西武池袋本店

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西武池袋本店(せいぶいけぶくろほんてん)は、東京都豊島区にある日本の百貨店池袋駅東口直結。旧セゾングループの中核店舗。通称は「池袋西武」を略した「イケセイ」(登録商標第5396548号[1])[2]そごう・西武の基幹店である。

西武池袋本店
SEIBU IKEBUKURO[3]
西武池袋本店
地図
地図
店舗概要
所在地 171-8569
東京都豊島区南池袋一丁目28番1号[4]
座標 北緯35度43分45.8秒 東経139度42分42.3秒 / 北緯35.729389度 東経139.711750度 / 35.729389; 139.711750 (西武池袋本店)
開業日 1940年昭和15年)3月[5]
正式名称 そごう・西武 西武池袋本店
土地所有者 株式会社西武ホールディングス[7]ほか
施設所有者 株式会社そごう・西武
施設管理者 株式会社そごう・西武
商業施設面積 81,623 m²
営業時間 10:00 - 21:00
駐車台数 427(他に契約駐車場あり)[6]
前身 菊屋デパート池袋店

武蔵野デパート

西武池袋店
最寄駅 池袋駅[6]
外部リンク 西武池袋本店
SEBU
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概要[編集]

2005年8月までは「西武池袋店」(「池袋西武」[8]」)であったが、同年9月のそごう心斎橋本店大阪市)の開店に合わせて「西武池袋本店」に名称変更した(2009年にそごう心斎橋本店は閉店したため、そごう・西武の西武側にのみ「本店」が残る形になっている)[9][10]2022年5月には、そごう・西武の登記上の本店および本社機能がセブン&アイHD本社近くの東京都千代田区二番町(二番町センタービル)から移転してきており、名実ともに、そごう・西武の本店となった[11][12][13]

「イケセイアウル」というローカルヒーローが存在する(意匠登録第1533283号[14][15]

元々西武鉄道グループ内の百貨店事業からスタートしているため、南側は西武池袋線池袋駅の上に建てられており、池袋本店の敷地の6割は西武ホールディングスからの借地である[7]

2021年春の日経リサーチによる「商業施設の利用実態調査(首都圏版)」によれば、首都圏の商業施設で集客力1位[16]。2023年2月期の売上高は1,768億36百万円(法人外商含む)で、そごう・西武の店舗では最も多い[17](2021年2月期は1,385億82百万円、2022年2月期は1,540億2百万円)。日本の百貨店業界全体でも伊勢丹新宿店阪急うめだ本店に次ぎ国内3位に位置する[18][19]

ファッションに関心が高い顧客層に根強い人気があり、西武百貨店時代には前述のように「ファッションの西武」と呼ばれ[注 1]マーチャンダイジング(MD)や売場編集能力も高かった。1999年にはデンマークのインテリアショップであるイルムスと提携して、「イルムス館」(現在:別館)をオープンさせ、スカンジナビアモダンの流行のさきがけをつくった。また、池袋本店のデパ地下は、ザ・ガーデン自由が丘を出店させるなど、昔から他を圧倒する品揃えと人気があり、デパ地下ブームの火付け役になった。

日経MJ』の2002年の調査や、インターワイヤードの2005年の調査では、首都圏人気デパ地下ナンバーワンにも選ばれている。としまえん豊島園 庭の湯ラクーアなどが近いことから水着の売上枚数も国内有数であった。しかし、2020年代になると豊島園が閉園したこともあってか伸び悩んでおり、むしろ、そごうがかつて得意とした浴衣の売上が堅調である。

西武百貨店時代の1975年に、現代美術を展示する西武美術館(後のセゾン美術館。1999年閉館)が置かれたほか[20]、数多くの文化施設から次々に新鮮な企画が打ち出された。新進作家の小物を展示即売する「クリエイターズスペース」、ビデオ舞踏落語などのイベントが行われた「スタジオ200」、ソフトが豊富だった「ビデオポート」、ビデオ制作の「スタジオテック」、出張撮影が依頼できる「キネテック」、貴重盤の多い「ディスクポート」、演劇ショップの「ワイズフール」など、メセナ・ソフト事業も幅広く手掛けた。2021年時点でも6階に「西武アート・フォーラム/アート・ギャラリー」を設置している[21]ほか、店舗の内外に西武百貨店当時に設置された鹿目尚志らの現代美術作品が残されている[22]

2008年6月に東京メトロ副都心線が開業した際には、池袋の顧客が新宿渋谷等の百貨店に流出するのを防ぐため、長年ライバル関係にあった池袋駅西口の東武百貨店と協力して様々な取り組みを行った[23][注 2]

2021年には、西武ホールディングスと共同で、WEBで発注された池袋本店の一部スイーツやギフトなどの商品を西武鉄道池袋駅、富士見台駅所沢駅構内に設置されたスマートコインロッカーで受け取れるサービス「BOPISTA(ボピスタ)」を2月8日から3月31日までの間実証実験として行う[24]出前館などを使って食品売場の弁当や総菜などを近隣地域に宅配するサービスを開始する[25][26]など、新たな取組を行っている。

2010年のリニューアル[編集]

2008年から2010年にかけて、「ファッションの西武」の復権を賭け、総額400億を掛けて構造改善・耐震化工事を含むリニューアルを実施した[27][28][29]。副都心線開業に伴い、池袋本店と渋谷店を連動させてブランドイメージの復権を狙った。この大改装の仕上げとして、地下1階の旧ルノートルカフェ部分には、新たに「光の時計口」を新設し[30]JRの池袋駅南口方面や地下鉄有楽町線方面から西武池袋線への乗り換え客をデパ地下へと誘導しやすい作りへ変更した。また、地下・地上すべてのエントランスにおいてリニューアル工事を行い、白を基調とした明るい感じへと刷新された。

旧セゾングループの象徴的なものでもあった、東池袋方面からも確認できる大看板からは「Loft」「PARCO」の文字が消え、西武東口を出た箇所の壁面にある袖看板も新しいものに変更。また、懸垂幕広告も以前は大看板のすぐ真下・8階部分まで掲示していたが、レストラン街リニューアルに伴い、8階部分の展望可能な窓を増やし、懸垂幕については7階の高さまでの掲示へと変更した。

長らく「イルムス館」として営業していた別館には無印良品の旗艦店が新たに入居し[27]、すべてのフロアの床面をリニューアルし、インテリアフロアとこども服フロアを入れ替え、都内百貨店としては近年稀にみる大掛かりな改装となった。

最後に改装の締め括りとして、三越池袋店の閉鎖に伴い地下1階にて期間限定ショップとして仮入店していたLouis Vuittonが、旧第一勧銀池袋支店[注 3]跡である、1階PARCO寄りに約14年ぶりに復活入店した。

2023年8月31日のストライキ[編集]
西武池袋本店で行われたスト当日の示威行動

2023年8月31日、セブン&アイ・ホールディングスは臨時取締役会を開き、そごう・西武のフォートレス・インベストメント・グループへの売却実行を決議した[31]。これに対し、そごう・西武労働組合は同日にストライキを決行した。これにより西武池袋本店は全館で終日臨時休業となり、納品も全て停止された[32]。大手百貨店のストライキは、1962年5月の阪神百貨店以来61年ぶりとなった[33]

フォートレスインベストメント参画後[編集]

2023年9月1日付けを持って、西武池袋店の不動産(西武ホールディングス所有分は除く)がヨドバシホールディングス傘下となり、2024年8月開始を目途に、店内改装工事に向けた準備を実施している。そのため、南館地下二階にあった、「ザ・ガーデン自由が丘池袋店」は、2024年1月31日を持って営業を終了した。

また、ヨドバシカメラによる営業開始に向けて、ルイビトングッチプラダなどのテナントとの移転交渉を順次進めており、早ければ2025年8月に1階の3分の2は百貨店で、2階以上が家電を売るヨドバシカメラとした形となる見込み。

フロア案内[編集]

西武池袋本店は大きく分けて本館、三省堂書店池袋本店の一部と無印良品・駐車場・池袋コミュニティ・カレッジカルチャーセンター)がある別館、三省堂書店池袋本店とそごう・西武本社が入る書籍館に分かれており、さらに本館は北/中央/南に分かれている。詳細は、公式サイトのフロアガイドを参照。

  • 西武スカイステーション
1959年9月から1963年8月まで屋上にヘリポートである「西武スカイステーション」が設置されていた。
1959年7月に西武が朝日ヘリコプターに資本参加して1959年9月12日に開設された。当時は屋上ヘリポートとしては世界最大級だった。1963年6月に店内工事中に火災が発生して屋上から救助された。1963年8月に閉鎖された。
旧西武百貨店時代(リニューアル前)の池袋本店(2006年 正面グリーン大通りより)
2010年リニューアル後の西武池袋本店(正面グリーン大通りより)
地下1階「光の時計」
「イルムス館」当時の別館(2000年)
営業していた頃の池袋西武簡易郵便局

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ 登録商標第5396548号特許情報プラットフォーム
  2. ^ イケセイキレイステーション 西武池袋本店公式サイト(2023年12月18日閲覧)
  3. ^ Welcome to SEIBU IKEBUKURO(そごう・西武)
  4. ^ 西武池袋本店 アクセス・駐車場 そごう・西武
  5. ^ 沿革”. そごう・西武. 2021年1月27日閲覧。
  6. ^ a b アクセス・駐車場(西武池袋本店)
  7. ^ a b セブン、「そごう・西武売却」に立ちはだかる障害 東洋経済オンライン(2022年2月2日)2023年12月18日閲覧
  8. ^ 『2000年度版 西武百貨店環境活動報告書』p.5”. そごう・西武. 2024年5月12日閲覧。
  9. ^ ミレニアムリテイリンググループ 組織再編と主要人事についてお知らせします。(6月1日付)ミレニアムリテイリング(2005年5月31日)2023年12月18日閲覧
  10. ^ 沿革 そごう・西武
  11. ^ 株式会社そごう・西武の情報 国税庁法人番号公表サイト
  12. ^ そごう・西武、今春池袋に本社移転へ”. 日本経済新聞. 2022年2月23日閲覧。
  13. ^ 会社概要”. そごう・西武. 2024年5月12日閲覧。
  14. ^ 意匠登録第1533283号特許情報プラットフォーム
  15. ^ 百貨店初のヒーロー「イケセイアウル」デビュー Fashionsnap.com(2014年11月19日)2019年10月24日閲覧
  16. ^ 首都圏、商業施設の集客力ランキング 「渋谷ヒカリエ」や「伊勢丹 新宿店」を抑えて1位になったのは?ITmedia(2021年6月18日)2021年6月26日閲覧
  17. ^ 『株式会社セブン&アイHLDGS 2023年2月期 決算補足資料』17頁”. 株式会社セブン&アイ ホールディングス. 2023年12月18日閲覧。
  18. ^ 日経MJ』第6884号、2022年8月24日、1面。
  19. ^ 【最新版】2018年 全国百貨店 店舗別 売上高ランキング!”. 激安!元家電量販店員が語る業界裏事情!. 2019年10月14日閲覧。
  20. ^ 西武美術館/セゾン美術館 美術手帖(2023年12月18日閲覧)
  21. ^ 西武アート・フォーラム /アート・ギャラリー[リンク切れ]そごう・西武
  22. ^ E35 西武池袋本店 店内外アート そごう・西武(2023年12月18日閲覧)
  23. ^ 副都心線の開通で激化 池袋・新宿で過熱 新・百貨店戦争」東洋経済ONLINE(2008年6月19日)2023年12月18日閲覧
  24. ^ 西武、駅のスマートコインロッカーで商品を受け取れる「BOPISTA」Impress Watch(2021年1月7日)2021年2月28日閲覧
  25. ^ ネットで注文!デパ地下グルメお届け便『e.デパチカ西武池袋本店』スタート そごう・西武(2021年2月24日)2021年2月28日閲覧)
  26. ^ そごう・西武、デパ地下商品の宅配サービス開始 西武池袋本店から最短45分ITmedia(2021年2月25日)2021年2月28日閲覧
  27. ^ a b 今秋、西武池袋本店改装再スタート そごう・西武(2009年8月7日)2023年12月18日閲覧
  28. ^ 2010年、総合完成へ向けて。池袋本店が挑戦する、「新しいデパート」そごう・西武(2010年2月26日)2023年12月18日閲覧
  29. ^ 池袋本店全館改装第III期が9月7日(火)完成。そごう・西武(2010年7月15日)2023年12月18日閲覧
  30. ^ 池袋本店は「安心・安全」と「利便性」をさらに向上耐震工事が完了し、地下1階に新エントランス誕生!そごう・西武(2010年5月)2023年12月18日閲覧
  31. ^ 【詳報】そごう・西武の売却決定 池袋本店でストライキのさなかに”. 朝日新聞デジタル (2023年8月31日). 2023年9月3日閲覧。
  32. ^ 【詳しく】そごう・西武労組 異例のストライキ実施も売却決議”. NHK NEWS WEB (2023年8月31日). 2023年9月4日閲覧。
  33. ^ 「そごう・西武」労組、西武池袋本店でストライキ実施…大手百貨店で61年ぶり”. 読売新聞 (2023年8月31日). 2023年9月3日閲覧。

[編集]

  1. ^ 東武百貨店の社長だった根津公一は2012年のインタビューで「かつて、池袋においては『食品の東武、ファッションの西武』と言われた」と語っている。出典:「東武百貨店社長 根津公一 百貨店への固定観念を捨て新ブランドとテナント誘致ダイヤモンド・オンライン(2012年3月6日)2023年12月18日閲覧
  2. ^ 一例として、副都心線開業を記念した「LOVE IKEBUKURO」キャンペーンが両社合同で行われたり、西武百貨店で東武百貨店のマップが配布されたり、東武東上線の電車内に西武百貨店の広告が掲出されるようになった。
  3. ^ 日本勧業銀行池袋支店時代から入居。2002年にみずほ銀行池袋東口支店となった後も同地で営業していたが、2003年に池袋支店(旧富士銀行池袋支店)内にブランチインブランチとなる形で移転した(その後、2006年1月16日に池袋支店に統合され廃店)。ATMコーナーは無人店舗「池袋東口支店池袋駅東口出張所」になる形で同地に残ったが、こちらも2004年に地下1階の中央通路沿いに移転した。

参考文献[編集]

  • 富山市編『富山市史 第5巻』富山市、1980年。
  • 因幡町商店街35年史編集委員会編『因幡町商店街35年史』天神ビブレ商店会、1984年。
  • 由井常彦編『セゾンの歴史 上巻 変革のダイナミズム』リブロポート、1991年。 ISBN 4845706245
  • 由井常彦編『セゾンの歴史 下巻 変革のダイナミズム』リブロポート、1991年。ISBN 4845706253
  • セゾングループ史編纂委員会編『セゾンの活動:年表・資料集』リブロポート、1991年。ISBN 4845706261
  • 立石泰則『堤清二とセゾングループ』講談社文庫、1995年。ISBN 4061858866
  • 大津市歴史博物館市史編さん室『図説大津の歴史 下巻』大津市、1999年10月1日。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]