金沢百万石まつり

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金沢百万石まつり
Hyakumangoku Matsuri
イベントの種類 祭り
通称・略称 百万石まつり
開催時期 6月
会場 石川県金沢市
主催 金沢百万石まつり実行委員会
来場者数 約42万人
(2018年、主催者発表)[1]
公式サイト
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金沢百万石まつり(かなざわひゃくまんごくまつり)は、毎年6月石川県金沢市で行われる祭りである。金沢百万石まつり実行委員会(金沢市と金沢商工会議所)が主催する[2]

概要

加賀藩の祖・前田利家1583年6月14日金沢城に入城したことにちなんだもので、入城の行列を再現した百万石行列をはじめ、薪能茶会などのイベントが、6月上旬の土曜日2007年からは第1土曜日)を中心とした3日間に行われる。

百万石まつりのルーツは、1923年大正12年)に金沢市祭として行われた行事で[3]1945年昭和20年)まで行われた。翌年から1952年(昭和27年)までGHQの指導により「尾山まつり」として執り行われた[3]

現在の形式での祭りは、1952年(昭和27年)の金沢市と金沢商工会議所主催による「商工まつり」が第1回とされている[3]。もともとは江戸時代に行われていた百日祭が起源とされ、百日祭では行列は3日間かけて行われた。

新型コロナウイルスの影響で、2020年の開催は見送られる方針で検討されていると同年4月9日に北國新聞が報じた[4]。その後4月14日には正式に中止が決まり、初の開催中止となった[5][6]

2021年は当初一部の行事を中止し、行列のみの開催となる予定だった。しかし、まん延防止等重点措置の影響で見送られる方針が検討され、4月30日に中止が発表された[7]

主な日程

協賛行事含む。

  • 1日目(金曜日)祈願祭、献茶式、加賀友禅灯ろう流し、子ども提灯太鼓行列など
  • 2日目(土曜日)百万石茶会、百万石行列、百万石踊り流しなど
  • 3日目(日曜日)百万石茶会、民謡華絵巻、金沢城おまつり広場、百万石薪能

子ども提灯太鼓行列

市内各校区(金沢市では「校下」と呼び慣わす)の児童生徒約1万人が、提灯・太鼓を持ち『金沢市歌』を歌いながら市内をねり歩くというもの。出発場所は石川県立中央公園で、帰りは自分の校区まで歩いて帰る。雨天時は基本的に行われない。夜にかけて次第に天気が悪くなると予報がされている時、児童らが集合し、決行の可否を待たされた挙句、結局中止になってしまうこともある。2022年の第72回では自分の学校から家に帰る方針に変更された。

百万石行列

祭りのメインイベント[8]。1999年までは「百万石パレード」という総称だった。かつては史実にしたがって第1回と2回は4月に、3回〜6回までは5月に、7回からは6月14日に行われ、これに合わせて、金沢市立の学校など市立の施設は休日扱いとなっていた。2000年から県外からの観光客を招くために、6月14日に近い6月の第2土曜日に固定して開催するようになった。しかし雨天の年が多かったため、2007年から梅雨の影響を避けるためとして、6月の第1土曜日に早めて行われている。

1980年から2005年までは金沢市役所前を出発し市内メインストリートを一周、長町研修館で終了していたが、2006年からは金沢駅東広場に新設された「鼓門」を出発し、石川門から金沢城に入城するようになった。

祭りの横断幕を先頭に、市内の小中学生や警察、自衛隊などによる音楽パレード、ミス百万石加賀鳶行列、獅子舞(加賀獅子)行列、尾山神社の御輿、奴行列、珠姫の輿入れ行列(市内で公募された児童が珠姫と利常に扮する)、お松の方行列、加賀八家家老行列、前田利家公入城行列、赤母衣衆行列と続く(行列の内容・構成は年によって多少変わる)。

利家公役は、従来市役所や商工会議所の職員から選ばれていたが、1984年に地元出身[注釈 1]の俳優・鹿賀丈史を起用したところ観客が急増、1986年以降は毎年男優を起用しており、普段見られない馬上の武者姿が人気を集めている。

お松の方役は、金沢市内にある百貨店・大和名鉄丸越(現在金沢エムザ)の女性店員が交代で務めていた(2001年のみ、第50回記念として斉藤慶子を起用)が、2008年以降は毎年女優[注釈 2]を起用している。

歴代の利家公とお松の方

利家公 お松の方
1984年 鹿賀丈史 (一般公募)
1985年 (一般公募)
1986年 御木本伸介[注釈 3]
1987年 三浦浩一
1988年 名高達郎[注釈 4]
1989年 横内正
1990年 目黒祐樹
1991年 中条きよし
1992年 橋爪淳
1993年 辰巳琢郎
1994年 渡辺裕之
1995年 美木良介
1996年 高橋英樹
1997年 あおい輝彦
1998年 千葉真一
1999年 藤岡弘、
2000年 勝野洋
2001年 松平健 斉藤慶子
2002年 風間トオル (一般公募)
2003年 加勢大周
2004年 東幹久
2005年 赤井英和
2006年 髙嶋政宏
2007年 的場浩司
2008年 山下真司 石野真子
2009年 永島敏行 熊谷真実
2010年 宍戸開 小林綾子
2011年 村上弘明 藤谷美紀
2012年 川野太郎 横山めぐみ
2013年 松村雄基 大河内奈々子
2014年 原田龍二 菊池麻衣子
2015年 内藤剛志[9] 菊川怜[9]
2016年 袴田吉彦 笛木優子
2017年 保阪尚希 佐藤藍子
2018年 高橋克典[1] 羽田美智子[1]
2019年 加藤晴彦[10] 藤本美貴[10]
2020年 陣内孝則 壇蜜
2021年
2022年
竹中直人[注釈 5] 栗山千明
2023年 市川右團次[11] 紺野まひる[11]

テレビ中継

石川県内の放送局では、百万石行列の実施時期に合わせてテレビ中継が行われ、2011年以降は北陸放送(MROテレビ)と石川テレビ放送の2局で放送されている(2020年を除く)。前者は同局アナウンサーのほとんどが出演、後者は『石川さん情報Live リフレッシュ』の出演者(2008年以降)が中心となって出演する。2015年以降の概要は以下のとおりであるが、利家公役が金沢城に入城するまでは2019年までは放送されなったが、2022年ではYouTubeの「石川テレビ公式チャンネル」にて、入場祝祭の模様が流れるようになった。1970年代から2000年代前半までは北陸放送の独占中継だった。土曜日開催後、石川テレビでも生中継を開始している。 2020年では前述の通り中止となったため、北陸放送では「金沢百万石まつり特番 森の都を人がゆく〜激レア蔵出し映像SP〜」が放送された。石川テレビでは放送されなかった。

開催年 放送時間 ゲスト 備考
2015年[12] 13:25 - 17:30(MRO)
14:00 - 17:30(石川テレビ)
太川陽介篠井英介キンタロー。(MRO)
松本明子照英(石川テレビ)
2016年[13] 13:25 - 17:30(MRO)
13:55 - 17:25(石川テレビ)
椿鬼奴狩野英孝(MRO)
壇蜜篠原信一(石川テレビ)
2017年[14] 13:25 - 17:30(MRO)
13:00 - 17:30(石川テレビ)
TKOMEGUMI(MRO)
平野ノラ(石川テレビ)
2018年[15] 12:55 - 17:30(MRO)
13:00 - 17:30(石川テレビ)
遠藤章造ココリコ)、菊地亜美(MRO)
ウド鈴木キャイ〜ン)、流れ星(石川テレビ)
2019年 アンミカJOY、アントニー(マテンロウ)(MRO)
羽田美智子(石川テレビ)
石川テレビでは当初、原田龍二(2014年の利家公役)の出演を予定していたが、『週刊文春』で報じられた不倫騒動により、石川テレビ側の意向で出演を取り止めた[16]
2020年 13:05 - 14:35 太川陽介、高橋克典 MROのみの放送。過去の百万石まつりを振り返る。
2021年 12:10 - 13:40(MRO)
10:25 - 11:20(石川テレビ)
長谷川孝徳 (北陸大学教授)(MRO)
壇蜜 (石川テレビ)
MROでは事前収録となっている。
2022年 12:55 - 17:30(MRO)
13:00 - 17:30(石川テレビ)
国分太一(MRO)
炎鵬晃 (石川テレビ)

テレビ金沢では2000年頃から中継が行われてきたが、経営状況から2010年の放送を最後にテレビ中継を終了した。翌年以降は、バラエティ番組の再放送(2015年以降は『月曜から夜ふかし』が定時で再放送されている)やテレビショッピングなどが編成されている。なお、北陸朝日放送(HAB)では開局時から中継は行っていないが、2014年にはFIFAワールドカップの前哨戦となる日本ザンビア戦と特別番組の放送に伴い、『土曜はドキドキ』内で行列開始直前の様子が放送された(12:40 - 13:30)。

事故

2018年6月1日に、特別協賛行事として行われた浅野川での加賀友禅燈ろう流しで、1個の灯籠が倒れたことをきっかけにして周囲に浮かぶ灯籠約600個が燃える事故が発生した。関係者の減少や高齢化が進む中、灯籠の新製や安全対策の強化は多大な負担となることから、翌年度の燈ろう流しは中止となった[17][注釈 6][18]

脚注

注釈

  1. ^ 地元出身およびテレビドラマ・映画などで利家・お松の方を演じた人物の起用例は、初期を除き見られない。
  2. ^ 2011年の藤谷美紀以降はオスカープロモーション所属者が集中的に起用される時期があった。また石野真子、藤本美貴のように、俳優が本業でない女性芸能人の起用例もある。
  3. ^ 同年3月まで放送されたNHK新大型時代劇真田太平記』で利家役。
  4. ^ 金沢工業大学機械工学科卒業(本人は京都府出身)。
  5. ^ 歴代最高齢の利家役(2022年開催時点で66歳)。
  6. ^ 2022年度からはろうそくをLED電球に替えて再開

出典

  1. ^ a b c “時代絵巻、城下に熱気 平成最後、百万石行列にぎわう”. 北陸新幹線で行こう!北陸・信越観光ナビ(北國新聞). (2018年6月3日). https://www.hokurikushinkansen-navi.jp/pc/news/article.php?id=NEWS0000014932 2019年6月9日閲覧。 
  2. ^ 金沢百万石まつりとは. 金沢百万石まつり実行委員会
  3. ^ a b c "加賀百万石の伝統と文化を彩る金沢最大の祭り!第67回金沢百万石まつり 開催 ~ 前田利家公役を高橋克典さん、お松の方役を羽田美智子さんが演じられます" (Press release). 金沢百万石まつり実行委員会. 30 May 2018. 2019年6月9日閲覧
  4. ^ 「百万石まつり中止の方向」2020年(令和2年)4月7日付北國新聞朝刊1面
  5. ^ 感染拡大、金沢百万石まつり中止(2020年4月13日、神戸新聞)2020年4月15日閲覧
  6. ^ 百万石まつり、初の中止 実行委が決定(2020年4月14日、北國新聞社)2020年4月15日閲覧
  7. ^ 百万石まつり中止決定 実行委 市長「代替行事開催を」(2021年5月1日、北國新聞社)2021年7月15日閲覧
  8. ^ 「誠に申し訳ない」と栗山千明さん 百万石まつり撮影禁止 金沢市長「行き届かなかった」”. 産経ニュース (2022年6月13日). 2022年6月19日閲覧。
  9. ^ a b “百万石の輝き、いざ出発 内藤利家と菊川お松 金沢市で行列”. 北陸新幹線で行こう!北陸・信越観光ナビ(北國新聞). (2015年6月6日). https://www.hokurikushinkansen-navi.jp/pc/news/article.php?id=NEWS0000002686 2019年6月9日閲覧。 
  10. ^ a b “勇壮、令和の利家公 金沢で百万石行列”. 北陸新幹線で行こう!北陸・信越観光ナビ(北國新聞). (2019年6月2日). https://www.hokurikushinkansen-navi.jp/pc/news/article.php?id=NEWS0000019842 2019年6月9日閲覧。 
  11. ^ a b 前田利家役に市川右団次さん 百万石まつり、来年は撮影可能に”. 共同通信社 (2022年11月28日). 2022年11月28日閲覧。
  12. ^ 北國新聞 2015年6月6日 朝刊44面
  13. ^ 北國新聞 2016年6月4日 朝刊40面
  14. ^ 北國新聞 2017年6月3日 朝刊40面
  15. ^ 北國新聞 2018年6月2日 朝刊40面
  16. ^ “「車中不倫」原田龍二、特番出演急きょキャンセル”. 日刊スポーツ. (2019年5月31日). https://www.nikkansports.com/entertainment/news/201905300000903.html 2019年6月9日閲覧。 
  17. ^ 田中ゑれ奈 (2018年6月29日). “石川)加賀友禅燈ろう流し、来年の開催中止決定”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). https://www.asahi.com/articles/ASL6X5CR2L6XPJLB00J.html 2020年11月16日閲覧。 
  18. ^ 〈金沢百万石まつり〉燈ろう流し準備万全に 浅野川に600個 北國新聞、2022年6月3日

関連項目

外部リンク