を絶叫しMGS2のラストが脳裏をよぎる等、彼女への想いは常に抱いていた模様。

ビッグ・ママが率いる対愛国者達レジスタンスと協力しサニーを救出した後、「ビッグボスの遺体」を取り戻すために動き始める。しかし、愛国者達に囚われてしまい、そこで人体強化改造の被験体にされる。その後ビッグママ率いるレジスタンスに救出され、ビッグママが懇意にしていた東欧のサイバネティックスの世界的権威、マッドナー博士[5]によって、血液を「ホワイトブラッド」と呼ばれる旧式人工血液に置き換えられ[6]、一定時間毎に透析を行わないと自家中毒症状を起こすようになった代わりに、人間離れした身体能力を獲得した。

そして、リキッド・オセロット暗殺任務を請け負っていたソリッド・スネークの援護に現れる。南米では月光の集団を撃破し、ヴァンプとの戦いにも辛うじて勝利する。しかし、大量失血と自家中毒症状により、東欧のマッドナー博士の発明したホワイトブラッド専用の透析機での治療を受けることとなる。続くシャドーモセス島の戦闘ではスネークの危機に駆けつけ、ヴァンプとの因縁に決着を着ける。しかし、リキッドとスネークのメタルギアを用いた戦闘の直後に現れた巨大戦艦アウターヘイブンの突進から、片腕を失った状態で自らを盾にしてスネークを守り、自身は海中に沈んでいった。そこで死亡したかに見えたが、リキッドが退散した後、オタコンに救出され一命は取り留めるが戦線を離れる。その後、アウターヘイブンに潜入したスネークが中枢直前で危機に陥った際にも両腕のない状態で援護に現れ、高周波ブレードを口に咥えて敵兵の一団と渡り合った。

事件の後には、失った両腕が再生治療されるとともに、強化外骨格が取り除かれた。また、疎遠になっていたローズから、ロイ・キャンベルとの婚姻と胎児の流産は、愛国者達からの監視を欺く為の偽装であったことを明かされる。息子であるジョンは無事に育っており、そこで初めて顔を合わせた。真実を聞かされた後にローズマリーと復縁、ジョンとも心を通わせ、新しい人生を家族と共に生きていくことを決意する。

その後については詳細に語られていないが、自分の寿命が尽きるまで世界を見届けると語りあうスネークとオタコン、サニーの輪の中で「みんな」という形容が使われており、小島秀夫は、特典ディスクのインタビューで「サニーの“みんな”が誰を指すのかは敢えてハッキリとは描写せず、プレイヤーの想像に委ねる。もしかしたら雷電(ジャック)も居たかもしれない。そういうことをユーザーの皆さんに想像してみてほしい」と述べている。

イワン・ライデノヴィッチ・ライコフ

1964年が舞台である『メタルギアソリッド3』には、容姿が酷似したイワン・ライデノヴィッチ・ライコフという人物が登場する。「ヴィッチ」はスラブ系言語における父称であり、言葉の内容は雷電の家系であることを意味するが、関係性については明確にされていない。他の主要キャラクターのように、殺害することでタイムパラドックスが起きることも無い。

格闘スタイルが雷電と同じで、拘束し尋問をすると『MGS2』の雷電の台詞を言う。また、彼をロッカーに隠すイベントではロッカーのなかに雷電のポスターが貼ってある。男性であるが、上司のヴォルギン大佐の愛人とされており、パロディムービーの「メタルギアライデン」では雷電がライコフと勘違いされてヴォルギンに襲われている。

メタルギアソリッド ポータブル OPS』の舞台となった時期には、ヴォルギン大佐死亡後の権力者競争に敗北し、サンヒエロニモ半島に左遷され、そこでも奇行が目立ったために味方の反乱軍に拘束されてしまった。スネークが接触することで仲間にすることが可能。『メタルギアソリッド ポータブル OPS+』では雷電がユニークキャラクターとして登場している。

メタルギアオンライン

MGS3 版

『MGS3 サブシスタンス』に同梱されていた「メタルギアオンライン」ではライコフがユニークキャラクターとして登場した。格闘スタイルはスネークのものと同様に変更されたが、CQCは敵の股間を握りつぶすという独自のアクションが導入されている。このほか、視線を釘付けにするアイテムのグラビア雑誌に反応しない、赤外線ゴーグルが蝶の形をした眼鏡に変化するなどの特徴があった。

MGS4 版

『MGS4』同梱の「メタルギアオンライン」においては、2009年3月17日よりユニークキャラクターとしてメタルギアソリッド4仕様の雷電が登場。本編では不可能だったプレイヤーによる操作が可能となった。専用武器として、高周波ブレードと投げナイフを装備でき、他のキャラクターと比べて移動速度が速く、正面からの銃撃を弾く、高所から落ちてもダメージを受けない、バイザーを装着することで仕掛けられたトラップを視覚化できる、チームメンバーを踏み台にして高所へ登る「リフトアップ」が必要な段差を単独で飛び越えられるなどの特性がある。使用するには拡張パック「SCENE EXPANTION」の購入が必要。

誕生の経緯

小島秀夫は、ゲーム製作時のアンケートで女子中学生から「こんなにオヤジばっかり出るゲームは嫌だ、発売されても絶対に買わない」と言われたことに製作陣がショックを受け、女性ファンも取り込む若い美形のキャラクターとして考案したと述べており、「歴戦の戦士であるソリッド・スネークが、何度も初期状態に戻って戦うのはおかしいと思ったので、新しい主人公を立てようと思った」という考えも公開している。

小島は2010年4月26日から28日にかけてのtwitterでは、2008年公開のフランス映画「ジョニー・マッド・ドッグ」などで取り上げられた少年兵問題をMGS2で扱おうとしていたとしている。没になった設定として、雷電が銃を撃つとガンパウダーで過去の映像を頻繁にフラッシュバックし、そのとき写る国旗が一見アメリカ国旗だが、実はリベリア国旗であることが後に明らかになるなどの設定があったという。「自由の国」アメリカによって建国されたリベリアの内戦において雷電が少年兵となったこと、ナノマシンを通じて雷電を操っていたコンピューター「GW」が、「ジョージ・ワシントン」の頭文字である等の設定も、他の物語の設定と絡むものとなるはずだった。小島はゲーム内で使用するため少年兵関連の映像を集め、自ら編集もしていたが、ストップがかかり、その映像は使えなくなってしまった。数日後、同じ映像が少年兵問題を扱ったNHKスペシャルで放送されたことで、「大きな雪辱(屈辱)感」を感じ、ゲーム製作をやめようかとまで思ったという。

脚注

  1. ^ フランスのテレビ局によるインタビューの中で小島秀夫は、名前の由来は映画「タイタニック」の主人公だと述べている。恋人のローズマリーも、映画のヒロインの名前に由来する。
  2. ^ 『キングコング』で壊れたビルはエンパイアステートビルで、クライスラービルが壊れたのは『ゴジラ』だという雷電の主張が正しい。
  3. ^ 『MGS4』の小説版では『ランボー』であるとされている。
  4. ^ クリア後に特殊能力の備わったカツラを入手できるが彼自身の髪がどうなっているのかは不明である。またエマ・エメリッヒがオイルフェンスを歩くシーンでカツラ疑惑をつぶやいているところを集音マイクで聴く事が出来る
  5. ^ MG』、『MG2』に登場したドラゴ・ペトロヴィッチ・マッドナー博士と同一人物
  6. ^ 実際には、血液をすべて抜き出すことで、愛国者達によって体内に注入されていたナノマシンを全て取り除く目的があった。

関連項目